司法 バックナンバー3/3
https://www.nishino-law.com/
2024-02-23T10:16:21+09:00
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士が弁護士を依頼する
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3275#block95-3275
1
<div>
<p> 「自由と正義」という日本弁護士連合会が出版している雑誌があります。<br />
大抵の弁護士さんの読むところは「懲戒」欄です。</p>
<p> ある弁護士さんが、裁判所に提出した文書に、他の弁護士を品位を欠く攻撃する記述があり「弁護士としての品位を失う非行があった」と懲戒処分を受けていました。</p>
<p> 弁護士は、いろいろなクレームを受けます。<br />
たしかに、クレームが出てもおかしくない事案もあります。</p>
<p> しかし、圧倒的にクレーマーです。<br />
圧倒的に多いのは、 かつての、依頼者から「ミス」があるから金をよこせ=恩知らず<br />
かつての国選弁護をした被告人から金よこせ=恩しらず<br />
が典型例です。</p>
<p> 弁護士はプロですから、自分で対処できます。<br />
しかし、自分で対処するのは、賢明ではありません。</p>
<p> 他の弁護士に「丸投げしてしまう」というのが賢いやり方です。</p>
<p> 確かに、お金はかかります。<br />
当該弁護士自身が反論すると、相手方に「罵詈雑言」あびせて、それを「弁護士としての品位を失う非行があった」と判断される恐れがあります。<br />
また、第三者の弁護士は、冷静に、理路整然と判断してくれます。<br />
当該弁護士自身が経験したことですから、弁護士自身が一番よく知っているのですが「第三者が見たら」「客観的証拠からしてどう判断される」という観点が、どうしても抜けがちです。</p>
<p> 結局は、かつての依頼者からのクレーム、紛議調停、綱紀懲戒、いずれも代理人を建てるのが賢明です。<br />
できれば「大物弁護士」をたてれば、より有利です。</p>
<p> 何十万円の「しれたお金」を弁護士に渡すことは、クレーマー退治の必要経費でしょう。<br />
クリーマーに渡すより「どぶへ捨てる」方がいいでしょうし、なによりも、同業者を潤します。</p>
<p> ただ、昔は、弁護士が依頼者の代理人として、かつての代理人の仕事にミスがあったとして、弁護士に金銭要求するなど考えられませんでしたが、昨今、そういったことをする弁護士がいるのも、また現実です。<br />
世も末ですね。<br />
このときも、黙って、弁護士を依頼するのが賢明です。</p>
<p> ちなみに、綱紀委員をしていると、綱紀手続きにおいて、対象会員(懲戒請求されている弁護士さんのことです)の弁護人にはなれません。<br />
私は、平成21年9月30日で綱紀委員の任期が満了しましたので、弁護人となる資格を回復しました。<br />
でも、するつもりもありません。殺伐としすぎです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所に行くのに便利な住まい
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3274#block95-3274
1
<div>弁護士は、平日は毎日のように自分の事務所に行きます。
<p> 私自身は、西宮に住んでいて通勤しています。<br />
私に限らず、法律事務所は、裁判所のそばにあります。私の場合、徒歩圏に、大阪地方裁判所、大阪高等裁判所、大阪簡易裁判所があります。<br />
神戸地方裁判所本庁、尼崎支部の方が、私の自宅から時間的に早いのですが、さほど事件があるわけではありません。<br />
</p>
<p> 弁護士は、最寄りの裁判所に行くだけではなく、近隣、あるいは遠方の裁判所に行くことがあります。<br />
遠方の裁判所なら、どこに住んでいても全く問題はないのですが、自宅から、近隣の裁判所に直行するなら「交通に便利な住まい」というのがあります。<br />
裁判・調停は、地方裁判所でも家庭裁判所でも午前10時ですから「ゆっくり」出勤することができます。</p>
<p> もちろん、大阪市内ど真ん中が、最も便利でしょう。<br />
しかし「非常に安くて」「便利な」住居を考えてみます。</p>
<p> 南方面の事件が多いなら「天下茶屋」付近が便利なように思います。<br />
大阪高等・地方裁判所のなら、地下鉄堺筋線で1本、堺支部なら南海高野線で1本、岸和田支部なら南海本線で一本です。大阪家庭裁判所も地下鉄堺筋線と中央線乗換で容易にいけます。<br />
もちろん、大阪地方裁判所の近所で住んでもいいのでが、いかんせん、マンション住まい、それも、びっくりするような高価なマンションになります。<br />
<br />
天下茶屋付近が便利なのに、人気のないのは、住居表示が「大阪市西成区」となり、あまり、いいイメージがないからといわれています。</p>
<p> 北方面の事件が多いなら「JR尼崎」付近も便利です。<br />
大阪高等・地方裁判所の、JR東西線の北新地駅に一本、神戸地方裁判所、尼崎支部、伊丹支部、はJRで一本、京都地方裁判所も、地下鉄乗換で便利です。</p>
<p> やはり、「尼崎市」というのは、武庫之荘など一部を除くと、いいイメージはしないといわれています。</p>
<p> 武庫荘に住んでいる人に住所を聞くと「武庫之荘」、あるいは「尼崎市武庫之荘」と、「他の尼崎市と一緒にしないでほしい」とばかりの答えが返ってくることがあります。</p>
<p> イメージも大切でしょうね。<br />
ただ、どこに住んでいるかは、自分からいわないとわかりません。<br />
その昔、弁護士会会員名簿には、事務所の他に住所も掲載されていた(希望者は「省略」とされていました)のですが、個人情報保護が厳格になっていますからね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
覚せい剤
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3273#block95-3273
1
<div>元アイドル芸能人の覚せい剤の報道はすごかったですね。<br />
今度は、札幌弁護士会副会長の覚せい剤の報道でびっくりしました。
<p> 覚せい剤の自己使用・自己使用目的の所持は、そんなに重罪でしょうか。</p>
<p> その昔「ヒロポン」という「薬」がありました。<br />
塩酸メタンフェタミンが薬品名、ヒロポンは商品名です。</p>
<p> 「覚せい剤」というくらいですから、「目を覚ましてくれる」「薬」ですね。</p>
<p> 第二次世界大戦中、戦場に向かう特攻隊隊員に、死への恐怖心を紛らわせるため飲ませるなど、兵隊に軍が支給し、また、軍需工場では、労働者を不眠不休で働かせるため、使用させたというのがはじまりのようです。<br />
眠らずに、4、5日は働けたそうですし、また、敵軍の襲撃があっても、恐怖といった感情が起りにくかったようです。</p>
<p> 戦後になり、ヒロポンは大量に余り、民間に安く流れました。<br />
製薬会社の思惑もあったのでしょう。<br />
学生にとっては「眠らずに勉強ができる薬」、労働者にとっては「眠らずに働ける薬」、そのような広告で、薬局へ行けばで簡単に購入することができたそうです。</p>
<p> 私が、司法修習をしたのが30年前、定年の近い指導担当の方から「昔は合法で、自分も、司法試験合格のため、ヒロポンを使って寝ずに勉強して合格した」と言っておられる方がおられました。<br />
その方は、中毒にもならず、試験に合格するとヒロポンをやめ、任官されてから定年までご活躍をされていました。既にお亡くなりになっています。</p>
<p> 人間の体は「うまく」できていて、これ以上の仕事が不可能という肉体状態になると、そのサインを脳に送り、「寝よう」「休もう」となります。このおかげで、健康が保たれます。<br />
覚せい剤は、肉体から脳へのSOS信号を断切り、脳に、あたかも「勤労可能」と思わせるわけですから、仕事を続けて、健康を害することになります。<br />
専門的には「覚せい剤は、シナプス前部でのモノアミン類(ドパミンとノルアドレナリン)の放出を促進し、再取り込みを抑制することによって、神経伝達物質であるドパミンやノルエピネフリンの脳内シナプス間隙における濃度を上昇させ、その結果脳の一部の機能を活性化する」と記載されています。</p>
<p> これだけなら、被害者は、本人だけです。</p>
<p> 覚せい剤の急性中毒の場合、情緒不安定、判断力低下、衝動性、怒り、暴力行為に発展します、慢性中毒の場合には、これらの症状に加えて「空虚感」「感情鈍麻」「統合失調症に似た幻覚(幻聴や幻視など)や妄想(強い恐怖感を伴う迫害的内容)」などを引き起こします。<br />
ちなみに、幻覚や妄想などの精神病症状は、次第に少量の覚せい剤使用で出現するようになり、ついには使用を止めても出現するようになります。使用中止後、数ヶ月から数年後にも幻覚妄想状態が短期的に突然出現(「フラッシュバック」といいます)することもあります。</p>
<p> 被害妄想による犯罪は、殺人にまで発展することもありえます。</p>
<p> 覚せい剤乱用者は、しばしば常軌を逸した暴力行為を引き起こします。他人を刃物で切りつけたり、自分の身体を切刻むこともあります。<br />
薬代を手に入れるために家族や周囲の人のすべてを巻き込み、経済犯罪をおこします。<br />
さらに乱用薬物が、暴力団や国際テロ集団や「ならずもの国家」の資金源になっています。<br />
また、薬代を手に入れるために違法薬物の売人になるという自己増殖のパターンが見られます。</p>
<p>ということで、厳罰に処せられます。</p>
<p> 問題は、累犯性の高いことですね。<br />
麻薬と異なり「禁断症状」はでませんが、薬物依存症になるような人は、ほとぼりがさめたら(あるいは、自由になった直後)から、手を出す人は多いです。</p>
<p> 自己使用・所持なら、1度目は執行猶予ですが、2度目は実刑、前回の分とあわせ服役することになります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
医師と弁護士の開業
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3272#block95-3272
1
<div>弁護士が、イソ弁経験を経て1人で開業しようとします。<br />
必要なものは何でしょうか。<br />
実は、あまり必要ないのです。
<p> 事務所の家賃がいります。オフィスによっても違いますが保証金が必要です。私の場合は1年、これが結構高価でした。<br />
最低1人の事務員がいります。<br />
あとは、パソコン、電話、ファクス、コピー、プリンター、執務室、応接室これくらいです。最近は判例検索ソフトも必要になっています。書籍は独立するころには、嫌でもそろっているはずです。</p>
<p> わずかですね。<br />
弁護士は機械に頼らず、自分の知力・体力で仕事をしていることがおわかりかと思います。</p>
<p> ですから、就職先がなく、自宅で即時独立する人は、奥さんに事務員になってもらえば、案外費用はかかりません。<br />
最大のコストである家賃、事務員費用が不必要になり、年間50万円の弁護士会費(大阪の場合)が最大の費用となります。</p>
<p><br />
医師の場合は全く違います。<br />
診療所となるオフィスがいります。<br />
レントゲン、エコー、心電図、温熱治療、電子カルテ、レセコン、最近はMRIも必要なようで、設備費だけで2000万円かかるという話も聞きます。パソコン、電話、ファクス、コピー、プリンターだけですむ弁護士とは大きく違います。<br />
受付に1名はいるでしょうし、看護師が必要です。看護師の給料は法律事務所事務職員の比ではありません。<br />
あと、広告費も必要ですね。駅によくあります。弁護士の場合広告費「0」という人は結構多いです。</p>
<p> ただ、医師は当直のアルバイトができますが、弁護士はできません。<br />
医師が一晩の当直のアルバイトで稼ぐ5万円は、弁護士が、国選弁護人を1件するときの金額に、ほぼ匹敵します。<br />
国選弁護は、都市部では、もうかっていない弁護士を含め「とりあい」になっています。</p>
<p><br />
医師や医療法人の破産は結構あります。<br />
弁護士や弁護士法人の破産は「ニュース」になります。<br />
もちろん、弁護士は破産すれば、弁護士の資格を自動的に失いますが、開業医は、破産しても、勤務医として働くことができるという点にも差があるでしょう。</p>
<p><br />
いずれにせよ「娘を嫁がせるなら医師か弁護士」といわれていましたが、今は、どちらも資格だけで「いい生活ができる」甘い職場ではありません。歯科医師などは最悪だそうです。</p>
<p> なお、特に、一部の優秀な弁護士を除き、若い弁護士に嫁がせると、体面や生活レベルを保つため、双方の実家から、資金的援助が必要になることは覚悟して下さい。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法修習生の就業活動における差別的言動
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3271#block95-3271
1
<div>
<h3> </h3>
<p> <a href="http://www.osakaben.or.jp/web/08_recruit/kujyou_madoguchi.php" target="_blank">「司法修習生の就業活動における差別的言動に対する苦情相談窓口」 </a>が、大阪弁護士会に設置されたそうです。</p>
<p> 「大阪弁護士会に所属する法律事務所に対して就業活動をしていた司法修習生が、就業活動において、差別的言動等の人権侵害を受けた場合、苦情等を申し出ることができます」<br />
「就業活動において、差別的言動等の人権侵害を受けた等の苦情・相談をされたい場合は、下記の連絡先に電話または電子メールにて申し出るか、大阪弁護士会司法修習委員会担任委員にご連絡ください」<br />
「大阪弁護士会司法修習委員会」</p>
<p> となっています。</p>
<p> 私は、勤務弁護士を雇用したことはありませんし、司法修習委員になったこともありませんから、実情は知りません。<br />
勤務弁護士雇用の予定もありません。</p>
<p> ただ、大阪弁護士会のホームページではわかりませんが、大阪弁護士会会員に配布されたパンフレットによりますと、想定されている「差別的言動」は、端的に「女性差別」ということのようです。</p>
<p> 「差別」といえば、他に、学歴差別、年齢差別(高年齢者を嫌悪)、司法試験などの成績による差別、司法修習の新旧による差別(新=ロースクール卒業者を嫌悪。逆の「可能性」もないとはいえません)とかいろいろあるでしょうが、これらは想定されていないようです。</p>
<p><br />
修習生の少なかった時代には、採用に苦労したのは雇用者側でしたが、弁護士大増員時代で、就職に苦労するのは修習生側です。特に「女性修習生」は深刻なようです。</p>
<p> 就職できない「即独」の修習生も、修習生全体に占める女性の割合に比べ、女性修習生が多いかのように聞いています。</p>
<p> 有利な立場の雇用者側が、就職先をさがすのに必死な女性修習生に、セクハラをするのは問題外ですね。<br />
このような行為が糾弾されるべきは当然のことです。</p>
<p> しかし、問題は、そう簡単ではないようです。</p>
<p> 女性修習生が既婚か未婚か、未婚であれば結婚の予定、既婚であれば出産についての考えなどは、雇用する側にとって、どの程度の「戦力」を期待できるかについて重要な要素です。<br />
「セクハラ」という趣旨ではなく、「出産前後に戦力として期待できない期間の見込み」を事前に知りたいのが普通でしょう。<br />
男性修習生には、そんなことを聞く必要がありません。興味もないでしょう。勤務弁護士に、家族手当を支給する法律事務所はありません。</p>
<p> 小規模事務所の経営者である弁護士が、「男性修習生」を「女性修習生」より優先させる理由は、「女性修習生」に結婚・妊娠・育児の要素が大きいからでしょう。</p>
<p> よほど大きい事務所を除けば、法律事務所は、しょせん零細企業です。「ぎりぎり」の数で、夜遅くまで、また、休日出勤をしながら、なんとか仕事をこなしています。</p>
<p> 男性は、結婚・妊娠・育児で「戦力外になる」という可能性はありませんが、女性はありえます。<br />
その場合、事務所が「存亡の危機」になる可能性があります。経営している弁護士自身が、「過労死」してしまう可能性もないとはいえません。<br />
勤務弁護士を雇用することにより、従前受任していなかった、訴額の小さな事件や、遠方の事件を受任しているのが普通でしょう。あてにしていた「勤務弁護士」が「戦力外」となったのでは、遠方の事件に自ら行かねばならない場合が生じ、特に大変です。</p>
<p> 雇用者側の弁護士が、「将来の生活設計」を「一切」聞いてはならないというのなら、弁護士の習性として「最悪の事態」を「想定」して「被害が最小になるよう」行動するのが普通ですから、「女性修習生」の採用は「否定」という結論になるでしょう。</p>
<p> 女性が、裁判官や検察官になるなら全く問題はありません。全国にたくさんの数の裁判官・検察官がいるのですから、填補は簡単です。また、報酬・給与は、しょせん「税金」です。<br />
人事権を握る裁判官・検察官らの「腹がいたむ」わけではありません。</p>
<p> 弁護士会固有の問題は、個々の「零細企業」の「法律事務所」の「集合体」に「すぎない」ことです。<br />
また、弁護士増員により、経営は厳しくなっていて、「潜在的」「余剰人員」をかかえる余裕などありません。<br />
ただ、大規模事務所なら、さほど気にすることはないでしょうから、弁護士会は、大きな事務所に率先して「女性修習生」の採用を依頼するのが手っ取り早いと思います。</p>
<p> 難しい問題ですね。<br />
しかし、弁護士は、個々の「零細企業」が、集まっているにすぎないこと、弁護士増員により、経営は厳しくなっていることを考えれば、解決する方法はないように思います。<br />
もともと、弁護士大増員が問題なんですね。<br />
もっとも、その恩恵を受けて合格した修習生ですから・・<br />
500人時代なら、こんなことにはなっていなかったように思います。<br />
また、上位500人に入っていれば、裁判官・検察官になれず、また、就職先もないということはないように思います。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
選択科目の不公平
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3270#block95-3270
1
<div>司法試験も、年とともに、試験方法が変わっています。
<p> 司法試験というときには、通常は、一次試験は教養問題で、大学の2年を修了していれば当然免除になりましたから、司法試験=「二次試験」を指します。</p>
<p> 私が司法試験を受験した年(昭和52年)当時は「短答」「論文」「口述」各試験に別れていました。<br />
法律家としてやっていくためには、法律の基礎が頭に入っていて事務処理が速いこと、説得力のある文章を書けること、人を説得する話術があること、以上全てが必要です。</p>
<p> 短答試験は、憲法、民法、刑法の基本3科目、マークシート方式、270分で90問を答えなければなりませんでした。ゼロ回答ありの5者択一です。<br />
問題自体は難しくありませんが、8割以上正答でなければならないので、何よりも速度と正確性が求められます。<br />
事務処理能力のない人は、裁判官・検察官・弁護士どれを選んでも「厄介者」になるだけですから、ここで落とします。</p>
<p> 論文試験と口述試験は科目が同じでした。<br />
憲法・民法・商法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法のいずれかが必須で、法律選択科目として、 民事訴訟法・刑事訴訟法(必須科目として選択しなかった方)・行政法・破産法・労働法・国際公法・国際私法・刑事政策の8科目から1科目選択、教養選択科目として、政治学・経済原論・財政学・会計学・心理学・経済政策・社会政策から1科目を選択します。</p>
<p> 私は、訴訟法は刑事訴訟法を選択しました。<br />
あまり興味もありませんし、弁護士になってから全くといって使っていませんが、論文試験は6月ですから、大学3年生のときにすべて講義が終わっている必要があり、刑事訴訟法は大学3年で講義が終わっていますが、民事訴訟法は大学3年で講義がすべて終わっているわけではありませんから、ある意味、刑事訴訟法を選択する以外に、選択の余地はありません。</p>
<p> 法律選択科目は「行政法」、教養選択科目は「財政法」を選択しました。<br />
国家公務員上級職試験との「両面待ち」の受験生は、必ずといっていいほど選択します。国家公務員試験に「行政法」「財政学」が必修選択科目ですから。</p>
<p> ということは、東京大学や京都大学法学部の、現役4年生で、司法試験と国家公務員上級職試験との「両面待ち」の受験生は「刑事訴訟法」「行政法」「財政学」を必ずといっていいほど選ぶことになります。</p>
<p> 顔見知りと「しゅっちゅう」会います。顔見知りでなくても、論文まではともかく、面接時には「また、あんたか」「そらお互いや」ということになります。<br />
一度、大学の「よもやま話」をしようとしたら「私は、京大で、東大と違います」と言われたことがあります。</p>
<p> 私は、東京に行っても「東京弁」はしゃべりませんでしたし、まわりにそういう人が多かったので、同じ、東京大学在学中の関西弁をしゃべる学生だとばかり思っていました。<br />
短答試験と論文試験は京都で受験できますが、口述試験は東京でしか受験できません。<br />
そんなことに、気づくはずもありません。</p>
<p> ふと考えました。<br />
選択科目の採点方法はどうなっているのであろうかと。<br />
母集団のうち、成績がいい人たちが選択する選択科目も、それなりの人たちが選択する選択科目も「公平」なんだろうか。</p>
<p> 「刑事訴訟法」「行政法」「財政学」のセットは、東京大学や京都大学法学部の、現役4年生の定番です。</p>
<p> かたや、手取り早く、絶対司法試験に合格したい人は、「刑事訴訟法」「刑事政策」「心理学」選択します。絶対楽に決まっています。<br />
同じことを皆考えるので、「レベルの高くない人」と競争すれば良く、そのうえ、競争の激しい選択科目と、配点は同一です。<br />
どうせ、平均点をとって、偏差値あたりを得点とするのでしょうから。</p>
<p> 何か不公平な気がします。<br />
合格したからいいですけどね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
住居のついた職業
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3269#block95-3269
1
<div>昨年から、急激な不況のため、メーカー・流通など、あるゆる業界でリストラの嵐が吹き荒れました。<br />
もっとも影響があったのが、派遣労働者で、雇止めや契約打切りなどで職を失い、さらには、自動車メーカーなど、職と同時に住居を失った人もありました。
<p> 寮を出て、実家に帰れる人はまだしも、帰るべき実家や家族がないという人が少数ではないことがわかりました。</p>
<p> いままで、どういう人生を送っていたのか不思議なくらいですね。</p>
<p><br />
通常、職と同時に住居を失なう人といえば、住込みで働いている人です。</p>
<p> マンションの管理人は、マンションの一室で家族で住んでいることがあります。<br />
また、ホテルや旅館に、住み込みで働く場合もあります。</p>
<p> 通常、弁護士の相談で、職住一致で多かったのが、超過勤務手当の問題です。<br />
確かに、何もないときがほとんどですが、何か生じると24時間、時間を問わず働く必要がありますから、超過勤務手当などの問題として処理されてきました。<br />
私は、労働者側の代理人はしませんし、マンションの管理組合(ディベロッパーの子会社を含みます)や旅館・ホテルの顧問がありませんので、実際仕事をしたことはありません。</p>
<p> 職住一致で、夫婦ともどもパチンコ屋などで働いていたが、折り合いが悪くなって退社して、親戚の人に住まわせてもらい、親戚の人が破産着手金・実費に出してもらって私に依頼し、破産を申し立てた経験が1度あります。<br />
この夫婦などは、頼れる親戚があるため恵まれた部類だったのでしょうね。</p>
<p> 刑事事件をする弁護士さんは、社会の底辺の底辺にいる人のことも分かるのでしょうが、刑事弁護をしない私のような弁護士は、一生縁がないのかも知れません。</p>
<p><br />
次に、職住一致で、問題になっている「寮」生活者です。<br />
折り合いが悪くなって退職ではなくて、景気が悪くなって退職ではたまったものではないでしょうね。<br />
ただ、身寄りが全くいないという人がすべてかどうかは疑問です。何かの理由で行きづらいのかも知れません。<br />
また、そんな不安定な生活なら、給料を全部使わず、貯金くらいしておいたらと思うのですが、マリーアントワネットの「パンがなければケーキを食べれば」という言葉と同じかも知れません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
審理
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3268#block95-3268
1
<div>女優の酒井法子容疑者が、覚せい剤違反で逮捕されたとのことです。
<p> これだけなら「よくある話」なのですが、酒井法子容疑者が、裁判員広報映画である <a href="http://www.youtubemp4.com/watch?v=8VfjAfAW8e8" target="_blank">「審理」 </a>に出演していました。</p>
<p> 刑事では「無罪推定」といって、刑事手続きによる裁判確定まで「無罪」が推定されます。<br />
最高裁判所は、容疑者段階で「無罪推定」として、ホームページに掲載し続けるのではと考えた人もあったようですが、あっさり切りました。<br />
上記の画像も、最高裁判所のホームページから引用しようとしましたが、リンクが切れています。</p>
<p> 裁判官には、休職制度がありませんから、非違行為をしたと疑われる裁判官は、仕事をさせないという手段をとるのですが、裁判所書記官・事務官には起訴休職制度があります。<br />
京都家庭裁判所書記官の事件で有名になりましたよね。 </p>
<p>逮捕されている女優の主演映画へのリンクを切ることに問題はないと思います。</p>
<p> あくまでも「後講釈」ですが、配偶者が「ややこしい」女優の場合は、最初から採用しない方がいいですね。本人でなくても、配偶者の逮捕だけでも大問題になります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
説明責任
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3267#block95-3267
1
<div>このところ、やたら「証明責任を果たせ」などという言葉が流行っていませんか。
<p> 昔は「アカウンタビリティー」(Accountability)という外来語がそのまま使用されていましたが、今は、訳文の「説明責任」がもっぱら使われています。</p>
<p> もともと訳語で、accuntableは「責任がある, 申し開きの義務がある(toをつけると「人」に対して、forをつけると「物事」について)」という意味で(「・・できる」ではありません)、むしろ「responsible」より強いニュアンスがあります。<br />
その名詞形です。</p>
<p> 「アカウンタビリティー」(Accountability)は、元来は、アメリカにおいて、よく使われるようになった言葉で、1960年代以降、政府のような公共機関が、納税者であり、かつ主権者である国民に対し「公金の使用説明」があるという声が強くなりました。</p>
<p> さらに、国などにとどまらず、株式会社が出資者で株式所有者である株主に対し、資産の使途について説明するように拡大されたました。</p>
<p> そして、さらに、説明が求められる主体が、広く社会に影響を持ちうる活動を行う団体・個人に拡大し、説明する内容が、金銭の使途に限られず、活動内容、合理的理由などに拡大し、説明をなすべき対象者が、出資者のみならず、従業員取引先など利害関係者(ステークホルダー)まで拡大されるようになりました。</p>
<p> 日本でも、基本的に同じ意味ですが、政治家の不祥事事件などについて「説明責任を果たせ」「説明責任の果たし方が不十分だ」などとの大合唱がおきますね。</p>
<p><br />
なお、弁護士、医師、税理士などの専門職も、「説明義務」を負担します。<br />
事件を受任するにあたり、また患者を診察・治療するにあたり、その内容や利害得失について、依頼者・患者や家族に十分に説明する責任(説明義務)も、近年、重要性を増していて、これに違反した(説明義務違反)として損害賠償の支払いを命じる裁判が急増しています。</p>
<p> 医師は、結構昔から、治療にミスがなくても、あるいは、死亡することは不可避であっても、「説明義務違反」で損害賠償責任を負うという判例がずっと前から存在していました。<br />
新バージョンの「白い巨塔」の控訴審の流れが変わったきっかけも「説明義務」違反でしたね。</p>
<p>弁護士も、当然、法律専門職として「説明義務」を負っていて、怠ると損害賠償責任を負わなければなりません。<br />
訴訟にまでなっている例は、例えば大阪地方裁判所が民事26ヶ部のうち3ヶ部も医事部なのに比べて知れていますが、もちろんあります。そのうち、増えるのかも知れません。<br />
少し利口な弁護士は、要所要所で、依頼者からの書面(メール・ファクス)を保管していますし、テープをとっています。<br />
そのうち「取り調べの可視化」どころか「法律相談のテープ録音」をしなげばならなくなるかもしれません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
偽札
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3266#block95-3266
1
<div>偽札を偽造したり、使ったりすると罪は重いのでしょうか。
<p> 刑法148条1項には「行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する」2項には「偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする」と定められています。<br />
重罪中の重罪扱いです。</p>
<p> ちなみに、偽札をつかまされ、偽札とわかって他人に渡した場合どうなるのでしょうか。<br />
刑法152条に「貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の3倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、2千円以下にすることはできない」とされています。<br />
かなり軽いですね。</p>
<p> なお、偽札をつかまされたからといって、銀行では受け取りも交換もしてもらえませんし、警察に届けた場合、「新札に交換」ということもありません。</p>
<p> ただ、捜査に協力してもらったことに対する謝礼金の制度があります。昭和52年にできた「偽造通貨発見届け出者に対する協力謝金制度」です。<br />
具体的な金額は明記されていませんが、実際の運営では、届出と同額が支払われているようです。<br />
もっとも、当然の事ながら、取調べに協力しなければなりませんから、時間の無駄ではあります。</p>
<p> 日本は、比較的、偽造通貨が流通することがめずらしい国といわれています。<br />
最高額の紙幣が1万円ですし、紙幣の製造技術は、実質的に世界で一、二を争うといっていいでしょう。<br />
1万円札は受取りますね。もっとも、弁護士に、偽札を渡す依頼者がいるとは思えませんし、100万円を超えるようなら、振込みにしてもらっています。</p>
<p> 外国旅行を考えてみましょう。</p>
<p> ユーロは、高額紙幣は、受取りの際に、偽札でないかどうかチェックされます。<br />
偽札が出回っているのでしょうね。<br />
私自身は、50ユーロをこえる紙幣は持たないようにしています。<br />
チェックされるのは不愉快ですが、両替やトラベラーズチェック換金のときだけ50ユーロ札を手にするわけですから、日本の銀行か、外国の銀行か両替商かホテルだけです。</p>
<p> 銀行や両替商で、偽札をつかまされることは通常ありません。<br />
50ユーロ札を出せば、20ユーロ札以上かえってきませんから、最初を除いて、チェックの対象にはなりません。</p>
<p> ドルも、高額紙幣は、受取りの際に、偽札でないかどうかチェックされます。<br />
偽札が出回っているのでしょうね。<br />
私自身は、20ドル札をこえる紙幣は持たないようにしています。<br />
20ドル札でチェックされることはありません。<br />
ドル紙幣でお金を受け取るのは、両替やトラベラーズチェック換金のときだけです。両替やトラベラーズチェック換金のとき、20ドル札以上の紙幣を持たなければ、絶対、手許には20ドル札以上のお金を持つことはありません。</p>
<p> あと、なぜ、ユーロが50ユーロ札で、ドルか20ドル札なのかという理由は、ドル札が、何ドル札か紛らわしく、タクシーを降りるときなど、下手をすると49ドル損をする可能性があるからです。<br />
20ドル札なら、最悪でも19ドルの損ですみます。<br />
ユーロ札は、50ユーロ札と20ユーロ札以下を間違えようがありません。色と大きさが違います。5ユーロと20ユーロは色が似ていますが、大きさが全く違います。</p>
<p> 韓国で偽札など考えたことはありません。<br />
ついこの前まで、最高1万ウォン札も750円札ですから。万一、偽札でも、750円札をチェックする「物好き」はいません。<br />
もっとも、今年、5万ウォン札がでましたから、要注意です。<br />
もっとも、旅行者が、5万ウォン札を受取るのは、銀行か両替商かホテルのみです。<br />
ウォン札が足りなくなったとき、パスポートがないと銀行ではかえられないので、南大門などの「おばちゃん」にかえてもらうことがありましたが(実は、レートがいいんです)、5万ウォンくらいになると、偽札が出回るかも知れませんから、空港の銀行かホテルでしか両替しません。</p>
<p><br />
偽札で要注意は中国です。</p>
<p> 最高は100元札(1500円)ですし、銀行かホテルのみでしか受け取りませんから、まず大丈夫でしょう。</p>
<p> 中国では「50元札は絶対受け取るな」が鉄則です。50元札の偽札は結構出回っています。そして、お釣りに偽札が入っている恐れがあります。<br />
物なら買うのを止めればいいわけですし、レストランにはいるときは、50元札のお釣りがないようにするなどして、私は断固拒否するようにしています。<br />
中国人も、その点の事情はわかっているようで、「twenty yuan notes, please!」というか、あるいは「にじゅうげんさつとじゅうげんさつ!」と指2本を立てて、50元札を突き返せば、20元札×2枚+10元札1枚か、20元×1+10元札3枚にしてくれます。<br />
20元札(300円)なら笑ってられますが、50元札(650円)は、やはり不愉快です。また偽札が次第に貯まっていきます。<br />
それ以上に、20元札なら、どこかで疑われて拒否されても、他で受取ってくれる可能性はあるでしょうが、50元札の偽札は絶対受け取ってもらえないそうです。</p>
<p> しかし、このところ、中国国内で大量の100元の精巧な偽札が出回っていると言うことです。<br />
「何か買い物をして100元を渡す」「店は100元を受取るがお釣りがないといって、100元を返却」「この時、店側が100元を偽札にすり替え」これは、お手上げですね。<br />
せいぜい、100元札を渡して、100元札を戻してもらうとき、すりかえられていないか注意するくらいでしょうが、日本人には到底判別不可能だそうです。<br />
もっとも、精巧な偽札なら、受け取ってくれそうな店はありそうです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所の「エコ」
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3265#block95-3265
1
<div>
<p> 「エコ」が叫ばれています。</p>
<p> エコカー減税やエコポイントなど、「お金」を「えさ」にする方法があります。<br />
もっとも、高速道路の休日均一1000円化などは「地球温暖化」に大きく貢献しているでしょう。</p>
<p> 裁判所も「お役所」ですから、「エコ活動」があります。<br />
基本的に、裁判所で目に見えるのは「エアコンの調整」です。</p>
<p> 裁判所は、法廷、弁論準備室、裁判官室、書記官室などの設定温度を28度にしています。<br />
上着着用は無用です、ネクタイもいりませんということになっていますが、手慣れた弁護士ならともかく、証人に呼ばれた人が、ノーネクタイ、上着なしでいいのかどうかは意見が分かれるでしょう。<br />
私は、暑いのを我慢してでも、ネクタイは着用するように、上着は裁判官の指示で脱ぐようにと指示しています。<br />
人は「見た目」で判断されます。<br />
スーツ・ネクタイでぴしっと「きめた」証人と、アロハシャツ、ゴム草履であらわれた証人の、どちらの言うことが裁判官に信用してもらえるかは、自明でしょう。</p>
<p> また、調停室などのエアコンを効かせないと、ただでさえ「熱く」なっている当事者の冷静な判断能力を奪うことになってしまい、せっかく成立するはずだった調停が成立しないということもあり得ます。</p>
<p>もちろん「官」の「率先垂範」という意味もあるでしょうが、上手なやり方ではないように思います。</p>
<p><br />
今度は、大阪弁護士会が「エコアクション21」と題して活動を始めました。</p>
<p> 会館の室温設定27度を目安<br />
エレベータより階段推奨<br />
紙ではなくてメールを多用<br />
ノー残業デーの一部中止<br />
照明の不必要なときの消灯<br />
トイレの二度流しを控える。<br />
ノー残業デイ</p>
<p> ただ、弁護士会館自体が、ガラス張りですから、迫力はないですね。<br />
弁護士会館にできたときの、一般会員の感想は<br />
<br />
豪華すぎる(金がかかりすぎ。対依頼者との関係で弁護士が「ぼっていて」「もうけすぎ」と思われてしまう)<br />
平べったすぎてデザインが悪い<br />
ガラスの多用など光熱費が無駄である。掃除も大変<br />
消防施設が十分ではない</p>
<p> というものでした。<br />
完全に時代を読み違えていましたね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
事件数の推移
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3264#block95-3264
1
<div>
<h3> </h3>
<p> <a href="https://www.nishino-law.com/NISHINO%20LAW%20OFFICE.pdf" target="_blank">「平成11年から平成20年の民事第1審事件新受件数のグラフ」 </a>をご覧下さい。<br />
これは全国の合計です。</p>
<p> まず、倒産関係からみていきます。</p>
<p> 破産数のグラフはわかりやすいですね。<br />
平成11年12万8488件の破産数が、平成15年の約25万件まで倍増し、こから、平成20年の14万0941件、ピーク時の56%まで下がっています。<br />
調停数(増加分は、ほぼ全件、特定調停でしょう)も、平成11年26万1443件の破産数が、平成15年の60万超件まで倍増し、こから、平成20年の14万8242件、ピーク時の22%まで下がっています。</p>
<p> ちなみに、破産は、弁護士と司法書士、特定調停は本人がほとんどでしょう。</p>
<p> 一時期は景気がよかった時期があったのかも知れません。<br />
不動産競売事件も減少した時期があります。<br />
ただ、近年の破産数の減少は、従前は破産や民事再生しかなかった多重債務者の債務整理について、業者が保管している取引履歴の全部開示、過払い返還により、破産をせずに任意整理(債務合計が100万円以下になれば、高齢者・生活保護受給者・母子家庭などを除き破産はさせてもらえませんし、破産するべきではありません)で終了しているということが考えられます。<br />
過払い返還により、逆に債務どころか「ボーナス」を手にした多重債務者も多いでしょう。弁護士費用を引いても1000万円を手にした債務者もいるそうです。</p>
<p>地裁民事一審事件は平成11年の15万0952件から、平成17年の約12万6000件まで逓減しています。<br />
平成20年でこそ19万9523件と持ち直していますが、3割は過払い返還請求訴訟でしょう。<br />
過払い返還請求訴訟は、貸金業法の改正で、逓減していって、いずれなくなりますから、過払い返還請求訴訟を除いた基本数は12万件くらいかも知りません。<br />
これで、弁護士大増員ですから、大変ですね。</p>
<p> 反対に簡裁の一般訴訟事件は、平成11年の30万2690件から平成20年の55万1875件に増加一方、逆に、支払督促は57万5781件から38万8230件に減っています。</p>
<p> 平成11年の簡裁の一般事件と簡裁の督促事件の合計が、85万4565件、平成20年の簡裁の一般事件と簡裁の督促事件の合計が、96万4021件と12%の増加です。<br />
支払い督促が減少の一途、一審訴訟が増加の一途をたどっています。<br />
支払督促の異議を出す事件が増えたので、迂遠な支払督促より、訴訟を提起してしまうのが「はやい」と考えられているでしょう。</p>
<p> ただ、ここでも、過払い返還請求訴訟を考えなければなりません。<br />
地裁並で3割としても、55万1875件ある過払い金返還請求を除いた事件数は約38万5000件。知れてますね。<br />
過払い返還請求訴訟は、貸金業法の改正で、逓減していって、いずれなくなりますから、過払い返還請求訴訟を除いた基本数は40万件ないかも知れません。</p>
<p> こで問題なのは、簡裁一審事件の増加派も司法書士が代理人となっいてる事件が含まれるようになったことです。<br />
弁護士が、できるだけあわせて訴訟を提起しようとしますが、司法書士は140万円の壁がありますから「バラ」で訴訟を提起します。<br />
数が増えているのは、本来なら一緒の事件を「バラ」で提起しているため、金額の割には事件数がやたらふえているのでしょう。極端な話、1原告、1サラ金を1件として、訴訟提起している司法書士さんがおられます。</p>
<p> 司法書士の扱い事件が急増しています。<br />
これで、弁護士大増員ですから、弁護士は大変ですね。</p>
<p> 弁護士が扱う事件数が少なくなれば、弁護士の雇用が増えるはずもありません。<br />
真っ先に、司法修習生の就職難という形で「しわよせ」がきているのでしょう。<br />
弁護士1人あたりの事件数・収入は相当減ってきていると思います。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士増員で被害を受けているのは若い弁護士さんだけではありません
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3263#block95-3263
1
<div>弁護士大増員時代になり、確実に、若手弁護士、特に独立開業している若手弁護士の経営が苦しくなっているそうです。<br />
もちろん、若手弁護士も、能力と経営の才能があれば、自力で、新規に自分の顧客層を開拓できますし、ベテランや中堅の顧客を自分の顧客とすることも可能です。
<p> 弁護士は、ベテラン、中堅、若手すべてが同一資格で、能力と経営の才能次第で、ベテラン、中堅をしのぐ収入を得ることはもちろん可能ですし、現実に、そのような弁護士も数多くいます。</p>
<p> 今思えば、牧歌的な時代だったのでしょうか。</p>
<p> 司法修習生合格者が500人程度の時代には、独立するとき、従前の「ボス弁」から、一部顧客を譲受け、あるいは、自分が担当してきた顧客で、「ボス弁」とあわない顧客が自分の顧客となっていました。</p>
<p> また、従前の「ボス弁」は、自分の事務所でするのは「非採算」でも、独立した手のころなら「採算」にあうであろう事件、また、気心が知れていますから、「利害相反」する依頼者の事件(両方の依頼を受けられない事件)を紹介するということはよくありました。</p>
<p> ぜいたくさえ言わなければ、事件は「いくら」でもあったといえるかも知れません。</p>
<p><br />
ただ、これだけ弁護士数が増えてくると、ベテラン、中堅にも余裕がなくなってきています。</p>
<p> 間違いなく弁護士数が増えているにのに対し、事件数(訴訟事件数は統計で出ています)は一向に増えていない(サラ金相手の過払い訴訟だけが増加しています)からです。</p>
<p> まだ救いなのは、ベテラン、中堅は、通常、それなりの顧客層を確保している人が比較的多いことです。<br />
また、「実入りの良い事件」か「実入りの悪い事件」か、当初に依頼者から見せられた証拠関係などより見極めをつける力が、経験を経ることによってついている人が比較的多いです。</p>
<p> これも大きいのですが、金銭的余裕も、ベテラン、中堅に比較的有利で、金銭的余裕があれば、目先の「小金」のために、事件を受任して、時間や手間ばかりかかり、敗訴になり報酬がもらえず、あとで後悔することも少なくなります。</p>
<p> 中堅はともかく、ある程度の顧客層をもったベテランなら、「先が長くない」という事情もあり、ある程度「流していけば」逃げ切れる(ハッピーリタイアーする)ことができます。</p>
<p> 中堅は、「ある程度の先がある」という事情から、逃げ切れる(ハッピーリタイアーする)目途が立っている人は少数でしょう。中堅やベテランとの顧客・事件の取合いし、若手から顧問先や事件を取られないように防御しながら、新規顧客を開拓していかなければなりません。</p>
<p> 今の若い弁護士さんは、2世、3世を除き「牧歌的なころの弁護士の収入や生活ぶり」を知りませんから、ある意味、幸せかもしれません。<br />
中堅の弁護士にとって、かつての「古き良き時代」を知っているだけに、「落差」はこたえますね。</p>
<p> もっとも、現在、就職口のない、あるいは、「不満だらけの法律事務所」からしか内定をもらっていない司法修習生は「気の毒」ではあります。<br />
しかし、そうなることは客観的に知り得た、つまり「超ハイリスク」であることを知り得ながら弁護士を志望しているわけですから、リスクが顕在化しただけかも知れません。<br />
客観的にみれば、2、3年前から、「無理に」司法修習修了者を採用している事務所が多いですから、その反動はきます。<br />
採用しようとすれば、従前からの弁護士に「独立」してもらうしか方法はありませんが、それも無茶な話でしょう。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法曹人口3000人問題
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3262#block95-3262
1
<div>「法曹人口3000人問題」という言葉をご存じでしょうか。
<p> 「平成22年までに司法試験合格者を3000人程度にまで増やす」ことの是非の問題です。<br />
翌平成22年は無理でしょう。ただ、かつては、真剣に議論されたことがあります。</p>
<p> 平成12年の司法制度改革審議会集中討議の席上、「フランス並みの法曹人口(5万人)を目指す。年3000人として2018年になる。年3000人合格とすべきだ」という提案がなされ、「年3000人の合格者でおおむね一致」となり、当時の日弁連会長が、「日弁連として年3000人を受け入れることは可能」との見通しを表明、同年の日弁連臨時総会で、3000人を事実上受け入れる決議を採択したようです。<br />
もっとも、フランスの5万人の「弁護士」は、その昔、「弁護士」と「司法書士」を同じ資格にくっつけ、その結果生まれた「弁護士」の数です。つまり弁護士+司法書士の合計数です。</p>
<p> 日本では、長い間、司法試験合格者が500人程度におさえられ、そのうち400人ほどが弁護士になっていました。<br />
基本的に、司法試験は、択一、論文、口述の3段階に分かれていて、私の記憶に間違いがなければ、受験者は2万8000人程度、口述合格が2300人程度、論文合格者が500人程度、論文合格者は、よほど、話すのが苦手な人しか落ちませんから、口述試験合格者も500人程度となります。</p>
<p> 平成7年までに弁護士になった人、つまり、司法修習47期までは、500人の「難関」をクリアしています。<br />
それまでに合格した弁護士さんは「1年500人があたりまえ」「それ以上は水増し」と、心のどこかに先入観念がある方が多いと思われます。<br />
特に、司法試験受験浪人を何年もした人は「弁護士に簡単になれる」のは「おかしい」という心情があるようです。<br />
平成18年に終了修習し裁判官・検察官・弁護士になった(厳密には「なる資格」を得た)人が1500人、平成19年に2100人程度と増え、平成20年に2200人程度になりました。<br />
ということは、その昔、何年間も択一式試験に合格しながら(2300人以内に入りながら)、論文式試験に何回も(1年1回の試験ですから「何年も」)合格せず、やっと弁護士になってみたら、択一試験に合格するレベル(足切りレベル)で最終合格するようになったことをみて「自分の今までの努力は何だったのか」「論文試験に合格するまでに無駄に費やした青春の何年間は何だったのか」と思う人がいても不思議ではありません。</p>
<p> 「平成22年までに司法試験合格者を3000人程度にまで増やす」という予定の実現性は乏しくなりましたが、前の年より次の年の合格者数が減るということは考えにくいので、毎年、少なく見積もっても、昔の短答式試験合格者数2300人程度は増え続けるでしょう。</p>
<p> また平成21年7月26日「政府は、昨年は2000人余だった司法試験の合格者を、10年には3000人に増やす方針だ。都市部に集中する弁護士の偏在解消などのため、この増員計画は堅持していかねばならない」と報道されていますが、「現」政府のことでしょうか。</p>
<p> 昔は「田舎に行けばベンツに乗れるし、ビルも建つ」と言われたものですが、法曹人口の絶対数が少なかったときの話で、もはや、1弁護士あたりの需要が著しく低下しているでしょう。<br />
需要がなく、採算があわないので、ひまわり基金法律事務所(弁護士会からの資金援助)、また、採算度外視の法テラス法律事務所を設立する他ないということでしょうね。<br />
弁護士が行きたがらないから地方の弁護士が増えないのではなく、地方に需要がないから、地方の弁護士が増えないということですから、弁護士をいくら増やしても無駄でしょう。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
行政書士の職務
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3261#block95-3261
1
<div>行政書士の仕事はなんでしょう。
<p> 行政書士法1条の2には、以下のとおり定めています。<br />
「 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。</p>
<p> ただ唯一とも言える司法官庁である裁判所は、官公署とは、行政官庁であり、司法官庁である裁判所は含まないと解釈しています。<br />
認定司法書士の認められる前から、裁判所が司法書士の代筆を認めていたのとはえらい違いです。<br />
本人が、知らない顔をして、自分で持参し、送達場所和自分にしてしまえば、裁判所は、誰がつくった文章かわかりませんから(本人か行政書士か。弁護士が作った文章でないことは容易にわかりますが)わかりませんから何もいいませんが、行政書士があらわれると、拒絶される扱いになっているようです。</p>
<p> 行政書士の仕事の内容を書いてみましょう、</p>
<p>建設業許可手続きをする<br />
ビザ手続きや帰化手続き、永住許可・在留資格申請をする<br />
農地を宅地にする手続きをする<br />
風俗営業許可申請(パチンコ・スナック・デートクラブ)の許認可手続き<br />
医療機器や薬品の許認可手続きをする<br />
旅客運送業や貨物運送業の許認可手続きをする<br />
港などの倉庫業の許認可をする<br />
種苗法に関する新種の農作物等の登録をする<br />
産業廃棄物収集運搬業許可申請<br />
職業紹介事業許可申請<br />
電気工事業者登録申請</p>
<p> とされています。<br />
行政官庁への書類の代筆です。</p>
<p> 内容証明郵便の代書、遺産分割協議書の代書、離婚の協議書などは、どこの官公庁ですかと聞きたくなりますし、交通事故の示談書などは、素人どおしの場合は、損害保険会社つくるもので、これも、やはり、どこが官公庁ですかと聞きたくなりますね。<br />
これらは、弁護士法違反で非合法と解されています。<br />
逮捕者も出ていますね。</p>
<p><br />
なお、行政書士は「行政書士試験に合格した者」のほか「弁護士となる資格を有する者」「弁理士となる資格を有する者」「公認会計士となる資格を有する者」「税理士となる資格を有する者」ということですから、弁護士となる資格を有する者」「弁理士となる資格を有する者」「公認会計士となる資格を有する者」「税理士となる資格を有する者」「以下」であることはもちろんです。</p>
<p> なお、前のコラムで書きましたが、弁護士は当然として、司法書士などは、広い意味の「lawyer」ですが、広い意味でとらえても、行政書士は「lawyer」(法律家)ではありません。</p>
<p><br />
弁護士が増え、弁護士本来の仕事で食えない弁護士を救済するために、経済的に困っていない弁護士の有志(食べていけない弁護士に、そんな悠長なことをしているヒマはありません)が、行政書士の仕事である「ビザ手続きや帰化手続き、永住許可・在留資格申請をする」ことが「ペイ」するので、その分野へ進出する方法、利益とコストなど研究しています。<br />
ビザの関係には、外国人との結婚・離婚など、家事的要素も含まれる事件があります。<br />
行政書士ができない離婚の示談などを一挙に解決しようということです。</p>
<p>その他、弁護士増加により、司法書士の業務、さきほどのような行政書士の業務で、「ペイ」するものの研究がされています。<br />
具体的には、あまり「利幅」の多寡ということは考えず、弁護士が関与することによって、適正な法的解決がなされるかどうかがメルクマールになります。</p>
<p> 将来、多くの若手弁護士が、従前の司法書士・行政書士の業務に関与していくようになるでしょう。<br />
そして、いままで不適切な処理の行われていた業務も、法的に正しい処理がなされるようになることが期待されています。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法修習生の就職難
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3260#block95-3260
1
<div>だんだん、司法修習生の就職状況が厳しくなっているようです。
<p> 私は、弁護士会の会務で、司法修習生の指導担当をしたことがありませんし、あまり、司法修習生に接する機会もないので、実情は、よく知りません。</p>
<p> もっとも、「御事務所に司法修習生の募集はありませんか」「事務所訪問をしたいのですが」という電話やファクシミリ(当事務所のメールアドレスは、同業者と依頼者以外には「非公開」です)が、ある程度は来ます。<br />
大阪修習の人だけではありません。大阪で弁護士をしたい近隣県での修習生、あるいは遠方でも、関西出身の修習生から電話などが来ます。<br />
弁護士会員名簿を見て「片っ端から」電話をかけているわけではなく、ホームページをもっている事務所に電話をかける司法修習生が多いということを、司法修習生の指導に当たっている弁護士さんに聞いたことがあります。</p>
<p> 忙しい午後6時ころまでの時間ではなく、遅くに電話が来ます。<br />
仕事の邪魔をしないという配慮か、早く弁護士が帰ってしまう事務所は、仕事がなく経営が苦しいのではないかと考えているかも知れません。</p>
<p>採用の気もないのに、長々と聞くのも問題ですから「当事務所に修習生修了者採用の予定はありません。申訳ございません」と 答えて電話を切ることになります。</p>
<p> いわば、紹介者なしの「飛び込み」のセールスですから、相当、切迫しているのでしょうね。</p>
<p> 先ほどのとおり、ホームページを見たという人が多いのですが、私のホームページの「ご挨拶」に「弁護士は1人ですので、若い弁護士さんに事件が任されてしまう心配はありません。私が事件処理にあたらせていただきます」と記載しているところまで読んでいるヒマはないのでしょうね。</p>
<p> もとより、イソ弁採用は、給与等の固定費増加により経営が圧迫されるおそれがあります。経営が苦しくなったからといって、すぐ、首を切れるものではありません。また「筋悪」事件とわかっていても、着手金ほしさに事件を受けなければならなくなる可能性もあります。</p>
<p> 弁護士を採用するのは、経営的な観点とは別な危険を伴います。<br />
自分が何から何まで、チェックしていたのでは、何のためにイソ弁を雇ったのかわかりません。<br />
ただ、イソ弁の行動のチェックをしていないと、ミス(弁護過誤)をされた場合、共同受任者として、損害賠償の義務を負担しますし、場合によっては、懲戒を受ける危険があります。</p>
<p> 軒弁(無給のイソ弁)にしたところで、自分の事務所所属の弁護士が懲戒を受けたなどと報道されてもかなわないでしょう。</p>
今年は、7月末で、修習生が2回試験受験のため和光市(私のころは司法研修所は文京区湯島ににありましたが、現在は、埼玉県和光市に移転しています)に帰ります。<br />
埼玉から、電話で就職活動をするのでしょうか。<br />
めでたく面接となっても大変ですね。大阪なら近いといっても、和光市駅から淀屋橋駅まで片道4時間、1万5000円です。新大阪駅から淀屋橋駅まで御堂筋線で1本ですが、和光市駅は、池袋経由ですから。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の研修
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3259#block95-3259
1
<div>法曹資格は、医師と同様、いわゆる「一生もの」ですから、一度取得すれば更新などは必要ありません。
<p> ただ、弁護士というのは「日々勉強」「日々研鑽」という職務ですから、言われなくても、通常の弁護士は、新法、重要な法改正などの勉強をしています。していないと、依頼者の期待に添えなくなる、端的にいえば、新法を知らないために、ミスをして依頼者に損害を可能性があるからです。</p>
<p> かといって、日頃から多忙な職種ですから、大阪弁護士会は、会員である弁護士に研修の機会を与えるとともに、強制的に研修をしてもらうというシステムをとっています。</p>
<p> 前のコラムにも書いたのですが、大阪弁護士会は「弁護士会登録時」「5年目」「10年目」「15年目」「20年目」「30年目」に弁護士倫理の研修を実施しています。<br />
ちゃんと「倫理研修」参加してくれる弁護士さんは、通常問題を起こすことは少なく、逆に、参加していない弁護士さんに「問題児」が多いようです。</p>
<p> 強制といっても「正当な理由のない不参加者弁護士名の公表」という程度にとどまっています。ただ、研修不参加を繰り返すと、懲戒理由にはなる可能性があります。</p>
<p> また、大阪弁護士会は、全弁護士に対し、業務分野に関わる研修を、毎年年間10単位(10時間)の講義を受講する義務を負わせています。通常、新法、重要な法改正などの解説の研修です。</p>
<p> やはり、強制といっても「正当な理由のない不参加者弁護士名の公表」という程度にとどまっているのは、倫理研修と同様です。</p>
<p> これは研修とは関係ありませんが、大阪弁護士会では、全弁護士に対し「法律相談」「国選弁護」「委員会活動」などの「特定公益活動」のうち1つを履行することを会員に義務づけています。<br />
基本的に「もうけ仕事」だけではなく「割に合わない公益的な仕事にも参加をお願いします」という趣旨です。<br />
これを怠った場合は、6万円の負担金が課せられます。</p>
<p><br />
弁護士会は、通常の会社組織のような「上命下服」のシステムにはなっておらず、「独立した自営業者の集合体」にすぎませんから、権限はほとんどないに等しいといっていいでしょう。<br />
その分、個々の弁護士が、自発的に、自己研鑽を積むことが期待されていますし、大半の弁護士が、言われなくても実行しています。<br />
問題は、これらを無視する一部の弁護士で、事後的に、懲戒権の発動などで是正するしかありません。</p>
<p> 懲戒されるということは「被害にあった人」がいるわけですから、未然に防ぐ従前の努力をする必要があります。<br />
ただ、弁護士は、他の弁護士が何をしているか知る機会がありませんから、「事前防止」は難しいですね。これ以上、被害者の発生を止めるというのが精一杯になってしまうというのが現実です。</p>
<p> 「弁護士さんだから」「間違いないだろう」と考えるのは、残念ながら「間違い」です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
記録の引越し
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3258#block95-3258
1
<div>今、私の事務所に来られる方は、結構ちらかっていることをご容赦下さい。
<p> 当事務所では、事件記録を事務所内で保管していましたが、棚がいっぱいになってきて、ただでさえさえ狭い部屋が、余計に狭くなってきましたので、同じビルの地下に4坪余の倉庫を借りて、終了記録を移転中です。<br />
2年前からキャンセル待ちしていて、やっと手頃なサイズの倉庫が空いたので借りることにしました。</p>
<p> まず、現在進行形の事件については、着手後何年たっていようが、記録は現在進行中のロッカーに保管しています。<br />
預かっている原本類は、事件終了時に依頼者にお返しし、念のため、記録の裏表紙に「必要な原本はすべて受領いたしました」と書いてもらい、日付とサインをいただきます。その時点で、既済のロッカーに移転されます。</p>
<p> 原本についても、民法171条に「弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から3年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる」とされているくらいですから、原本を事件終了とともに返却し、その都度、訴状、答弁書、準備書面、書証などを交付している限り、少なくとも対依頼者との関係では、記録の保管義務はありません。</p>
<p> なお、判決原本は50年(民事)、和解・調停調書は30年、他の事件記録は5年間、裁判所において保管されていますから、裁判や調停になっている事件は、要求に応じてコピーをとって渡すこともできます。<br />
示談交渉ですんだ事件は、裁判所では保管してくれていませんので、3年間くらいは保管した方がよいでしょうね。</p>
<p> ただ、弁護士さんの性格にもよるでしょうが、依頼者だった人から、紛失したからコピーをくれないかという要望があったり、破産事件については、忘れたころになって債権者から破産開始決定や免責決定をファクシミリしてほしいとの要望がありますから、依頼者・債権者の方の便宜のために、ある程度の期間は保管しています。</p>
<p> また、弁護士自身のためにも、あのときの事件はどうだったかという調べものをする必要がありますから、ある程度の期間は保管しています。</p>
<p> 私の事務所の保管期間は、公表していません。<br />
もちろん、他の法律事務所同様、かなり古い記録まで保管しています。</p>
<p> 勝訴、敗訴、一部勝訴、和解、調停など円満に事件が終了している、ほぼ全員の依頼者の方には、保管されていれば、有償ですが、コピーをお渡ししています。<br />
約定の成功報酬を支払ってもいない人(債務の任意整理の減額・長期分割報酬の分割金が、ほぼ全てです)が、コピーを求めてくることもありますが、原本は返していますし、コピーも既に交付済みなので、未払報酬全額を支払ってもらえない場合はお断りしています。</p>
<p> という事情で、倉庫を借りることになったのですが、引越しと同じで、記録を見ていると「昔はこんな事件やっていたんやなぁ」と懐かしくなることがあります。<br />
引っ越しをしていると、感慨に耽って、予定時間を軽くオーバーするのと同じ理屈です。<br />
もっとも、作業は事務員に任せていますから(事件終了日は、記録の表紙にマジックインクで大きく書いてあります)、ひろがっている事件記録をながめたり、事務員から、どのように整理したらいいのか質問されたときくらいですが・・</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
号外
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3257#block95-3257
1
<div>大ニュースなどがあったとき、駅ターミナルなどで新聞の号外が配られることがあります。
<p> 号外とは、突発的な事件、事故、災害など、一般の関心度が高いと判断されたニュースについて、街頭で配布される新聞などの刊行物をいいます。</p>
<p> 少なくとも日本では「ただ」ですから、もらうものは、もらいますよね。<br />
私自身、運がいいのか悪いのか、号外をもらったことは、あまりありません。<br />
一番最後が、皇太子殿下に女児誕生という号外(土日祝だったと思います。ゴルフの帰りでしたから)で、ずいぶん前の話です。</p>
<p> 号外は、街頭の人々に速やかに緊急のニュースを一早く伝えるという目的だったのでしょうが、テレビが早いかも知れません。出先でも、携帯のワンセグをみたり、携帯でインターネット接続をしている人が多いですし・・<br />
ただ、活字を読むということは、記憶に残り方が違いますし、元に戻って読むこともできますから、それはそれで意味があるのかも知れません。</p>
<p> もちろん、緊急性が薄いと思われるようなニュースでも号外が出ることがあります。<br />
「くいだおれ」閉店の号外がでたと、テレビで放送されていました。</p>
<p> ちなみに、「号外」というのは、文字通り「通算番号外」ということです。<br />
新聞をご覧になれば、必ず、発行時からの通算番号が記載されています。</p>
<p> 例外は官報でしょうか。<br />
官報の号外にも番号が記載されています。<br />
これは、官報本誌の最大枚数(32枚)が小さすぎ、ほぼ号外が出るためです。<br />
32枚というのは、2^5で、印刷物は、大きく印刷して小さくきりますから、2の累乗である、4、8、16、32などの単位でつくれば、コストが安くすみますから、多少の無理をして、これらの数にあわせようとすることもあります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の自殺
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3256#block95-3256
1
<div>
<p>少し古い統計になりますが、<a href="http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1139120837369/files/jisatujoukyou.pdf" target="_blank">「平成16年度自殺者統計」 </a>という統計が発表されています。</p>
<p> 平成16年中における自殺者の総数は3万2325人で、昨年と、あまり変わりません。<br />
1年に、総人口(0歳児から最高齢者まで)の3870人に1人くらい自殺しているということになります。<br />
0.02586%ですね。</p>
<p> 職業別の自殺者が掲載されています。</p>
<p> 弁護士等は15名となっています。男性13名、女性2で、圧倒的に男性が多いですが、母数自体は男性が多いでしょうから、まあ、こんなものでしょう。一般に男性の自殺者(72%)が、女性の自殺者(28%)より多いということは間違いありません。</p>
<p> 裁判官の自殺はニュースになりますが、弁護士の自殺は、よほど特異なものでないとニュースバリューはないようです。もちろん、弁護士が、生活苦を理由に自殺したというならニュースバリューはあるかも知れませんが、今のところ、そういったケースはなさそうです。</p>
<p> 弁護士の自殺数をみると、先ほどの統計の平成16(2006)年には、弁護士は、2万2000人くらいでしたから、0.0681818%ですから、全体に比べて2.6倍の人が死亡しています。</p>
<p> 実感するより、案外少ないなと感じるのは、私が弁護士をしているからなのかも知れません。<br />
いずれにせよ、ストレスのたまる仕事にはかわりありません。<br />
自殺までは行かないまでも、躁うつ傾向のある弁護士さんは多いものです。<br />
<br />
これからどうなっていくのでしょうか。<br />
おそらく「経済上の理由」で自殺というのも出てくると思います。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
官報
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3255#block95-3255
1
<div>官報をご覧になった方があるでしょうか。
<p> 官報は、国の機関誌で、新たに公布された法律など、国が国民に告知する必要がある事項について記載されています。<br />
本誌は、日曜と祝祭日を除いて毎日発刊されています。号外も、ほぼ毎日発刊されています。号外がほぼ毎日いうのも奇妙なことですが、官報の本誌には枚数制限があるため、それをこえると号外となります。また、官報政府調達公告版(随時)、官報資料版(毎週水曜日)、官報目録(月1回)が発行されます。</p>
<p> 官報は、定期購読することもできますし、政府刊行物センターなどで誰でも買うことが出来ます。</p>
<p> なお、一般の書店で購入できる店は多くありません。<br />
しかし、各都道府県に、必ず一店舗は、<a href="http://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoAgencyList/" target="_blank">「官報販売所」 </a>があります。<br />
また、そこでは、「無料で」官報を閲覧できるスペースがあります。<br />
和歌山県の場合なら、和歌山市にある宮井平安堂という書店の本店です。<br />
高校生のころ、「なんで、本屋に立読み専用のスペースがあるんやろ」と不思議に思ったことがあります。</p>
<p> 官報記載事項のうち主たるものは以下のとおりです。</p>
<p> 府令・省令 総理府令・各省の省令等<br />
規則 各委員会の規則<br />
告示 各省庁の告示「基準・規則」の改正<br />
国会事項 議事日程・議案関係事項等<br />
人事異動 各省庁の人事異動<br />
叙位・叙勲・褒章 叙位・春、秋の叙勲及び褒章等<br />
官庁報告 国家試験(司法試験・情報処理・会計士など)<br />
資料 閣議決定、各省庁の報告及び資料・速報など<br />
公告 各省庁(入札・落札)、裁判所(公示催告・除権判決・破産・免責・会社更生・再生等)、 特殊法人等(入札・ディスクロージャー等)、地方公共団体(地方債償還・行旅死亡人等)及び 会社の行う法定公告等</p>
<p> 法律などは、公布がなければ発効されません。<br />
公布とは「成立した成文の法を公表して、一般国民が知ることのできる状態に置くことをいい、法令が現実に拘束力を発生するためには、一般に公布の要件をみたすことが必要」とされています。<br />
ですから、各都道府県に1カ所は、官報を無料で閲覧できるところをおき、そこで、閲覧できるようになってから、はじめて、当該都道府県で法律などの効力が発生します。</p>
<p> 刑法などに新しい罪ができたり、ある刑の罰が重くなった場合など、各都道府県の官報を無料で閲覧できるところにおかれるまでは、当該県では罰せられたり、刑が重くなったりすることはありません。<br />
北海道なんかひどい話ですね。また、和歌山県の最北端にある和歌山市で官報が読める状態になったから、南端の新宮市などで「知ったものと見なす」というのも、あまり常識的ではありません。<br />
もっとも、いまは、1週間分は、インターネットで閲覧できるようになっています。</p>
<p> いまはどうなっているか知りませんが、私が裁判官をしているときは、必ず官報が各裁判官に回覧されていました。裁判官の机はかなり大きく、「未済箱」「既済箱」があって、「未済箱」におかれた官報の表紙に、各裁判官の押印する紙がホチキスで留められていて、自分の名前の欄に押印して「既済箱」におくというシステムです。</p>
<p> 弁護士会の資料室には、最新の官報が新聞などととともに閲覧できるようになっていて、バックナンバーを保管してあります。</p>
<p><br />
一般の人になじみはないでしょう。<br />
破産開始決定を受けた場合には、官報に掲載されます。<br />
つまり、誰でも見ることができる状態になりますが、実際は、ほとんど誰も見ていません。<br />
破産者が、大阪だけでも毎年1万人をこえているのは、自己破産は、実質的な損害がほとんどないということを示しています。最大のデメリットは、原則として、2度と破産して免責が受けられないことでしょう。</p>
<p> 弁護士が破産管財人をすると、管財人が官報に公告しなければならず、掲載手続きを弁護士(実際は事務員)がすることになります。<br />
公告されれば、弁護士会の資料室でコピーして、裁判所に提出します。</p>
<p><br />
ちなみに、私が裁判官に任官したとき、転勤したときなどは、正確に名前が書いてありましたが、退官したときには「西野『佳』樹」ではなく「西野『桂』樹」と誤記されていました。<br />
たとえ、10年だけとはいえ、私に働いてもらった裁判所(逆にいうと、私が働かせてもらった裁判所)も、退官するとなると、案外冷たいものだと思った記憶があります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士賠償責任保険
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3254#block95-3254
1
<div>弁護士が通常加入している保険として「弁護士賠償責任保険」があります。
<p> 弁護士賠償責任保険は、弁護士業務に過失があり、弁護士に依頼した人などに経済的損害を与えた場合の賠償責任をカバーする保険です。</p>
<p> よくあるのが、上告・上告受理理由書の提出期限、控訴期限を徒過して敗訴を確定させてしまったり、破産債権の届出期限を徒過し、破産手続きによる債権回収ができなくなったことです。<br />
わかりやすいですね。<br />
もっとも、控訴ならともかく、上告・上告受理をしたからといって、勝訴になるということは希でしょう。少なくとも、私は、上告・上告受理をしたから逆転勝訴したとか、上告・上告受理をされたから逆転敗訴したという経験はめずらしいでしょう。1度、上告審で逆転したことがあります。</p>
<p> あと、物の本には以下の例が掲載されています。本当に過失かどうか怪しいものがあります。<br />
「時効の抗弁が可能であるのに見落とし敗訴した」「類似事例に関して敗訴の判例があるにもかかわらず、勝訴すると軽信して訴訟を遂行したが敗訴した」「仮差押をすべきなのに怠り、債権回収の機会を失った」「交通事故で依頼者の過失が大きいと誤信し、和解を勧め和解が成立したがそもそもの過失認定が誤っていた」などとあります。</p>
<p> 「時効の主張を忘れた」というのは少しお粗末ですね。少なくとも、予備的に主張できますから「とりあえず」しておくものでしょう。<br />
ただ「類似事件の判例」のケースですが、つい最近、最高裁判所の判例が出たものならともかく、高等裁判所・地方裁判所など下級審の判決は「無視」して、最高裁判所で「けり」をつける、あるいは「適当なところで和解する」というのは十分ありえます。弁護士の裁量が広く「過誤」となるケースは希でしょう。<br />
「仮差押さえ」のケースも、そんなに簡単に財産がわかるかどうか別ですし、保証金を積む必要があり、敗訴すれば、損害賠償責任を負うわけですから、また、破産されたら手数が全く無駄なだけなので、弁護士の裁量がひろく「過誤」となるケースは希でしょう。<br />
また「和解」ですが、裁判上の和解なら、裁判官が関与しているので、弁護士の「過誤」うんぬんはまれですね。また、示談なら「依頼者が」「安くていいから」「すぐに金がほしい」という希望をされる方も多いです。弁護士の裁量がひろく「過誤」となるケースは希でしょう。</p>
<p> そんなことに、保険金が出ていたのでは、弁護士の負担する保険料は膨大なものになるでしょう。<br />
あまり、知識のある人の説明ではありません。</p>
<p> なお、証拠書類、証拠物の損壊、あずかった印紙の紛失などは、特約でカバーされます。</p>
<p> 私自身、一度弁護士賠償保険を利用したことがあります。</p>
<p> 印紙を買いに行って、途中で自動車事故にあいそうになったこともあり(そんなに、危険の高い事故ではありません。自動車のスピードがでていませんでした)、印紙を含めて所持していたものが散乱し、丹念にさがしたのですが、10万円の印紙を紛失したことがありました。</p>
<p> 「怪我をしなかっただけましか」「弁償しなければ仕方がないかな」とあきらめていたのですが、保険代理店の人に聞くと「弁護士賠償責任保険が使えますよ」とのことで、簡単な手続きで10万円戻ってきました。当時は、免責金額はありませんでしたし、別に、保険を使ったからといって、保険料が上がるわけではありませんでした。</p>
<p> もっとも、申請用紙に「依頼者の被害感情の大小」という項目があり、びっくりしました。すぐに、私個人の預金口座から10万円を出して印紙を購入し、訴状を出していますから、依頼者は、全く知らないことですね。</p>
<p> なお、弁護士法に規定する職務はもちろんですが、後見人・保佐人・補助人・財産管理人・清算人・検査役・管財人・整理委員・個人再生委員などの資格で行う法律事務も賠償されます。</p>
<p> ただ、訴訟などは、弁護士の裁量が広く、過失と判断されることは期間の徒過などを除き希なのですが、管財人の過誤は、普通は、計算ミス、配当すべき債権者の見落としなど、何の言い訳もできないものですから、管財業務をする人の保険料は高くなっています。<br />
つまり「管財業務につき保険をかける」欄に印をすれば保険料が上乗せされ、印をしなければ、管財業務の過誤につき保険が出ません。<br />
これは「税理士の仕事をする」「外国法を扱う」なども同様の仕組みになっています。</p>
<p><br />
なお、保険契約者の故意が免責されることは、保険である以上当然のことです。<br />
また、弁護士が、依頼者から損害賠償請求され、弁護士自身が応訴しても、その手数分に保険金は出ません。<br />
保険を使い、他の弁護士に依頼するのが賢明です。</p>
<p><br />
ちなみに、業務上の保管中・運送中の「貨紙幣類・有価証券」や、財産管理業務等で預った依頼人名義の通帳・印鑑の盗難事故は、弁護士に過失がないので、責任賠償保険は出ませんが、特約で、保険をかけることが可能ですし、かける弁護士がほとんどです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
公然わいせつ
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3253#block95-3253
1
<div>SMAPのメンバーの1人が公然わいせつ罪容疑で逮捕されました。
<p> 刑法174条には、以下のとおり定められています。<br />
「 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」</p>
<p> 酒に酔って、裸で公園に寝転がったからといって逮捕されるものではありません。</p>
<p> 例をあげてみましょう。一般の人が公然わいせつで逮捕されたとしても、ニュースバリューはありません。</p>
<p> 横浜弁護士会所属の当時35歳の弁護士が公然わいせつで逮捕されています。<br />
「平成20年7月23日午前11時25分ごろ、JR東海道線横浜-川崎間を走行中の電車内で、座席に座っていた女性(27)の前に立ち下半身を露出した」として現行犯逮捕され、罰金10万円の略式命令が確定しています。<br />
横浜弁護士会は、同弁護士を業務停止1カ月の懲戒処分にしています。</p>
<p> このホームページのおいてあるレンタルサーバーは、ヤフー子会社のファーストサーバなのですが、当時42歳の前社長が公然わいせつで逮捕されています。<br />
「平成20年4月19日午後4時50分ごろ、JR東海道線新富士-静岡間を走行中の電車内の通路で全裸になっていた」として、鉄道警察隊員が浜松駅で下車させ、浜松中央署で逮捕されていますが、刑事処分については報道されていません。<br />
前社長は、平成20年4月19日付で代表取締役を退任し、取締役を辞任しています。</p>
<p> 普通は、この手の「露出狂」が「公然わいせつ」で逮捕されます。<br />
犯罪を重ねていれば懲役刑もあるのでしょうが、初犯でしたら露出狂でも罰金刑ですむのが通常のようです。</p>
<p> 露出狂でもなく、単に、酒に酔って裸で公園に寝転がっただけなら、起訴猶予しかないでしょう。<br />
パンツだけでも着用していれば刑法犯になりませんし、また、おとなしく警官の指示に従っていれば、逮捕もされなかったでしょう。</p>
<p>捜索差押えの令状は、想像の域を出ませんが、飲酒による酩酊ではなく、薬物等による酩酊の可能性があると裁判官により判断されたからだと思われます。<br />
飲酒による酩酊のみなら、自宅に差押さえるべきものは何もないでしょう。<br />
判断した裁判官が正しかったかどうかについては、裁判官に提出された資料を見ることができない以上、判断はできません。</p>
<p> 薬物が発見されなければ、捜索のみで終了です。</p>
<p><br />
あまり、刑事事件としては「興味のある」ものはないようです。<br />
問題なのは、CMの違約金がどうなるかだけですね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
公証官としての書記官
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3252#block95-3252
1
<div>昨年のことですが、京都家庭裁判所書記官が、有印私文書偽造・同公私・詐欺罪により起訴されました。<br />
それまでも、書記官や事務官が、訴訟記録に編綴されている切手を横領したという事件がありましたが、桁違いです。
<p> 裁判官は書記官よりえらいのだから、有印私文書偽造・同公私・詐欺などで私腹を肥やそううと思えばもっと悪いことができる、ただ、やらないだけの話と思われている方おられませんか。<br />
理屈では、収賄もありえそうですが、せいぜいゴルフ・クラブくらいで、私腹を肥やすどころのさわぎではありません。</p>
<p> 裁判官が私腹を肥やすような収賄をすることは「やらない」のではなく「できない」のです。非違行為は、このところの刑事畑の裁判官の少女買春とかストーカーとか強制わいせつとかばかりですね。</p>
<p> 裁判官の基本的職務は「判断」です。「判決」「決定」「命令」「審判」など裁判書を作成することが基本的職務です。<br />
司法行政の最重要事項は裁判官会議で決められますから、司法行政という意味でも重責を担っています。</p>
<p> これに対し、書記官の職務の基本は「公証」です。<br />
裁判の記録や調書などの書類の作成ができるのは書記官だけです。<br />
なお、裁判官が書いて、署名(記名)・押印した「判決」「決定」「命令」「審判」など裁判の原本は、記録の中に綴られますから、外部の人は見ることはないでしょう。<br />
外部の人が見ることができ、裁判が執行される基礎となるのは、裁判書のコピーです。<br />
「正本」は、強制執行などに用いられるためのコピーで、書記官が作成し、「原本」と同一の効力を有します。<br />
「謄本」は、文書全部のコピーで、書記官が作成します。<br />
「抄本」は、文書の一部のコピーで、書記官が作成します。</p>
<p><br />
もちろん、裁判官は書記官よりえらいことは間違いありません。今年なりたての判事補(特別職)の方が、地方裁判所事務局長(一般職)より序列的に見れば上です。<br />
また、書記官の勤務評定は、裁判官(特例判事補含む)と当該書記官の上司である書記官がしますから、その意味でも、裁判官の方が地位が上であることはありません。</p>
<p> 「判決偽造」「審判偽造」は書記官がした犯罪です。<br />
外部の人が見ることができ、裁判が執行される基礎となるのは、裁判書のコピーにすぎません。裁判書の原本が裁判所外に出ることはありません(記録が、例えば和歌山地方裁判所から大阪高等裁判所に移動するときなどは別です)。</p>
<p> 書記官は、悪事をしようと思えば、判決や審判の「原本」を偽造をする必要はありません。<br />
極端な話、記録など不要です。事件が実在する必要もありません。<br />
判決や審判などの「正本」を偽造すればよいのです。裁判が執行される基礎となるのは、しょせんは「正本」という名のコピーですから。偽造コピーに書記官印を押せば一丁上がりです。</p>
<p> 裁判官は重要な一部のことだけしかやらず、他は、書記官や事務官の仕事ということが理由です。<br />
なお、ニュースバリューが低いため、マスコミの扱いは大きくないですから目立ちませんが、書記官の「破廉恥犯」は、数が多いだけに、当然裁判官より多いです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
もう一つの福知山線脱線事故
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3251#block95-3251
1
<div>JR福知山線脱線事故から4年がすぎました。<br />
犠牲になった皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、身体的・心的後遺障害が残ってしまった方に心からお見舞いを申し上げます。
<p> ところで、当該事故に乗車していた車掌さん(休職中)が、JR西日本を相手取り、車掌として職場復帰することなどを求める訴訟を提起したそうです。JR西日本は駅の事務業務への配置転換を示しているようです。</p>
<p> 一時は、JR福知山線脱線事故の原因となったとして疑いをかけられていましたが(車非常ブレーキを引く義務があったということですが、車掌に非常ブレーキを引かなければならない義務もありませんし、仮に引いていても事故は回避できませんでした)、当該車掌さんは、神様でもない限り、事故防止ができないということがわかり、もとより「おとがめなし」でした。</p>
<p> 一般乗客やその家族ですらPTSDに苦しんでおられるのですが、当該車掌さんの精神心的苦しみは、想像を絶するものがあったでしょう。</p>
<p> 警察に連れて行かれ、事情聴取を受け、会社からも事情聴取を受けたうえ、解放された後も、5日間ホテルに泊まりながら事情聴取を受けさせられたようです。<br />
「不眠症・適応障害」と診断され、入院。平成19年3月に退院し、現在も通院を続けているそうです。</p>
<p> ある意味、生存して身体的損傷を受けなかった乗員・乗客の中では、一番、精神的に辛い立場にあったということが想像できます。<br />
普通に考えれば、ひどい「労災」にあったようなものです。</p>
<p> 医師が「就労可能な状態に回復している」とした診断書をJR西日本に提出しています。<br />
これに対し、JR西日本は「疾病が重大な事故に直接遭遇したことに起因しており、乗務中の悪影響が完全に払拭できたとは考えられない」「乗務員としての適性・能力に疑義がある」などとして車掌としての復職を拒否しています。</p>
<p> 「乗務中の悪影響が完全に払拭できたとは考えられない」というのは、ある意味あたっているかも知れません。ただ「乗務員としての適性・能力に疑義がある」という点については、他の、どんな車掌が乗車していても、車掌の力で事故は防げませんから、他の乗務員に比べ「乗務員としての適性・能力に疑義がある」とはいえないでしょう。</p>
<p> JR西日本は、ある意味、労災にあって苦しんでいる車掌さんに対して、車掌職で待遇するかは別として、十分な補償と、仮に事務職とするなら、十分な収入のともなうポストにつけて待遇をすべきであったように思うのですが、いかがでしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
不審な預金口座
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3250#block95-3250
1
<div>犯罪が関与している預金には、通常と異なる出入金がなされます。
<p> 私たちが持っている普通の預金は、その都度その都度入金され、公共料金やクレジットカード代金等が定期的に引き落とされる他、必要な金額のみしか出金されませんから、波のように増減が繰り返され、あまり「0」には近づきません。</p>
<p> 一般の方は、あまり見ないかも知れませんが、犯罪が関与している預金には特徴があります。</p>
<p> まず「雷型」「稲妻型」と呼ばれる預金口座です。</p>
<p> 入金されたかと思うと、すぐに、キャッシュカードでおろせない1000円未満の端数を残して、全額引き下ろされます。<br />
入金のたびに、すぐ引下ろされますから、</p>
<p>/<br />
―<br />
/<br />
―<br />
/</p>
<p> という形になります。</p>
<p> なお、預金通帳は右側欄が入金、左側が出金欄です。</p>
<p> どういう預金口座が「雷型」「稲妻型」になるかといえば、振込め詐欺、ヤミ金の口座です。いつ「口座凍結」されるかも知れませんから、入金されるや否や、すぐ引き下ろすのです。</p>
<p> また、脱税のための口座も、「雷型」「稲妻型」になるといわれています。<br />
税務署に隠すつもりの取引先からの入金のみですから、そこからの公共料金などの引落としがあるわけではないため、入金されると、程なくして全額出金されるのです。</p>
<p> 次に「逆L字形」という預金口座があります。</p>
<p> 入金が何回か続いて、1回で、キャッシュカードでおろせない1000円未満の端数を残して、全額引き下ろされます。</p>
<p> |<br />
|<br />
|<br />
|<br />
――</p>
<p>という形になります。</p>
<p> どういう預金口座が「逆L字形」となるかというと、振込め詐欺の預金口座といわれています。<br />
現在、10万円以上の振り込みには、身分証明書がいりますから、10万円ずつ何回もわたって振込ませ、あるいは、10万円ずつ何人にも振り込ませたうえで、1度に引き出しますから、「逆L字形」となります。</p>
<p> 本来は、銀行がコンピュータシステムで全ての口座を監視していれば、これらの不審な口座の検出は可能です。<br />
みずほ銀行が、比較的、監視に熱心です。<br />
他の銀行が、不審な口座に「おざなり」なのは、銀行にとって、コストだけかかり、損にも得にもならないからです。</p>
<p>これに対し、信販会社は、ほぼ例外なく、コンピュータシステムで利用内容を監視しています。<br />
これは、不審な使われ方をしたカードを発見し、それ以降の不正使用防止のため、カードを無効にするためです。</p>
<p> たとえば、普通は、公共料金やプロバイダー料金などだけが落ちたり、飲食や本などしか購入していないカードで、ブランドもののバッグや宝石・貴金属が複数回購入されているとなると、誰が見ても不自然ですよね。<br />
信販会社は、銀行と違って、不正使用のリスクを負担しますので、不正利用監視システムが充実しています。</p>
<p> 私自身、「○月○日に○○買いましたか?」「カード紛失してませんか?」という電話が入った経験があります。やはり、普段のカードの使用方法と違うときでした。</p>
<p> 結構見ているなということになると、そのカードをメインカードにしても安心と考えることができます。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判官の再任と定年
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3249#block95-3249
1
<div>裁判官の定年と再任をご存じでしょうか。
<p> 裁判所法50条には「最高裁判所の裁判官は、年齢70年、高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、簡易裁判所の裁判官は、年齢70年に達した時に退官する」となっています。</p>
<p> 原則65歳、最高裁判所と簡易裁判所というトップとボトムが70歳です。</p>
<p> 最高裁判所の裁判官は、調査官という優秀な裁判官に、必要な判例や学説などの調査を依頼し、起案を依頼することができますから、ある程度の年齢でもつとまります。<br />
ただ、激職であることは間違いないでしょう。特に、弁護士から任官した人で任官中に病死する人が結構います。</p>
<p> 簡易裁判所判事は、民事と家事のみ、例えば民事では140万円以下の事件、刑事でも法定刑が軽い事件しか扱わず、民事で訴額が低く、刑事で法定刑が軽くとも、少しでも難しい事件は、地方裁判所に移送して、自分は簡単な事件のみを多数こなせばいいわけですから、70歳でも勤まります。</p>
<p><br />
次に、再任について説明します。<br />
下級裁判所の裁判官の任期は10年であり、任期満了後に再任されることができる(憲法80条1項、裁判所法40条3項)。</p>
<p> 現在、ほとんどの裁判官が再任されています。</p>
<p> 裁判官からすれば、10年区切りが来れば、再任願いを出さずにおければ、任期満了退官になり、もっとも、円満に退官することができます。<br />
どうしても依願退官したいという裁判官を無理に慰留はできませんが、やはり、勤務を続けてほしいといわれているのに依願退官届をたたきつけるには度胸が要ります。</p>
<p> 逆に、心身の調子が悪くなって裁判官の仕事に耐えられない裁判官、採用はしてみたものの、あるいは、途中から事務処理能力がなっていないことがわかったくらいの裁判官のケースでは、裁判官の身分保障が厚いため、退官させることはできません。<br />
そこで、10年間という区切りで、再任せずに「整理」していくことが必要となります。<br />
迷惑がかかるのは、他の裁判官だけでなく、弁護士、検察官、さらには裁判の当事者になったもの全てですから、さっさと辞めてほしいところですが、自分から辞めない以上(辞めると報酬がなくなってしまいます。そんな裁判官が弁護士に転身しても、まともな収入を望むのは無理でしょう)、やむを得ないでしょう。</p>
<p><br />
なお、高速バスの車内で女性の体を触ったとして準強制わいせつ罪で起訴された裁判官がいましたが、ストーカー罪で有罪判決を受けた裁判官と違い、裁判官弾劾裁判を受けませんでした。</p>
<p> それは、平成21年4月10日で任期満了がきて、再任届けを撤回していたので、自動的に平成21年4月10日に裁判官の地位を喪失したからです。<br />
弾劾裁判で有罪判決を受けていないのですから、退職金は満額でますし、年金も、老齢基礎年金を含めて満額受け取れます。<br />
また、法曹資格も失わず、弁護士になることが理論上はできます(ただし、どこの弁護士単位会も拒絶するのは確実で、弁護士にはなれないと思います)。<br />
社会的制裁を受けていないということで刑事事件は不利ですが、被害者との示談次第で執行猶予もありえます。</p>
<p> ずいぶん違いますね。<br />
これは、議員に立候補して裁判官の地位を失おうとした裁判官と違い、憲法・法律上自動的に身分を失うわけですから、非難するにはあたりません。<br />
世の中には運のいい人がいるということです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法試験予備試験
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3248#block95-3248
1
<div>
<p> 私が受験した司法試験は、現在では「旧」司法試験と呼ばれるようになってしまいました。<br />
司法試験は、学歴、年齢、学歴、性別、国籍、経済力などの差別は一切なし、実力のあるものは合格するという公平なものでした。<br />
司法試験に合格すれば司法修習生として給料をもらえ、2年間の修習をし、2回試験に合格すれば、裁判官、検察官、弁護士になれました。<br />
「旧」司法試験の合格者の推移は以下のとおりです。<br />
法科大学院制度の導入で、平成18年度から減少しています。</p>
<p> 平成元年 523<br />
平成2年 506<br />
平成3年 616<br />
平成4年 634<br />
平成5年 759<br />
平成6年 759<br />
平成7年 753<br />
平成8年 768<br />
平成9年 763<br />
平成10年 854<br />
平成11年 1,038<br />
平成12年 1,026<br />
平成13年 1,024<br />
平成14年 1,244<br />
平成15年 1,201<br />
平成16年 1,536<br />
平成17年 1,454<br />
平成18年 542<br />
平成19年 250<br />
平成20年 141<br />
平成21年 100程度<br />
平成22年 100よりさらに減少<br />
平成23年 新規0(前年度論文合格者救済目的)</p>
<p> 平成22年度に「旧」司法試験の新規受験者がいなくなります。<br />
なお、平成23年度は、平成22年度に論文式試験に合格しながら、口述試験に合格できなかった受験者に対し、もう一度、無条件に口述試験の合格資格を与えるという旧制度の仕組みを踏襲した試験です。<br />
私が受験した年は、口述試験不合格者は、501人中のたった10名くらいだった記憶がありますが、今は不合格者が多いのでしょうか。</p>
<p> これ以降は、原則として、法科大学院卒業者のみに、「新」司法試験の合格資格が与えられます。<br />
ただ、司法試験は、学歴、年齢、学歴、性別、国籍、経済力などの差別は一切なし、実力のあるものは合格するという「旧」司法試験の趣旨を残すため、「予備試験」という制度が平成23年度から導入されます。</p>
<p> 司法試験委員会から発表された、司法試験予備試験の実施方針(案)骨子の抜粋は以下の通りです。</p>
<p>(1) 実施に当たって一般的に配慮すべき事項として、以下のとおりとされています。<br />
①法科大学院終了程度の能力を適切に判定することにより、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の理念を損ねることのないようにする必要がある<br />
②予備試験が、法科大学院に行くことができない人も法曹資格を取得する途を確保するために設けられた趣旨から、それらの人にも、公平に新司法試験の受験資格が与えられるよう配慮する必要がある<br />
③予備試験は、新司法試験を受験する資格を与える試験であることから、新司法試験との関係に留意する必要がある</p>
<p>(2) 試験科目は、短答式が憲法・行政法、民法・商法・民事訴訟法、刑法・刑事訴訟法、一般教養で、各科目10~15題程度出題されます。<br />
論文式は、短答式の科目に法律実務基礎科目が付加されます。この科目は法科大学院における法律実務基礎科目の教育目的や内容を踏まえつつ、民事訴訟実務、刑事訴訟実務及び法曹倫理に関する基礎的素養が身についているかどうかを試す出題となります。出題数は、各科目1題程度です。<br />
口述式は民事および刑事に分けて実施されます。</p>
<p> 行政法が入っているのが特徴的ですね。国家公務員上級職試験とのダブル受験者に配慮を示したものでしょうか。</p>
<p><br />
ただ、予備試験の合格者の大半が、2年間の法科大学院通学による時間の無駄、費用の無駄を考えて、能力に自信のある大学4年生により占められると思われます。<br />
そして、法曹の道を選択する人は、2年間の法科大学院組より2年早く、裁判官、検察官、弁護士になるでしょう。<br />
また、学者志望、上級職国家公務員試験志望の大学4年生が受験し、単なる「勲章」となり、合格しても司法修習生にならない人も増えるでしょう。</p>
<p> 昔は、22歳で修習生になり、2年間の修習をし、2回試験に合格すれば、24歳で裁判官、検察官、弁護士になっていたのが、22歳で修習生になり、1年間の修習をし、2回試験に合格すれば、23歳で裁判官、検察官、弁護士になれます。<br />
2年間の法科大学院通学による時間の無駄、費用の無駄を考え、優秀な学生は、早く裁判官、検察官、弁護士になりたがります。</p>
<p> 私は、以前のコラム<a target="_blank">「年齢と進路」 </a>に「24歳で裁判官になった人と、30歳で裁判官になった人との収入差は、一見、最初の6年の3000万円程度の差のように見えますが、実際は、最後の6年の1億数千万円の差が生涯賃金の差になります」と記載しています。</p>
<p><br />
予備試験の趣旨である「経済的理由など諸般の事由で、法科大学院に入学できない方でも、法曹界への道を残すという見地」というお題目は立派ですが、結局、優秀な大学4年生のショートカットを何人まで認めるかという問題になりそうです。</p>
<p> もちろん、法科大学院を出て、「新」司法試験に3回不合格となり「3振アウト」になった人が、予備試験に合格することにより「新」司法試験の受験資格をえ、「新」司法試験に合格すれば修習生になれますが、「3振アウト」の法科大学院修了者が、予備試験の段階で、優秀な大学4年生に太刀打ちできるはずはありません。</p>
司法試験合格者500名時代でも、大学4年生で20人程度は合格していました。予備試験になって、ショートカットの実力のある人は500人と仮定しても20人です。<br />
現在は、合格者2300人ですから、少なくとも50人程度は、東京大学、京都大学など4年の人が、悠々ショートカットして、「新」司法試験にほぼ全員合格するでしょう。<br />
何人が、法曹の道へ進むかどうかは別として・・・</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
最寄りの銀行
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3247#block95-3247
1
<div>例えば、差押えなどのために、ある人の銀行預金を調べようと思います。
<p> 普通の人は、どこに銀行預金口座をもっているでしょうか。</p>
<p> まず、ゆうちょ銀行だけは、口座を開いた郵便局を特定する必要はありません。全国の各貯金事務センターで十分です。<br />
しかし、銀行・信用金庫・信用組合・農協などは、金融機関名だけを特定しても差押えはできません。口座のある支店(本店営業部なども含む)を特定しなければならないのです。</p>
<p> なお、土地建物やマンションに抵当権がついている銀行・支店などに口座はあるでしょうが、ローン債務があるので、相殺で差押えは奏功しません。</p>
<p> 通常、預金口座のある銀行は、自宅付近、自宅から最寄り駅の途中、勤務先付近、通勤途中のターミナル駅から勤務先の途中といわれます。</p>
<p> 私を例にとってみます。</p>
<p> 自宅付近、自宅から最寄り駅の途中の金融機関は、但馬銀行甲陽園支店、尼崎信用金庫上ケ原支店新甲陽出張所くらいです。</p>
<p> 私が現在の自宅で生まれ育っていれば、但馬銀行甲陽園支店、尼崎信用金庫上ケ原支店新甲陽出張所、そこらあたりが「狙い目」です。<br />
</p>
<p> 勤務先付近、通勤途中のターミナル駅から勤務先の途中を例に取ってみましょう。</p>
<p> 勤務先とその近辺をみると、私の事務所の入っているビルには、池田銀行堂島営業部があります。<br />
他に、東京三菱UFJ銀行大阪中央支店、三井住友銀行大阪本店営業部、みずほ銀行堂島支店、三菱UFJ信託銀行大阪支店が付近にあります。東京に一極集中する前は、本社だった銀行もあります。<br />
市役所が近いですから、大阪のビジネス街ど真ん中ですね。</p>
<p> あと、ターミナル駅から勤務先の途中をみると、阪急梅田駅→徒歩にて事務所という通勤ルートで、阪急梅田駅から事務所までの徒歩ルートにある支店に口座がある可能性があるということになります。<br />
東京三菱UFJ銀行梅田支店、東京三菱UFJ銀行梅田新道支店、三井住友銀行梅田支店、みずほ銀行梅田支店、りそな銀行梅田支店、池田銀行梅田支店、三菱UFJ信託銀行梅田支店、住友信託銀行梅田支店、新生銀行梅田支店、東京スター銀行大阪支店、尼崎信用金庫大阪支店などがあります。</p>
<p> そこらあたりが「狙い目」です。</p>
<p> ということで、私個人に対し強制執行しようとするときは、以上の金融機関が「狙い目」ということになります。<br />
しらみつぶしにあたっていけば、通常、預金口座はあります。</p>
<p> ただ、私の場合、これだけの中に、預金口座があるのは、たった2店舗だけです。その金融機関に全く口座がないこともありますが、別の支店に口座があるというのが多いですね。<br />
これは、10回以上も引っ越ししていること、勤務先も転勤などの関係で、8ヶ所もかわっているという、私自身の特殊性によるものです。いままでの住所、いままでの勤務先付近の預金口座を、ものもちよく、そのまま使い続けています。預金の預入れ、引出しはカードでできます。そのとき、クレジットカードや公共料金や税金関係の口座引落としに利用していたりすると、変更しようにも手続きが面倒ですから。</p>
<p> もちろん、私が例外中の例外で、通常の人の場合は、これらでほとんど網羅されます。</p>
<p> 最近は、インターネット支店も多くなりました。各銀行のインターネット支店も候補となります。</p>
<p><br />
通常、そのようにして「隠し預金」をさがします。<br />
通常、弁護士会長からの「23条紹介」で、預金口座の有無を照会して、「口座なし」というところは省き、「口座あり」「回答拒否」をねらい打ちします。<br />
「回答拒否」は、通常「上得意」という可能性がありますが、個人情報保護という観点から拒否という金融機関もないではありません。<br />
<br />
なお、23照会は、1支店ごとに5300円必要ですから、むやみやたらに照会することは賢明ではありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
嘘と記憶力
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3246#block95-3246
1
<div>ピエール・コルネイユ(Pierre Corneille。17世紀フランスの劇作家)の迷言に「嘘をついた途端に、良い記憶力が必要になる」(劇「断片」より)というのがあるそうです。ピエール・コルネイユは100フラン札にえかがかれたこともある有名な劇作家です。
<p> もちろん、嘘をつくこと自体は犯罪ではありません。<br />
嘘をついて財物を騙取する(騙しとる)と詐欺罪になりますし、その他、刑法あるいは各特別法に犯罪となる嘘は限定列挙されています。</p>
<p> ある程度のお世辞も、厳密に言うと「嘘」ということになるのでしょうが、社会生活の潤滑油です。思ったとおり正直にいっていたのでは、円満な社会は成り立ちません。<br />
子供は全て「かわいい」ですし、大人は美男美女ぞろい、高齢者は全て若く見え、医師・弁護士は全て腕がいい-ということにしないと、円滑な社会が営めません。</p>
<p> 「嘘をついた途端に、良い記憶力が必要になる」というのは間違いありません。<br />
嘘は「本当の自分ではない」という理由で、記憶から消え去りやすいものです。<br />
本当のことならば何年経っても「真実」に基づいて話をしている分、思い出しやすいのですが、「嘘」となると事実とは異なるために、時間が経つとだんだん忘れてしまいます。</p>
<p> 嘘をついて、あちらこちらで違うことをいうと、嘘がばれます。<br />
ですから、嘘をつくなら、すべて同一の嘘を、つき続けないといけなくなります。<br />
記憶力がいくらあってもたりません。<br />
嘘がばれても構わないという人は別ですが・・・</p>
<p> ですから、私は基本的に、嘘をつくのは最小限度にしています。<br />
基本的に、私には、だれにどんな嘘を言ったか一々記憶しているだけの能力もありません。<br />
「他人のほめすぎ」「嘘も方便」で許されるくらいのことなら別ですが・・</p>
<p><br />
訴訟でも、「嘘」はすすめません。<br />
相手も弁護士ですから、当方の「嘘」の矛盾点をつくということくらいは簡単でしょう。<br />
もちろん、経験不足の若い弁護士さん、ある程度老齢となって処理自体が困難になっている弁護士さんなら別ですが・・</p>
<p> ただ客観的証拠のないような「言った」「言わない」程度の水掛け論なら、「言ったも知れない」「言わなかったかも知れない」程度なら、自分の有利な方に、「言った」「言わない」と断言して、その主張で首尾一貫しておくと言うことは同然です。<br />
他の証拠と矛盾しない事実に限られることは当然です。</p>
<p> 弁護士の事情聴取能力にもよるのですが、主張を「ころころ」かえるのは非常に損です。<br />
つまり、前に主張したことか、後で訂正したことか、どちらかが必ず「嘘」であるということになるからです。また、どちらが本当にせよ、記憶があいまいで頼りないとされてしまうからです。<br />
訂正が全くないというのが理想ですが、訂正は最小限度、「些末」な点に限るのが正解です。</p>
<p> また、相手弁護士の格好の「えじき」になります。<br />
裁判官の心証も非常に悪くなります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
家宅侵入泥棒の手口
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3245#block95-3245
1
<div>家宅侵入の泥棒の手口を考えてみましょう。
<p> まず「ピッキング」という手口があります。</p>
<p> ピッキング(picking)は、施錠されている鍵を「こじあける」手口です。<br />
通常、「ピック」と「テンション」という2つの道具を使って、正式な鍵が差し込まれている状態を再現する事で開錠操作を行ないます。<br />
本来は、鍵を扱う業者がオートロックのドアや、鍵が失われて開かなくなった金庫などを開ける際に用いる技術ですが(鍵を持出さずオートロックで閉め出され、お世話になった人もいるのではないでしょうか)、犯罪者の中にもこの技術に長けた者がいて、これに絡む犯罪の横行が社会問題となっています。<br />
不良外国人も問題ですが、日本人も結構やります。</p>
<p> もちろん、ピッキングをすれば、鍵が開きっぱなしになってしまうわけですから、どんな人でも、ピッキングにより人が侵入したことがわかります。<br />
もちろん、泥棒がピッキングをするのですから、室内が物色され、現金、宝石貴金属などが奪われ、これによれ住居侵入窃盗に入ったことがわかります。</p>
<p> 次に「サムターン回し」という手口があります。</p>
<p> 自宅の玄関ドアは、外出するときはドアの外から鍵(key)を使って、施錠(lock)するわけですが、帰宅して家の中から施錠するときは、鍵は使わず内鍵「サムターン」(Thumb turn)を回してカギを開け閉めします。<br />
親指でも簡単に回せますから「サムターン」(Thumb turn)と呼ばれているようです。</p>
<p> この「サムターン」を回せば施錠・開錠ができます。<br />
本来はドアの内側、家の中からする動作ですね。<br />
これに対し、「サムターン回し」という手口は、これをドアの外からする、すなわち「鍵を使わず、ピッキングでもない手口で、サムターンを回してドアを開ける」ことです。<br />
「ピッキング」のように、鍵に工具を差し込んで解錠するよりは、雑で荒っぽい荒っぽい技術でできる手口でしょう。</p>
<p> ドアに付いている郵便受け口から器具を差し込んだり、乱暴な場合はその受け口を取り外してしまい腕を差し込んで、指でサムターンを回すことでドアを開けてしまうこともあります。<br />
カギを差し込む錠前のすぐ脇あたりにドリルなどで穴を開けて、工具器具を使ってサムターンを回してしまうことでカギを開ける犯行手口があります。これが「サムターン回し」です。</p>
<p> 不良外国人が「ドアのすき間から、サムターンを回すための針金製の器具を差し込み、開錠していた」というのもありました。<br />
これでは侵入されたことにさえ気付きません。</p>
<p> 新しいドアは、自宅のドアに針金程度も入らないほどの隙間もなかったり、ドアにガードプレートを取り付けたり、ドアを開けられてしまったとしても警報で侵入を防ぐように防犯ブザーや警報装置がつけられるようになっています。</p>
<p><br />
なお、意外に多いのが、在宅中に、開いたドアから侵入されるということがあります。</p>
<p> 「ちょっと」のつもりでゴミ出しにいったり、「ちょっと」のつもりで隣家にいったり、「ちょっと」のつもりで洗濯物をほしたり、でも、泥棒も「プロ」ですから、短時間で、簡単に貴重品のありかを探り当ててしまいます。</p>
<p> 一番間違いがないのが、家に「貴重品」、特に「現金」をおかないことですね。<br />
あまり多額の現金は、自宅には必要ありません。<br />
また「森の中の小枝はさがしにくい」と言われています。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律相談時の弁護士のコンピュータ利用禁止
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3244#block95-3244
1
<div>弁護士会が、法律相談をする弁護士に「パソコン禁止令」を出しています。
<p> 事務所で、パソコンを利用しながら仕事をする弁護士さんはいます。<br />
私は法律相談の時点では、あまりパソコンを利用しません。<br />
基本的に、ノートにメモしていきます。目の前で、キーボードに向かうことはありません。</p>
<p>なお、事件の依頼を受けたときは、通常は電子メールのやりとりをしたりしますが、「画像」や「録音」は、さすがに「フラッシュメモリ」に入れてきてもらいます。</p>
<p><br />
何で、弁護士会が、法律相談をする弁護士に「パソコン禁止令」を出しているのか聞いてみました。</p>
<p> まず、パソコンで、法令や判例を検索している弁護士さんがいるそうです。<br />
そんなに、特殊な相談はあまりありませんし、特殊な法律相談なら、特殊事件を扱う弁護士さんのところに行ってくださいと回避するのが通常です。<br />
ですから、通常なら備付けの判例つき六法で足りると思うのですが、そうでもなさそうです。<br />
離婚事由、相続分・遺留分、扶養義務者の範囲・要件、時効、相隣関係、身元保証ニ関スル法律、労働基準法、とりわけ相殺禁止、免責不許可事由などの条文をさがしているようでは話になりません。<br />
地方公共団体の法律相談は、パターン化していて、こんなもんが大半です。<br />
<br />
どうも、基本的な条文が頭に入っていない、少なくとも、法律のどのあたりに条文があるのかわからないという弁護士さんが増加しているようです。<br />
昔なら、司法試験に合格していませんね。論文試験の時、六法備え付けなのですが「法律のどのあたりに条文があるのかわからない」というレベルでは合格点は取れません。<br />
確かに、パソコンで、法令や判例を検索するのは便利なのですが(特に、書面に引用するとき)、事務所内でやるべきことであって、他人様(ひとさま)の前で「披露」したのでは、「ひんしゅく」をかうのは当たり前です。</p>
<p> あと、法律相談は「上の空」、ネットサーフィンをしているという疑惑のある弁護士もいるそうです。<br />
本当かどうかわかりません。<br />
相談者にとってみれば、法令や判例を検索しているとは思わず、単なる「遊び」と思っているのかも知れません。</p>
<p> 法律相談をしている人は、結構、弁護士の表情を真剣に見ています。<br />
「電波が飛んでいる」系の相談者でも、少なくとも、真剣に相談にのっている「ふり」をして相談に応じるのも、弁護士としての技量ではないでしょうか。<br />
弁護士は「サービス業」で、裁判官や検察官のような役人ではありませから。</p>
<p> 昔は、「法律相談」への不満といえば「横柄」と相場が決まっていました。<br />
弁護士は「サービス業」であるとの意識のない人たちですね。<br />
ここに、弁護士のレベルの低下が加わってきました。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
心を病む法律家
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3243#block95-3243
1
<div>
<p> 法律家で「うつ」を病む人が増えています。</p>
<p> 基本的に、法律家(裁判官・検察官・弁護士)は、扱う仕事が「殺伐」としていて、ストレスがたまる職業です。<br />
また、法律家は、結構「完璧主義」が多く、うつ病になりやすいといわれています。<br />
完璧主義も良い方向に向かっているときはいいのですが、悪い方向に行くと頑固で融通が利かないだけになります。</p>
<p> 「うつ」かどうかの簡易診断方法をあげておきます。</p>
<p>1 心身に疲れを感じる。<br />
2 思考がまとまらない、集中できない、判断ができない。<br />
3 イライラする。<br />
4 自分がみじめに感じる、劣等感にとらわれる。<br />
5 頭が重い、体がだるい。<br />
6 目覚めが悪い、朝起きられない。あるいは、寝つきが悪い、眠れない。<br />
7 人と会いたくない。<br />
8 さびしい、不安を感じる、疎外感を感じる、違和感を感じる。<br />
9 食欲がない、食べ物がおいしく感じない。</p>
<p> 「うつ」の原因はなんでしょう。<br />
1 大切な人との死別や離別。<br />
2 人間関係の悩み。<br />
3 転職、転勤、昇進、人事異動、定年退職、リストラ、会社の倒産。<br />
4 学業や仕事の失敗、挫折。<br />
5 失恋、離婚。<br />
6 病気、過労、事故。<br />
7 急激な生活環境の変化。</p>
<p> 裁判官の自殺はよく新聞に載っています。マンションからの飛び降り、電車への飛び込みなど「はで」なものが報道されていますが、「うつ」の「裁判官」が「はで好き」ではなく、「はで」でないものは、「病死」として処理されているものもあるからです。つまり、実数は、報道されているものより多いです。<br />
弁護士は「ニュースバリュー」に乏しいのか、よほど「はで」な死に方でもしないと、報道されません。<br />
担当裁判官の「うつ」のあおりを食って延期される事件もあります。大阪地方裁判所くらいになれば、裁判官はいくらでもいるから「さっさと割りかえてほしい」と思うときがあります。ちなみに、実質的に休職状態でも、報酬は「満額」でます。昇級が遅れたり、再任されない可能性があることは当然です。<br />
地方、そのまた支部は大変でしょうね。</p>
<p> 弁護士に「うつ」が増えてきています。<br />
もちろん、たいていの弁護士は、事件数が少なくなって資金繰りが苦しくなったり、本来勝訴予定の判決で敗訴しますと「陰鬱」な気分になりますが、事件数が元に戻り、勝訴続きとなれば、いつのまにか「躁」状態になります。<br />
もちろん、病気ではありません。かなり単純な「生き物」と考えていただいて結構です。</p>
<p>そうではなく「病的うつ」が増えています。<br />
年齢を問わず、「仕事が手に着かない」と、放置している弁護士が目立つようになりました。<br />
弁護士会も、危機意識をもっていて、「市民窓口」から情報を吸い上げたり、「相談窓口」をもうけたり(病院と違い守秘義務はありません。担当者からの「密告」ありです。そうしないと、弁護士会が放置したとして訴えられかねません)、あげく、事務員にまで「内部告発」させようとするパンフレットを配布しているようです。</p>
<p>なお、大阪弁護士会は、他の組織と同様「慶弔金」制度があり、冠婚葬祭のほか、一定期間就労不能になれば、「慶弔金」がでるのでるのですが、「うつ」による「就労不能」の弁護士が増えたことも一要因となり、慶弔金の大幅カットを断行しました。</p>
<p> 依頼している弁護士が、着手金を支払っても行動を起こしてくれないときは「うつ病」の可能性があります。<br />
事務所に行ってみて、活発に電話が鳴ったり人の出入りがあれば、あなたの事件の優先順位が低い、あるいは、不要不急の事件であるだけで、あまり心配はありませんが、全体に重苦しい雰囲気のときは、弁護士の「うつ病」を疑い、着手金と記録を返還してもらい、別の弁護士さんに頼むことをお勧めします。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
代金不要の法律相談のわな
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3242#block95-3242
1
<div>弁護士会や地方公共団体は、代金不要の法律相談を実施しています。
<p> 弁護士会の代金不要の法律相談は、多重債務者、生活保護受給者、母子家庭など「定型的」に資力のない人のためのサービスです。<br />
地方公共団体の代金不要の法律相談は、住民サービスです。<br />
前者は弁護士会が、後者は地方公共団体が弁護士の日当を支払っています。</p>
<p> ところで「多重債務者に限り法律相談の代金が不要」としている法律事務所があります。</p>
<p> 過払いのありそうな依頼者は、うちの事務所でやりましょう、過払いのなさそうな依頼者は、大阪弁護士会の法律相談に行くことを勧める=放り出すところがほとんどのようです。<br />
なぜ、わかるかというと、大阪弁護士会の相談担当をしていると、そんな相談者が「結構」くるからです。<br />
なお、司法書士から大阪弁護士会の法律相談に回ってくる事件は、お金になり楽な業者のみ処理して、手数のかかる業者について「自分の手に負えないから弁護士に依頼してくれ」というパターンが多いようです。<br />
本来なら、弁護士でしか処理できない元金140万円以上の業者について「自分の手に負えない」としなければならないのですが、残念ながら、弁護士会の相談をしていて、そんな事例は経験したことがありません。</p>
<p> もちろん、弁護士の場合、ある意味、他の弁護士を敵に回していいという覚悟の法律事務所ですから、長期的に安定した顧客を獲得し、顧問を増やしなどということは考えていません。</p>
<p> 弁護士の中でも「刹那的」(今さえよければいいという考え)な人たちでしょうから、事件を依頼する弁護士費用にオンしていることになります。<br />
<br />
多重債務者は、弁護士会でも無料なのですから、二度手間を踏んだり、報酬を払いすぎる必要など全くありません。弁護士会に行った方がずっといいでしょう。<br />
予約という点からしても、大阪弁護士会の法律相談は、平日、夜間、土曜、土曜夜なんでもありです。日曜日も、弁護士会が委託している法律事務所が相談をしています。<br />
キャンセル待ちでよければ、「ふらり」といっても、平日昼なら、キャンセルが出て、相談を受けられることが多いです(ただ、保証はできません)。<br />
料金も、大阪弁護士会報酬規程というリーズナブルな金額です。<br />
それ以上の報酬契約は弁護士会の審査をとおりません。</p>
<p> おわかりですね。<br />
電車広告、電話帳広告、ホームページを含め「多重債務者に限り法律相談の代金が不要」とうたっている法律事務所に行くのは賢明ではありません。<br />
二度手間になるおそれがありますし、そうでない場合は、余分に報酬を取られるおそれがあります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法書士の車内広告
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3241#block95-3241
1
<div>最近、司法書士さんの債務整理の電車内広告をよく見かけるように思いませんか。<br />
御堂筋線など、1車両に3事務所くらい並んでいることがあります。
<p> ちなみに、 <a href="http://www.growup.co.jp/download_free/yokowaku.pdf" target="_blank">「地下鉄広告代金」 </a>をみると、司法書士事務所の大きさの広告は、地下鉄1路線ごとに年間2000万円の広告料がかかることになるようです(鶴見緑地線と今里線を除く全線が同一料金ということ自体不思議ですが・・)。<br />
御堂筋線だけに出すと年間2000万円です。<br />
御堂筋線と堺筋線に出すと年間4000万円ですね。<br />
四つ橋線にも出すと年間6000万円です。</p>
<p> ここで、考えてみてください。</p>
<p> 広告を出している司法書士事務所の広告費はどこから出ているのでしょうか。<br />
もちろん、依頼者の着手金・報酬金ですね。<br />
広告費を上乗せした着手金・報酬金が請求されます。</p>
<p> このような広告を出している司法書士事務所の着手金・報酬金が「安い」と思いますか。</p>
<p> 通常、弁護士の宣伝広告費は0です。</p>
<p> 新聞に名刺広告を出すと、新聞の規模、スペースにもよりますが、最小面積で1回数万円が相場です。<br />
NTTの電話広告料は大きさによりますが、10万円は下りません。<br />
インターネットはいくらくらいでしょう。私の場合、2年で数十万円です。</p>
<p> 通常の弁護士は、債務整理についての大阪弁護士会相談センター基準により、訴訟になれば旧大阪弁護士会報酬規程によって着手金・報酬金を受取っています。</p>
<p> もう、おわかりですね。</p>
<p> 電車に広告を出している司法書士の報酬は、弁護士(やはり電車に広告を出している希な弁護士を除きます)の報酬より間違いなく高いといっていいでしょう。<br />
通常の方の考えは、弁護士の方が司法書士より報酬が高そうだから、報酬が安そうな司法書士にするということではないでしょうか。一般的にそんなことがないのは、再三再四述べていますが(一般的にいって、逆に、司法書士さんの方が高いように思います)、電車広告などを出している司法書士さんの報酬は、莫大な広告料が、間違いなく報酬にオンされています。</p>
<p><br />
ちなみに、腕は、弁護士が司法書士より勝っていることはもちろん間違いありません。<br />
特に、サラ金・信販会社との交渉はもちろん、訴訟は弁護士のもっとも得意とする分野です。<br />
弁護士は「食うか食われるか」の訴訟をしょっちゅうしています。<br />
もともと、司法書士は、「食うか食われるか」の訴訟ではなく、「お上」である法務局への登記が本来の職務です。訴訟が得意という司法書士さんはめずらしいでしょうね。代理権があるのが簡裁のみ、140万円以下ですから。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の選び方
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3240#block95-3240
1
<div>皆さん、弁護士を選ぶとき何を考えられるでしょう。
<p>1 専門性<br />
「○○事件は専門ですか」「○○事件は得意ですか」と聞かれる相談者もあります。<br />
基本的に、弁護士は医師と違って「専門」というものはありません。せいぜい「特に多く取扱う分野」程度です。</p>
<p> 売買、賃貸(明渡し)、債権回収、交通事故など簡易な損害賠償請求、離婚・相続、個人の任意整理・個人破産程度なら、どの弁護士でも普通にできます。逆に、10年程度の経験を積んでいる弁護士なら、できない弁護士はいないでしょう。その弁護士が能力があれば上手に処理するでしょうし、そうでなければ、それなりに・・ということになります。<br />
個人破産や個人民事再生など多数かつ定型的な事件は、すべて弁護士自身がしている時間などありません(重要なポイントは弁護士が書きます)。事務処理できる処理できる事務員がいるかどうかの問題です。弁護士だけで手に負えない、微に入り細をうがった裁判所の要求に耐えうる事務員のいる法律事務所数は多くありません。</p>
<p> ただ、 <a href="https://www.nishino-law.com/column_familiar/post_364.html" target="_blank">「特殊事件」 </a>に記載されている事件は、多く取扱っているに依頼した方がよいと思います。<br />
私に、公害事件や薬害事件を依頼してもお断りするだけです。</p>
<p>2 価格<br />
平成13年4月に廃止された旧大阪弁護士会報酬規程(旧日本弁護士連合会とほぼ同一)を使っている弁護士が多いので(私もそうです)、それより高ければ「高め」、低ければ「安め」になります。なお、債務整理関係だけは、報酬規程より格段に安い、法律相談センター基準が適用されるのが通常です。<br />
ただ、価格だけにとらわれて「安物買いの銭失い」にならないよう気をつけてください。</p>
<p> 当事務所では「西野法律事務所法律規程」(旧大阪弁護士会報酬規程をダウンロードしてプリントアウトしたもの。当時、弁護士会には、そのようななサービスがありました。中には、表紙の「大阪弁護士会」の上に「○○法律事務所」と紙を貼っている弁護士さんもいます)を、会議室の机においています。私の場合、報酬金額は、基本的にいじっていません。また、報酬契約書を顧問先などの例外を除いて作成しています。</p>
<p> なお、法律事務所は弁護士着手金・報酬の見積書の求めがあれば、作成する努力があることになっています。<br />
当事務所は「ホームページに書いていますから、そのとおりですよ」と言っています。もちろん、見積書をつくるとの要請があれば作成します。</p>
<p> なお、ホームページをもっていない弁護士さんは多いでしょうし、その場合、見積書を求められたらいかがでしょうか。<br />
もっとも、弁護士が考えている常識的な時間で終わればの話で、「事件が長期化複雑化すれば、弁護士報酬は再協議する」という文言を入れているのが通常です。</p>
<p>3 経験年数<br />
一般的にいえば、経験は無いよりもある方がいいでしょう。<br />
極端に若い人、極端に歳をとった人は、通常敬遠されるのが普通かと思います。</p>
<p> まあ、弁護士10年も経験していれば普通の事件は十分ですし、裁判官の定年である65歳程度なら、まだ大丈夫でしょう。ただ、個人差がありますから、気をつけてください。<br />
経験年数が何年たっても「それなり」な人は「それなり」ですし、意外に早く「老け込む」人もいます。</p>
<p>4 親しみやすさ<br />
最近は少なくなりましたが、依頼者の話を十分聞かず、「黙って俺についこい」「私に、まかしときなさい」タイプは敬遠されるのが賢明です。</p>
<p> 自分の話を十分聞いてくれる、親しみやすい弁護士がよいと思います。</p>
<p> なお、弁護士も、 <a href="https://www.nishino-law.com/column_familiar/post_147.html" target="_blank">「インフォームドコンセント」 </a>の実施、 <a href="https://www.nishino-law.com/column_familiar/post_161.html" target="_blank">「セカンドオピニオン」 </a>への十分な理解など、顧客=依頼者重視が必須となっています。これらを避けようとする弁護士は敬遠すべきでしょう。</p>
<p><br />
4 大事務所か小事務所か<br />
大規模倒産など、大規模事務所でなければ無理でしょう。<br />
大事務所に事件を依頼すると、数名もの弁護士名が連記された書類が作成されますが、現実に仕事をしている人は1人、せいぜい2人です。<br />
あと、大事務所の場合、大先生に頼もうとした「つもり」が、若い先生に「丸投げ」という事があります。<br />
自分の依頼する事件が、勝訴すれば法律事務所に大きな利益をもたらす事件か、そうでないか考えれば、通常、「大先生が自らしてくれるか」「若い先生に丸投げになるか」どちらになるか、おおよそわかります。<br />
依頼者が考えている「大きな事件」と、弁護士が考えている「大きな事件」は異なることにご注意下さい。えてして、依頼者には、自分の事件を過大視される方もおられます。</p>
<p> 逆に、小さな事務所は、ときたま、処理能力がパンクして、新件受任を断られたり、自分の事件の処理順位が後回しになるという欠点があります。もちろん、パンクしない事務所もあるでしょうが、逆に、そんなヒマな事務所は、逆に避けた方が賢明かと思います。</p>
<p>5 事務所の場所<br />
地方の事務所であるか都市部の事務所かによって、弁護士の能力や事件処理の内容が決まるものではありません。ただ、過疎化対策としての公益的な法律事務所は、弁護士となって間のない若い先生が多いことは間違いありません。</p>
<p> 事務所の場所が問題となるのは、あなたの住所や勤務先との距離です。<br />
事件処理のためには、弁護士と依頼者が何度も打合わせを行うことが必要になります。<br />
事務所所在地が、あなたの「住所」や「勤務先」とあまり離れていると、打合わせが困難になり、事件の進行に支障となります。打合わせに支障のない範囲の近隣にある事務所を選ぶべきでしょう。<br />
私が弁護士ではないと仮定し、弁護士に依頼するとすると、兵庫県弁護士会ではなく大阪弁護士会の弁護士に依頼すると思います。</p>
<p>6 学歴<br />
弁護士は、司法試験を合格しているのですから(平成16年ころ以降に弁護士になられた方は、格段に合格しやすくなった司法試験に合格したにすぎない場合もあります)、いわゆる「一流大学」をでているのかそうでないかは、医師の場合ほど気にすることはありません。ただ、考慮しないというのも冒険ですね。</p>
<p> なお、弁護士の学歴は、普通の人にはわからないでしょう。<br />
あまり、はっきりさせておられる弁護士さんの方が少ないのが実情です。<br />
東大、京大、阪大クラスなら、聞かれれば答えない理由はありません。また、依頼して「間違い」は少ないと思います。<br />
私が弁護士ではないと仮定し、弁護士に依頼するとすると、東大、京大、阪大卒の弁護士に依頼すると想います。<br />
<br />
注意する点は、国立大学出身者と、私立大学出身者とでは、理系のセンスが異なることが多いです。私立大学の法学部には、受験科目に数学と理科がないことがありますから。<br />
案外、訴訟事件には、理系センスが必要な事件は多いものです。「ベクトル」「微積分」(交通事故など)、その他「集合」「確率」などは結構必要となります。また、事件の判断について「要件事実」が重要な要素となるのですが、「数学的思考」能力に優れていた方が、かなり有利です。</p>
<p>7 外国語<br />
外国との取引についての交渉などは「渉外弁護士」といわれる、外国の法曹資格を取っておられる弁護士さんに頼むべきでしょう。<br />
そうでなくても、商社、外国との取引をしているメーカーなど、商業取引関係で英文が出てくる事件なら、少なくとも英文が読める弁護士に頼んだ方が楽です。打合わせの時、いちいち「翻訳文」の用意をしないと、弁護士が「ちんぷんかんぷん」という場合は、急な打ち合わせは「かったるい」でしょう。<br />
一般社会と同様で、若い人ほど、英語ができます。私の経験年数では、できる弁護士の方が例外です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
造反に対処する方法
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3239#block95-3239
1
<div>衆院は現在、議長と欠員の1議席を除いて478議席あり、与党である自民・公明両党は計334議席を占め、衆院での再可決に必要な「3分の2以上」のラインを超えています。野党は145議席ということになります。
<p> 計算上は、与党(自民党・公明党)以外の議員が全員出席して反対し、与党からも16人以上の反対が出れば(造反すれば)、賛成318人以下となり、与党は3分の2で再可決できません。</p>
<p> 造反しそうな議員は、欠席させればいいという考えは無理でしょうか。</p>
<p> 憲法59条には、以下のとおり定められています。<br />
「1 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。<br />
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」<br />
出席しなければ、ノーカウントです。</p>
<p> 478人出席者があると仮定するので、319票が必要になるのであり、例えば、造反の可能性のある議員16名を欠席させれば、出席者は462人、必要な3分の2は308人となります。</p>
<p> 与党議員334人のうち、顕在的・潜在的不満分子16名を排除すれば、出席与党議員数は308名、全員賛成すれば、ぎりぎりではありますが、3分の2の要件は満たします。</p>
<p> 顕在的・潜在的不満分子と考えられるのは、現時点で、総選挙において、与党の小選挙区の公認をもらえず、かつ、比例代表でも順位が低いなど落選の可能性の高い議員です。次の選挙に出ずに引退する議員も同じです。<br />
与党の小選挙区の公認候補となっている人は、賛成しなければ、総選挙での公認取消もあり、「刺客」が送られる可能性がありますし、また、比例代表上位予定の議員は、順位を下げられたらたまったものではありませんから賛成するでしょう。</p>
<p> 非現実と考えられるかも知れませんが、ドイツの連邦議会などで、造反が予想され、出席議員の過半数ではなく、総議員数の絶対過半数(absolute Mehrheit)を要する決議の場合、極端な話、連邦宰相(Bundeskanzler(in))ほか閣僚、政党幹部だけ出席(連邦宰相、閣僚不在では、採決の前提となる討論ができません)させ、残りの与党議員を党議拘束で欠席させるということがあります。</p>
<p> なまじ出席されて、反対票を投じられてはかないません。野党票だけでは、総議員数の過半数に満たないのですから、最初から欠席させればよいのです。<br />
賛成票よりも反対票が圧倒的な多数となりますが、議決はされません。<br />
多数派は、1票でも多ければ多数派、その差は結果に影響しないというのが民主主義の基本です。</p>
<p>日本では、そんなことをやりませんね。<br />
ですから「造反」により否決ということが起きるのです。<br />
もっとも、「造反」を考えている議員が、党議拘束に従って、おとなしく欠席するかどうかは疑問ですが・・</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
住民票の抹消
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3238#block95-3238
1
<div>
<h3> </h3>
<p> <a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S42/S42HO081.html" target="_blank">「住民基本台帳法」 </a>という法律があります。</p>
<p> 住民基本台帳法8条には以下のとおり定められています。<br />
「 住民票の記載、消除又は記載の修正(中略)この法律の規定による届出に基づき、又は職権で行うものとする」</p>
<p> 通常は、住民票は、転入・転出届に基づき記載されています。<br />
戸籍と違い、住民票記載の住所は、(少なくとも建前上は)選挙名簿作成など真実と合致していなければなりませんから、届出だけでなく、職権による抹消もありえます。<br />
なお、私が、西宮市に転入届を出したときに、住所地を管轄する西宮市役所の市民サービスセンター職員が「本当にこの住居表示のところに家屋があるのか」「他の人は居住していないのか」コンピュータでチェックしていました。<br />
「新築ですね」と職員から言われたのを記憶しています。ある意味、そこまで監視されていると気味が悪かった記憶があります。<br />
これは、地方公共団体によって異なり、機械的に受付ける市区町村もあるそうです。</p>
<p> これに対し、職権抹消されれる場合としては、以下のケースが多いようです。<br />
1 家族等からの申出により消除<br />
2 実態調査により消除<br />
3 転出届はしたけれど転入届をしていないため消除</p>
<p> 統計があるわけではありませんが、3の「転出届はしたけれど転入届をしていないため消除」が数としては最も多いと思われます。<br />
前の住所地から転出届を出し、新しい住所への転入届けを提出し忘れた場合、「出てるけど入っていない」ということで、前の住所の住民票は「職権抹消」となります。</p>
<p> 2は、大阪市西成区のあいりん地区で「2000人以上の日雇い労働者らが居住実態のない住所地に住民登録している」として、まとめて住民登録が「職権削除」されたことで有名です。</p>
<p> あと、1の家族からの申出による削除は、例えば子供が借金をつくって、住民票をそのままにして逃げている場合、なまじ住民票があるから債権者が来るという理由で「調査の上」「職権抹消」となります。<br />
もっとも、本来は、警察に「捜索願」を提出しておけば債権者は来ませんから、他に、理由があるのかも知れません。</p>
<p> 離婚調停、離婚訴訟などで、相手方の住所が「住民票の住所」と異なっている場合があります。<br />
DVなどの場合、本当の住所を住民票に出すと、配偶者が、包丁をもって追いかけてくる恐れがある、包丁を持ってこないまでも、押掛けたり、つきまとったり、近隣の人たちに悪口を言いまくって住めないようにするという「異常性格者」はいるものです。</p>
<p> 普通、弁護士は、当然のこととして、住民票の住所で調停の申立てをしたり、訴訟を提起します。<br />
お互い様ですから「どこに居住しているのか」は聞きませんし、調べません。<br />
場外乱闘をされてはかないませんから。</p>
<p><br />
一方当事者が、他方依頼者の住所に住んでいないとして地方公共団体に届出て、職権抹消をさせた例もありえます。本当の住所に移さざるをえないだろうという読みですね。<br />
でも、職権抹消されたからといって、本当の住所に移転する馬鹿はいません。実家など差障りのないところに移転します。本当の住所を知られたら何をされるかわかりません。</p>
<p> 「職権抹消」されても、住民票は簡単に移せます。<br />
「転出届はしたけれど転入届をしていないため消除」と同じで、住民登録はできます。<br />
ただ、前住所欄が「不明」となっているだけですね。<br />
痛くもかゆくもありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
事件番号
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3237#block95-3237
1
<div>裁判所の事件は、裁判所名(裁判所名+支部名)、元号、事件記録符号、番号で特定されます。あわせて「事件番号」といいます。
<p> 例えば、大阪地方裁判所の平成21年の民事通常事件であれば、大阪地方裁判所平成21年(ワ)第1234号、大阪家庭裁判所堺支部の平成21年の家事調停通常事件であれば、大阪家庭裁判所堺支部平成21年(家イ)第1234号となります。</p>
<p> このうち、事件記録符号は、一般の方になじみが薄いと思います。<br />
民事事件は「カタカナ」が「いろは」順につきます。漢字まじりの番号もあります。<br />
行政事件は、民事事件に準じて「行」「カタカナ」が「あいうえお」順につきます。<br />
家事事件は、「家」「カタカナ」(家事事件)、「少」「カタカナ」(少年事件)が、「いろは」順につきます。<br />
刑事事件は、「ひらがな」が「いろは」順につきます。</p>
<p> その他、没収の裁判の取消事件、法廷等の秩序維持に関する法律違反事件、裁判官の分限事件の事件記録符号がありますが、省略します。</p>
<p> 裁判所の事件は、以上ですべて特定され、同じ事件番号のついた別の事件は、この世に2つと存在しないことになります。漢字だけの事件記録記号がありますし、地名も日本と同じものがある可能性がありますから、中国や台湾に、同一事件番号の事件があるのではないかと思われる方があるかも知れませんが、元号は日本独自のものですから、日本に2つと存在しなければ、この世に2つと存在しないこととなります。</p>
<p><br />
一般の方にはわかりにくいかも知れません。病院・診療所などから来る書類に記載されている記録番号には(ワ)が(7)になっていたりします。個人から来る書類に記載されている記録番号には(フ)が(7)になっていたりします。</p>
<p> ちなみに、京都家庭裁判所の元書記官が偽造した裁判書には、裁判所名(京都地方裁判所、京都家庭裁判所)、元号、事件記録符号、番号がちゃんとついていたのでしょう。<br />
ダブらないように、ありえない架空の大きな番号をつけたのでしょうか。それなら、いずれ「ばれる」可能性が強いと思います。京都家庭裁判所の規模の裁判所の事件番号が、おおよそ何番までということは、わかるでしょう。<br />
ダブって、実在の番号をつけたのでしょうか。それでも、いずれ「ばれる」可能性が強いと思います。複数あるはずのない事件番号は、絶対2つありません。</p>
<p> どちらにしても、いずれ「ばれる」運命にあったのでしょうが、どこが「発見」したのか、どのようにして「発見」したのか、興味のあるところではあります。</p>
<p><br />
以下、記録番号を掲載します。法律の改正により、改正されるものであり(離婚等の人事事件は、かつて地方裁判所において審理されていて(タ)がついていましたが、家庭裁判所において審理されるようになってから(家ホ)がつくようになりました)、正確を期したつもりですが、誤記があったり、改正されていたりした場合はご容赦下さい。<br />
なお、今まで私には縁がなく、これからも私には縁がないであろう少年事件は省いています。</p>
<p><br />
(簡易裁判所民事 )<br />
和解事件 イ<br />
督促事件 ロ<br />
通常訴訟事件 ハ<br />
手形訴訟事件及び小切手訴訟事件 手ハ<br />
少額訴訟事件 少コ<br />
少額訴訟判決に対する異議申立て事件 少エ<br />
控訴提起事件 ハレ<br />
飛躍上告提起事件 ハツ<br />
少額異議判決に対する特別上告提起事件 少テ<br />
再審事件 ニ<br />
公示催告事件 ヘ<br />
保全命令事件 ト<br />
抗告提起事件 ハソ<br />
借地非訟事件 借<br />
民事一般調停事件 ノ<br />
宅地建物調停事件 ユ<br />
農事調停事件 セ<br />
商事調停事件 メ<br />
鉱害調停事件 ス<br />
交通調停事件 交<br />
公害等調停事件 公<br />
特定調停事件 特ノ<br />
少額債権執行事件 少ル<br />
過料事件 ア<br />
共助事件 キ<br />
民事雑事件 サ</p>
<p>(地方裁判所民事事件)<br />
通常訴訟事件 ワ<br />
手形訴訟事件及び小切手訴訟事件 手ワ<br />
控訴提起事件 ワネ<br />
飛躍上告提起事件 ワオ<br />
飛躍上告受理申立て事件 ワ受<br />
再審事件 カ<br />
保全命令事件 ヨ<br />
控訴事件 レ<br />
上告提起事件 レツ<br />
抗告事件 ソ<br />
抗告提起事件 ソラ<br />
民事非訟事件 チ<br />
商事非訟事件 ヒ<br />
借地非訟事件 借チ<br />
罹災都市借地借家臨時処理事件及び接収不動産に関する借地借家臨時処理事件 シ<br />
民事一般調停事件 ノ<br />
宅地建物調停事件 ユ<br />
農事調停事件 セ<br />
商事調停事件 メ<br />
鉱害調停事件 ス<br />
交通調停事件 交<br />
公害等調停事件 公<br />
特定調停事件 特ノ<br />
事情届に基づいて執行裁判所が実施する配当等手続事件 リ<br />
不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械に対する強制執行事件 ヌ<br />
債権及びその他の財産権に対する強制執行事件 ル<br />
不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械を目的とする担保権の実行としての競売等事件 ケ<br />
債権及びその他の財産権を目的とする担保権の実行及び行使事件 ナ<br />
財産開示事件 財チ<br />
執行雑事件 ヲ<br />
企業担保権実行事件 企<br />
破産事件 フ<br />
再生事件 再<br />
小規模個人再生事件 再イ<br />
給与所得者等再生事件 再ロ<br />
会社更生事件 ミ<br />
承認援助事件 承<br />
船舶所有者等責任制限事件 船<br />
油濁損害賠償責任制限事件 油<br />
過料事件 ホ<br />
共助事件 エ<br />
仲裁関係事件 仲<br />
民事雑事件 モ<br />
人身保護事件 人<br />
人身保護雑事件 人モ<br />
財産開示事件 財チ<br />
(高等裁判所民事事件 )<br />
通常訴訟事件 ワ<br />
控訴事件 ネ<br />
上告提起事件 ネオ<br />
上告受理申立て事件 ネ受<br />
抗告事件 ラ<br />
特別抗告提起事件 ラク<br />
許可抗告申立て事件 ラ許<br />
再審事件 ム<br />
上告事件 ツ<br />
特別上告提起事件 ツテ<br />
民事一般調停事件 ノ<br />
宅地建物調停事件 ユ<br />
農事調停事件 セ<br />
商事調停事件 メ<br />
鉱害調停事件 ス<br />
交通調停事件 交<br />
公害等調停事件 公<br />
民事雑事件 ウ<br />
人身保護事件 人ナ<br />
人身保護雑事件 人ウ</p>
<p>(最高裁判所民事事件)<br />
上告事件 オ<br />
上告受理事件 受<br />
特別上告事件 テ<br />
特別抗告事件 ク<br />
許可抗告事件 許<br />
再審事件 ヤ<br />
民事雑事件 マ</p>
<p>行政事件<br />
(簡易裁判所行政事件)<br />
共助事件 行ア<br />
雑事件 行イ</p>
<p>(地方裁判所行政事件)<br />
訴訟事件 行ウ<br />
飛躍上告受理事件及び上告受理事件 行エ<br />
再審事件 行オ<br />
抗告受理事件 行カ<br />
共助事件 行キ<br />
雑事件 行ク</p>
<p>(高等裁判所行政事件)<br />
訴訟事件 行ケ<br />
控訴事件 行コ<br />
上告受理事件 行サ<br />
特別上告受理事件 行シ<br />
抗告事件 行ス<br />
抗告受理事件 行セ<br />
再審事件 行ソ<br />
雑事件 行タ</p>
<p>(最高裁判所行政事件)<br />
訴訟事件 行チ<br />
上告事件 行ツ<br />
特別上告事件 行テ<br />
抗告事件 行ト<br />
再審事件 行ナ<br />
雑事件 行ニ</p>
<p><br />
家事事件<br />
(家庭裁判所)<br />
家事審判事件 家<br />
家事調停事件 家イ<br />
人事訴訟事件 家ホ<br />
通常訴訟事件 家ヘ<br />
家事抗告提起等事件 家ニ<br />
民事控訴提起等事件 家ト<br />
民事再審事件 家チ<br />
保全命令事件 家リ<br />
家事共助事件 家ハ<br />
家事雑事件 家ロ<br />
少年保護事件 少<br />
準少年保護事件 少ハ<br />
成人刑事事件 少イ<br />
少年審判等共助事件 少ニ<br />
少年審判雑事件 少ロ<br />
成人刑事雑事件 少ホ</p>
<p>(簡易裁判所刑事事件)<br />
略式事件 い<br />
公判請求事件 ろ<br />
証人尋問請求事件 は<br />
証拠保全請求事件 に<br />
再審請求事件 ほ<br />
共助事件 へ<br />
刑事補償請求事件 と<br />
訴訟費用免除申立て事件 ち<br />
交通事件即決裁判手続請求事件 り<br />
費用補償請求事件 ぬ<br />
雑事件 る<br />
(地方裁判所刑事事件)<br />
公判請求事件 わ<br />
証人尋問請求事件 か<br />
証拠保全請求事件 よ<br />
再審請求事件 た<br />
共助事件 れ<br />
刑事補償請求事件 そ<br />
起訴強制事件 つ<br />
訴訟費用免除申立て事件 ね<br />
費用補償請求事件 な<br />
雑事件 む</p>
<p>(高等裁判所刑事事件)<br />
控訴事件 う<br />
第一審事件 の<br />
再審請求事件 お<br />
抗告事件 く<br />
抗告受理申立て事件 ら<br />
費用補償請求事件 や<br />
刑事補償請求事件 ま<br />
決定に対する異議申立て事件 け<br />
訴訟費用免除申立て事件 ふ<br />
雑事件 て</p>
<p>(最高裁判所刑事事件)<br />
上告事件 あ<br />
非常上告事件 さ<br />
再審請求事件 き<br />
上告受理申立て事件 ゆ<br />
移送許可申立て事件 め<br />
判決訂正申立て事件 み<br />
特別抗告事件 し<br />
費用補償請求事件 ひ<br />
刑事補償請求事件 も<br />
訴訟費用免除申立て事件 せ<br />
雑事件 す</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
ダフ屋
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3236#block95-3236
1
<div>
<p> 「ダフ屋逮捕」という見出しを目にすることがあります。</p>
<p> ダフ屋とは、鉄道の乗車券・指定券、コンサート、スポーツの試合など観覧娯楽のチケットを転売目的で購入して販売する者のことをいいます。</p>
<p> 逮捕される以上は、刑事罰の根拠となる法令があるはずですが、通常、都道府県の迷惑防止条例が根拠となっています。</p>
<p> <a href="http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/ak20110671.html" target="_blank">「大阪府迷惑防止条例」 </a>をご覧下さい。</p>
<p>「(乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為)の禁止)<br />
第2条<br />
1項 何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他公共の運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、次に掲げる行為をしてはならない。<br />
一 乗車券等を、公衆に発売する場所において、買い、又は公衆の列に加わって買おうとすること。<br />
二 前号に掲げるもののほか、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、埠ふ頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又は人を勧誘して買おうとすること。<br />
2項 何人も、転売する目的で得た乗車券等を、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に、売り、又は人を勧誘して売ろうとしてはならない。</p>
<p>第18条 次の各号の一に該当する者は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。<br />
一 第三条の規定に違反した者 」となっています。</p>
<p> 昔は、日本にも、鉄道の乗車券・指定券の「ダフ屋」がいたのですね。</p>
<p> 私は、一昨年(平成20年)のゴールデンウィークに中国旅行をしましたが、杭州駅から北京南駅への超特急列車(子弾頭・新幹線「はやて」のライセンス生産)の乗車・指定券売場で、中年女性のダフ屋に、日本語で「買わないか」と誘われたことがあります。<br />
乗車・指定券は、杭州駅到着時に購入していたので断りました。</p>
<p> 日本で、鉄道の乗車券・指定券の「ダフ屋」などいないだろうと思っていたら、夜行快速列車「ムーンライトながら」の座席指定券をインターネットネットオークションで転売したとして、会社員が逮捕されました。</p>
<p> 「ムーンライトながら」は青春18切符でも乗れる東京・大垣間の列車で、その指定券は、「知る人ぞ知る」プラチナチケットです。</p>
<p> 「つきまとうなどの迷惑をかけていないのになぜ逮捕」と疑問については、条例1項一号に「転売目的」で「公衆の場所」にて「購入すること」が処罰の対象となるからです。<br />
インターネットネットオークションで売却したことが処罰の対象となるわけではありません。</p>
<p> 野球場やコンサートでは「券あるよ、券あるよ」と声をかけてくる人がいますね。<br />
私自身、高校野球をみに甲子園球場へ行ったことがある以外(無料です)、入場券なしに野球場やコンサートに行ったことがありません。<br />
よほど「きょろきょろとして」「物欲しそうに」見えたのでしょうか。</p>
<p> ちなみに、去年取壊されたヤンキースタジアムには数回行っているのですが、チケットオフィスの列のあたりで「Tickets?Tickets?」と声を出しているダフ屋がいます。<br />
日本人とみると声をかけてくるようです。</p>
<p> 入手しているチケットが「外野2階席」だったとき、興味本位で、値段を聞いたのですが、内外野中間あたりの1階席で、本来の売価の約2倍でした。<br />
案外「良心的だな」「買おうかな」と思いましたが、結局「自分の持っているチケットをどうするか」「これを売るとダフ屋になるかな」と考えて止めにしました。</p>
<p> 日本ならともかく、アメリカのニューヨーク州の法律や条令を知っているはずもなく「君子危うきに近寄らず」ということです。</p>
ダフ屋は、洋の東西、老若男女を問わないようです。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
大阪弁護士会会員の出身大学
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3235#block95-3235
1
<div>あなたが、大阪弁護士会所属の弁護士のうち、あなたの出身の大学の弁護士さんに依頼しようと思ったとします。
<p> まず <a href="http://www.osakaben.or.jp/web/lawyersearch/index.php?" target="_blank">「大阪弁護士会弁護士検索」 </a>を開いてください。</p>
<p> 次に「同意する」をクリックします。<br />
次に「重点取扱分野検索に」をクリックします。<br />
一番下までスクロールさせ、キーワード検索欄に、あなたの出身大学を入力して「検索する」をクリックします。<br />
一覧表示をクリックすれば、あなたの出身大学卒業生がでます。ただ、大学院に進学している弁護士さんは、卒業大学ではなく、卒業大学院が出ます。</p>
<p> 平成21年2月15日現在で、大阪弁護士会の会員数は3422人登録されています。<br />
うち、詳細登録をしているのは、わずか602名です。<br />
そのうち、大学名掲示をしているのは362名(キーワード検索で「大学」と入力します。キーワード検索をすれば「交通事故」とか「離婚」とか「慰謝料」とか、あるいは、職歴をみるため「裁判官」とか、キーワードに該当する文字列があれば、ヒットします)となります。<br />
その内訳は以下のとおりになります。</p>
<p>東京大学 31名<br />
京都大学 115名<br />
大阪大学 55名<br />
北海道大学 3名<br />
東北大学 3名<br />
名古屋大学 0名<br />
九州大学 1名<br />
一橋大学 4名<br />
神戸大学 26名<br />
大阪市立大学 26名<br />
国公立大学合計 264名</p>
<p>早稲田大学 17名<br />
慶応大学 1名<br />
中央大学 16名<br />
明治大学 3名<br />
関西大学 26名<br />
関西学院大学 8名<br />
同志社大学 19名<br />
立命館大学 8名<br />
私立大学合計 98名</p>
<p> 以上の大学名のソート順は不同です。<br />
また、その他の大学が1名いるようですと書いたのですが「慶應義塾大学」という方がおられました。<br />
なお、出身大学だけではなく、どこかの大学や法科大学院の教師をしていれば、その肩書きを記載している可能性がありますので、「その他」の人数がいるのかも知れません。</p>
<p><br />
詳細登録をしている602名については、出身大学を記入・入力する欄はあるのですが、わざと大学名を入れておられない弁護士さんが239名おられます。<br />
なお、弁護士会の会員検索には、出身大学名だけではなく、いろいろな記載欄があるのですが、弁護士が入力を省略すると、あたかも「入力欄が最初からなかった」かのように、体裁を整えて表示されるしかけになっています。「出身大学」「省略」というふうには表示されません。</p>
<p><br />
ちなみに、出身大学を表示している方のうちでは、圧倒的に、京都大学の方が多いですね。詳細登録をしている601名のうち約20%です。<br />
もちろん、大阪弁護士会会員の20%が、京都大学出身者というわけではありません。<br />
一般に「集客」という観点から、出身大学に自信のある京都大学出身の弁護士さんが、大学名を省略せず記載されていると考えられます。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
東京地方裁判所八王子支部立川に移転
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3234#block95-3234
1
<div>東京地方裁判所八王子支部が廃止になり、かわって、東京地方裁判所立川支部になることになりました。
<p> 最高裁判所のホームページの <a href="http://www.courts.go.jp/tokyo/about/osirase/09_04_20_chikasai_iten.html" target="_blank">「東京地方・家庭裁判所八王子支部等の移転のお知らせ」 </a></p>
<p> 私は、司法修習を東京でしました。<br />
弁護修習でお世話になった先生の事務所は、東京中央区銀座1丁目にあったのですが、八王子支部の事件もありました。</p>
<p> 八王子支部は、事務所のある銀座1丁目から行っても、下宿していた本郷から行っても、駅から駅まで1時間強、八王子駅から結構遠いし・・。<br />
おまけに中央線は、ダイアがめちゃくちゃ<br />
正直いって、1番行きたくない裁判所の一つでした。</p>
<p> 大阪の弁護士会会員が八王子支部に行くには、東京の弁護士さんが、大阪地方裁判所ではなく、和歌山地方裁判所に来るのと同様の覚悟が要ります。<br />
和歌山地方裁判所なら、すぐそばの関空を使えば、かなり時間を短縮できますが、八王子近辺に民間の空港はありません。</p>
<p>まあ、立川にかわって便利になるのではないでしょうか。</p>
<p> 弁護士さんの大移動も激しいでしょうね。<br />
普通、法律事務所は、地方裁判所(家庭裁判所が併設されている小さい裁判所もあります)の近辺にあります。<br />
基本的に地方裁判所民事訴訟や破産が主体の事務所が多く、結構、地方裁判所に、弁護士が出頭したり、事務員が毎日のように裁判所に届けたり、受取ったりしなければならないことが多いからです。弁護士会も、基本的に、地方裁判所のそばにあります。<br />
例外は、東京でしょうか。<br />
裁判所は官庁街のど真ん中、民間のビルはありません。</p>
<p> まあ、八王子のビルは閑古鳥がなき、立川のビルは特需で儲けるでしょう。<br />
後、引越し業者、内装業者、OA機器メーカなども・・<br />
もっとも、八王子に事務所のある弁護士さんは、たった77名、和歌山弁護士会の和歌山市に事務所のある87名より少なく、大阪弁護士会の大阪市内に事務所がある3253人の比ではありません。</p>
<p> 大阪も、検察庁が、北区西天満から福島区に移転した時に、裁判所も移転するのではとの噂が飛交ったものです。<br />
幸い杞憂に終わりましたが・・</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
事件数
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3233#block95-3233
1
<div>最高裁判所の司法統計に、<a href="http://www.courts.go.jp/sihotokei/graph/pdf/B19No1-1.pdf" target="_blank">「一審事件数」</a>という一覧表があります。
<p> 全新受事件の最近5年間の推移(全裁判所)<br />
平成15年<br />
民事事件 352万0500<br />
家事事件 68万3716<br />
平成16年<br />
民事事件 317万3083<br />
家事事件 69万9553<br />
平成17年<br />
民事事件 271万2896<br />
家事事件 71万7769<br />
平成18年<br />
民事事件 262万1139<br />
家事事件 74万2661<br />
平成19年<br />
民事事件 225万5537<br />
家事事件 75万1499</p>
<p>平成16年4月からは、離婚・離縁の訴訟事件が、家庭裁判所から地方裁判所に移管されましたので、「民事事件」から「家事事件」になっています。</p>
<p> 弁護士数の変化は以下のとおりです。<br />
平成15年 2万0263<br />
平成16年 2万1185<br />
平成17年 2万2021<br />
平成18年 2万3189<br />
平成19年 2万5062</p>
<p>民事事件は明らかな減少傾向、家事事件は多少の増加傾向にあります。<br />
民事事件は、本人訴訟(特に金融業者の訴訟)が多く、家事は本人の調停が多いので、直接、弁護士の関与している数には結びつきません。</p>
<p> 弁護士数が増えても、事件数は増えるどころか減少傾向にあることがおわかりになると思います。<br />
つまり、ざっくりいうと、弁護士一人あたりの事件数は、事件数は年々減ってきています。</p>
<p>弁護士数が増えると、国民が訴訟が提起しやすくなって訴訟が増えるというのは誤りということが統計的に明らかですね。</p>
<p> 明らかに、弁護士一人あたりの事件数は、減っています。<br />
また、今、地方裁判所の法廷に行くと、サラ金相手の過払金返還請求事件が増えています。訴訟をしないとテーブルにつかない業者が多いためで、審理など全くなく、訴訟外の示談で終了する事件が大半です。地方裁判所の「通常の」民事の事件数は、統計よりずっと少ないとみていいでしょう。サラ金相手の過払金返還請求事件は、いずれ、あと少しで枯渇します。</p>
<p> 事件数が少なくなったという弁護士さんがおられます。若手だけではなく、ベテラン、中堅を問いません。</p>
<p> また、事件数が少なくならなくても、若い弁護士さん、特に、「軒弁」「即弁」といわれる、「イソ弁」になれなかった弁護士さんはダンピングせざるを得ませんから、多数の弁護士が、ダンピング競争につきあわされ、事件あたりの単価は安くなる傾向になるでしょう。</p>
<p> 事件数は少なくなり、単価は下がり、弁護士が<a href="https://www.nishino-law.com/note/post_543.html" target="_blank">「ゆでがえる」</a>となるのも、時間の問題かも知れません。</p>
<p><br />
(平成20年12月29日追記)</p>
<p> 平成19年度の一審事件数は225万5537件でした。<br />
平成20年度の一審事件数は、前年比20.3%の伸びだったそうです(法曹時報60巻11号249頁)<br />
約270万件、長期低迷に歯止めがかかり、平成17年度の水準に戻したことになります。<br />
問題は、弁護士が関与している事件数です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
「軒弁」「即独」
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3232#block95-3232
1
<div>私は、ホームページ公開(平成19年6月1日)の際の、雑記帳の最初のコラムとして「弁護士大増員時代」というタイトルで以下の文章を書いています。
<p>「 まず、弁護士は『資格を得たからすぐ開業』というわけではなく、他の弁護士に雇ってもらう『イソ弁』(居候弁護士)になるのが普通でした。<br />
給料をもらい、事務所の仕事をしながら、自分の顧客も開拓し、数年後に、独立、あるいは、共同経営者(パートナー)となるというプロセスを経て一人前になっていたのです。<br />
ところが、弁護士がふえすぎたため、平成19年には『イソ弁』になれない、つまり就職ができない人が400人程度でて、いきなり独立せざるをえない、あるいは、給料をもらわず、他の弁護士の軒先(机)を借りるだけの『軒弁』が生じるという事態が生じるようです 」</p>
<p> 司法試験合格者大増員により、事態は、より急激に悪化しているようです。</p>
<p> 「イソ弁」になれない弁護士が増え、「軒弁」(無給で他の弁護士の事務所で執務させてもらう弁護士。それでも、通常、事務所賃料・電話代・光熱費の負担はなし)は、まだ、ましな方。<br />
「即独」といって、「軒弁」にもなれない人が、自宅、あるいは、単独か共同で小さな事務所を借りて事務員をおかず、「弁護士資格取得」「即時」「独立」というパターンの弁護士が増えてきたそうです。</p>
<p> さらに、登録時の弁護士会費40万円(大阪弁護士会の場合)、月々4万4000円の弁護士会費(大阪弁護士会の場合。登録直後は一部減額)を支払う金銭的余裕がないため、弁護士登録を見送り、さらに就職活動をしたり、あきらめて他の職業についたりする司法試験合格者がでてきたそうです。</p>
<p> 弁護士に縁のない一般の人には関係のない話と思われるかも知れません。</p>
<p> ただ、普通に生活している人でも、重大な交通事故の被害者になったり、通り魔に襲われたりすることは、ありうることです。その場合、弁護士に依頼することもあり得ます。</p>
<p> 一番いい、弁護士の探し方は、信頼できる顔の広い知人、友人に弁護士を紹介してもらうことです。<br />
会社勤めの人なら、会社の顧問弁護士に相談してみるのも選択肢にはいるでしょう。ただ、会社に知られてもいい交通事故や遺産相続の話なら問題はないでしょうが、債務整理や離婚となると、顧問弁護士は頼みにくいでしょう。</p>
<p> 紹介してくれる人がなければ、弁護士会や地方自治体の法律相談をして、これはと思う弁護士さんであれば依頼すればいいでしょうし、弁護士会(どこの弁護士会でもいいのですが、勤務先に近い方が便利です)に紹介をしてもらうというか、あるいは、ホームページなどで探すことになります。</p>
<p> 紹介者がなく、弁護士に事件を依頼しようとする場合、「軒弁」や「即独」など、「経験もなく、気軽に聞ける先輩もない」「確率の高い」弁護士に依頼しない簡単な方法をお教えします。</p>
<p> 「軒弁」や「即独」が出現したのは、大阪など一般に平成18年登録以降、登録番号なら3万2000番代からといわれています。<br />
東京の場合、もう少し早いといわれています。<br />
日本弁護士連合会も、大阪弁護士会など各単位弁護士会も、ホームページ上で、弁護士の情報開示はしています。大阪弁護士会のホームページなら登録年が、日本弁護士連合会のホームページなら、登録番号が明記されています。</p>
<p> なお、若く見える方に「失礼ですが、弁護士さんになられて何年目ですか」と聞くのは無礼ではありません。<br />
私は、裁判官を10年していましたので、34歳で弁護士になっていますが、それでも、経験年数を結構聞かれた経験があります。</p>
<p> 若く見える方で、平成18年登録以後の場合、経験年数、それと、端的に「イソ弁」かどうか直接聞けばよいのです。<br />
答えてくれない、あるいは、「イソ弁」ではないと答えた場合には、どちらかというと、依頼は避ける方が賢明です。<br />
若くて「イソ弁」であっても、「イソ弁」なら、「ボス弁」に適宜指導を受けることができますし、ボス弁も、自分が雇用している弁護士が問題を起こしては大変だという意識があり、事務所事件だけではなく、イソ弁の個人事件についても、ある程度把握していますから、依頼することに問題ないかと思います。<br />
もちろん、優秀であっても、何らかの理由で「イソ弁」になれなかった、あるいは、なる必要もなかった弁護士がいる可能性がないかも知れませんが、弁護士はいくらでもいるのですから、あえて、積極的に「軒弁」「即独」を選ぶ理由はありません。<br />
20代、30代の弁護士は「若すぎる」といって敬遠する人も結構いますから、「もう少し経験を積んでいる弁護士さんに依頼したい」と婉曲に断ればすむことです。</p>
<p> 弁護士会によっては、「即独支援体制」をとるようですから、「即独」の弁護士に、多くの「法律相談」や「弁護士紹介」や「国選弁護」を割当ててくる可能性も否定できません。<br />
仕事がないのですから、せめて「そのくらいのこと」という考えるかも知れません。弁護士仲間には「優しい」ですが、利用者にとっては「優しく」ありません。</p>
<p> 残念ながら、国選弁護の場合は弁護士を選択できません。これは「運命」としてあきらめるしかありません。<br />
しかし、民事関係の「法律相談」なら、その弁護士さんに頼む必要はなく、弁護士会で弁護士を紹介してもらえればいいわけですし、「弁護士紹介」を受けた弁護士さんが気に入らなければ、あと2回まで弁護士を紹介してもらえます。</p>
<p> 君子危うきに近寄らずという「ことわざ」もあります。</p>
<p> </p>
<p>平成21年2月7日追記</p>
<p> 司法修習生(新61期)1811人(前回の試験不合格者を含みます)のうち101人が不合格。<br />
新61期の修習生で2回試験合格後も、弁護士登録をしていない人は、合格後1ヶ月を経過しても66名。弁護士登録時の弁護士会費40万円、月々4万4000円の弁護士会費すら支払えない人ということになります。<br />
また、新61期の修習生で2回試験合格後、即独(即時独立された弁護士)は最低17名だそうです。<br />
「イソ弁」か「軒弁」かは外部からではわかりませんから、統計の取りようがありません。内部で、ちゃんとした給料をもらっているかどうかの違いですから。ただ「軒弁」が、相当数いるということは間違いないでしょう。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
独自
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3231#block95-3231
1
<div>みなさんは「独自」という言葉を聞いて、いいイメージを持ちますか、否定的なイメージを持ちますか。
<p> 通常は、「独自の研究」「独自の技術」「独自のブランド」など、いいイメージで用いられることが多いですね。<br />
「独自の発想」という言葉も、いい意味で用いられることが多いです。</p>
<p> 法律の世界ではどうでしょうか。</p>
<p> 判決に「所論は、控訴人『独自』の考えであって採用できない」と用いられるなど、圧倒的に否定的な意味で用いられます。<br />
法律の世界に「独自」はいりません。<br />
といいますか、ある人の考えが「独自」で終わってしまえば、「単なる変わり者の独りよがりの意見」で終わってしまいます。</p>
<p> 自分の考えを、裁判官や他の弁護士に理解してもらい、多くの裁判官や弁護士が、その考え方に賛同してもらわないと、意味がないということです。</p>
<p> ある意見が、多くの下級審裁判所で採用され、できれば最高裁の判例になれば、その意見に「お墨付きを」をもらったということになります。<br />
ある意見が、わずかの「下級裁判所」でしか採用されず、最高裁が「独自の考えにすぎない」として排斥するようなら、全く意味はありません。</p>
<p> あまり、一般の人は、裁判書そのものを見ることは少ないと思いますが(判決裁判所の用意した要旨はマスコミで報道されます)、弁護士は、「独自」と言う言葉を書かれると「ぞっ」とします。<br />
また、相手の主張が「独自の考えであり、誤りである」と書かれると「ほっと」します。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
京都家庭裁判所所長の謝罪会見
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3230#block95-3230
1
<div>書記官としての知識や立場を悪用し、詐欺罪などで起訴された広田照彦被告が勤務する京都家裁所長が記者会見に応じ、「法令を順守すべき裁判所職員が起訴されるに至ったのは誠に遺憾だ。国民の信頼を損ねたことをおわびします」と陳謝する会見をしたそうです。
<p> もちろん、家裁としての処分は「早期に被告と接見し、厳正に対処する」とし、「私の管理監督の責任も大変重く、上級庁が適切に判断する」と述べたそうです。<br />
もっとも、発覚したときの所長であるだけで、事件の中には前任である現大阪地方裁判所所長が京都家庭裁判所所長時代(平成19年1月16日まで)に発生した事件があるのではないかとも言われていますが、現在調査中で分かりません。</p>
<p> ただ、謝罪会見で、京都家庭裁判所所長が、報道機関に質問を事前提出させ、それ以外の質問は「カメラ撮影するなら応じない」として会見を打ち切ったそうです。<br />
また、質問事項についてメモを読み上げて答えただけで、その後の質疑応答ではカメラ撮影を拒否し、「最高裁に問い合わせたが最後までカメラ撮影を行った前例はない」として応じず、説明責任などについての質問に対し、「裁判所の体質と今回の事件がかかわりがあるとは思えない」「できるだけの説明はしたい。閉鎖的な対応だとは思わない」などと繰返し、「裁判所以外は(すべての会見の内容を)撮るものなのか」と逆に問いかける場面もあったということです。</p>
<p> 「メディアトレーニング」(模擬記者会見)等での企業の「危機管理」のコンサルタント(いろいろな商売があるのですね)などにいわせると、「悪い謝罪会見の見本」のようなものでしょうね。</p>
<p> もっとも、京都家庭裁判所は、官公庁ですから、物をつくったり売ったりするわけではなく、まして「ライバル」などいるはずがありませんから、営業不振や倒産などに至るはずもなく、京都家庭裁判所所長の昇進に大きな影響を与えるはずもないのですから、記者の質問は、民間企業と、裁判所という「聞く耳を持つ必要がない」官公署と、同じような質問をする「愚」をおかしていますね。</p>
<p> ただ、「裁判員」導入間近ですから、少しは民間企業をみならったほうがいいかもしれません。</p>
<p> こういうキャッチフレーズはどうでしょう。<br />
「裁判員に不安をいだいている国民の皆さん。ストーカー判事は罷免されました。公文書偽造・詐欺の書記官は逮捕されました」「もう、裁判所に、悪いことをする人はいませんから、安心して裁判員になって下さい」</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法修習生の給与廃止
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3229#block95-3229
1
<div>
<p> 私は、以前のコラムで以下のとおり書いています。</p>
<p>「 現在の司法修習生の給与は、基本給が月額20万2200円(平成19年4月1日現在)となっています。このほか、一般職の国家公務員と同様、扶養手当、大都市調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当(ボーナス)、寒冷地手当などが支給されるのは、当時も同じでした」</p>
<p> 平成22年11月から、司法修習生に給与を支給する給与支給制に代えて、修習資金を貸与する貸与制度が導入されます(平成16年12月10日法律第163号)。</p>
<p> 従来の司法試験での受験生、つまり、旧司法試験合格者対象の司法修習は、第52期(平成10年4月修習開始)まで2年でした。第53期(平成11年4月修習開始)から第59期(平成17年4月修習開始)まで 1年6か月、第60期(平成18年4月修習開始)から1年4か月となっています。</p>
<p> これに法科大学院卒業者の受験生、つまり、新司法試験合格者対象の司法修習は、新60期(平成18年11月修習開始)から1年です。</p>
<p> 従来の司法試験合格組は、旧60期=平成18年4月修習開始、旧61期=平成19年4月修習開始、旧62期=平成20年4月修習開始、旧63期=平成21年4月修習開始、旧64期=平成22年4月修習開始までで支給です。<br />
つまり、旧64期=平成23年4月修習開始から貸与となり、返還しなければなりません。</p>
<p> 法科大学院卒は、新60期=平成18年11月修習開始、新61期=平成19年11月修習開始、新62期=平成20年11月修習開始、新63期=平成21年11月修習開始までは支給です。<br />
つまり、新64期=平成22年11月修習開始から貸与となり、返還しなければなりません。</p>
<p> また、案段階ですが、具体的内容の案が発表されました。<br />
(1) 資金の貸与は国(最高裁判所)が、貸与を希望する司法修習生に対し、その申請により貸与します。その期間は修習のため通常必要な期間中、一定額を毎月貸与します。<br />
(2) 貸与の条件は、資力要件は設けず、無利息で貸与(返還期限を経過した場合は延滞利息を付すしますし、「保証人を立てる」必要があります。<br />
(3) 貸与額は、修習生が生活の基盤を確保して修習に専念できる程度の額とされており、数段階の貸与額(月額)が設定されており、修習生が選択する額を貸与することとなります。具体的には、a 18万円程度、b 23万円程度(a、bの貸与額は、特段の要件なく選択可)、c 25.5万円程度(扶養家族あり又は住居貸借の場合に選択可)、d 28万円程度(扶養家族ありかつ住居貸借の場合に選択可)(a、bは要件審査の上で貸与)となっています。<br />
(4) 貸与の終了事由としては、非貸与者が貸与を辞退した場合、修習生を罷免された場合又は死亡した場合等です。<br />
(5) 返還期間・方法等は、修習終了後数年間は返還を据え置き、その後、10年間の年賦により返還する。繰上返還を認める。正当な理由なく返還期限を経過した場合には延滞利息を付す。返還を遅滞した場合には、期限の利益を喪失し、残額を一括返還するものとなっています。<br />
(6) 返還の猶予・免除については、被貸与者が災害、傷病その他やむを得ない理由により返還が困難となった場合は、返還の期限を猶予し、被貸与者が死亡又は精神若しくは身体の障害により返還できなくなった場合は、全部又は一部の返還を免除することができるとなっています。</p>
<p> 当然ながらボーナスなしです。<br />
最大448万円ですね。旧試験合格者で28万円満額。</p>
<p> お金があれば、借りる必要はありません。もっとも、無利子ですから、借りたお金を郵便貯金や国債で運用すれば、わずかですが、利益が得られます。</p>
<p> 裁判官になったから、検察官になったから免除、弁護士になったから返済というわけではなさそうです。裁判官、検察官任官者からは不満は出るでしょうね。この点は明確にされていませんが、どうなんでしょう。</p>
<p> 支給制の時は、国家公務員共済加入で、健康保険と年金分は天引きでした。従前は、弁護士になった人も、わずかですが、年金はもらえます。</p>
<p> 貸与制になると、国民年金、国民健康保険ですね。<br />
国民年金は、学生と同様、希望すれば免除になるでしょうね。<br />
国民健康保険は自分か親の負担でしょう。</p>
<p><br />
しかし、法曹スタートの時点で、448万円という借金を背負うというのは大変ですね。<br />
弁護士会の登録に50万円程度いるでしょうし、弁護士会費が年間50万円程度必要です。</p>
<p> 世知辛い世の中になったものです。<br />
ただ「弁護士になる修習生の生活費まで国費でみるのはいかがなものか」という議論は、私の当時からありました。当時の国家公務員上級職甲種の3年目の基本給でしたし。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
非正規労働者の解雇・雇い止め
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3228#block95-3228
1
<div>
<p> トヨタやキヤノンなどの、いわゆる「勝ち組企業」が、他の経営が現在苦しい企業とともに、雇用調整を進めています。</p>
<p> 「派遣社員」など、雇用期間に定めのない「正社員」とは異なりますから、雇い止めをしたところで、違法ではありません。</p>
<p> 日本では、正社員を解雇するのは、諸外国に比べ非常に難しいですから、「景気の調整弁」として、景気の悪いときは、解雇や雇い止めができる、アルバイト、契約社員、派遣社員を採用し、正社員の雇用を守るという手段をとることは、最初から想定されています。</p>
<p> なお、現在のところ、黒字である、あるいは、大量の内部留保があるから、解雇や雇い止めをするべきではないというのは、あまり正しい判断とは思いません。</p>
<p> もちろん、現在の不況が、一時的なものであることに間違いがなく、すぐに景気が回復して商品が売れる用になることが間違いないなら、不要な「軋轢」を生むことをする必要もありませんし、しないでしょう。</p>
<p> 今の不況が、短期間に回復するなどと思っている人はないでしょう。</p>
<p> また、トヨタやキヤノンなど輸出産業は、ドルやユーロが、これからも大きく続落していく可能性があると考えているのでしょう。</p>
<p> トヨタ自動車の場合、1円の対ドルの円高で年間の営業利益400億円、対ユーロの円高でも1円の円高で60億円目減りするということになります。<br />
1ドルが80円になれば7000億円の損失、1ユーロが110円になれば、600億円の損失です。</p>
<p> 欧州向け売上比率が34%のキヤノンは1ユーロ=165円、同じく26%のソニーは162円とされています。<br />
現在の水準は、キャノンで1ユーロ46円、ソニーで43円下回っています。<br />
トヨタと同様、円高ユーロ安になったため、キヤノンは営業利益が1568億円減益となっています。<br />
これ以上ユーロが安くならないという保障はどこにもありません。</p>
<p> もちろん、世界的な大不況ですから、自動車やOA機器の売行自体が、国内外で落ち込んでいくことが予測されます。<br />
国家から、有形無形の補助金をもらっているような外国企業との競争もしなければなりません。</p>
<p> 現在、黒字であるとか、現在内部留保が潤沢であるということは、非正規社員の解雇、雇い止めをしてはならないという理由にはなりません。<br />
逆に、そのような行動に出るような「甘い」企業では、「勝ち組」になれないでしょうね。</p>
<p> また、日本は、正社員の解雇を非常に厳しすぎるくらいの制限をしていますから、現在および将来の余剰人員を、非正規社員のリストラにより減少させるというのは間違った選択ではありません。</p>
<p> もちろに、日本のトップ企業ですから、CSR(企業の社会的責任)を果たすということも大切ですが、自社の正社員の生活、取引先や株主の利益も尊重しなければなりません。<br />
儲けがあれば「首切り」はできないというのは正社員のみです。</p>
<p> ただ、首を切られた方はたまったものじゃないでしょうね。年を越せるかどうかの瀬戸際です。<br />
「職」だけでなく「住」を失った人は特に・・<br />
ただ、失業した労働者の保護、さらに、内需拡大、個人消費の拡大などは、国がするべき責任を負っているのであり、国や地方公共団体ですみやかな施策がとられるべきでしょう。<br />
法人税、法人地方税は減少してダブルパンチですが、そのための国、地方公共団体ですから</p>
<p><br />
おそらく、円高、ドル安、ユーロ安、これからの全世界的不況の影響で、いずれトヨタやキヤノンさえも赤字が出るようになる事態になる可能性もあります。<br />
トヨタは半期ベースで考えると、既に赤字になっているとの報道もあります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法科大学院を卒業しても弁護士になれない人
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3227#block95-3227
1
<div>法科大学院を出れば、司法試験には「7、8割が合格」といううたい文句で、法科大学院がつくられました。
<p> 当たり前のことですが、法科大学院の乱立、定員過大のせいで、見込まれていた新司法試験の合格率が3割強と低迷し、大学院修了者の無職化が問題となっています。<br />
つまり、法科大学院が乱立し、受験者が増え、高い合格率を信じて入学した学生がほうり出された形になります。<br />
平成20年の新司法試験は6261人が受験。うち2065人が合格し、合格率は過去3回で最低の32.98%でした。<br />
特に、悲惨なのは、5年のうちに、3回不合格だった人です。いわば「三振。バッターアウト」ですね。<br />
受験制限があり、三振後、あと2年受験できません。<br />
また、3年後に受験するには、新たに法科大学院の卒業などが必要です。</p>
<p> 法科大学院を卒業し、新司法試験に合格できなかった人は「医学部を出ていながら医師免許を持っていない人を」ですから、普通、使い物になりません。<br />
法律事務所事務職員になるか、司法書士を目指すか、その程度かもしれません。<br />
間違っても、まともな企業は雇ってくれません。社会人経験の少なさ、年齢が理由です。企業も「ボランティア」でやっているのではありません。</p>
<p> 十分な受け入れシステムもないのに法科大学院という「ハコ」だけたくさん作ってしまい、そのしわ寄せが受験生にきたということですね。</p>
<p> 「8割が合格」というためには、法科大学院の定員を2600人程度にしなければ計算に合いません。<br />
今、定員を減らすのでは遅すぎます。<br />
「三振。バッターアウト」の人は、とりあえずグラウンドから去りました。しかし、まだ、ワンストライク、ツーストライクの人、あと、バッターボックスに入っていない現役の法科大学院生がいます。</p>
<p> 結局は、法科大学院の乱立、定員過多を認めたことが「致命傷」だったということになります。</p>
<p> ちなみに、従来の司法試験にも同じ問題があり、何年も受験して合格できず、正社員としての勤務が難しくなった人たちがいました。<br />
ただ、2%程度の合格率であることについては、最初からわかっていたことで、法科大学院を出れば、司法試験には「7、8割が合格」というキャッチフレーズにつられた人は気の毒ですね。</p>
<p><br />
もちろん、これからは、弁護士になっても「楽」ではありません。<br />
まず就職難。<br />
次に、競争激化による収入減です。</p>
<p> 弁護士は兼業は可能です。<br />
いずれ、タクシードライバー兼弁護士、コンビニ店員(さすがに店長をする人はいないでしょうが)兼弁護士がでてくるかも知れません。<br />
弁護士は、医師と違い、夜間当直勤務で1日数万円のアルバイトなどはありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の広告
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3226#block95-3226
1
<!-- シェアボタン [ここからコピー] -->
<div>
<div><a href="http://www.facebook.com/share.php?u=
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/b_id=95/r_id=3226/detail=1/block95_limit=20
#block98-3345" onclick="window.open(this.href, 'FBwindow', 'width=650, height=450, menubar=no, toolbar=no, scrollbars=yes'); return false;"><img height="30px" src="https://ssl40.dsbsv.net/nishino-law.com/files/libs/502/20170524132510736.png" width="30px" /></a> <a href="http://twitter.com/share?text=
%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e3%81%ae%e5%ba%83%e5%91%8a
&url=
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/b_id=95/r_id=3226/detail=1/block95_limit=20
&
%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e3%81%ae%e5%ba%83%e5%91%8a
" onclick="window.open(encodeURI(decodeURI(this.href)), 'tweetwindow', 'width=650, height=470, personalbar=0, toolbar=0, scrollbars=1, sizable=1'); return false;" rel="nofollow"><img height="30px" src="https://ssl40.dsbsv.net/nishino-law.com/files/libs/505/201705241325124834.png" width="30px" /></a> <a href="https://plus.google.com/share?url=
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/b_id=95/r_id=3226/detail=1/block95_limit=20
#block98-3345" onclick="window.open(encodeURI(decodeURI(this.href)), 'googlewindow', 'width=650, height=470, personalbar=0, toolbar=0, scrollbars=1, sizable=1'); return false;" rel="nofollow"><img height="30px" src="https://ssl40.dsbsv.net/nishino-law.com/files/libs/503/201705241325111867.png" width="30px" /></a> <a href="http://b.hatena.ne.jp/add?mode=confirm&url=
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/b_id=95/r_id=3226/detail=1/block95_limit=20
#block98-3345" onclick="window.open(encodeURI(decodeURI(this.href)), 'hatenawindow', 'width=650, height=470, personalbar=0, toolbar=0, scrollbars=1, sizable=1'); return false;" rel="nofollow"><img height="30px" src="https://ssl40.dsbsv.net/nishino-law.com/files/libs/504/20170524132511462.png" width="30px" /></a> <a href="http://line.me/R/msg/text/?
%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%a3%ab%e3%81%ae%e5%ba%83%e5%91%8a
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/b_id=95/r_id=3226/detail=1/block95_limit=20
#block98-3345"><img height="30px" src="https://ssl40.dsbsv.net/nishino-law.com/files/libs/506/201705241325132808.png" width="30px" /></a></div>
<!-- シェアボタン [ここまでコピー] -->
<div>
<h3> </h3>
<p><a href="http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/rules/data/kaiki_no.44.pdf" target="_blank">「弁護士の業務広告に関する規程」 </a>が日本弁護士連合会により定められています。</p>
<p>弁護士の業務広告に関する規程(平成12年3月24日会規44号) 改正平成13年10月31日同19年3月1日</p>
<p>(目的)<br />
1条 この規程は、日本弁護士連合会会則(以下「会則」という。)29条の22項(弁護士法人規程19条による会則29条の22項の準用の場合を含む。)に基づき、弁護士(弁護士法人を含む。以下同じ。)の業務広告に関し必要な事項を定めることを目的とする。<br />
(広告の定義)<br />
2条 この規程における広告とは、弁護士が自己又は自己の業務を他人に知らせるために行う情報の伝達及び表示行為であって、顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするものをいう。<br />
(禁止される広告)<br />
3条 弁護士は、次の広告をすることができない。<br />
1 <strong>事実に合致していない広告</strong><br />
2 <strong>誤導又は誤認のおそれのある広告</strong><br />
3 <strong>誇大又は過度な期待を抱かせる広告</strong><br />
4 <strong>特定の弁護士若しくは外国法事務弁護士又は法律事務所若しくは外国法事務弁護士事務所と比較した広告</strong><br />
5 <strong>法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告</strong><br />
6 <strong>弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告</strong><br />
(表示できない広告事項)<br />
4条 弁護士は、次の事項を表示した広告をすることができない。<br />
1 <strong>訴訟の勝訴率</strong> <br />
2 <strong>顧問先又は依頼者</strong>。ただし、顧問先又は依頼者の書面による同意がある場合を除く。<br />
3 <strong>受任中の事件</strong>。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び依頼者が特定されずかつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。<br />
4 <strong>過去に取扱い又は関与した事件</strong>。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び広く一般に知られている事件又は依頼者が特定されない場合で、かつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。<br />
(訪問等による広告)<br />
5条 弁護士は、面識のない者(現在及び過去の依頼者、友人、親族並びにこれらに準じる者以外の者をいう。以下同じ。)に対し、訪問又は電話による広告をしてはならない。(特定の事件の勧誘広告)<br />
6条 弁護士は、特定の事件の当事者及び利害関係者で面識のない者に対して、郵便又はその他これらの者を名宛人として直接到達する方法で、当該事件の依頼を勧誘する広告をしてはならない。ただし、公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合についてはこの限りでない。<br />
(有価物等供与の禁止)<br />
7条 弁護士は、広告の対象者に対し、社会的儀礼の範囲を超えた有価物等の利益を供与して広告をしてはならない。<br />
(第三者の抵触行為に対する協力禁止)<br />
8条 弁護士は、第三者が弁護士の業務に関して行う情報の伝達又は表示行為でこの規程に抵触するものに対し、金銭その他の利益を供与し、又はこれに協力してはならない。<br />
(広告をした弁護士の表示)<br />
9条<br />
1 弁護士は、広告中にその氏名(弁護士法人にあってはその名称及び主たる法律事務所の名称又は従たる法律事務所があるときはその名称。以下同じ。)及び所属弁護士会(弁護士法人が複数の弁護士会に所属するときは、主たる法律事務所の所在する地域の所属弁護士会又は広告中に法律事務所の表示があるときはその所在する地域の所属弁護士会を表示することをもって足りる。)を表示しなければならない。<br />
2 弁護士が共同して広告をするときは、代表する者1名の氏名及びその所属弁護士会を表示することをもって足りる。<br />
(広告であることの表示)<br />
10条 弁護士が、郵便又はこれに準ずる方法により、面識のない者に対し直接配布する広告物については、封筒の外側又は広告物の表側若しくは最初の部分に、広告であることを表示しなければならない。<br />
(保存義務)<br />
11条 広告をした弁護士は、広告物又はその複製、写真等の当該広告物に代わる記録及び広告をした日時、場所、送付先等の広告方法に関する記録並びに4条2号ないし4号の同意を証する書面を当該広告が終了したときから3年間保存しなければならない。<br />
(違反行為の排除等)<br />
12条<br />
1 弁護士会は、所属弁護士に対し、必要があると認めるときは、前条の記録等の提出を求め、その他広告に関する調査を行うことができる。<br />
2 弁護士は、前項の調査に協力しなければならない。<br />
3 広告が3条1号に該当する疑いがあるときは、弁護士会は、広告をした所属弁護士に対して、広告内容が事実に合致していることを証明するよう求めることができる。<br />
4 前項の場合において広告をした弁護士が広告内容につき事実に合致していることを証明できなかったときは、弁護士会は、当該広告が3条1号に該当するものとみなすことができる。<br />
5 弁護士会は、この規程に違反した所属弁護士に対し、違反行為の中止、排除若しくはその他の必要な事項を命じ、又は再発防止のための必要な措置をとらなければならない。この場合、弁護士会は、当該弁護士に対し、弁明の機会を与えなければならない。<br />
6 弁護士会は、当該弁護士が前項の命令その他の措置に従わない場合又は当該行為の中止若しくは排除が困難な場合において、当該行為による被害発生防止のため特に必要があるときは、弁護士会が前項の命令その他の措置を行った事実及び理由の要旨を公表することができる。<br />
7 弁護士会は、他の弁護士会の所属弁護士についてこの規程違反の事由があると思料するときは、当該弁護士の所属弁護士会に対し、その旨を通知することができる。この場合、通知を受けた弁護士会は、通知をした弁護士会に対し、当該事案について行った調査及び措置の内容を報告しなければならない。<br />
8 日本弁護士連合会及び弁護士会は、違反行為の調査及びその排除等に関して相互に協力しなければならない。<br />
(広告の運用指針)<br />
13条<br />
1 会長は、この規程の解釈及び運用につき、理事会の承認を得て、指針を定めることができる。<br />
附則1 この規程は、平成12年10月1日から施行する。<br />
2 弁護士の業務の広告に関する規程(昭和62年3月14日会規31号)は廃止する。</p>
<p> </p>
<p> 改正以前の規程は以下のとおりでした。</p>
<p>弁護士の業務の広告に関する規程<br />
昭和62年3月14日会規第31号</p>
<p>(目的)<br />
1条 本規程は、日本弁護士連合会会則第29条の2により、弁護士の業務の広告に関し必要な事項を定めることを目的とする。<br />
(定義)<br />
2条 本規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。<br />
1 出身地 出生地又は義務教育終了までの間の相当期間居住した地をいう。 <br />
2 学位 学校教育法(昭和22年法律26号)若しくは旧大学令(大正7年勅令388号による大学が授与した学位又は外国の学位でこれに相当するものをいう。 <br />
3 看板 土地又はその定着物に固定若しくはこれに準ずる方法で設置又は記入された表示物をいう。 <br />
4 事務所案内 弁護士又は法律事務所が、その業務等に関する事項を記載して発行する刊行物等をいう。 <br />
5 事務所報 弁護士又は法律事務所が、その業務等に関する事項のほか、論説、記事等を記載して発行する刊行物等をいう。ただし、専ら三者を啓発するための論説、記事を記載したもので、その責任者として3条1号ないし4号及び5条1項1号の事項を記載したものを除く。 <br />
6 同窓会等の団体 自らが所属するもので親睦又は社会的活動を目的とする同窓会、県人会、同好会又はこれらに準ずる実体のある団体をいう。 <br />
7 名簿 氏名、職業、住所、事務所又は年齢を主な内容として編集した刊行物等をいう。 <br />
8 名鑑 前号の各事項のほか、出身地、出身校、経歴又は家族関係を主な内容として編集した刊行物等をいう。 <br />
9 肖像 個人の容貌を表象する写真又は絵画をいう。 <br />
10 経歴 学歴、職歴、公職歴並びに日本弁護士連合会(以下「連合会」という。)、弁護士会連合会及び弁護士会における役職歴をいう。 <br />
11 著作 刊行された自己の著述物及び演述の記録をいう。 <br />
12 外国語能力 自ら相当程度に外国語を読解し又は会話する能力をいう。 <br />
(広告事項)<br />
3条 弁護士は、次の各号の事項に限り、広告することができる。 <br />
氏名及び住所 <br />
自宅の電話その他これに準ずるものの番号 <br />
事務所の名称、所在地及び電話その他これに準ずる ものの番号 <br />
所属弁護士会 <br />
弁護士登録の年月日 <br />
生年月日、性別及び出身地 <br />
学位 <br />
公認会計士、弁理士、税理士、不動産鑑定士若しくは海事補佐人の登録をしているとき、又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法にいう外国弁護士の資格を有するとき(登録を必要とするものについては登録しているとき)は、その表示 <br />
取り扱う業務 <br />
事務所における執務時間 <br />
自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額 <br />
(広告媒体)<br />
4条 弁護士は、次の各号に定める媒体によってのみ広告することができる。 <br />
名刺、事務用せん及び封筒 <br />
看板 <br />
挨拶状 <br />
事務所案内及び事務所報 <br />
同窓会等の団体の会報及び名簿(以下「同窓会の会報等」という。) <br />
日本電信電話株式会社等の発行する職業別電話帳 <br />
新聞、雑誌その他の定期刊行物 <br />
(記事掲載)<br />
5条<br />
1 同窓会の会報等並びにそれ以外の名簿及び名鑑には、3条各号の事項のほか、次の各号の事項を記事として掲載させることができる。 <br />
肖像 <br />
経歴 <br />
家族関係及び趣味 <br />
著作 <br />
外国語能力 <br />
2 前項の場合は、名目の如何を問わず、対価を支払ってはならない。<br />
(広告事項の特例一・挨拶状及び名簿等) <br />
6条 挨拶状には、3条各号の事項のほか前条1項各号の事項を、同窓会の会報等には、3条各号の事項のほか、前条1項1号及び2号の事項を、それぞれ広告することができる。<br />
(広告事項の特例2・事務所案内及び事務所報) <br />
7条<br />
1 事務所案内には、3条各号及び5条1項各号の事項のほか、事務所の沿革(ただし、顧問関係を除く。)、構成員の紹介、取り扱う業務の説明その他これに準ずる事項を記載することができる。<br />
2 事務所報には、前項に規定する事項のほか、事務所の近況、論説、記事その他これに準ずる事項を記載することができる。<br />
(広告基準) <br />
8条<br />
1 連合会は、3条9号ないし11号及び4条各号に関し、大きさ、回数、時期、配布方法等について必要な基準を、規則をもって定めることができる。 <br />
2 弁護士会は、前項の規則が許容する範囲内で別に基準を定めることができる。<br />
(会員の届出) <br />
9条 弁護士会は、4条2号、2号ないし7号の媒体を利用して広告する会員に対し、必要な事項を届け出させることができる。<br />
(禁止事項) <br />
10条<br />
1 弁護士は、品位を損うおそれのある手段方法によって広告してはならない。 <br />
2 広告の内容は、事実に合致し、誤導的でないことを要し、かつ、特定の業務に熟達し、あるいは、他の弁護士又は事務所に比して優越しているかのごとき表現をもつものであってはならない。 <br />
3 弁護士は、第三者が弁護士の業務に関して行う広告又は掲載する記事で本規程に抵触するものに対し、協力してはならない。<br />
(違反行為の排除等) <br />
11条 弁護士会は、本規程又はこれに基づく規則若しくは基準に違反した弁護士に対し、警告又は当該広告の排除を命ずるなど必要な措置をとらなければならない。<br />
(規則への委任) <br />
12条 連合会は、本規程の施行に関し、必要な事項を規則をもって定めることができる。<br />
附 則 <br />
この規定は、理事会の定める日(昭和62年4月1日)から施行する。 <br />
この規定施行のときに、これに違反する広告のあるときは、施行の日から2年以内に適合するよう改めなければならない。 </p>
<p> 最初の特徴的な違いは、旧規程が、「氏名及び住所」「自宅の電話その他これに準ずるものの番号」「事務所の名称、所在地及び電話その他これに準ずるものの番号」「所属弁護士会」「弁護士登録の年月日」「生年月日」「性別及び出身地」「学位」「公認会計士、弁理士、税理士、不動産鑑定士若しくは海事補佐人の登録をしているとき、又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法にいう外国弁護士の資格を有するときは、その表示」「取り扱う業務」「事務所における執務時間」「自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額」と広告事項を限定していることです。</p>
<p> <br />
旧規程によりますと「出身大学」の記載は問題ありません。しかし「裁判官の経歴」「留学歴」も規程違反です。<br />
また、私のホームページの「報酬欄」は完全に規程違反です。<br />
「法律コラム」や「雑記帳」も規程違反です。</p>
<p> ちなみに「自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額」は、現在廃止されていますが、肝腎な「当該弁護士」の「報酬」の記載のない広告は、あまり意味がありません。<br />
おそらく、弁護士の広告は「実質禁止」という考えだったのでしょう。</p>
<p><br />
次の特徴的な違いは、旧規程が「媒体」に限定的な制限(名刺、事務用せん及び封筒、看板、挨拶状、事務所案内及び事務所報、同窓会等の団体の会報及び名簿、旧・日本電信電話株式会社等の発行する職業別電話帳、新聞、雑誌その他の定期刊行物)をしていたのに対し、新規定が「媒体」に制限を加えていないということです。</p>
<p> インターネット、テレビ、ラジオ、駅広告など媒体は問いません。</p>
<p> なお、ビラやティッシュは、3条6項の「弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当するから不可と解されています。現時点では、誰もしていないので、公的判断ではありません。</p>
<p> 媒体ではないですが、競馬場などの公営ギャンブルの近辺での駅看板なども「弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当するから不可と解されています。これは、実際、弁護士会の指導により、駅看板が撤廃された前例があります。<br />
「サンドイッチマン」「ちんどん屋」利用の広告はどうでしょう。誰もしないでしょうが・・・</p>
<p> なお、一般の方が「事件の勝訴率」を表示しないのはなぜかと聞かれることがあるのですが、4条「弁護士は、次の事項を表示した広告をすることができない」1号「訴訟の勝訴率」に抵触しますからできません。なぜ、禁止なのかという点は、はっきりした合理的理由があるのですが(和解で解決したときどうか。数字が出ると敗訴の可能性のある事件の代理人となる弁護士が少なくなるなど)、ここでは詳述しません。</p>
<p>また、インターネットでも3年間の保管義務があります。あとで改変したというのが嫌なので、私は、紙に印刷して保管しています。</p>
</div>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律家の文章
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3225#block95-3225
1
<div>
<p> 裁判官、検察官、弁護士の書く文章は長いですね。</p>
<p> 「一文が長すぎる」そのため「主語と述語の対応がわからなくなっている」という批判はありますね。<br />
ワープロソフトに放り込むと、「文章が長い」と「ダメ出し」されてしまいます。</p>
<p> ただ、裁判官、検察官、弁護士の書く文章は、裁判官、検察官、弁護士、あとせいぜい学者が読むくらいで、みんな読み慣れていますから、何の問題も生じません。</p>
<p> 弁護士の書く文章のターゲットは裁判官です。あわせて、相手方弁護士です。素人である自分の依頼者、ましてや相手の依頼者ではありません。<br />
検察官の書くターゲットは裁判官と弁護士、裁判官の書く判決などのターゲットは弁護士と検察官、あと上訴審の裁判官です。<br />
依頼者などの素人には、弁護士など専門家に翻訳してもらえばいいので、全く問題はありません。</p>
<p> 別に、日本の法律家が書く文章だけが長いわけではありません。ドイツの法律家の書く文章も長いですね。連邦憲法裁判所の判決文などは、文章は長いわ、言葉が難解な言葉が使ってあるわで、真剣に読もうとすると「頭痛」がします。</p>
<p> あと、日本の法律家が書く文章は「くどい」と言われます。<br />
「これ」「それ」「あれ」「この」「その」「あの」などの指示代名詞はあまり使いません。<br />
あくまで、正確性を期するために、同じ言葉を繰返します。<br />
別に、ワープロが普及して「コピペ」が便利になったからではありません。<br />
私が司法修習生になった昭和53年の年末に、東芝が「JW-10」というワープロを630万円で発売したそうです。ドイツ留学から帰った昭和57年にも、一般的ではありませんでした。<br />
ワープロ普及のずっと以前から「正確性を期するため」「くどい」文章が書かれていました。</p>
<p> 日本の法律家が、好んで書く「二重否定」(例えば「○○でないわけでもない」など)も、一般に、好ましくないと言われています。<br />
これがないと、判決も、訴状・答弁書・準備書面も、起訴状・冒頭陳述書・論告・弁論要旨は書きにくいでしょうね。</p>
<p><br />
ここでおもしろいのは、私の依頼者は、相手方の依頼者の書いている準備書面が「難解」と言い、私の書いている準備書面は「わかりやすい」と言うのです。<br />
私の依頼者なら、内容は十分理解していますから「わかりやすい」のですよね。<br />
相手方依頼者も、同じよう理屈で、私の準備書面が「難解」と言っているのではないでしょうか。</p>
<p> 通常、法律家になるためには、大学入試で文章を書き、司法試験で論文を書き、それらに合格していて、さらに実務で無難に仕事をしているわけですから、少なくとも、大学教授や法律家など専門家からみると「おかしな文章」ではないのでしょう。「おかしい文章」を書いていては、試験に合格しませんし、実務で淘汰されてしまいます。</p>
<p><br />
ただ、刑事は、裁判員制度の導入があって、一般の人にもわかりやすい文章を書くようになってきているようです。<br />
涙ぐましい努力ですね。<br />
特に、刑事の場合「一般受け」する文章など必要なかったわけですから。</p>
<p> 民事は、私が引退するまでに、陪審制は導入されないでしょう。<br />
私は、涙ぐましい努力をすることなく、従前どおりの文章を書いていればよいことになります。<br />
ここまで「無難に」やってきたのですから、「従前どおり」やっていればいいわけで、あまり「改革」は必要ありません。</p>
<p> もっとも、このホームページの文章は、多少なりとも、一般人受けのするように努力して書いています。<br />
どれほど、奏功しているかどうかはわかりませんが・・</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
ゼロ地域の消滅とワン地域の減少
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3224#block95-3224
1
<div>弁護士増員論の中に「弁護士過疎地域をなくす目的」というのがあります。<br />
わたしは、かつて「弁護士増員は過疎地対策になるのでしょうか」というコラムを書いたことがあります。
<p> <a href="http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/data/zero_one_graph.pdf" target="_blank">「 弁護士0~1地裁支部数の変遷について」 </a>をご覧下さい。</p>
<p> 平成20年(2008年)6月2日、弁護士ゼロ地域は全て解消されました。<br />
平成20年(2008年)10月1日現在・弁護士が1人の支部は21残っています。</p>
<p>旭川地方裁判所<br />
名寄支部 1名<br />
紋別支部 1名<br />
留萌支部 1名<br />
仙台地方裁判所<br />
登米支部 1名<br />
千葉地方裁判所<br />
佐原支部 1名<br />
大津地方裁判所<br />
長浜支部 1名<br />
奈良地方裁判所<br />
五條支部1名<br />
松江地方裁判所<br />
西郷支部 1名<br />
岡山地方裁判所<br />
新見支部 1名<br />
福岡地方裁判所<br />
八女支部 1名<br />
柳川支部 1名<br />
長崎地方裁判所<br />
平戸支部 1名<br />
壱岐支部 1名<br />
五島支部 1名<br />
厳原支部 1名<br />
大分地方裁判所<br />
杵築支部 1名<br />
佐伯支部 1名<br />
竹田支部 1名<br />
熊本地方裁判所<br />
玉名支部 1名<br />
阿蘇支部 1名<br />
鹿児島地方裁判所<br />
加治木支部 1名</p>
<p> 弁護士大増員の「唯一」といっていいほどの功績でしょうか。<br />
ただ、過疎地では、民事に限れば、サラ金・クレジット問題、消費者被害、交通事故、土地境界、金銭貸借など、ごく限られた事件ですから、基本的に「おもしろく」ないでしょうね。私は、絶対行きたくないですね。<br />
「会社事件がない」というのが致命的でしょうか。</p>
<p> ただ、医師の場合は、「無医村」に行くと、自分の病気を診るという医師がいないという点が致命的なのですが、弁護士個人が、裁判所に行くような法的紛争に巻き込まれると言うことは「まれ」でしょう。<br />
どうせ、裁判所は、平日の9時から5時までしか開いていないのですから、「急用」もありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
生活保護法
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3223#block95-3223
1
<div>
<h3> </h3>
<p><a href="http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/seikatuhogo.html" target="_blank">「生活保護制度の概要」 </a>をご覧下さい。</p>
<p> 生活保護を申請したものの「自発的に生活保護を辞退した」人が、餓死したというニュースがありました。<br />
この申請者は、本当に、生活に困っていたのだと思います。<br />
ただ、生活保護制度を悪用する人がいるのもまた事実です。</p>
<p> まず、働ける年齢の方の場合、ちゃんとした医師による病気である診断書が必要です。<br />
自称「体調が悪くて働けない」人は生活保護は受けられません。<br />
通常の人は、少々の風邪位では寝込んだりせず、無理して働いては体を壊してしまうため病気を重くしてしまいます。<br />
この世の中には「働かなくてもお金が入れば、それの方がいい」 という人は結構います。<br />
なお、病気の内容ですが「アルコール依存症」による「肝炎」の人で生活保護を受けていた方がいました。病気といえば病気なんですが。それも、昼間から酒臭い、生活保護のお金が酒に化け、肝炎を悪化させています。</p>
<p><br />
また、夫婦は同一レベルの生活をするということが前提ですし、民法877条1項には「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある」と定められています。但し、夫婦と違い、自分の生活を犠牲にしない限度で、最低限の不要をすると解されています。</p>
<p> また、民法877条2項には「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」となっていますから、親や兄弟が人並み以上の生活をしていれば、赤の他人(税金)による生活保護より、近親者の援助が優先します。 <br />
おじおばに高額所得者がいれば、赤の他人(税金)による生活保護より、おじおばの援助が優先です。<br />
頼むのが「気まづい」という言い訳は通用しません。</p>
<p> 親・兄弟、内縁の夫など、周囲の人間からそれなりの援助をもらっているにもかかわらず、それを報告しないで生活保護費も満額受領する「猛者」もいます。<br />
これはもちろんルール違反、その分は削られます。</p>
<p> 次に、高額の賃貸マンション・アパートは出なくてはなりません。<br />
生活保護を受ける以上、文化的な最低限度の生活を甘受する必要があります。</p>
<p><br />
ただ、ちゃんと働けるような人が生活保護を受けて大きな顔をし、しかも受給額を減らされない様に歩ける距離でもタクシーを使ったりするという不意受給者が絶えないのも事実です。<br />
他人名義のベンツで、生活保護のお金を受け取りに来る、反社会団体の構成員もいます。</p>
<p> 北九州市のような餓死者が出ると、社会問題化します。<br />
私は、絶対しませんが、生活保護を受けられるように社会保険事務所に同伴してくれる「優しい」弁護士さんもおられるようです。<br />
なお、申請があれば審理することは必要で、「不受理」扱いは違法です。</p>
<p> 一般の方が申請に行っても、申請書さえ渡さないことに対し弁護士団体が動き出し、同行するなどしているのが若干の救いか、これから期待できるのかなとは思っていますが・・</p>
<p> なお、ニートなる言葉が大流行ですが、親のすねををかじり、年金も払わず、当然老後の蓄えもせず、年老いて無年金になったからといって、生活保護を受けようとする人が将来増えてくるでしょう。<br />
少し納得いきませんね。</p>
<p> もちろん憲法25条「最低限の文化的生活を保障する国の義務」はあるにせよ、「働かざるべきもの食うべからず」が基本でしょう。そうでなければ、真面目に働く人の方が少数になって、社会は崩壊します。</p>
<p> 働く意欲はあるが、病気などで働けない人を生活保護するのは当然の国の義務だとは思いますが。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士自身の個人民事再生
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3222#block95-3222
1
<div>昔、レインメーカーというアメリカ映画がありました。<br />
うろ覚えですが、主人公の弁護士は、ロースクール通学中に自己破産を申立て免責を得たというストーリーだった記憶があります。
<p> 話を現実の日本に戻します。</p>
<p> 私たちのころは、司法試験に「さえ」合格すれば司法修習生になれました。</p>
<p> 現在は、通常のロースクールを経て修習生になろうとすると、法学既修者で2年追加です。授業料は結構かかります。親に財力がなければ、奨学金をもらわなければなりません。<br />
また、 平成22年11月以降採用された司法修習生については、さすがに授業料はいりませんが、給与がなくなり貸与制度となります。1年で250万円程度ですね。ちなみに、研修専念義務がありますから、副業(アルバイト)はできません。<br />
さらに、各単位弁護士会に登録するために50万円程度のお金がかかります。これは、分割支払は可能です。</p>
<p> 親が裕福な人はいいですが、そうでもなければ、多額の借金をかかえて弁護士をスタートすることになります。<br />
まして「軒弁」や「宅弁」ということになると、当座、まともに収入はありません。</p>
<p><br />
そのような人のために、借金をなんとか圧縮できないかということを考えてみました。<br />
<br />
弁護士は、破産してしまうと弁護士資格を失います(弁護士法7条5号)。<br />
しかし、個人民事再生なら、弁護資格を失いません。</p>
<p> ということは、奨学金と、修習生時代国から貸与された250万円と、弁護士会登録の際の分割金残金を、個人民事再生手続きを使って5分の1程度に圧縮するということが可能かも知れません。<br />
可能であれば、大学時代の奨学金を5分の1程度に圧縮することも可能でしょう。</p>
<p> 育英会と国と弁護士会は、個人民事再生に反対するでしょうから、小規模個人民事再生手続きはとれません。<br />
債権者が全員反対しようが、有無をいわせず認可がもらえる給与所得者個人民事再生手続きをとることになります。</p>
<p> すると、自営業者扱いの「軒弁」や「宅弁」は不適格者(他のアルバイトをして給与をもらうという手はあるかも知れません)で、「イソ弁」だけが対象となりますね。</p>
<p>弁護士に依頼すると37万5000円+実費程度が必要となりますし、弁護士の資格を持っているのですから、本人申し立てでできそうです。<br />
ただ、本人が申立てをすると、例え弁護資格を持っていようと、本人扱いで監督委員の選任のため15万円の予納金はいるかも知れません。あと、4万円程度の実費がかかります。</p>
<p> 3年間で借金の5分の1を返せばいいわけですから、「背に腹はかえられない」という人が将来出るかも知れません。</p>
<p> もっとも、ブラックリストにのって、クレジットカードも作れません。<br />
ただ、お金に困ったからといって、他人のお金に手をつけたのでは除名を含め、重い懲戒処分が待っていますから「ベスト」ではなくても「ベター」な選択かも知れません。</p>
<p><br />
ちなみに、私個人は、弁護士の「個人民事再生」という話は聞いたことがありませんし、現実化はしていません。<br />
ベテラン・中堅には、大きな借金を抱えている方は多いですが、住宅ローンを除いて5000万円までという「しばり」があるから利用はできません。</p>
<p> ただ、弁護士登録直後なら「支払い困難な借財ができるに至った合理的な理由」があると思います。金銭に「だらしない」わけではありませんから。原則として、法科大学院学院を終了しなければ弁護士になれない、司法修習生になっても給与はもらえないとの制度自体が悪いということになります。<br />
もっとも、破産するのではないから、理由は何でいいということになりますが、約束を守れない正当な理由を考えた方が精神衛生上は良いでしょう。「自分は悪くない。制度が悪い」。</p>
<p> 将来は、弁護士になるにも「親の財力勝負」になりますね。<br />
あまり健全ではありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
サンドイッチ弁護士
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3221#block95-3221
1
<div>
<p> 「サンドイッチ弁護士」という言葉をご存じでしょうか。</p>
<p> 出資法の改正を先取りして、大手サラ金業者が、新規顧客への貸出金利を利息制限法所定の利率以下にしているようです。<br />
つまり、モビットやキャッシュワンの金利と同じということですね。</p>
<p> 出資法と利息制限法との乖離部分=グレーゾーンは、弁護士が、任意整理の支払金額を下げたり、過払請求をしたりして、弁護士の報酬受領のビジネスチャンスを提供していた面があることは否定できません。<br />
つまり、出資法改正は、弁護士のビジネスチャンスを奪ってしまう側面もあります。<br />
若い弁護士さんなどは、個人破産・過払返還請求が、主要な「飯の種」という話も聞きます。<br />
「サンドイッチ弁護士」さん。<br />
その心は「はさんで(「挟んで」「破産で」)食ってる弁護士さん」<br />
お後がよろしいようで・・・</p>
<p>と、ここで終わってしまっては、不十分です。</p>
<p> 出資法と貸金業法の改正で、いままで「綱渡り」していた債務者が、新たに借りられなくなり、弁護士のところに来ることが多くなっています。<br />
このような「堅実な」「多重債務者」は、過払金が多いものです。</p>
<p> 地方裁判所の民事部の事件を示すボードには、被告が大手サラ金の事件が「ごろごろ」しています。<br />
まだ、過払い返還は事件になりそうです。<br />
あと2、3年は「破産で食っている弁護士」=「サンドイッチ弁護士」も生き延びることができるかも知れません。</p>
<p> ただ、出資法の改正により、過払金返還は近い将来枯渇します。<br />
「我が過払返還は永久に不滅です」というわけにもいかないようで、弁護士大増員時代「サンドイッチ弁護士」さんたちはどうするのでしょうか。</p>
<p> 弁護士は、交通戦争の時に交通事故事件で稼ぎ、バブル時代には不動産売買で稼ぎ、大不況時代には破産事件で稼ぎ、今、過払金返還請求で稼ぐといった「めざとい」ところがありますから、「食いっぱぐれ」はないのかも知れません。<br />
ただ、今回は、弁護士大増員という、今までにない「特殊事情」がからんできますので、行方は不透明です。</p>
<p>(訂正歴) 平成20年10月24日訂正。「貸金業法」を一部「出資法」に改正</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所とフロッビ
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3220#block95-3220
1
<div>
<h3> </h3>
<p><a href="http://www3.ocn.ne.jp/%7Etdc21/hudousan/h-uketuke/FDisk.html" target="_blank">「東京地方裁判所民事執行センター・競売申立時のフロッピーディスク提出のお願い」 </a>をご覧下さい。</p>
<p>「 当部では,不動産執行事件の処理をコンピュータ化したことに伴い,競売申立の際に,申立債権者各位から,「担保権・被担保債権・請求債権目録」(強制競売申立ての場合には「請求債権目録」)に記載された情報をフロッピーディスクで提供していただき,そのフロッピーディスクを利用して当部のコンピュータに入力する方式を採っています」<br />
となっています。</p>
<p>「なぜ、今頃フロッピーディスク?」「CDに焼いたり、フラッシュメモリーはだめなの?」「電子メールでいいんじゃないの?」<br />
と考えられた方おられませんか。</p>
<p> 実は、弁護士も、複雑な事件になると、準備書面などの原稿をフロッピで持ってくるよう裁判所書記官に指示されたり、制限利息計算の算出式の入ったフロッピを持ってくるよう裁判所書記官に指示されたりしています。</p>
<p> なぜ、電子メール添付ではないのでしょうか。</p>
<p> 実は、たとえば、大阪高等裁判所、大阪地方裁判所、大阪簡易裁判所などは、庁舎内にこそ有線LANで結ばれていますが、インターネットで外部に接続していないのです。<br />
ですから、裁判所の一般部には、電子メールも送付できませんし、添付メールも送信できません。<br />
必要があったら、フロッピを持参するか、遠方の場合は郵送してね、ということになります。</p>
<p> これは、外部からのハッキングなどの予防でもありますし、裁判所職員のウィルスなどについての知識の低さによります。<br />
もちろん、裁判所職員が、フロッビやフラッシュメモリを持込むことは禁止、私物のパソコンの持込みや、裁判所のパソコンの持出しも禁止です。</p>
<p> 裁判所は、デリケートな事件を扱いますから、盗み見られると大変なことになるのです。</p>
<p> ちなみに、表計算は一般にエクセルですが、ワープロソフトは、伝統的に一太郎が好まれ、ワードが好まれない傾向にあります(ビューアーやファイル変換ソフトはあります)。<br />
どちらにしましょうかと書記官に聞くと、一太郎指名が多いです。</p>
<p>なお、一太郎が工業所有権を侵害しているという判決がありましたが(上訴審でひっくりかえりました)、その判決を書いたワープロは一太郎だったそうです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
原価のネタばらし
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3219#block95-3219
1
<div>原価いろいろというコラムで以下のように書いています。
<p> 「 私の事務所のように、旧大阪弁護士会報酬規定に準拠している場合、旧大阪弁護士会報酬規定が、事件の類型で「黒字」「赤字」と分かれるような、あまり合理的でない報酬体系になっていますから(回転寿司のネタの原価、100円均一ショップの原価のように「ばらばら」です)、受任の段階で、事件の類型ごとに「黒字」「赤字」がおおよそわかります。<br />
どういう事件が「黒字」で、どういう事件が「赤字」かは書きません。<br />
「黒字」の事件について、「値切られる」おそれがあるからです。<br />
逆に「赤字」の事件だからといって、追加して報酬をもらえるわけではありません。」</p>
<p> ということでしたが、1つお教えします。<br />
離婚訴訟事件は、結婚期間、年齢、未成年の子供の有無などにかかわらず、着手金30万円+消費税、報酬30万円+消費税と均一になっています。<br />
慰謝料とか財産分与とか年金分割があれば、その分別途追加です。</p>
<p> ということで、同料金の離婚事件ですが、未成年の子供がいるかどうかによって大きく違います。親権・養育費・面接交渉などで、調停がまとまらず訴訟、訴訟で和解ができず判決、判決に納得せず控訴・・と延々と続く場合があります。<br />
面接交渉の立会いまですることもあります。</p>
<p> しかし、未成年の子がなければ楽ですね。親権・養育費・面接交渉がなければ、争点は多くありません。そして、争いの解決ははるかに楽になります。</p>
<p> また、子が独立した熟年離婚は弁護士としては割に合う事件です。<br />
未成年子はいない、それなりの財産を築いていて財産分与も大きい、年金分割なども期待できる、などなど「楽」で「得」です。</p>
<p> 競争の激しい民間企業なら、絶対、未成年の子の有無で、弁護士報酬の金額を分けるでしょう。<br />
もちろん若い人から余計にいただき、熟年者からは少なくいただくという料金体系になります。<br />
お金のない若夫婦が多額の弁護士報酬を負担し、お金のある熟年夫婦が少額の弁護士報酬の負担が少ないとすれば、「逆累進」もいいところです。<br />
ただ、若い人は、弁護士に報酬を支払うだけの資力が不十分な方も多いですから「割増」など「とんでもない」ということになります。</p>
<p>弁護士は、未だに「算術」ではなく「仁術」でしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
税理士は危険な仕事?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3218#block95-3218
1
<div>私は、上場企業の倒産申立手続きに関与した経験はありません。<br />
私の関与する企業の倒産手続きは、せいぜい、企業の負債が数億程度ですから(手続きをしているうちに、十億円を超えていることが判明したりはします)、上場はしていません。株主は実質身内のみで、迷惑をかけるのは、金融機関、買掛先、従業員というのが基本です。
<p> 通常、粉飾決算をしています。<br />
ただ、粉飾の方法は「資産を水増しする」か「負債を計上しない」かどちらかの方法しかありません。</p>
<p> もちろん、理由は、赤字決算だと、金融機関が追加の金を貸してくれない、極端な場合は実質長期の貸金を法的について「短期だから」といって引続いて貸してくれない(貸しはがし)、無理な追加担保の提供を求められるなど、ただでさえ苦しい資金繰りが、いっそう苦しくなるからです。</p>
<p> どこを粉飾していたのかを聞くと、代表者、経理担当者、税理士・公認会計士に聞くと「自分でもわからなくなるような粉飾はしない」とのことで、「ここ」と「ここ」と「ここ」というふうに限定しているのが普通です。<br />
もちろん、税理士・公認会計士が粉飾が関与していたなどということは、口が裂けてもいえません。ですから、単純な粉飾であればあるほど気が楽なのです。複雑な粉飾を、会計の素人の経営者や経理担当者ができるとは思えませんし、管財人にも信じてもらえません。<br />
もちろん「あうんの呼吸」「お互い様」で、管財人も税理士・公認会計士が関与していなかったことにしてくれるのが通常です。</p>
<p> 資産水増しの方法としては、以下のものがあります。私が倒産手続き(破産、民事再生、営業譲渡)などに携わる案件は、複雑なことをしているわけではありません。</p>
<p> 1 棚卸資産(在庫)を過大に計上する。<br />
2 売上を架空に計上する。<br />
全くの架空の場合もありますし、決算期末に売れ残った商品を、返品を条件に取引先に便宜引取ってもらい、売上を水増ししている場合もあります。<br />
3 売上を前倒して計上する。<br />
取引先と「ぐる」の場合もあります。<br />
4 実際回収不能になっている(極端な場合は、売掛先が破産している場合もあります)売掛金をそのまま資産に残しておく。</p>
<p> 負債を計上しない方法としては、以下のものがあります。私が倒産手続きなどに携わる案件は、やはり、複雑なことをしているわけではありません。これは、資産水増しより少ないです。</p>
<p> 1 負債の存在を全く隠す。あるいは、過小に記載する。<br />
2 減価償却を全くしない。<br />
3 負債が商工ローンなど高利貸しである場合は、当然の話ながら、借受金も出さないし、まして、支払利息を経費に上げない。</p>
<p> 私は、健全に生きている会社については、法的トラブルの対処はしても、経営にまで口を出しません。わかることもありますが、自分に相談しないのは経営者が自分で対処可能と判断して、気付かなかったことにします。</p>
<p> まあ、上場をしていないのですから、粉飾決算を見抜けなかったとの理由で損害賠償請求をされた民事裁判を提起されることは「まれ」です。金融機関の担当者は「うすうす」気付いているでしょうが、「気付かなかった」ことにするのが賢明です。<br />
ぎりぎり100万やそこらの黒字が2年3年続くというのは、誰が見ても不自然です。たった1年でも不自然ですね。</p>
<p> でも、税理士・公認会計士は危険ですね。<br />
自分が見捨てたら、会社が金融機関からお金を借りられなくなって即倒産、かといって、見捨てないと自分の責任が追及される、全くの「ジレンマ」です。<br />
「過失」で見逃していても、裁判所は、税理士や公認会計士のこの種事件の過失認定について、医療事件と同様、専門家としての注意義務について、なまじ、裁判所は結果を先に知っているだけに、常識よりきびしい考え方をしているはないかということがあるようです。</p>
<p> 私の扱う程度のレベルの事件を扱う、「まともな」弁護士は「危ない橋」はわたりません。<br />
会社が倒産するのは経営者の問題です。<br />
粉飾決算をして、金融機関から金を借りたら、現実に訴追されるかどうかは別として「立派な」「詐欺」です。<br />
なぜ、弁護士が「詐欺」と知っていて、荷担しなければならないのでしょうか。<br />
弁護士のバッジや弁護士としての名誉が優先するのは当たり前、傷が深くならないうちに、まっとうな経理処理をするか、傷が浅いうちに、法的処理をしてしまうというのが正解です。従わなければ、その会社と縁を切ってしまい、他の「もうけ仕事」にとりかかればよいのです。<br />
もっとも、倒産手続きを依頼された段階で、実質的な資産と負債、決算報告書を見るわけですから、粉飾会計の、いわば会計の「準」「素人」である弁護士にもわかります。<br />
このような場合は、弁護士に責任はありませんから「粛々」と倒産手続きをすすめればよいのです。<br />
また、弁護士の他に、倒産手続きに関与できる職業の人はありません。<br />
もちろん、破産手続開始申立書、民事再生手続き開始申立書には、破産管財人の便宜のために、「粉飾」の開始時期、「粉飾」の箇所・手口、「粉飾の」金額など内容の詳細が一覧表になっています。</p>
税理士や公認会計士は、基本的に、損な役回りですね。<br />
よほど度胸がすわっていないと仕事はできませんね。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
財団法人
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3217#block95-3217
1
<div>日本相撲協会が「財団法人」ということはご存じでしょうか。
<p> 通常のスポーツの団体は、通常「社団法人」で、大相撲だけが例外です。</p>
<p> 民法34条では「財団法人」とは次のように規定されています。<br />
「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる」となっています。<br />
日本相撲協会は、大相撲の興行、相撲競技の指導・普及、相撲に関する伝統文化の保持などを目的としているので、財団法人となる要件を満たしているとされています。<br />
今は「?」が5つ位つきますね。</p>
<p> なお、会社や一般社団法人の定款に該当するものは、日本相撲協会が財団ですから、 <a href="http://www.sumo.or.jp/kyokai/goannai/0024/index.html" target="_blank">「寄附行為」 </a>になります。</p>
<p> 法人の根本規則を「定款」ならわかるのですが、「寄附行為」というのは変な日本語ですね。<br />
民法37条には「社団法人を設立しようとする者は、『定款』を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。<br />
1 目的<br />
2 名称<br />
3 事務所の所在地<br />
4 資産に関する規定<br />
5 理事の任免に関する規定<br />
6 社員の資格の得喪に関する規定<br />
民法39条には「財団法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする『寄附行為』で、37第1号から第5号までに掲げる事項を定めなければならない」と定められています。(『』付記)</p>
<p> どうも「寄附行為」というのは「誤訳」っぽいですね。</p>
<p> 「定款」は「約款」「付款」の「款」ですから「きまりごと」を意味する「款」に「さだめる」の「定」ですから、「諸規定」という趣旨ですね。</p>
<p> 「寄附行為」というのは、ドイツ語の「Stiftungsgeschaeft」の訳という説があります。 確かに「Stiftung」というのは「寄附」という意味もありますが、「設立」という意味もありますし、「geschaeft」は「行為」のほかに「事業」という意味があります。<br />
同じ「定款」でよかったのではないでしょうか。</p>
<p> なお、「寄附行為」はフランス語の直訳という説もあり、「行為」と訳された「acte」は「行為」のほか「証書」「法令」という意味があり、「寄附」は「寄附」でよいが「acte」を「証書」と訳すべきだという説もあります。</p>
<p> ちなみに、日本の法律は、民事訴訟法のように「ドイツ法」を「ぱくった」(信じられない高給を出してお雇い外人である法学者に起草してもらった)ことが明らかなものもありますが、民法は「ドイツ法」「フランス法」どちらから「ぱくった」(信じられない高給を出してお雇い外人である法学者に起草してもらった)かわからなくなっているものもあります。</p>
<p> なお、日本は明治時代に、いままで漢字による表記のできなかった概念を漢語訳し、漢字の本家中国に逆輸出して(もちろん無償です)「恩返し」をしていますし、今も、アジアの発展途上国の法制度の整備のために、無償で協力している立場にあります。</p>
<p> 平成20年12月10補記<br />
なお、 本コラムが<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%84%E9%99%84%E8%A1%8C%E7%82%BA" target="_blank">「Wikipedia」 </a>に引用されています</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法試験合格者数についての弁護士の内輪もめ
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3216#block95-3216
1
<div>私自身は、ヨーロッパに旅行中で不在だったのですが、平成20年8月6日に、大阪弁護士会で臨時総会がありました。<br />
司法試験合格者を平成22年までに年3000人に増やす政府計画をめぐり、「今年度の合格者数を多くとも前年度並みの2000人規模に抑えるよう求める」執行部の決議案を賛成多数で採択しました。<br />
執行部案を「不十分」とする若手弁護士ら約200人が「当面の合格者数を前年度より大幅に減少させる」ことを求めた独自の決議案も提出されましたが否決されました。
<p> 「弁護士の質が落ちる」「公益活動がおろそかになる」「新人弁護士が就職難になる」「一生に一度弁護士に依頼する市民が、程度の低い弁護士に依頼する確率が増え、被害をこうむる確率が格段に高くなる」というのが、弁護士の共通した公式見解です。</p>
<p> マスコミの論調は、弁護士は、これを「隠れ蓑」にして、自分たちの収入を守ろうとしているにすぎないというものです。</p>
<p> 気になるのが、一部「若手弁護士」が、「自分の期の合格者数」より「後の期の合格者数」を減らせという主張を本気でしていることです。<br />
平成20年8月6日の臨時総会においても、去年・一昨年に弁護士になった人が、自分の合格したときの試験より、試験の合格者数を減らせと論陣を張った弁護士がいたようです。</p>
<p> これはまずいですよね。大増員のおかげで合格できた人が、合格したとたんに、現状維持ならまだしも、合格者を大幅に減らせというのは。</p>
<p> 「質が落ちるから」増員反対という、弁護士ほぼ一致の「見解」がとんでしまうと、「自分の収入が低下するから」「増員反対」という「本音」だけがむき出しになってしまいます。</p>
<p> 弁護士は、弁論と書面により、裁判官を納得させる職業です。<br />
他の先輩弁護士が、一生懸命弁論をしているのですから、横から足を引っ張るようなことはせず、おとなしく見ておいた方がよい、雇った弁護士さん気の毒やと思うのは私だけでしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
男女平等
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3215#block95-3215
1
<div>日本では、平成11年の「男女雇用機会均等法」の改正などとのかねあいで、平成13年「保健師助産師看護師法」により、女性を「看護婦」、男性を「看護士」と呼んでいたのを、男女の区別なく「看護師」という名称に統一されました。
<p> 本当に女性の地位向上とか、平等とかに役立つのでしょうか。</p>
<p> ちなみに、ドイツでは、職業をあらわすとき、ほとんどの場合、男性か女性かわかります。<br />
末尾に「in」がつきます。単語によってはウムラウトつきの文字に変化します。<br />
生徒 Schuler(男性)、Schulerin(女性)<br />
学生 Student(男性)、Studentin(女性)<br />
教師 Lehrer(男性)、Lehrerin(女性)<br />
公務員 Beamter(男性)、Beamterin(女性)<br />
警官 Polizist(男性)、Polizistin(女性)<br />
医師 Arzt(男性)、Aerztin(女性)<br />
裁判官 Richter(男性)、Richterin(女性)<br />
弁護士 Rechtsanwalt(男性)、Rechtsanwaeltin(女性)<br />
検察官 Staatanwalt(男性)、Staatanwaeltin(女性)<br />
政治家 Politiker(男性)、Politikerin(女性)<br />
大臣 Minister (男性)、Ministerin(女性)</p>
<p> これは女性の地位を下げていたり、不平等なのでしょうか。</p>
<p>3年前に、ドイツで女性の連邦首相(ドイツでは伝統的に「宰相」といいます)が誕生しました。<br />
<a href="http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Angela_Merkel_%282008%29.jpg" target="_blank">「Bundeskanzlerin Angela Merkel」</a> という政治家です。<br />
それまでは、ビスマルクをはじめとして、Kanzler 、つまり男性しか連邦首相にしかなっていなかったんですね。</p>
<p> さあ、日本とドイツと、どちらが「男女平等」がすすんでいるでしょうか。<br />
日本の「言葉遊び」からすると、日本ですね。<br />
本当はどうでしょう。<br />
女性が連邦首相になっているのですから、ドイツではないでしょうか。<br />
ちなみに、ドイツの<a href="http://www.bundesverfassungsgericht.de/richter.html" target="_blank">「連邦憲法裁判所(日本の最高裁判所に相当)裁判官」</a>16名のうち3名も女性です。かつて、長官も女性だったこともあります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
捕虜の待遇
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3214#block95-3214
1
<div>1949年ジュネーブ条約のうち、捕虜の待遇を定めた第3条約は、捕虜の人道的待遇を締約国に義務付けており、捕虜を死に至らしめることや、健康に重大な危険を及ぼす行為を禁じています。さらに捕虜は、暴行や脅迫、侮辱からも保護されると定められています。<br />
つまり、捕虜はすべての場合においてその身体および名誉を尊重される権利を有しており、性別や人種、国籍などによる待遇面でも差別されてはならない。捕虜に尋問する場合は、肉体的・精神的拷問やその他の強制を加えることが禁止され、回答を拒む捕虜に対する脅迫、侮辱、不利益な待遇を与えることをも禁じられていることになります。
<p> 第二次世界大戦中、日本軍が、「ごぼう」をイギリスの捕虜に食べさせたところ、「木の根」を食べさせられたから「捕虜虐待」だと非難されることがありました。B、C級戦犯で裁判にかかった人もいるようです。</p>
<p> イギリスやドイツが、日本人を捕虜にすれば、日本人から「ろくな食べ物を与えない」として「捕虜虐待」だと非難するかもしれません。もともと、食べ物、まずいですからね・・</p>
<p><br />
ところで、中国オリンピックを見ていると、とにかく人間が多いのが目につきます。</p>
<p> ただ、中国と戦争をする国があると仮定します。<br />
中国軍が、大挙して「白旗」をあげて「捕虜」になった場合はどうでしょう。<br />
中国人の捕虜が1949年ジュネーブ条約第3条約「捕虜はすべての場合においてその身体および名誉を尊重される権利」を主張した場合、忠実に権利を尊重していたら、いくら食料があっても足りません。<br />
<br />
もちろん、中国を核爆弾で、人間ほぼ全員を殺戮、都市全体を廃墟にしてしまえば、問題はない(?)かも知れませんが、局地戦において、ジュネーブ条約を順守しようとしたら、自国の経済が成り立っていきませんね。</p>
<p> 中国は、人口が多すぎる故に、不敗国家となっているのではないでしゅうか。<br />
ちなみにインドも同じかもしれません。パキスタンとの全面核戦争でもすれば別でしょうが(でも、相手を殲滅するだけの核はどちらももっていないかも知れません)</p>
<p> いくら戦争で勝利しても、捕虜問題で講和するしかないでしょう。<br />
中国が徹底的に抗戦すれば、国際法を順守する限り、戦争に負けることは考えにくいですね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
A4横書き
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3213#block95-3213
1
<div>現在、訴訟記録は、A4横書きとなっています。
<p> それまでは「B4縦書き袋とじ」でした。<br />
「縦書き」は、新聞や文庫本は今でも同じです。<br />
「袋とじ」というのは、B4の紙を2枚に折る前提で文書を作成し(上の余白、下の余白、横の余白のほかに、中央部分にも余白をつくっておきます)、それを折って、B5サイズにするというやり方です。</p>
<p> 横書きは、算式や数字の並ぶ交通事件訴訟などで、便利になりましたねという程度です。<br />
もちろん、化学式などは縦には書けないでしょうし、ラテン文字を縦に書くわけには行かないでしょうから、そのような文書を多く書く人弁護士さんにとっては朗報だったでしょう。</p>
<p> また、実質「B5サイズ」が、「A4サイズ」になったのは、いっぺんに多くの文章が見ることができて便利という人がいます。もっとも、最初の頁や最後の頁を除き、開くとB4サイズ分見ることができるわけですから、2頁以降は不便になっているかも知れません。</p>
<p> 「袋とじ」というのは、コピーをしたうえで、わざわざ折って書面をつくるわけですから、事務の効率化という点では格段の差があります。<br />
量の多い書面でも、コピー機にセットしてソート機能を使えば、手数はわずかです。<br />
「袋とじ」だと、1枚1枚折っていかなければなりません。<br />
そういえば、昔は、紙と紙の間に、いちいち割り印を押していましたが、今は、ページ数さえ打っておけば、割り印は要りません。</p>
<p> この書式になったのは、平成13年1月1日からのことで、過渡期には、縦横が混在し、A4とB4(B5)が混在していて、やっかいでしたが、さすがに7年もたつと、古い記録はなくなりました。</p>
<p> 家庭裁判所は、従前より横書きでした。サイズはB4横書き袋とじだったと思います。<br />
少年事件の記憶はありません。</p>
<p> 刑事も、基本的に民事と同じ時期にBサイズからAサイズになった「はず」です。</p>
<p> 私は、あまり刑事事件は余りやりません。<br />
独立直後(半年~1年くらい)はヒマだったので「小遣い稼ぎ」に国選をしていた時期がありますし(破産管財事件がとってかわりました)、その後も、外国人の国選(要通訳事件)を、大阪弁護士会職員の人から「引き受け手がない」と頼みこまれて、何件かやったことはあります。<br />
最近、若い弁護士さんを中心に、国選事件が「取合い」になっているらしく、国選弁護人のなり手に不自由しなくなったようです。<br />
信じられないことですが、弁護士増員の影響でしょうか。</p>
<p> 私は「横書きの起訴状を見たことがありません」から、平成13年1月1日から、刑事の公判廷にたったことがないことになります。</p>
<p> ただ、起訴前の弁護は、この間も何件かしていて、横書きの勾留状は見たことがあります。<br />
被害者との示談交渉を成立させるなどして、全部、不起訴か罰金になったため、結果として起訴状をみずに事件が終了したことになっただけです。</p>
<p> 話は変わって、テレビや映画で、裁判ものがありますね。<br />
一応、専門家としては「つっこみどころ満載」なのですが、「裁判長役の俳優が、判決を読むとき、どうみても横書きの文章を読むような目線の動きをしている」「おかしい」とつっこみかけたことがありました。<br />
構成作家や監修した弁護士は間違ってないんですよね。</p>
<p> なお、裁判員制度が、来年から始まります。<br />
罪名をみると、私が弁護人としての仕事をしていたような刑の軽い事件は、裁判員による審理の対象とならないようですね。<br />
私は、最初から裁判員制度とは縁がないようです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判官の不祥事と自殺
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3212#block95-3212
1
<div>
<p>ストーカー行為により、逮捕起訴された宇都宮地裁の下山芳晴判事(55。現在、拘置所に勾留中)について、東京高裁の竹崎博允長官は13日、「弾劾による罷免事由がある」と最高裁に報告し、最高裁は、国会の裁判官訴追委員会への訴追請求しました。</p>
<p> 当該判事も、平成20年6月30日には160万円(公表されていないので推定)のボーナスなどが支給された思います。来月から罷免されるまで月額84万円の報酬が入ります。</p>
<p> なお、裁判官の不祥事にはいろいろあります。<br />
<a href="http://www.dangai.go.jp/lib/lib1.html" target="_blank">「裁判官弾劾裁判所のホームページ」 </a>を見てください。</p>
<p> なお、この他に、昭和55年、小倉簡裁判事が女性被告を呼び出し性的関係を持ったという事件がありました。私は、大阪地方裁判所に昭和55年に任官していますから、鮮明に記憶が残っています。<br />
<br />
この件は、裁判官弾劾裁判にかかる前に、弾劾裁判がされないよう首長選に立候補し弾劾裁判にかかりませんでした。もともと、簡易裁判所判事ですから、法曹資格はない(弁護士になれない)のですが、退職金・年金は、まるまる手にしました。代償は、公務員職権濫用罪で懲役1年の実刑判決でした。<br />
これを機に、裁判官は、首長選などに立候補しても「地位を失わず」「弾劾裁判所にわり審理が行われるように」公職選挙法が改められました。いまなら、間違いなく罷免です。</p>
<p> また、平成14年、神戸地裁所長が電車内で女性に痴漢行為をしたとして書類送検。神戸地検は起訴猶予とし、依願退官したことがあります。</p>
<p> 一見すると、刑事系の裁判官か、民事系の裁判官かはわかりません。<br />
裁判官は、ある程度たつと、刑事系・民事系に分かれます。もちろん1人支部などではすべてやりますが・・<br />
ちなみに、私は、民事系でした。ほとんど刑事はやっていません。</p>
<p> ただ、鬼頭判事補のあたりからは、大体実名を含めてわかります。<br />
児童買春で罷免になった東京高等裁判所判事、痴漢で依願退官した神戸地裁所長、今回の宇都宮地方裁判所判事と、女性がらみの不祥事は、圧倒的に刑事担当者が多いです。</p>
<p> おもしろいもので、どこへ行っても、刑事系の裁判官は、よく酒を飲み、民事系の裁判官は、余り酒を飲みません。もちろん、個人差はあります。</p>
<p> 民事系の裁判官は、刑事系の裁判官を「ひま」だから、酒を飲む時間があるといい、刑事系の裁判官は、仕事の内容上、酒でも飲まないとやっていられないと言い訳します。<br />
民事系、刑事系いずれにせよ、ストレスの多い職業であることにかわりはありません。</p>
<p> 女性がらみの不祥事は、刑事担系裁判官が多いのに比べ、民事系裁判官には、圧倒的に自殺者が多いです。<br />
一部を除き、あまりセンセーショナルに報道されませんが、仕事上の悩みで「うつ」状態になり、自殺するパターンのようです。<br />
そんなに嫌なら「裁判官を退官して弁護士になったら(不祥事でもない限り、当然弁護士になれます)、判決を書くという重圧がなくなるのに」と思うのですが、自殺する人には、それだけ考える余裕はないんでしょうね。前だけで横は見えない</p>
<p> ちなみに、知っている弁護士にも、結構「うつ」による自殺者がいますが、報道の価値もないのでしょうね。<br />
<br />
といいますが、弁護士に「そううつ」傾向のある弁護士さん多いですよ。<br />
大きなお金が入れば、どの弁護士も「そう状態」になり、勝つと思っていた判決に負ければ「うつ状態」になるのは、まだ正常の範囲内。<br />
さしたる原因もないのに、「そう」になったり「うつ」になったり・・これが問題です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の健康保険
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3211#block95-3211
1
<div>前回のコラムでも書きましたが、弁護士は、原則として、国民健康保険に加入しています。
<p> ただ、東京近辺に事務所のある弁護士は、東京都弁護士国民健康保険組合に加入できます。<br />
近畿圏で開業している弁護士は加入できませんし、近畿には弁護士国民健康保険組合がありません。仕方なく、市町村の国民健康保険に加入しています。<br />
市町村の国民健康保険は母体が好ましくないので、弁護士などは、相当損をしてしまいます。<br />
ちなみに、弁護士法人(1人法人も可能です)をつくればいいのですが、健康保険だけのために法人化するとなると、デメリットが大きすぎます。</p>
<p> 私の場合を見てみます。<br />
(国民健康保険・西宮市)<br />
なお、地方公共団体により異なります。西宮市は阪神淡路大震災で、国民健康保険は全国レベルで見ても最高に近いです。なお、弁護士さんでも、軒弁さんや即弁さんは所得が少ないですから、安いのかもしれません。ただ、通常の勤務弁護士(イソ弁)さんは、1年目から、最高額です。<br />
医療保険料 年額47万円<br />
介護保険料 年額12万円<br />
後期高齢者支援金保険料 年額9万円<br />
合計年額 68万円</p>
<p> 結構な額でしょう。</p>
<p> ただ、弁護士は、弁護士法3条2項によって、税理士と弁理士になる資格をもっています。大は小をかねるということでしょう。</p>
<p> ということで「めざとい」弁護士さんは、この制度を利用して税理士登録をします。<br />
そして、近畿税理士国民健康保険組合に加入します。</p>
<p>(近畿税理士国民健康保険組合)<br />
医療保険料 年額24万円<br />
介護保険料 年額2万4000円<br />
後期高齢者支援金保険料 年額2万4000円<br />
後期高齢者組合員保険料 年額1万2000円<br />
合計年額 30万円 <a href="http://www.kinzei-kokuho.or.jp/contents/06/06qa.html" target="_blank">「保険料」 </a><br />
なお、扶養家族0として計算しています。妻1人、子1人として17万円余の追加です。</p>
<p> 大きな違いですね。<br />
ただ、税理士登録をすると税理士会費年額11万円(弁護士に比べてなんと安い。弁護士は年額60万円近く)が追加で必要ですから合計41万円、でも、扶養家族がなしとすれば、68万円と比べ差額年間27万円がうきます。 ただ、健康保険は全額損金算入ですから、所得・地方税額の限界税率も考えると、年間14万円程度得になるくらいです。</p>
<p> なぜ、弁護士は税理士登録をしないのでしょう。<br />
1 制度を知らない<br />
2 制度を知っているが面倒だから<br />
3 制度を知っているが、事件処理にあたり、税務上のトラブルに巻き込まれたとき高い注意義務を課される。税務調査の時「過少申告加算税」が「重加算税」にばける。<br />
4 税務相談の割当てが来る。</p>
<p> 最大の理由は1でしょう。<br />
3は、登録の有無には関係ないでしょう。責任追及されるときは責任追及されます。私は、税務は税理士さんに相談してくださいといいます。 <a href="https://www.nishino-law.com/column_familiar/post_167.html" target="_blank">「弁護士への税務相談」 </a>をご参照下さい。<br />
また、自分の事務所の税務調査の時も、税務署員は、弁護士が税法に詳しいなどと最初から思っていません。<br />
4は懇意にしている税理士さんに代わってもらえばおわりです。</p>
<p> 実は、私は2です。<br />
単なる不精者ということになります。特に、西宮市を愛しているわけではありません。<br />
「いつか」「いつか」と思いながら現在にいたっています。<br />
医療機関の窓口で「税理士さんですか」と聞かれることが嫌なわけではありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
刑事訴追を受けた場合の裁判官の報酬は
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3210#block95-3210
1
<div>宇都宮地方裁判所判事が、ストーカー規制法違反罪で逮捕・起訴されました。
<p> 裁判官弾劾裁判所での弾劾裁判がなされるようですから、罷免されれば裁判官の報酬は受けられなくなります。</p>
<p> それまでは、どうでしょう。<br />
国家公務員法79条には「職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる」「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」「刑事事件に関し起訴された場合」となっています。<br />
ですから、起訴されれば休職となり給与が支給されないことがあります。</p>
<p> しかし、裁判官は、独立性の保持のため手厚い身分保障があります。</p>
<p>憲法第80条2項には「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない」となっています。</p>
<p> 例外としては、裁判官の育児休業に関する法律4条「育児休業をしている裁判官は、裁判官としての身分を保有するが、その育児休業の期間中報酬その他の給与を受けない」があります。<br />
優秀な女性裁判官が、出産・育児のため退官してしまうのはもったいないとの趣旨でつくられた法律です。育児休業期間は報酬はありませんが、復職すれば、同一時期に任官した裁判官と同額の報酬がもらえる(従前は、復職しても、同期の裁判官と半永久的に差がつきました)ことになります。</p>
<p> ということですから、裁判官は、病気で長期入院・うつ病などによる自宅療養をしていても、たとえ、刑事訴追を受け拘置所暮らしをしていても、報酬は満額受け取ることができます。</p>
<p> もちろん、病気が重い場合は、裁判官分限法1条「裁判官は、回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合は、日本国憲法の定めるところによりその官の任命を行う権限を有するものにおいてこれを免ずることができる」との規定と裁判により、罷免されます。<br />
船から飛込み自殺をし、死体が見つからない裁判官がいましたが、さっさと「回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができない」と裁判され、遺族は報酬が受け取れなくなったこともありました。</p>
<p> 刑事訴追を受けた場合、裁判官が退官届を提出し、免官されれば報酬の請求権は失われますが、弾劾裁判にかかるようなケースでは、退官届を出しても免官はされません。<br />
弾劾裁判により、法曹資格を剥奪する必要があるからです。<br />
依願退官を許したのでは、弾劾裁判にかけられませんから(弾劾裁判にかかるのは現職の裁判官のみです)法曹資格剥奪ができません。また、依願退官の場合、退職金を満額支払わなければなりませんし、年金の基礎年金を超える部分の受給権を剥奪できません。</p>
<p> 当該判事の場合、経験年数からして判事4号月額84万3000円の報酬(大都市調整手当は最初からありません)と期末手当などの報酬を受けていると思われます。<br />
平成20年5月21日に逮捕されていますから、今日、平成20年6月16日(毎月当月分15日払。15日が土・日・祝なら次の平日)には報酬が、平成20年6月30日には期末手当などが支給され、弾劾裁判で罷免されるまで毎月15日に報酬が支払われることになります。<br />
「ほっとけない!」でしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
無差別殺人
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3209#block95-3209
1
<div>無差別殺人が増えています。
<p> 通常、殺人には、動機があることが多いです。<br />
ですから、計画的殺人と考えられるときは、誰が被害者が死んで得をするか、誰が被害者を憎んでいたかということを考えますし、ある程度衝動的な殺人の場合には、誰が被害者と喧嘩をしていたかを調べます。<br />
刑事ドラマでおなじみで、現実にも、動機がある者にあたるというのが鉄則です。</p>
<p> 私が死んで得をする人間はいませんし、私を殺したいほど憎んでいる人もいないと思いますので、殺人の被害者になる確率は比較的少ないと勝手に思っています。<br />
駅や道路(歩行時、自動車運転時)で、小競り合いすることもしないようにしています。危うきに近寄らずですし、喧嘩(しているふりも含みます)は法廷の中だけで・・</p>
<p> ただ「動機なき殺人」「無差別殺人」の場合は、防ぎようがないですね。<br />
「殺す相手は誰でもよかった」の世界ですから。<br />
刃物や拳銃の殺人は、防ぎようがないですが、駅のホームでの突落としも結構ありますから、一番前の列に立たない、最前列に立つときは線路に向かって直角の向きで立つようにしています。</p>
<p> 日本は、かなり銃規制が厳しいので、あまり多くの殺人にはなりません。<br />
アメリカあたりだと、拳銃所持が合法化されていますから、一度無差別殺人が起きると被害者の数が桁違いに大きくなります。</p>
<p> 日本は安全な国ということなのですが、そうでもなくなる傾向にあります。<br />
もっとも、今度の秋葉原の無差別殺人の外国での報道を見る限り、安全な国でのめったにない殺人ということで大きく取上げられたという要素がありますから、逆に、まだ「安全」な国であるかも知れません。</p>
<p> 犬が人を噛んでもニュースになりませんが、人が犬を噛むとニュースになります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律事務所のロゴマーク
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3208#block95-3208
1
<div>法律事務所の名刺・封筒やホームページなどにロゴがついているのが目立ってきました。
<p> さあ、うちもロゴマークをと考えたのですが、私自身デザイン感覚に乏しいですし、お金をかけるのも「あほらしい」気がします。</p>
<p> 普通は、法律事務所名か、自分の名前のアルファベットをデザイン化したものが多いようです。</p>
<p> 私の場合は NISHINO Yoshiki で、 N と Y をデザインしたものか、NISHINO Lawoffice で、N と Lをデザインしたものか、NISHINO Houritsujimushoで、N と Hをデザインしたものか、いっそ N だけをデザインしたものかということになります。</p>
<p> N と Y をデザインしたものとしては、ヤンキースかメッツのものが有名ですが、メッツのマークは日本人好みではないですし、ティファニー製といわれるヤンキースのマークは「ぱくれば」内容証明郵便が飛んできそうな気がします。</p>
<p> N と L をデザインしたものとしては西鉄ライオンズ、N と H をデザインしたものとしては南海ホークスがありますね。<br />
私の子供のころの白黒写真に、西鉄ライオンズや南海ホークスの野球帽をかぶっている写真があります。<br />
これら、消滅した球団の商標は、誰が保有しているのでしょうか。<br />
誰ももっていなければ、つかおうか・・でもつぶれた球団のマークなんて縁起悪いですよね。まあ、誰かが持っているのでしょう。</p>
<p> プロ野球の交流戦で、王監督など福岡ダイエーホークスのメンバーが、昔懐かしい、南海ホークスの緑のユニフォームを着ているのを見て、ふと思いました。<br />
</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
「無能な」弁護士から身を守る
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3207#block95-3207
1
<div>
<p> 法曹人口3000人問題ですが、マスコミにも、反対論が出てきています。<br />
ベテランでテレビにもよく登場する論説委員の記事です。</p>
<p><a href="http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/news/20080521org00m010006000c.html" target="_blank">「岩見隆夫氏のコラム」 </a></p>
<p> 私なりに要約しますと「今までは、悪徳弁護士、法外な報酬を要求する弁護士がいることは聞いていたが、無能な弁護士は聞いたことがない。弁護士資格は持っているが、役に立たない、能力のない若い弁護士が毎年送り出されているということらしく、法治社会の基礎が揺らぎかねない」というものです。<br />
また「被害を受け、自力で解決できない場合は、専門家の弁護士に救済をお願いすればいい、とだれもが頼りにしているのに、めったにない弁護依頼に過誤の恐れがあるというのでは、たまったものではない」ということになります。</p>
<p><br />
確かに、司法試験終了者が増えてくると、あらゆる意味で弁護士の質が落ちてきます。</p>
<p> 1 いままで弁護士になれなかった程度の実力しかない人が弁護士になります。<br />
もちろん、従前のレベルが高すぎた、ある程度、レベルが低くても弁護士としてやっていけるはずだという議論はあるでしょう。確かにその点は否定できません。</p>
<p> 2 司法修習の期間が短くなっただけではなく質も落ちました。<br />
期間が短くなる(2年間→1年間)のももちろん問題ですが、司法修習の質自体も落ちます。<br />
たとえば、私が修習生だったころ、1クラスは45人、研修所の教官は、修習生の起案を十分見る余裕はありました。<br />
司法研修所で1クラス45人が70人になったのでは、目が行き届きません。ろくに添削もできません。<br />
また、修習生が増えますと、実務修習(裁判所・検察庁・法律事務所)での研修の質が落ちます。<br />
実務修習でマンツーマンで教えていたのが、1人の裁判官に3、4人の修習生がつきます。<br />
期間が短くなった上に、裁判官や検察官が増えないのに、修習生が4倍にもなれば、期間が短くなった上、修習の中身や質が落ちますから、ダブルで、修習で身に付くものが少なくなります。</p>
<p> 3 通常、新人弁護士は「イソ弁」となり修行するのですが、勤務する法律事務所は「引く手あまた」でした。<br />
修了者が増えると、就職先が圧倒的に少なくなり、新人弁護士のうち「イソ弁」になり、先輩方から指導してもらえる人は幸いですが、「軒弁」として机一つだけ置かせてもらったり、「即弁」として自宅で開業、あるいは、弁護士会費用が支払えないので、弁護士登録もできない人も増えています。</p>
<p><br />
岩見隆夫氏のコラムの「弁護士になりうる能力のない人」「無能」と言い切ってしまうのは問題かも知れません。<br />
能力もさることながら、「一人前の弁護士になるにふさわしいためのトレーニングを受けていない人」「未熟」とした方が穏当でしょう。<br />
常識的に考えて、イソ弁として5年間程度働いていないと、「一人前」とはいいにくいですね。<br />
医師と同じです。医師免許をとって研修もせずに開業するようなものですから・・・</p>
<p><br />
弁護士の見分け方を説明いたしします。<br />
あくまでも一般論です。あくまでも一般論で、例外はあります。<br />
修習時・経験年数にかかわらず、優秀な人は優秀ですし、それなりの人はそれなりです。</p>
<p> 1 まず、47期(平成7年=1995年登録)までは修習生500人ですし、例外なくイソ弁の経験を積んでいますから、「無能」ということはないでしょう。しかし、高齢となり能力が落ちてきている弁護士もいるでしょうが・・</p>
<p> 2 それ以降は、人数が増えて従前なら合格しない人が合格し、また、途中から修習期間が2年から1年半にと短くなったため、若干質は落ちる弁護士がいることになりますが、通常問題ないでしょう。<br />
たいてい、イソ弁経験を5年程度はつんでいます。</p>
<p> 3 ただ、ここ数年の間に弁護士になった人は「少し」危険かも知れません。<br />
人数が増えていて、昔なら、何年たっても絶対合格し得ない人が合格していますし、実務修習の期間・質も落ちています。<br />
もっとも、ちゃんと、イソ弁をしている弁護士さんなら「無能」「未熟」よばわりするまでもなく、通常に仕事を依頼しても問題はないか、あるいは、問題は少ないかと思います。ボス弁が雇う以上、それなりの能力を持っていると判断された人でしょうし、ボス弁などから指導を受け、相談をし、指示もあおいでいるでしょうから。<br />
しかし、 「軒弁」(ボス弁から教育を受けているイソ弁ではなく、机だけかりて仕事をしている弁護士、「即弁」(すぐ独立している弁護士)は、一般論として危険かも知れません。イソ弁になりたくても、誰も雇ってくれなかった、つまり、それなりの能力しか持っていないと判断されなかった人たちですから。</p>
<p> 弁護士は資格を持っているから、大丈夫という観念は通用しなくなっています。</p>
<p><br />
なお、弁護士を選ぶときに、年齢が上で、経験年数の多い弁護士を選びたがる依頼者が多いことは事実です。<br />
私は24歳で裁判官になり、34歳で弁護士になりましたが、弁護士になりたてのころは「若すぎる」「他の弁護士にかわってほしい」と言われたものです。たいていは「裁判官経験が10年ある」といったら、一応納得してくれた様子ではありました。</p>
<p> 大阪では、一部の例外を除いて「軒弁」「即弁」は平成19年からのことです。<br />
現時点では、経験年数を聞いて、少なすぎれば危ないかも知れません。<br />
事件にもよりますが、経験年数が5年ないし10年たっていれば問題はありません。<br />
ただ、今後10年たったとすれば、経験年数が10年超の中に「軒弁」「即弁」がまざってきます。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
「偽装」ラブホテル
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3206#block95-3206
1
<div>
<p> 「偽装ラブホテル」なる新語がでてきました。</p>
<p> 「風営法」では「ラブホテル」は学校の周辺200メートル以内での営業が禁止されていますが、業者側は一般の旅館業法に基づいた構造で届け出て、許可後にラブホテル仕様に改装するケースが多いようです。</p>
<p> 本来のラブホテルの「認定基準」は、回転するベッド、ガラス張りの浴室、1平方メートル以上の鏡が置かれているなどだそうです。<br />
もっとも、事情通の弁護士さんに聞くと、回転するベッドは「昔の話」だそうです。ちなみに、高級といわれるホテル(外国旅行で宿泊するだけです。出張は「寝るだけ」のビジネスホテル・ベッドだけ大きめというのがこだわり)に1平方メートル近いの鏡があることがあります。</p>
<p> 本来、シティーホテルと、ビジネスホテルと、ラブホテルはどのような区別があるのでしょう。<br />
物の本には、以下のとおり書かれています。</p>
<p>シティーホテル<br />
都市部に立地する多機能ホテル。<br />
宴会場とかがあって、結婚式なども可能。比較的高級なホテルで、ポーターなどもいるし、ホテル内を従業員が歩いている。</p>
<p>ビジネスホテル<br />
宿泊機能に特化したホテル。会議場はあっても、宴会場などはない。<br />
ポータなどぜいたくな人員はなし。<br />
ダブルルームは有するものの、シングルルームの方がむしろ多い。</p>
<p>ラブホテル<br />
カップルのためのホテル。<br />
ダブルルームのみ。ホテル内を歩いても従業員に合わない。<br />
料金表は休息料金(「レスト」と記載されていることも)が上に表示され、下に宿泊料金(「ステイ」と記載されていることも)が表示されている。<br />
「お一人様のご利用お断り」の表示を出す事もある(これは、地域差が大きい)。<br />
浴室はガラス張りで鍵もない。<br />
コンドームが室内に備え付けられている(有料・無料)。<br />
宿帳がないことがある。</p>
<p> もっとも、外観で、おおよそラブホテルかどうかわかりますね。</p>
<p> 弁護士をしていると、不倫の相手方に対する損害賠償請求の示談・訴訟をすることがあります。もちろん、その逆も・・<br />
場所は、ラブホテルということも多いのですが、お金と時間があれば、遠出をして「温泉旅行」か、学会ついでの(どちらが、ついでなのか・・)「高級シティーホテル」、それほどでなくても、「シティーホテル」ですね。<br />
お金がなければ、ラブホテルかビジネスホテルのセミダブル。</p>
<p> とはいえ、その境界は曖昧です。</p>
<p> ラブホテルの近隣の人は迷惑なのでしょうが、日本では、クリスマス・イブになるとも、都市部の高級ホテルが、ラブホテルに早変わりするくらいだそうですから、まして境界は曖昧でしょう。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所と不労所得
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3205#block95-3205
1
<div>日本の裁判官は、最高裁判所の裁判官から、地方・家庭・簡易裁判所の裁判官に至るまで、「不労所得」は大嫌いという考えの方が多いと思います。
<p> 日本人は、狩猟民族では農耕民族ですから、土地を耕し、種をまき、肥料を与え・害虫を除去を除去し、成長したところで収穫し、日々の生活の糧とする、つまり、「額に汗して働いた者が収穫を得る」のが当然で、単に「金がある」「土地がある」というだけで、額に汗して働きもせず、巨額の収入を得るということは、ある意味で「本能的に」嫌いでしょう。<br />
明治維新の前には「武士がいた」という方もおられる方も多いと思いますが、圧倒的少数派ですし、やはり、武士は、各藩行政・司法や、治安を守る警察官の仕事をしていたわけですから、全くの不労所得ではありません。それほど武士階級が裕福であれば、商人から金を借りて身動きが取れなくなるということもないでしょう。</p>
<p> なお、裁判官は、基本的に「勤労所得者」であり「不労所得者」でないことはもちろんです。</p>
<p><br />
一連の過払金返還請求の判例を見ると、「不労所得は許さない」という強い意思の現れが見て取れます。<br />
改正前の貸金業法は、立法にあたった国会としては、一定の要件を満たしていれば、利息制限法をこえた利息は合法的に取得できるということを内容とする法律を作成したことは明らかですが、金銭消費貸借契約書に「過怠約款」があるから、「任意性」がなく「利息制限法をこえた利息を取れない」という、究極の「裏技」(ただ、立法当初から、このような意見は、もちろんありました)を使って、被害者救済をしました。<br />
最高裁が、簡易裁判所(1審)管轄で、地方裁判所(2審)、高等裁判所が上告審(3審)としてなした事件の特別上告(4審)を受理してまで、高等裁判所の裁判を覆したことについては「執念」がみてとれます。</p>
<p><br />
また、ブルドックソース事件で見られるように、やはり、巨額の金を利用して、巨利を得ようとしたアメリカの投資ファンドスティール・パートナーズに対し、裁判所は、地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所とも不利な裁判をしましたね。<br />
他の国なら、こうはなっていなかったかも知れません。<br />
やはり「不労所得」は許さないという考えが基本にあるでしょう。<br />
厳密にいって、株を買い占めれば「濡れ手であわ」でもうかる会社について、リサーチするという努力はしていますが、大した労働量ではありません。</p>
<p> よく考えてみれば、現在の先進国で、狩猟民族ではなく、農耕民族という日本は珍しいのかも知れません。</p>
<p> もちろん、裁判所がこのような判決をしていると、お金についてはますますボーダレスな世界になっても、海外の資本が日本を回避して、他の国に逃げるから、株価は上がらないし、景気もよくならず、日本は「取り残される」という意見もあります。</p>
<p> ただ、国土も狭く天然資源に恵まれていない日本が、一生懸命働き、自動車など工業製品輸出などによって汗水垂らして稼いだ財産を、単に「金を持っている」というだけで、汗水垂らして働いていない、日本人・日本資本や外国人・外国資本が持ち逃げすることを許すというのは、日本人のメンタリティーにあわないでしょう。<br />
裁判所の感覚は、日本人一般の感覚にあったものだと思います。 基本的に、働きもせず持ち逃げした方の利得した分は、汗水垂らして働いた方の損となるわけですから「許せない」ということになります。<br />
ちなみに、ゴルフ、サッカー、野球選手などが巨額の収入を得ていますが、基本的に、本人の才能努力によるものですし、損をしている人がいるわけではありません。</p>
<p><br />
海外の資本が日本を回避して、他の国に逃げるから、株価は上がらないし、景気もよくならず、日本は「取り残される」という意見は、一見もっともなように見えますが、「金は汗水垂らして働かないと得られるべきではない」という日本人の感情にあっていませんし、日本人の勤労意欲をそぎ落として、かえって悪い方向に進む可能性さえあるでしょう。</p>
<p> いくら、各国が全世界的に動くということになっても、伝統に培われた基本的な国民気質はかわらず、裁判官は、その国民気質に沿った判決をするというのが、民主主義国家として当然のように思います。</p>
<p> 裁判所には違憲立法審査権があり、憲法は抽象的な文章が多いですから、国会が、基本的な国民気質に合わない法律をつくったら、違憲の判断をするでしょうし、違憲判断をしないまでも、極限まで、国民気質に合った判決をするでしょう。</p>
<p><br />
最高裁判所の出資法関係の一連の判決に、国民的な異論があったでしょうか。<br />
当事者サイドは別として、特に反対はありませんでしたし、それに基づいて金融庁のガイドラインが改められ、貸金業法までが改正されました。<br />
また、ブルドックソース対スティール・パートナーズの一連の判決に(スティール・パートナーズは、それでもなお巨額の利益を得ています)、国民的な異論があったでしょうか。</p>
<p> 批判をするのは全く自由ですが、民主国家において、国民感情から離れた裁判は続かないものです。<br />
日本も例外ではありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
問題のある「法律相談」
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3204#block95-3204
1
<div>大阪弁護士会、各地方自治会が実施している法律相談があります。
<p> 地方自治体は、住民サービスの一環ですから無料、大阪弁護士会も、生活保護受給証・母子手当受給証があれば無料です。<br />
地方公共団体は20分の制限が多く、大阪弁護士会は有料でない限り、30分の制限で延長は不可です。</p>
<p> 法律相談にはかわった人の相談があります。</p>
<p> リピーターは、受付の段階でチェックされます。<br />
まともな質問の時間切れは、またどうぞ来てくださいで終わりなのですが、「おかしな質問」の場合は、弁護士が相談票にその旨記載し、念のため口頭で担当職員に「かわった人である」との申送りをし、通常は、次の相談担当弁護士は、あらかじめ、相談者が「かわった人である」ことが、事務職員によって伝達されています。次の法律相談の担当弁護士は、通常の場合「受け流すのみ」となります。</p>
<p> これらは、若い弁護士の相談させると、「若気の至り」で大げんかになりますから、ある程度経験のある弁護士に回すように事務方が配慮しています。 </p>
<p> 類型的に多いのは、<br />
1 電波が飛んでいる。なんとかしてほしい<br />
2 盗聴されいる。なんとかしてほしい<br />
3 何者かにつけまわされている。なんとかしてほしい<br />
というものです。<br />
弁護士が「ねじふせる」というのはタブーです。</p>
<p> 1 電波が飛んでいる<br />
「そんな、ばかな」は禁句です。<br />
なお、通常生活していても電波は飛んでいます。ですから、携帯は地下鉄など特別な場所を除いて通話ができます。<br />
飛んでいることが「わかる」のがおかしいのです。<br />
私の回答は「大変ですね。電波遮断シートは10平方メートルで1万円くらいでありますよ。お望みなら、インターネットで検索してください。もしご自身でインターネットを使えないなら、使える人に頼んでみてください。それで、テントのようにして、電波が飛んでこないかどうか確認してみてください」です。<br />
電波遮断シートが10平方メートルで1万円くらいで買えるというのは本当です。</p>
<p> 2 盗聴されいる<br />
「そんな、ばかな」は禁句です。<br />
やはり「大変ですね。盗聴器発見サービスがあります。お望みなら、インターネットで検索してください。業者が見つかります。バスなどに広告のっていることもありますよ」と答えます。<br />
盗聴器発見サービスは現存します。もっとも、本当に商売になるかどうかは別問題ですが・・・</p>
<p> 3 つけ回されいる(それ自体が明らかに怪しい場合に限ります)<br />
やはり「そんな、ばかな」は禁句です。<br />
まず「毎日、24時間ですか?」と聞きます。<br />
普通、相談者は「はい」と見栄を張って答えます。<br />
そこで「興信所に頼んで、犯人をつきとめることをお勧めします。尾行者を特定して写真を撮ればよいのです。毎日、24時間つけ回されているなら半日で十分。興信所に頼んで、2時間程度なら2万円くらいです。」と答えます。「高い」と相談者がいうと「それが手っ取り早いですよ。犯人がつけまわしている写真がとれなければ、警察も裁判所も相手はしてくれえません。安いものです」と納得させます。</p>
<p>この前「毎日、屋根裏で、福田首相とブッシュ大統領と、プーチン大統領と、サルコジ大統領が議論してうるさいからなんとかしたい」という相談もありました。<br />
まず「どんな内容でしたか」「通訳はいましたか」と聞きました。<br />
次に「大変ですね。いったい何語で話していましたか」と聞きました。<br />
「日本語」と答えたので、はじめて「ブッシュ大統領と、プーチン大統領と、サルコジ大統領は日本語はしゃべれないはずですが」で終わりでした。<br />
もし、英語やロシア語やフランス語と答えたとしたら「福田首相はしゃべれないはずですが」と返していたでしょう。英語と答えたら、英語で次の質問していたと思います。</p>
<p> こういう「法律相談」は、頭から相談者の言うことを否定してはダメです。<br />
「解決方法」らしきものを教えるか、「こら あかん」と退出させるのが賢いのです。</p>
<p> なお、中途半端な、おかしな事件は、必須の書類は何かと考え「この書類がないと答えられません」「日を改めてもう一度来てください。私はいませんが、弁護士なら答えは同じです」と後の弁護士に「押しつけます」。</p>
<p><br />
私の個人的な問題としては、弁護士も歳をくってくると、「おかしな相談者」を無理に回そうと事務方で作為される結果、私が「被害者」になる確率が高くなります。<br />
若い人にあたって「ひと騒動」起きても大変です。<br />
この前「午前11時の予約」と相談用紙右上に書いていた相談者を、1時から担当の私に回そうと画策されたことがあります。<br />
明らかに質問内容がおかしかったので「本筋の質問」と「なぜ11時にこなかったんですか。すっぽかしたのですか」と聞くと、「2時間も待たされたうえ、こんなことを聞かれるなんてもう嫌だ」と出ていってしまいました。<br />
事務担当者から「先生の継続相談案件にしてもらえませんか」(ここの相談所には来ないでほしい、私の事務所でという趣旨です)と聞かれましたが、もちろん断りました。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所備付けのゴム印
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3203#block95-3203
1
<div>裁判所には、昔から、備付けのゴム印がありました。
<p> ワープロが発達していない当時は「裁判官名」「書記官名」のゴム印が便利でした。<br />
縦・横(地方裁判所と家庭裁判所。兼務の場合)、大・小で合計4ヶくらいありました。</p>
<p> 昔は、転勤の際に、裁判官名のゴム印を、新しい赴任地に持っていったものです。元の勤務地では無用の長物で、新任地では間に合わないし、もったいないという理由です。</p>
<p> ということですが、今は、調書にゴム印を押さないですね。<br />
すべてワープロになっています。</p>
<p> ただ、ゴム印は結構使われています。<br />
裁判官名、書記官名ではなく、当事者の氏名です。</p>
<p> 一時期、サラ金・クレジット会社に勢いがあったころ、簡易裁判所(最初の契約書に、訴額にかかわらず、簡易裁判所を合意管轄裁判所とする条項があり、職員が代理人として出頭できます)には、サラ金・クレジット会社のゴム印が受付でよく押されていました。「前株」か「後株」かまぎらわしいですしね。裁判記録表紙に押します。<br />
簡易裁判所は「クレサラの取立機関」と呼ばれだ時期がありました。今も、簡易裁判所が「クレサラの取立機関」という点であることについては、あまりかわっていないようです。</p>
<p> ということでしたが、今は、地方裁判所の受付にもサラ金・クレジット会社のゴム印があります。<br />
「原告」としてのそれではなく、過払金請求の「被告」として、裁判記録の表紙に押すゴム印です。<br />
時代は変わりました。</p>
<p> また、簡易裁判所のゴム印は、「原告」欄(貸金返還請求訴訟)に押すだけでなく、「被告」欄(不当利得返還請求訴訟)にも押されるようになりました。</p>
<p><br />
ちなみに、裁判所受付へ行くと、見知らぬ人のゴム印があることがあります。<br />
いわゆる「訴訟マニア」と言われる人たち用の本人訴訟の裁判記録表紙に押すゴム印です。<br />
ある訴訟を起こす、棄却・却下される、控訴して控訴棄却される、上告して上告棄却される、不当判決だと、裁判官個人を被告に損害賠償を訴訟をおこす、1審1名、2審の3名、上告審の5名の合計8名。 棄却されると棄却した裁判官を相手に損害賠償を起こす。<br />
そんな「ヒマ人」が、どこへ行ってもいるようです。</p>
<p>大したバイタリティーですね。お金もヒマももてあましているのでしょう。<br />
ゴム印をつくるのも当然ですね。</p>
<p><br />
ちなみに、行政官庁は、不適式として受理拒否をして持ち帰らせますが、裁判所は、印紙が貼られていれば受理拒否ができません。<br />
「相手をしてくれる人」がなくて「寂しい」人に多いようです。<br />
お気の毒に・・<br />
そのエネルギーを他の仕事に向ければいいと思うのは、私だけでしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
行政書士は法律家ではありません
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3202#block95-3202
1
<div>私も、ホームページをつくるようになってから知ったのですが、Googleなど検索エンジンで法律問題を検索すると、「破産などの債務整理」「交通事故」「離婚相続」「相続相談」などで、本来なら弁護士のホームページがでるべきところ、司法書士、行政書士のホームページが上位に来ることがあります。
<p> まず、弁護士は、従前「一見さんお断り」という「殿様商売」をしていたので、ホームページでの「集客」は考えていないということがあります。<br />
また、弁護士が、露骨な「コマーシャルのホームページ」をつくりにくいのは間違いありません。同業者に見られることがあるわけですから。</p>
<p> 司法書士が「破産などの債務整理」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つのは、ある意味妥当です。<br />
自分の実体験に基づいていますから。<br />
ただ、司法書士が「交通事故」「離婚相続」「相続相談」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つのは、おかしいです。<br />
実体験に基づいていれば弁護士法違反を認めることになりますし(140万円以下の交通事故など、基本的にペイしません)、実体験に基づいていないなら、諸文献の「引用」です。<br />
諸文献を「引用」することは難しくありません。弁護士や学者の書いた著作や、弁護士のホームページのコピペをすればいいのですから。圧倒的に、著作物の「引用」と思われます。<br />
あたかも、実体験に基づく、あるいは、自分が当該分野で詳しいと思わせようとしているだけです。</p>
<p> なお、行政書士が「破産などの債務整理」「交通事故」「離婚相続」「相続相談」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つというのは「弁護士法違反してますよ」というようなものです。<br />
行政書士は行政官庁への書類の代書ができるだけで、司法官庁への代書は許されていません。<br />
実体験はありません。裁判所は、弁護士と司法書士からたたかれますから、行政書士の関与に神経質になっています。<br />
もちろん、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページは「引用」でしょう。<br />
間違っても詳しいと思ってはいけません。</p>
<p> なお、裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)15条には、裁判員の職務に就くことができない人が列挙されています。<br />
法律の素人を刑事裁判に参加させる手続きですから、裁判官、検察官、弁護士は当然なれないという規定があります。<br />
司法書士も、法務大臣が実施する簡裁訴訟代理能力認定考査で認定を受けた司法書士(認定司法書士)には民事訴訟の代理権がありますから、やはり「法律の素人」ではありません<br />
ここで、はっきりするのが行政書士です。<br />
行政書士は、裁判員法に「不適格者」として排除の対象となっていませんから、法律の素人として裁判員になれるのです。<br />
つまり、行政書士は、はっきりと「法律の素人」と法律(裁判員法)に記載されていることになります。</p>
<p> 「街の法律家」は「過大広告」で弁護士会がいくら 指導をしても改めようとする気さえないようです。<br />
なお、日弁連会長から日本行政書士会連合会への申入は平成19年12月22日付、要旨は以下のとおりです。<br />
(1) 日本行政書士会連合会の英文表示「Japan Federation of Gyoseishosi Lawyer's Associations」について、今後「Lawyer」を含む英文表示の使用を差し控えられたい。<br />
(2) 日本行政書士会連合会の、行政書士を表す「頼れる街の法律家」について、今後「法律家」を含む表現の使用を差し控えられたい。<br />
(3) 行政書士が取り扱う業務について「相手方と交渉を行う代理権」「裁判所に提出する文書の作成の代理権」が存在すると読者に誤解を与える構成、表現を用いないようにされたい。<br />
(4) 日本行政書士会連合会所属の行政書士に対し、行政書士の業務範囲について適切な指導をしていただきたい。</p>
<p> 名乗るだけでは弁護士法違反(非弁)になりませんが、現実に、弁護士業務をした札幌市の行政書士が、弁護士法違反(非弁護士活動)容疑で逮捕されましたね。</p>
<p> 一般の人にはの区別が素人にはつきにくいのでしょう。<br />
「弁護士」「司法書士」には、また「司法書士」「行政書士」には、こえがたい段差があります。<br />
「行政書士」は、最低レベルの「法律家」ですらありません。<br />
「司法書士」と「行政書士」との区別ははっきり認識しておきましょう。</p>
<p><br />
平成21年5月21日に裁判員制度が開始されます。</p>
<p> あいかわらず「教えてやる」 という姿勢で裁判員制度を解説する行政書士のホームページは多いですが、裁判員制度が開始されれば、行政書士自体が「素人席」にすわることになり、他の裁判員から「行政書士は法律家ではなかった」「我々と同じ素人だ」ということが露見します。</p>
<p>できれば、マスコミも、はっきり伝えてほしいところです。<br />
行政書士の法的無知のために、事件そのものをおかしくされてしまった人は結構います。</p>
<p>(平成21年4月2日補筆)</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律事務所の会議室
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3201#block95-3201
1
<div>法律事務所の会議室をご覧になったことがありますか。
<p> 多数派は、法律関係の本を「これでもか」というくらい並べてある法律事務所です。<br />
弁護士は、これだけ法律に詳しいんだということを、依頼者に印象づけるため、わざと、会議室に法律関係の書類を並べるのです。<br />
判例集なんて、打合わせ中に出すことは通常ありませんから、「装飾品」程度です。<br />
通常、有名な判例なら「判例つき六法」の当該ページを開いて、その場で示しますし、ある程度予測される判例なら、打合わせの前に判例雑誌を用意してあるか、インターネットを利用した判例集でダウンロード判例を印刷したものが準備してあります。<br />
打合わせで論点がはっきりしたような場合、これから調べるということになり、コンピュータ検索して、有利・不利な判例を調べなければなりませんから「次回にまた」ということになります。</p>
<p> 昔の独立したての弁護士さんは、判例集や書籍の外箱だけを先輩に借りて(もらって)、並べることもありました。あるいは、本と外箱を分けて、「倍」のボリュームに見せるという方法もあります。<br />
同業者に見られたら恥ずかしいですが・・</p>
<p><br />
逆に、法律関係の本を、会議室に置かない事務所があります。<br />
「威圧感を持たせる」ことは好ましくなく、和やかな雰囲気にしたいという方針の弁護士は、六法と、報酬規程程度の本しか置きません。<br />
私の事務所がその方式です。</p>
<p> 何が置いてあるかというと、窓の所に、花や植木の他、ドイツの <a href="http://www.glaesser-seiffen.de" target="_blank">「くるみ割人形」 「たばこを吸う人形」</a>を並べいてます。<br />
イラストの右端が「くるみ割人形」(nutcracker)、左端が「たばこを吸う人形」(smoker)です。<br />
なぜか、ドイツには全く関係のない、ロシアのマトリョーシュカ人形も並べてあります。</p>
<p> 来られる依頼者の方は、特に個人の場合は、それを見ている余裕はないでしょうね</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の広告に債務整理が多いわけ
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3200#block95-3200
1
<div>弁護士の広告は、債務整理(自己破産、個人民事再生、任意整理、過払い金返還)を中心としたものが多いと思いませんか。
<p> インターネットに限りません。<br />
「電車」「地下鉄」「駅」などの広告もそうです。</p>
<p> 理由の1つ目は、債務整理が「お金」になるようになったからです。<br />
過払い金返還請求が容易になされるようになりました。<br />
昔の自己破産、任意整理(個人民事再生はありませんでした)は、普通の弁護士にとって、全く割の合わないボランティア的な仕事でした。<br />
手を挙げれば、いくらでも事件は来ました、というか、押しつけられました。<br />
また、サラ金・クレジットの法律相談などは、担当してくれる人員不足のため、弁護士会事務職員が、電話で弁護士に依頼しまくっていましたし、それでも追いつかなくなり、「サラ金・クレジットの法律相談要員」の特別募集をしていました。<br />
破産などは「手離れ」が早いので「まし」なのですが、任意整理で3年間の分割などになりますと、分割金の支払いがないとの督促が弁護士に来て、毎月1日は大変でした。私の場合「2度約束を守らなかったら業者から直接請求されることを了承する」という念書を取って自衛していますが・・<br />
ただ、現在は、「債務整理」に関連して、過払金の返還が期待でき、また、簡単に返還請求できるようになったので、やろうとしても、仕事自体が減っています。<br />
なお「債務整理の法律相談無料」という事務所へ行くと、過払い金の期待できない事件は「不採算」と断られることがあるようです。「断られた」と言って大阪弁護士会の法律相談に来る人がいました。</p>
<p> 理由の2つ目は、債務整理は、自分の弁護士としての信用を毀損する恐れがないからです。<br />
一般事件では、「勝訴」「敗訴」があり、弁護士の腕でどうにかできるというより、むしろ、最初の証拠の段階で「けり」がついている場合が多いのです。<br />
負ければ信用をなくしますし、勝てば信用を得られます。信用というのは「裁判所」「紹介者」「依頼者」に対する信用です。<br />
紹介者が誰かにより、大体、事件が「筋がいい」のか「筋が悪い」のか想像がつきます。<br />
「筋がいい」と、労少なくして報酬は多く、「筋が悪い」と労多くして報酬はわずかになります。<br />
紹介者が大事といわれるゆえんです。<br />
その点、勝ち負けのない債務整理系の事件については、誰の事件をやっても弁護士報酬にかわりはありませんし、裁判所の信用を損なうこともありませんから(例外はあります。依頼者の「嘘」を事前に見抜けなければ、弁護士の「恥」になります)、紹介者なしの、広告できたような依頼者の事件でも受任できるのです。<br />
買った負けたで、トラブルになる恐れもまずありません。</p>
<p> 理由の3つ目は、事務員の有効利用です。事務員に「やりがい」を持ってもらうと言換えてもいいでしょう。<br />
弁護士がOA機器を自由に使いこなせるようになると、事務員の仕事が「電話番」「お茶くみ」「コピー」「ファイリング」程度になってしまいます。<br />
債務整理系は、勝ち負けがありませんし、ある程度定型化しているので、重要な点について弁護士がやれば、こまかい資料づくりなどは事務員で十分こなせますし、現に、事務員が機械的な部分の大半を処理している事務所が多数でしょう。<br />
ちなみに、裁判所が関与して行う研修も、破産関係の「細かい」「取扱い」が「変わりました」程度の説明会は、講師は裁判官ではなく書記官で、受講者は弁護士ではなく事務員です。<br />
裁判所も、よぼど重要な事件でもない限り、個人の破産や民事再生事件は、実質、裁判官ではなく、書記官が動かしているといって過言ではないと思います。</p>
<p><br />
もっとも、弁護士が大増員になってますから、過払いがなくても、割に合うはずのない「国選弁護」と同様、「債務整理」も、都市部では債務整理事件も取合いになっていたと思います。<br />
出資法の改正により、あと少しすれば、過払返還は激減するでしょう。<br />
もっとも、サラ金・クレジット会社の「貸し渋り」で、破産・個人民事再生・任意整理に追い込まれる人は、増えてくるのは確実です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
国選弁護人になることの危険性
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3199#block95-3199
1
<div>
<p> 「被告人」「受刑者」の国選弁護人に対する懲戒請求は、非常に多いらしいです。<br />
そして、その中には、真摯なものもありますが、いわゆる「クレーマー」的なものが圧倒的に多いとか。</p>
<p> その理由について考えてみました。</p>
<p> 今はそうでもありませんが、「民事事件の場合、少し前までは、しっかりした紹介者のない事件はやらない」という弁護士さんが多かったです。</p>
<p> しっかりした紹介者がいるということの利点は、<br />
1 紹介者がいれば、事件もしっかりしているでしょう。<br />
2 弁護士が依頼者ともめたときに中立的な立場で紛争をまとめてれるということが期待できます。<br />
原告事件はそうでもないのですが、紹介者のいない事件の被告代理人をすると、「完全勝訴」の場合「勝ったのは不当訴訟だから当たり前。なぜ報酬を支払わなければならない」と契約書を無視する人が結構います。しっかりした紹介者がいなければ、「とりはぐれ」もありえます。<br />
こちらも、注意はするのですが、利害相反を理由とする弁護士からの紹介事件が「要注意」です。</p>
<p> 民事事件の場合も、紹介者のない事件は、それだけの危険があります。</p>
<p> 国選弁護人に「紹介者」はいません。<br />
注意する必要があります。</p>
<p> そして相手は犯罪者(無罪の推定はありますが、確率的には実際の犯罪者ということが圧倒的に多いです)です。<br />
「法律は最低のモラル」といわれますが、犯罪者は「最低のモラル」すら割込んでいる、もっとも道徳的観念のない人でしょう。<br />
そんな人を相手にしたのでは、逆恨みされて懲戒請求されることは十分考えられます。</p>
<p> また、勾留されている人、受刑者は「ヒマ」です。<br />
時間をもてあましています。<br />
懲戒請求書を書くことくらい「時間が惜しい」こともなく、簡単に書けます。</p>
<p> また、同房者、同一の部屋の受刑者からの入れ知恵もあります。<br />
何も知らないといっても、懲戒手続きくらい、周りの人が教えてくれます。</p>
<p> 刺激のない毎日を送っていると、刺激が欲しいものです。<br />
懲戒請求をすれば、通常1回だけは、懲戒委員会委員が来てくれます。</p>
<p><br />
ということで、国選弁護人の報酬が「安い」「安い」と嘆くのも結構ですが、いつ誰に「懲戒請求をされるかわからない」という、潜在的な危険があるということも頭においていないと危ないです。<br />
面接内容などは、記録にちゃんとメモしておきましょう。「揚げ足」をとられないよう、万全の注意をして弁護に当たるのが賢明です。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
高等試験令
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3198#block95-3198
1
<div>今は廃止されていますが、昔あった <a href="http://www.houko.com/00/02/S04/015.HTM" target="_blank">「高等試験令」 </a>をご存じでしょうか。
<p>「第10条<br />
1項 本試験ヲ分チテ行政科及司法科ノ2科トス<br />
2項 受験者ハ2科ノ試験ヲ併セ受クルコトヲ得」<br />
とされていますから、行政職国家公務員試験と司法試験を兼ねていたことがうかがえます。</p>
<p>「 第15条<br />
1項 司法科試験ノ筆記試験ハ左ノ7科目ニ付之ヲ行フ<br />
1.憲法<br />
2.民法<br />
3.刑法<br />
4.左ノ科目ノ中受験者ノ予メ選択スル2科目<br />
商法<br />
民事訴訟法<br />
刑事訴訟法<br />
5.左ノ科目ノ中受験者ノ予メ選択スル2科目<br />
商法<br />
民事訴訟法<br />
刑事訴訟法<br />
(前号ニ於テ受験者ノ選択セザリシモノ)<br />
破産法<br />
行政法<br />
国際公法<br />
国際私法<br />
経済学<br />
政治学<br />
財政学<br />
社会学<br />
経済政策<br />
社会政策<br />
刑事政策<br />
哲学<br />
倫理学<br />
心理学<br />
宗教学及宗教史<br />
教育学<br />
国文及漢文<br />
2項 司法科試験ノ口述試験ハ民法及刑法並ニ商法、民事訴訟法及刑事訴訟法ノ中受験者ガ筆記試験ニ於テ受験シタル科目ノ中ヨリ予メ選択スル1科目ニ付之ヲ行フ」</p>
<p> 昭和52年の司法試験は「憲法」「民法」「刑法」「商法」と「民事訴訟法」か「刑事訴訟法」、どのような科目があったのか記憶がありませんが、私が選択した「行政法」と「財政学」は当時もありました。7科目というのも同じです。</p>
<p> 高文試験は戦後廃止されていますが、伝統は残っていたのですね。</p>
<p> 「行政科」にも「行政法」と「財政学」がはいっていますから、司法試験の他、国家公務員上級職試験も受験する受験生は「行政法」と「財政学」が入っていますから、これらを選択するのが合理的ですね。</p>
<p> 当時、私の卒業した大学では、大学3年生を終わった時点で、「民事訴訟法」全部の範囲を履修することは不可能だったのに対し、「刑事訴訟法」は、大学3年生を終わった時点で「履修が完了」しますから、大学4年生で受験する受験生は、通常「刑事訴訟法」を選択していました。</p>
<p> ということで、「刑事訴訟法」「行政法」「財政学」をワンセットで選択する受験生が結構あり、論文試験の時は数が多すぎてわからなかったのですが、口述試験になると、お互い顔見知りとなり「また、あんた達と一緒か」と言い合ったものです。</p>
<p> 司法研修所に入所した後で、「刑事訴訟法」はともかく、「行政法」「財政学」の選択は「ライバルが手強(てごわ)いから損ですよ」という話を聞かされました。<br />
「無知」というか「怖いもの知らず」は、怖いですね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律家の本音は?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3197#block95-3197
1
<div>弁護士の間に、急激な弁護士増員に反対する人が増えています。<br />
今年(平成20年)の日弁連の会長選挙の時に、政策が争点になったのは、記憶に新しいと思います。
<p> 弁護士が増員に強く反対するのは、基本的に自分の収入の低下が理由だと思います。<br />
「弁護士の質が落ちる」「公益活動がおろそかになる」「新人弁護士が就職難になる」「一生に一度弁護士に依頼する市民が、程度の低い弁護士に依頼する確率が増え、被害をこうむる確率が格段に高くなる」というのは、結論からすれば、すべて正しいです。<br />
しかし、これだけの理由で、多くの弁護士が、急激な弁護士増員に反対するとは思えません。</p>
<p> 弁護士が増えたからといって、全体の事件の数が増えるわけではありませんから、弁護士1人あたりの事件数が減ります。<br />
また、経営の苦しい弁護士が「ダンピング」をして、弁護士報酬相場を引下げる可能性がありますから、1件あたりの報酬額も減ります。つまりダブルで損害を受けます。</p>
<p> 本来弁護士になりえなかった人が弁護士になるのですから、弁護士の質が落ちます。<br />
また、弁護士業界が「構造不況産業」ということになると、優秀な人が来なくなりますから、社会的地位が低下し、弁護士は、従前得ていた名声や尊敬が得られなくなります。</p>
<p> 今、弁護士になっている人は、自分が既に得ている収入が少なくなり、また、自分が得ている弁護士の社会的地位や名声が落ちるのですから、急激な増員に反対するのは当たり前です。</p>
<p> ただ、それをストレートにいうと、反発を食らいますから、「弁護士の質が落ちる」「公益活動がおろそかになる」「新人弁護士が就職難になる」「一生に一度弁護士に依頼する市民が、程度の低い弁護士に依頼する確率が増え、被害をこうむる確率が格段に高くなる」と、「自分たちの利益のためではないよ」「世の中のためだよ」という側面のみを言っているのでしょう。</p>
<p> 特に、将来が長く、経営基盤がかたまっておらず、住宅ローンが残り、子育ても残っているなど、お金がいくらあっても足りないという比較的若い弁護士に、増員論反対の声が大きいのは当然のことです。</p>
<p><br />
法律家以外の一般の方は「そんなこと知っちゃいない。弁護士報酬の低下はありがたい」と単純に言われる方もおられるかも知れません。<br />
また、自分は弁護士に関係がない。弁護士が高収入をとれなくなって「ざまあみろ」という嫉妬心から喜ぶ人がいるかも知れません。</p>
<p> マスコミ関係の人に、後者の考えをする人が多いように思います。マスコミ関係の人が、本当にそう思っているかどうかは別として(本当にそうだとすると、かなり勉強不足ですが・・)、「強者と思われるものを徹底的にたたく」という論調にしておけば、一般世間受けして、部数がのび、視聴率も高くなるでしょう。<br />
政治家がたたかれ、上級職国家公務員がたたかれ、医師がたたかれているのと同じ構図です。</p>
<p> ただ、マスコミも「弁護士が高収入をとれなくなってざまあみろ」とあからさまに書くわけにはいきませんから、「日本の弁護士は先進諸国に比べ少ない」「司法過疎の解消」「裁判員制度、被疑者弁護、刑事裁判での被害者の代理人、少年の国選付添人など新しい制度の導入る弁護士の必要性」「競争原理による自然淘汰がなされるべき」ともっともらしく言っているのでしょう。</p>
<p><br />
司法の担い手は、言うまでもなく、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者です。</p>
<p> 弁護士が「過度の増員反対」という意見であるということははっきりしています。</p>
<p> また、法務省は、はっきり「過度の増員反対」を示しています。増員になれば、もうこれ以上、司法修習生の面倒をみてるわけにはいかないという危機感もあるでしょう。実務においても、被告人に「毛の生えた」程度の質の悪い弁護士が、弁護人となり、刑事裁判を引っかき回されたくないでしょう。</p>
<p> おそらく、裁判所は、何も言わないだけで急激な増員に反対の意見でしょう。司法研修所の収容人数も限られていますし、司法試験の最終試験で何十人も落第させるということが、法曹たるに値しない人間が、司法試験を合格してきていると苦々しく思っている端的な証拠でしょう。法務省と同じく、実務においても、当事者本人に「毛の生えた」程度の質の悪い弁護士に、民事・刑事裁判を引っかき回されたくないでしょう。</p>
<p> 法曹三者が、過度の増員に反対ということなら、結論はそれで正しいのではないでしょうか。</p>
<p> 特に、裁判官・検察官は、自分の収入は国家公務員として安定していますから、弁護士と異なり、自分の収入如何というバイアスがなく、純粋な気持ちで、将来のあるべき司法を考えていると思います。<br />
もっとも「つまらない」仕事が増えるのは嫌だという気持ちはあるでしょうが、裁判官・検察官が「つまらない仕事」と考えるというのは、本当に「社会にとって役にたたない仕事」の気がします。</p>
<p><br />
私の意見は、本ホームページ公開(平成19年6月1日)前に「雑記帳」に記載した <a href="https://www.nishino-law.com/note/post_65.html" target="_blank">「弁護士大増員時代」 </a>というコラムのとおりです。この点を強調する弁護士さんが増えてきています。</p>
<p> 私の結論は、自分自身の将来の収入の多寡というバイアスはかかっているでしょうが(幸か不幸か、過度の増員が「死活問題である」というほど「若く」はありませんが・・)、過度の増員は「一生に一度、弁護士に依頼するかどうか分からない一般の方が「はずれ」を引いてしまう可能性、つまり、「仕事はできない」「報酬は高い」「無茶なことをする」という弁護士に依頼せざるを得なくなるので、社会全体にとって、むしろマイナスである」というものです。</p>
<p> なお、弁護士の大幅増員が、過疎化対策になるかどうかについて、また、刑事事件の充実のために弁護士の大幅増員が必要かの論点について、補足のコラムを書いておきました。</p>
<p> ただ、 本当に気の毒なのは、社会人の地位を捨てて、法科大学院にいった人でしょう。<br />
「増員」うんぬんにかかわらず、相当数が、法曹にすらなれません。<br />
一部の優秀な人を除いて、法曹になれたとしても、就職先も、ろくな仕事もありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士増員論と刑事裁判
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3196#block95-3196
1
<div>「裁判員制度、被疑者弁護、刑事裁判での被害者の代理人、少年の国選付添人など新しい制度の導入によって、弁護士の出番が増えているのに、増員を抑制するのでは筋が通らない」という意見があります。
<p> 私自身、基本的に、刑事事件は扱いませんし、どうしても断れない依頼者からの刑事事件は、刑事事件を活発に扱っている若い弁護士にお願いして、一緒に事件を受任するようにしていますので、現時点における実体験に基づいたものではありません。その点は、あらかじめご了承下さい。</p>
<p> 現在の被告人の国選事件は、被告人が事実を認めている通常の簡単な事件で8万円の報酬だそうです。<br />
私選の場合の目安は、着手金30万円+消費税、執行猶予がつけば成功報酬として30万円+消費税というのが相場です。保釈をとれれば、その分追加になります。<br />
被告人の国選事件は、かなり安く、「割に合う」金額ではないように思いますし、また、被疑者国選は弁護士会の補助をあわせても「割に合う」金額ではありません。<br />
裁判員制度の国選弁護人はいくらもらえるようになるのか知りませんが、重罪かつ集中審理ということですから、通常の事件より手数がかかることは間違いありませんし、「割に合う」報酬金額ではないでしょう。<br />
また、刑事裁判での被害者の代理人、少年審判の「国選付添人」も、どうなるのかわかりませんが、現在の国選弁護の報酬を見る限り「割に合う」金額ではないでしょう。</p>
<p> ただ、昔は、国選弁護事件も、事件の種類(たとえば、殺人、放火、強姦などの重罪、また、通訳を要する外国人の事件などの手数のかかる事件)によっては引受ける弁護士がなく、大阪弁護士会の職員が「第1回公判期日まで期日があまりないのに誰も引き受け手がいない」と、引受けてくれそうな「気の弱い」弁護士に電話をかけまくっていました。<br />
今は、どんな種類の事件であっても、かなりの高齢の弁護士さん、若い弁護士さんが事件の取合いをするそうです。<br />
弁護士増員により、弁護士の採算ラインが下がっていること、「事件がないよりは」「少しでもあった方がまし」という弁護士が増加しているように思います。もちろん、それなりの給料をもらっている勤務弁護士(イソ弁)が「小遣い稼ぎ」をしている場合もあります。</p>
<p> また、通常は嫌われる 「ひまわり基金」による、いわゆる「過疎地」といわれるところにある公設事務所、扶助や国選など、採算面および「事件の筋」がわるい事件を引受ける「都市型こうせつ事務所」(赤字は弁護士会からの借入でまかなっており,将来的には,総会決議で免除するということが予定されています)、法テラス法律事務所に、若手弁護士が入所していることも、弁護士増員のおかげといえるでしょう。<br />
弁護士増員による就職難によって、「ノキ弁」(給料をもらわず、軒先を貸してもらう弁護士)や「即弁」(いきなり独立する弁護士)になるか、「ひまわり基金による過疎地の法律事務所」「都市型こうせつ事務所」「法テラス法律事務所」に勤務するかを天秤にかけ、事件は「きつく」「将来性はないが」「安定した収入の得られる」後者を選ぶ弁護士が増加してきたということは、弁護士増員論の「思惑」どおりだったのかも知れません。<br />
なお、「ひまわり基金による過疎地の法律事務所」「都市型こうせつ事務所」「法テラス法律事務所」に勤務する」若い弁護士さんの気が知れません。私に就職先がなかったとすれば、すぐ独立したでしょう。</p>
<p> ですから、東京や大阪の大都市部では「裁判員制度、被疑者弁護、刑事裁判での被害者の代理人、少年審判の国選付添人など新しい制度」は、そう大きい問題ではないかも知れません。<br />
今のままでも弁護士数は十分多いですし、刑事に興味を持ち、熱心に多くの刑事事件をしている弁護士さんが吸収してくれる可能性があり、また「都市型こうせつ事務所」もあるからです。</p>
<p><br />
しかし、いわゆる「地方」とりわけ、いわゆる「司法過疎地」では、「裁判員制度、被疑者弁護、刑事裁判での被害者の代理人、少年の国選付添人」の実現可能性には「?」がつきます。なお、いわゆる「司法過疎地」の支部は、裁判員となる事件を扱えない「乙号支部」ですから、裁判員制度は導入され得ません。</p>
<p> いわゆる「司法過疎地」のうち、本当の過疎地か、本庁や支部が交通が便利なのところにあるため、支部には法律事務所がわずかないところについては、「事務所の経営が成り立たないところに」「弁護士が事務所をつくる」ということが「経済合理性」の点からはありえないことは、前のコラムに記載したとおりです。独自で採算を取れず、日本弁護士連合会からの補助金で、何とか経営している事務所があるくらいですから、これ以上、独立採算の事務所を増やすということは難しいと思います。<br />
これは、現在の3万人の弁護士を、5万人にしようが、10万人にしようが同じでしょう。</p>
<p> 司法過疎化の問題のコラムで述べたように「ひまわり基金による地方の法律事務所」は、一部、採算に合って、通常の法律事務所となっている例外はありますが、基本的に採算が合っておらず、日本弁護士連合会などの補助金頼みです。<br />
このうえ、現行の刑事当番弁護士、被疑者当番弁護のほか、裁判員制度、被疑者弁護、刑事裁判での被害者の代理人、少年審判の国選付添人を押しつけられたのでは、「ひまわり基金による地方の法律事務所」に赴任する若い弁護士さんすらも、なくなるのかも知れません。<br />
被告人なら拘置所ですが(起訴後まもなく、または、追起訴のある場合を除きます)、被疑者を弁護する場合は、代用監獄である警察署が、あちらこちらに散らばっていて、へんぴな警察署に行かなければなりませんから(一度、豊能警察署に勾留されている被疑者の弁護人をしたことがありますが、たまったものではありませんでした)、過疎地の法律事務所で働く弁護士さんは、どんなに疲れていても、安全に自動車運転ができる若くて体力のある弁護士さんしか勤まらないでしょう。歳をとった弁護士さんでも「専用運転手」がいれば別ですが、採算に合うはずもありません。</p>
<p> せめて、国選弁護人など刑事弁護の報酬を、採算ベースまで引上げてくれれば別ですが、どうやら期待はもてないようです。</p>
<p> 無責任なようですが、一体、将来の日本の刑事弁護はどうなるんでしょうか?<br />
なるようにしかならないのでしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士増員は過疎地対策になるのでしょうか
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3195#block95-3195
1
<div>弁護士増員論の中に「弁護士過疎地域をなくす目的」というのがあります。
<p> いったい、どこが弁護士過疎化なんだろうと思って、日本弁護士連合会のホームページ <a href="http://search.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/kaso.html" target="_blank">「弁護士過疎って何?」 </a>を見てみました。</p>
<p> 日弁連自身が「支部が扱っている地域を1つの単位として見たときに、その地域内に法律事務所が3以下の地域を「第一種弁護士過疎」地域4から10の地域を「第二種弁護士過疎」地域とよんでいます」「第一種弁護士過疎地域は、2007年6月21日現在、全国で、88か所あります」「このうち、弁護士の登録がない地域と弁護士が1人しか登録していない地域(これらを合わせてゼロワン地域と呼んでいます)は、次のとおりで、早急に対策が必要です」となっています第一種弁護士過疎地域は、2007年6月21日現在、全国で、88か所あります」「このうち、弁護士の登録がない地域と弁護士が1人しか登録していない地域(これらを合わせてゼロワン地域と呼んでいます)は、次のとおりで、早急に対策が必要です」となっています。</p>
<p> しかし、はたして、本当に「早急な解決」が必要でしょうか。また「早急な解決」は、本当に可能なのでしょうか。</p>
<p> 本当に地方・家庭裁判所の支部が必要かどう考えてみましょう。<br />
裁判官が常勤し、毎日何らかの法廷が開廷し、あるいは、家事調停や審判がなされている支部なら、原則として司法に対する需要(司法ニーズ)があるといえるかも知れません。<br />
そういう地域ならば、裁判所支部付近に法律事務所が「0」か「1」というのは問題です。</p>
<p> しかし、地方・家庭裁判所の支部によっては、昔は人口が多く産業もさかんであったため地方・家庭裁判所の支部が必要でしたが、現在は、地方・家庭裁判所の支部をおいておくほどの司法に対する需要がなくなっているところ、あるいは、昔は交通手段が不十分だったため地方・家庭裁判所の支部が必要でしたが、現在は、交通手段が発展し、本庁や最寄りの支部へ簡単に行けるようになったところがあると思います。</p>
<p> 平成のはじめに地方・家庭裁判所の支部の大規模な統廃合があったのをご存じでしょうか。<br />
平成はじめに全国58支部の地方・家庭裁判所の統廃合でなくなりました。</p>
<p> その昔、和歌山地方・家庭裁判所には「妙寺支部」がありました。<br />
もちろん、地域住民は、統廃合に反対でした。<br />
私は当時和歌山地方・家庭裁判所の裁判官をしていましたので事情をよく知っています。<br />
裁判官は賛成、検察官も賛成、弁護士も反発を買いますから本音はいえませんが賛成でした。<br />
結局、「妙寺支部」があるため、裁判官(刑事部の右陪席の判事さんが出張していました)も、検察官も、弁護士も、裁判のためだけに和歌山市内からわざわざ出向かなければならないからです。<br />
昔から、「妙寺支部」管内には、法律事務所が全くない、「ゼロワン地域」だったのですが、和歌山地方・家庭裁判所本庁が管轄するようになりましたから、「ゼロワン地域」ではなくなりました。<br />
もし、支部が統廃合されていなければ、「ゼロワン地域」だ、法律事務所をつくらねばという理屈になるのでしょうが、もともと、支部が残っていたのが不思議なくらいで、法律事務所の需要はあまりないでしょう。</p>
<p> 和歌山地方・家庭裁判所御坊支部が、「ゼロワン地域」の一つになっています。<br />
確かに支部はあります。<br />
そして、私が裁判官をしていたときも、御坊支部に法律事務所はありませんでした。</p>
<p> しかし、以下の理由で、御坊支部管内は「司法」「過疎」ではありません。<br />
御坊市は、和歌山市から特急で39分、田辺市から特急で26分と比較的便利なところにあり、裁判所の支部自体が必要かどうかも疑問です。電車の頻度は少ないにしても、高速道路でいけば問題ありません。和歌山と田辺が100キロメートル、その中間にあるのですから、和歌山市の弁護士と田辺市の弁護士が、十分活動できる範囲です。<br />
また、御坊市および周辺在住の依頼者も、和歌山市や田辺市の弁護士の所に打合わせに行くのは比較的簡単です。本当に辺鄙なところなら、御坊市へ行くのも和歌山市へ行くのも大差ありません。</p>
<p> ということは、御坊市に法律事務所をもうけたところで、依頼者が来るという保障はありません。おおかた、和歌山市の弁護士に事件は持って行かれるでしょうし、御坊だけの事件で経営が成り立つはずもないので、和歌山や田辺支部の事件をするのでしょうが、それなら、御坊に事務所をつくり、御坊から頻繁に出張するより、和歌山や田辺に事務所を構えるのが賢明です。</p>
<p> 御坊支部には、「ひまわり基金」による公設事務所があります。これは、元来、採算度外視の法律事務所です。<br />
「弁護士過疎」というより、「他地域の弁護士で用が足りてます」「そこに事務所につくるのは採算に合いません」ということになるでしょう。</p>
<p><br />
日本弁護士連合会のホームページに記載されている「ゼロワン地域」をパターン分けしてみます。</p>
<p>(裁判官が常駐していない 12支部)<br />
旭川 名寄 本庁から月に3回連続して填補<br />
旭川 紋別 本庁から月に3回連続して填補<br />
旭川 留萌 本庁から月に3回連続して填補<br />
旭川 稚内 本庁から月に3回連続して填補<br />
函館 江差 回数不明・本庁からの填補<br />
青森 十和田 八戸支部から週2回填補<br />
仙台 登米 石巻支部から週1回填補<br />
和歌山 御坊 田辺支部から週2回填補<br />
松江 西郷 2ヶ月に3回本庁から填補<br />
岡山 新見 津山支部から月2回填補<br />
大分 佐伯 週2回本庁から填補<br />
大分 竹田 週1回本庁から填補</p>
<p>(裁判官が常駐している 13支部)<br />
千葉 佐倉 常駐<br />
甲府 都留 常駐<br />
富山 魚津 常駐<br />
大津 長浜 常駐<br />
奈良 五條 常駐<br />
福岡 八女 常駐<br />
福岡 柳川 常駐<br />
長崎 平戸 常駐<br />
長崎 壱岐 厳原支部とかけもち<br />
長崎 厳原 壱岐支部とかけもち<br />
長崎 五島 常駐<br />
大分 杵築 常駐<br />
熊本 阿蘇 常駐<br />
以上です。</p>
<p> 裁判官が常駐していない12支部を見てみます</p>
<p>旭川 名寄 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
旭川 紋別 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
旭川 留萌 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
旭川 稚内 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
函館 江差 1事務所あり<br />
青森 十和田 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
仙台 登米 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
和歌山 御坊 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
松江 西郷 1事務所あり<br />
岡山 新見 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
大分 佐伯 1事務所あり<br />
大分 竹田 1事務所あり</p>
<p> <a href="http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/syoukai.html" target="_blank">「各地の公設事務所」</a>をご覧下さい。<br />
もともと日弁連の補助金で運営していた公設事務所のうち、補助金なしで運営できるようになった事務所は、「定着」と記載されていて、未だ補助金を受けながら運営をしている公設事務所は「定着」と記載されていません。<br />
「定着」と記載されていない法律事務所は、採算に合わないため、日本弁護士連合会からの補助金を受けて運営していることを意味します。</p>
<p> 裁判官が常駐している12支部を見てみます</p>
<p>甲府 都留 「ひまわり基金」による公設事務所が2008年にできる予定。<br />
奈良 五條 <a href="http://taoka.cocolog-nifty.com/himatera/2008/01/post_9ebe.html" target="_blank">「法テラス南和法律事務所」</a>あり<br />
長崎 平戸 「ひまわり基金」による公設事務所が、採算に合い補助金を受けない一般事務所になった。<br />
長崎 壱岐 <a href="http://www.houterasu.or.jp/housenmonka/staff_bengoshi/interview/interview1.html" target="_blank">「法テラス壱岐法律事務所」</a>あり<br />
長崎 厳原 ひまわり基金」による公設事務所(対馬)があるが採算にあっていない。<br />
長崎 五島 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。<br />
大分 杵築 1事務所の支所あり<br />
熊本 阿蘇 「ひまわり基金」による公設事務所があるが採算にあっていない。</p>
<p> 以上です</p>
<p> こうしてみると「とんでもない過疎地域」に地方・家庭裁判所があるところがあります。かつての妙寺支部と同じです。<br />
本来なら、地方・家庭裁判所の統廃合が検討されるべきです。<br />
裁判所は、裁判員制度のために必死で、統廃合の余力などはないでしょうが・・</p>
<p> また、「とんでもない過疎地域」でなくても、本庁や他の支部から便利がよすぎて、あえて法律事務所をつくる必要があるかどうか疑問のところもあります。<br />
御坊支部などです。また、千葉市と佐倉市は電車で17分。佐倉に法律事務所をつくるより、千葉の本庁付近に法律事務所をつくるのが合理的です。富山市と魚津市は電車で23分。魚津に法律事務所をつくるより、富山の本庁付近に法律事務所をつくるのが合理的です。大津市と長浜市は電車で54分、彦根市と長浜市は電車で16分。長浜に法律事務所をつくるより、大津の本庁か彦根支部付近に法律事務所をつくるのが合理的でしょう。また、八女支部や柳川支部は、久留米の法律事務所から行くのが合理的です。</p>
<p> 「ひまわり基金」による公設事務所があるものの、採算にあっていない支部については、「そこに事務所につくるのは採算に合いません」ということでしょう。<br />
いくら弁護士人口が増えたからといって、補助金なしでは採算が合わないところに法律事務所をつくるということは期待できません。これ以上、「過疎地域をなくす目的」でいくら弁護士を増やしても、経済合理性の点からして、法律事務所はできないと思います。複数の法律事務所が必要なら、むしろ、補助金つきの「第二公設事務所」の設立が検討対象になるべきでしょう。<br />
<br />
ゼロワンの解消といいますが、あとは、あまり司法に対する需要のない地方・家庭裁判所支部(本庁や他の支部から交通の便がよすぎるところを含む)の統廃合をするというのが、とられるべき方針のように思います。<br />
弁護士増員論の中の「弁護士過疎地域をなくす目的」というのは、司法に対する需要の有無という実情を検討しているかどうか疑問です。</p>
<p><br />
なお、弁護士のいない過疎地で、弁護士に依頼できなかったため、サラ金・クレジット問題で悩んだあげく、夜逃げや家庭崩壊や、場合によっては自殺という悲劇を生んだという報道がなされることがあります。<br />
ただ「過疎地のため弁護士に相談できない」ということかどうかは、少し検証の必要があるでしょう。</p>
<p> まず、過疎地であっても、地方公共団体の実施する弁護士による代金不要の法律相談は、全国津浦々実施されています。<br />
また、たとえ、弁護士が有り余っている大阪市内でも、サラ金・クレジット問題で、「グレーゾーン金利」「過払い」などを知らず、「なぜ借金が減るんですか」「そんなはずはないでょう」と信じられないという表情をする人というのは、現在でもいくらでもいます。 <br />
また、本当に困っている人は、過疎地からでも、「つて」を頼って、往復1日仕事で家族そろって相談に来るという人もいます。</p>
<p> ただ、過疎地では、サラ金・クレジット問題が弁護士がいないため、適切な知識がいきわたらず、過疎地の公的法律事務所では、サラ金・クレジット問題が山のようにあったりするということはよく聞きます(ひまわり基金などの公的法律事務所に弁護士が赴任すると、口コミで事件はたくさん来ますが、しばらくすると一巡して事件が激減するそうです)が、それが終わったら、民事事件が「がくっと」減少してしまい、消費者被害、交通事故などは残るのですが、近隣・親戚だらけで、土地境界紛争はもちろん、金銭貸借などでも、弁護士に頼み法的措置をとってまで紛争を解決するのが妥当かどうか疑問がある事案もあるようです。</p>
<p> もちろん、過疎地は過疎地なりの方法をとる必要がありますが、法律事務所を増やすというより、代金不要の法律相談の機会を増やすということが先という場合もあります。<br />
本当の司法過疎地にも多数の法律事務所が必要であるともいえませんし、法律事務所をつくっても採算にあいません。</p>
<p> いくら弁護士を増員したところで、採算の合わないところに、補助金頼みの法律事務所以外の法律事務所はできません。<br />
よって「弁護士過疎地域をなくす目的」で、これ以上、弁護士を増員する必要があるという議論は誤りといえるでしょう。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
日弁連の過疎化対策
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3194#block95-3194
1
<div>
<p> 「ひまわり基金」をご存じですか。</p>
<p> 日本弁護士連合会の <a href="http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/torikumi.html" target="_blank">「弁護士過疎への取組」</a>に以下のとおり記載されています。<br />
「 日弁連では、1999年同年12月の日弁連臨時総会において、2000年1月から2004年12月までの5年間、日弁連の会員一人一人が毎月1000円ずつの特別会費を出しあい、これをひまわり基金に積み立てることが決まりました。<br />
これによって、毎年2億円以上をひまわり基金に積み立て、弁護士過疎対策を行うための活動資金としてきました。<br />
積み立て期間の満了を控えた2004年11月の日弁連臨時総会において、これまで行ってきた弁護士過疎対策の活動資金を維持し、財政基盤を強化するために、積み立て期間を2005年1月から2007年3月までに延長し、毎月の積み立て金額も1500円に増額することを決めました。また、2006年12月の日弁連臨時総会において、金額を1400円に減額の上、2007年4月から2010年3月まで、さらに3年間積立期間を延長することが決まりました。これによって、毎年4億円近くがひまわり基金に積み立てられることとなります。」<br />
これは、全国津々浦々の弁護士の会費からまかなわれています。</p>
<p> また、<a href="http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/syoukai.html" target="_blank">「ひまわり基金法律事務所」と「独立採算で運用できるようになった事務所」 </a>は以下のとおりです。</p>
<p>地域 公設事務所<br />
[北海道]<br />
紋別 根室 留萌 名寄 倶知安 ひだか オホーツク北斗 中標津 北見 岩内 稚内 網走(定着) 室蘭(定着)<br />
[東北]<br />
青森県 十和田 むつ つがる 三沢 五所川原(定着)<br />
秋田県 能代 大館 横手(定着)<br />
岩手県 遠野 宮古 花北 二戸 釜石 北上(定着)<br />
山形県 新庄 米沢<br />
宮城県 登米 気仙沼<br />
福島県 相馬<br />
[関東]<br />
新潟県 中越 上越 新発田<br />
茨城県 鹿嶋 神栖<br />
千葉県 銚子<br />
静岡県 下田<br />
[中部]<br />
石川県 輪島<br />
福井県 小浜<br />
三重県 熊野<br />
[近畿]<br />
兵庫県 丹波 たつの 淡路島<br />
京都府 宮津 亀岡 京丹後 山城 園部(定着)<br />
和歌山県 御坊 新宮<br />
[中国]<br />
広島県 備北<br />
山口県 萩<br />
岡山県 新見<br />
鳥取県 倉吉(定着) 鳥取(定着)<br />
島根県 益田 石西 石見(定着) 浜田(定着)<br />
[四国]<br />
徳島県 阿南 美馬<br />
高知県 安芸 中村<br />
愛媛県 大洲<br />
[九州] 長崎県 五島 対馬 有明 島原(定着) 平戸(定着) <br />
熊本県 山鹿 天草 八代 阿蘇 くま川 人吉・球磨(定着) 玉名(定着)<br />
宮崎県 日南 日向入郷地区<br />
鹿児島県 知覧 鹿屋 奄美<br />
沖縄県 宮古島 八重山 石垣(定着)</p>
<p>公設事務所の数…71か所(2008年3月6日現在)<br />
公設事務所から定着した事務所の数…15か所(2008年3月6日現在)</p>
<p> これらのうち「定着」と記載されていない事務所については、全国、津々浦々の弁護士が、毎月1400円を拠出し、過疎化地域の法律事務所の経営を支援していることになります。<br />
なお「定着」と記載されている事務所は、かつては、日本弁護士連合会から補助金をもらっていましたが、その後、補助金をもらわなくても、自力で経営できるようになっている事務所です。<br />
「定着」と記載されていない56法律事務所は、現在のところ、自力で経営できるようになっていない法律事務所です。</p>
<p><br />
また、日本弁護士連合会ではありませんが、弁護士の過疎対策として、法テラスも <a href="http://www.houterasu.or.jp/k/center_riyou/shihoukaso-keitai.html" target="_blank">「法テラスの司法過疎対策業務」 </a>によれば、新潟県の佐渡市、長崎県の壱岐市、鹿児島県の鹿屋市、北海道の江差町、高知県の須崎市、鳥取県の倉吉市に司法過疎対策を行う法テラス法律事務所を設置して、過疎地において、弁護士が活躍しています。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
給与振込口座
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3193#block95-3193
1
<div>転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人に、預金通帳をもってくるように指示すると「山のように」預金通帳を持ってくる人がいます。
<p> 大抵は、使われていない「休眠口座」です。</p>
<p> なぜ、転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人が、預金通帳をたくさん持っているかという理由は、勤務先、派遣先が、給与振込用に、特定の銀行、特定の支店の預金通帳をつくるよう指示するからです。<br />
同一銀行、同一支店なら、振替手数料は通常「0」円です。三井住友銀行は210円とりますが・・</p>
<p> 勤務先、派遣先が、特定の銀行を指定する理由の一つとしては「ケイレツ(系列)」があります。<br />
大企業の場合、旧財閥系など特定の銀行と系列があるため、その銀行を指定します。<br />
特定の銀行員が、特定の銘柄のビールしか飲まないというのは有名な話です。<br />
また、地方公務員の場合、地方公共団体の指定金融機関を給与振込み口座に指定するように勧めることが多いです。</p>
<p> 次に、勤務先、派遣先が、さほど大きな企業でない場合は、その企業のメインバンクを指定することが多いのです。</p>
<p> 企業としては、借入れの大きい、いわゆるメインバンクのために便宜をはかり、条件のよい融資を受けようとするのです。<br />
なぜ、従業員の預金口座を、メインバンクにつくらせようとするのでしょうか。<br />
まず、銀行としては、給与振込み口座を作ってもらえば、給与振込みだけではなく、定期預金をしてもらえる可能性があり、銀行ローンを利用してもらえる可能性もあります。各種公共料金の引落・クレジットの引落口座に指定してもらえるでしょう。<br />
また、ゆくゆく退職金というまとまった収入が入れば、大口の定期預金をしてくれり、投資信託を購入してくれることになります。<br />
いわゆる「囲込み」です。</p>
<p>「銀行にそれだけの便宜をはかるから、みかえりに、条件のよい融資をしてくださいね」ということですね。<br />
誰が損をするわけではありませんし、万事めでたしめでたしというわけです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法修習生の給与
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3192#block95-3192
1
<div>私は、以前のコラムで以下のとおり書いています。
<p>「 現在の司法修習生の給与は、基本給が月額20万2200円(平成19年4月1日現在)となっています。このほか、一般職の国家公務員と同様、扶養手当、大都市調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当(ボーナス)、寒冷地手当などが支給されるのは、当時も同じでした」</p>
<p> しかし、<a href="http://hourei.hounavi.jp/seitei/hou/H16/H16HO163.php" target="_blank">「裁判所法の一部を改正する法律」</a>により、平成22年11月以降採用された司法修習生については、給与がなくなり貸与制度となります。それ以前に採用された司法修習生は、卒業まで給与がもらえます。</p>
<p> 裁判所法67条の2(修習資金の貸与等)<br />
「 最高裁判所は、司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、司法修習生に対し、その申請により、無利息で、修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう)を貸与するものとする。<br />
修習資金の額及び返還の期限は、最高裁判所の定めるところによる。」</p>
<p> 「裁判官・検察官になる人はともかく、弁護士になる修習生にまで給与を支払うのはおかしい」という批判は昔からありましたし、「司法修習生が増えすぎて給与を支払ってられない」ということなんでしょうね。<br />
なお、修習生1人あたり1年間で1000万円かかっている計算になるそうです。<br />
司法修習生の給料は、さほどでもありませんが、司法研修所の運営費(裁判官である所長、事務局長、民事裁判教官、刑事裁判教官、研修所付判事補、検察官である検察教官の各報酬・給与と、高額給与取得者がずらっと並び、司法研修所職員の給与、わずかですが弁護教官に対する報酬。あと、維持費などがかかります。司法研修所は、裁判官の研修もしますので、その分を控除して計算します)を考慮すると約1000万円となります。<br />
<br />
ただ、司法修習生の給与分が貸与制になるだけで、司法研修所の運営費を、授業料などの形で司法修習生に支払えということではないようです。</p>
<p><br />
これからは、法科大学院に高い授業料授業料(たとえば、東京大学法科大学院でも2年合計160万8000+検定料3万円)を支払い、また、司法修習生時代の貸与された給与分のお金を返済しなければならないとなると(現在の給与と同レベルとして年間350万円。1年間)、親が格段に裕福でない限り、弁護士になる時点で、相当額の借金を背負って弁護士生活のスタートをきらざるを得なくなるようです。</p>
<p> また、大阪弁護士会に入会するとすると登録時約50万円(正確な金額ではありません。ご了解下さい)、毎月の会費が5万円近くかるわけですから(これも正確な金額ではありません)、大変なことになります。</p>
<p> その上、弁護士になっても就職先がないという人は、どうやって生活していくのでしょうか。</p>
<p> 私の大学生、司法修習生当時から、弁護士になるには「親の財力」勝負ということがいわれていました。<br />
私が合格した昭和52年度の司法試験合格者の平均年齢が28.9歳で、修習生は480人程度、一部高年齢層が平均年齢を引き上げているということはあったとしても、やはり大学卒業後、5、6年程度司法試験の受験を続けていたという方が平均的だったという印象があります。<br />
やはり、親が裕福でないと、司法試験合格は難しかったと思います。</p>
確かに、2000人以上が司法試験に合格するご時世ですから、司法試験のハードルは、格段に低くなっているはずです。<br />
もっとも、新司法試験制度の合格者は、最速でも法学部4年、プラス法科大学院2年間、司法修習生1年の貸与制となると、収入を得るのは最低でも25歳となります。<br />
アルバイトなどをしていては(修習期間中はアルバイトはできません)、合格が遅くなり余計に負担がかかるだけですから、弁護士になるには「親の財力」勝負ということに変わりはないようです。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
職業病?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3155#block95-3155
1
<div>そろそろ「新しい修習生が当事務所に入所しました」という法律事務所の案内が来なくなりました。<br />
平成19年度(平成19年4月1日から平成20年3月31日)は、司法試験合格者組と法科大学院卒業組が、時期を異ならせて弁護士になったため、のべつまくなしに挨拶状が来ていたのですが・・・
<p> どの案内文にも「当事務所は、○○大学法学部を優秀な成績で卒業した、新進気鋭の○○君を迎えました」と書かれています。</p>
<p> 「ベテランと いえば聞きよい 迎え待ち」<br />
「中堅と いえば聞きよい 中だるみ」<br />
「新進と いえば聞きよい 青二才」</p>
<p> という川柳を詠んでみました。</p>
<p> 私も、「青二才」から「中だるみ」に入り、あと10年少しもすれば、裁判官で言えば定年=お役ご免=「迎え待ち」に入ることになるのでしょうね。</p>
<p> 弁護士という仕事を長くやっていると、「そうだ」「いいことだ」と単純に思うことができなくなり、「いいや」「何か裏があるに違いない」と、最初から疑うようになってしまいました。</p>
昔は素直だったのに・・<br />
職業病でしょうか。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
司法試験考
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3154#block95-3154
1
<div>韓国の六法を見ているとおもしろい箇所があります。
<p> 「司法試験令」「第5条(試験方法)」4項です。<br />
「第三次試験は面接試験とし、次の各号の事項を評定する<br />
1 国家観・使命感等精神姿勢<br />
2 専門知識及び応用能力<br />
3 意思発表の正確成果論理性<br />
4 容貌・礼儀・品行及び誠実さ<br />
5 創意力・意志力その他発展可能性」</p>
<p>ちなみに、日本の司法試験法第5条4項(偶然でしょうか。同じ条数、同じ項数です)には、以下のとおり定められています。<br />
「 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、法的な推論、分析及び構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定に意を用い、法律実務基礎科目について行う。」</p>
<p> 国家観などは、現在の韓国のおかれている状況から「やむを得ない」のかも知れません。日本で、こんな条項を入れると「違憲」の可能性があります。</p>
<p> おもしろいのは「容貌・礼儀・品行及び誠実さ」ですね。<br />
「容貌」で不合格になった受験生はいるのでしょうか。<br />
いたとしたら、顔写真を見たいものです。</p>
<p> ちなみに、日本では、ある程度の年齢の弁護士が「最近の司法修習生や若い弁護士は礼儀を知らん」「挨拶はろくにしない」「先輩に対して『君』づけして呼ぶ」などと文句をいうことがあります。</p>
<p> もっとも、「最近の若いやつは…」という言葉は、約5000年前のエジプトの象形文字で同じような文章が書かれていたとか、プラトンがいったとか・・</p>
<p> ただ、いずれにせよ、弁護士大増員で「質」が落ちてきたことは間違いありません。<br />
いっそのこと、日本の司法試験法に、口述試験で「礼儀・品行」を審査するという条項を加えた方がいいかもしれません。</p>
<p> もつとも、司法試験考査委員を解任された慶應義塾大学大学院法務研究科教授がおられましたね。<br />
審査する方がこれでは・・・</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
非弁提携
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3153#block95-3153
1
<div>大阪弁護士会所属の登録32年目の弁護士と登録19年目の弁護士が、貸金業者から多重債務者のあっせんを受け、弁護士報酬の一部を紹介料名目に業者に支払っていたとして、弁護士法違反(非弁護士との提携)などの容疑で逮捕されました。
<p> 両名とも、大阪弁護士会内で、評判の悪い弁護士ではなく、ごくごく普通の評判の弁護士でした。</p>
<p> 弁護士法72条には「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」と定められ、弁護士法27条には「弁護士は、第72条ないし第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない」と定められています。</p>
<p> 整理屋などの業者と組んで、多重債務者の相談にのり、実際は活動せずに、整理屋に仕事をまかせ、高額の手数料や報酬を受け取ったり、弁護士資格のない者からの業務の斡旋を受けたりすると、弁護士法違反として、弁護士法77条によって、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになります。</p>
<p> これを「非弁提携」といい、懲戒手続きにはいると、まず間違いなく戒告ではすまず、よくて業務停止処分、最悪の場合は除名され、弁護士としての職務を続けることが難しくなる、あるいは、全くできなくなります。</p>
<p> 事実関係は、いずれ、刑事裁判や懲戒手続きで明らかにされるでしょう。<br />
<br />
今回の事件のような、いわゆる非弁提携は、東京の弁護士さんに多かったのですが(弁護士の絶対数が圧倒的に多いからということもあります)、いよいよ大阪にもおよんできました。<br />
非弁提携は、弁護士の経済的な困窮が原因です。例外は、あまりありません。</p>
<p> 真偽は定かではありませんが、紹介した貸金業者に紹介手数料を支払った上、紹介した貸金業者を、破産申請の際に債権者としてあげないため、当該貸金業者への債務だけは、借金が「チャラ」にならず、依頼者は、当該貸金業者だけ返済を続けなければならなかったという報道がなされています。<br />
本当であるとすると、ひどい話です。<br />
重い刑罰、重い懲戒処分を受けることになると思います。<br />
<br />
ただ、一般の人に、依頼しようとしている弁護士が経済的に苦しいかどうかはわかりませんね。<br />
同じ弁護士会の他の弁護士にもわからなかったのですから。</p>
<p> 今回の金融業者のような「整理屋」がからんでくるようなら、当該弁護士に依頼するのは危険です。<br />
また、弁護士が直接事情を聞いたり、方針について説明してくれるのではなく、弁護士の姿は見えず、事務員と称する人が担当するという事務所も危険です。</p>
<p> これらの弁護士にひっかからないよう注意をしてください。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律事務所名・その2
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3152#block95-3152
1
<div>法律事務所の名前を見ていると「大きく出たな」という事務所があります。
<p> あまり具体的に述べると問題なのですが、「四国総合法律事務所」「東日本総合法律事務所」「大西洋総合法律事務所」「世界法律事務所」に似たような法律事務所名はあります(日本弁護士連合会のホームページにより検索した結果、平成20年2月1日時点に存在しません)。</p>
<p> と考えていくと、一番大きなのは「宇宙法律事務所」でしようか。「宇宙」を英訳した「コスモス」のついた法律事務所名は存在します。「宇宙」ではなく、「花の種類」の意図かも知れません。</p>
<p> 一番小さいのは、「元素法律事務所」、いや、元素を構成する「中性子法律事務所」「陽子(ようし)法律事務所」「電子法律事務所」、いや、それを構成する「クォーク法律事務所」でしょうか。これは、某信販会社と同じになりますので、どの弁護士もつけないでしょうね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律事務所をねらった窃盗団
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3151#block95-3151
1
<div>法律事務所をねらった泥棒が結構多いです。
<p> 私の事務所は、現在の事務所で1回、移転前のビルの事務所で1回、合計2回泥棒に入られています。<br />
西天満警察署は、本当に「犯人を捜す」意思と能力があるのでしょうか。</p>
<p> ちなみに、法律事務所がねらわれるのは「現金」があるからです。<br />
預かり金を小型金庫に入れておかれる弁護士さんは結構多いです。<br />
小型金庫など、プロの手にかかれば、壊すのは簡単。現金あるよと教えてやるようなものです。</p>
<p> 最初の盗難の時も、2回目の時も、200万円だか、300万円だかの被害を受けた法律事務所があったようです。<br />
預かり金なら、弁護士賠償保険で填補されますが、給与など事務所の金銭は填補されませんし、預かり金でも、マネーローンダリングの疑いのかかるような金銭は、保険請求できません。</p>
<p> 私の事務所は、最初の盗難の時は、事務員が鍵をかけておいたロッカーから1万円を盗まれました。<br />
慶弔用の新札の現金もおいてあったのですが、あまりにも無造作に、書類の間においてあったためか、無事でした。<br />
また、私の机の中に、ユーロが2万円分ほどおいていたのですが、ユーロが出たてのころで、「おもちゃ」か「どこの国の紙幣かわからない価値のない紙幣」と思われたのでしょう無事でした。</p>
<p> 2回目の盗難の時は、痛かったです。<br />
やはり、慶弔用の新札の現金もおいてあったのですが、やはり、書類の間においてあったためか、無事でした。<br />
「円」は被害なしでしたが、「米ドル」「ユーロ」「英ポンド」「スイス・フラン」「ニュージーランド・ドル」「シンガポール・ドル」合計12万円ほど被害にあいました。なぜ、わかったかというと、使い残しの金額が封筒に書いてあるからです。「タイ・バーツ」(2万円ほどありました)「人民元」「マレーシア・リンギット」は、日本では換金できませんから無事でした。<br />
さすが、プロですね。日本で換金できる紙幣と換金できない紙幣を瞬時に見分けて、換金できる紙幣を盗んでいったことになります。</p>
<p> 警察官に被害額を説明したのですが、一通り説明した後、「米ドルは○○ドル。日本円にすると○○円を目安として考えてもうたらええでしょう」「イギリスポンドは○○ポンド、日本円にすると○○円を目安として考えてもうたらええでしょう」と、「世界丸ごとハウマッチ」のように説明していました。<br />
「ユーロは○○ユーロ。日本円にすると○○円を目安として考えてもうたらええでしょう」と言ったところで、警察官が「何ユーロですか」との質問をしてきました。<br />
「そやから、○○ユーロとゆうたやないですか」「ですから何ユーロですか」との繰返ししていたところ、横で見ていた事務員が気づいて、「先生。ドルみたいに、米ドルがあったり、シンガポール・ドル、ニュージーランド・ドルがあったりするように、ユーロにも、何種類かあるように思ってはるみたいですよ」と小声でささやきました。<br />
大当たりでした。警察官は、ユーロにドイツ・ユーロ、フランス・ユーロなど種類があり、「何(なに)ユーロですか」と、種類を繰返し聞いてきたのですが、こちらは、全くの「想定外」(何のための統一通貨かということになります)で、「○○ユーロです」と被害金額を、繰返し答えていたのです。</p>
<p> 私は、外国のお金を残さずに持っておくと、「もう一度」その国に行けるような気がしますので、無理に使い切ったりしません。<br />
ちなみに、2回目の盗難からは、使い残しの外貨は銀行の貸金庫に入れています。</p>
<p> ちなみに、法律事務所にとって、もっとも盗まれて困るものは、預かっている書証の原本なんですが、法律事務所に入る泥棒にとって無価値ですから、2回とも、どこの法律事務所も無事でした。</p>
<p> しかし、2回も泥棒に入られるとは、よくよく運がありません。</p>
<p><br />
一般の家でも、法律事務所でも同じですが、泥棒は、貴重品のはいっていさそうなところを狙います。<br />
金庫は、普通の金庫でも手提げ金庫でも、簡単にあける技術をもっていると考えた方がいいでしょう。金庫ごと持去るという方法もあります。<br />
また、鍵がかけてある引出しは「狙われます」。貴重品がはいっていることが推測されますから。</p>
<p> 今は、コンビニなどに24時間ATMがありますから、多額の現金を自宅に置く必要は普通ありませんし、不幸の場合は、新札でなくてもかまわないでしょうし、お祝い事は、予定がたちますから、なおのこと現金は必要ないと思います。<br />
宝石・貴金属はなどの貴重品のうち、普段身につけないものは、権利証などと一緒に、銀行の貸金庫に入れておけばいかがでしょう。</p>
<p> また、森の中に無造作に木を放り出しておけば、木があることはわかりません。<br />
現金は、無造作に、本・書類などの中に紛れ込ませておけば、わからないと思います。紛れ込ませたことを忘れていては、何にもなりませんが・・・ </p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
一般名詞?登録商標?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3150#block95-3150
1
<div>てっきり「一般名詞」だと思っていたら、特定会社が商標登録している商品ということがあります。
<p> 普通は、全く分かりません。<br />
なぜ、特定会社の商標だとわかるかというと、NHKの放送では一般名詞を用いることになっていて、若干違和感を感じるからです。</p>
<p> 代表的なものをピックアップしておきます。「商標」「一般名詞」「商標を持っている会社名」をあげておきます。なお、会社名は、商号変更している場合があります。</p>
<p>味の素 「化学調味料」(味の素)<br />
ウォークマン 「ヘッドフォンステレオ」(ソニー)<br />
ウォシュレット 「温水洗浄便座」(東陶機器)<br />
エレクトーン 「電子ピアノ」(ヤマハ)<br />
シャチハタ 「スタンプ型印鑑 」(シャチハタ)<br />
セロテープ 「セロファンテープ」(日絆薬品工業)<br />
宅急便 「宅配便」(ヤマト)<br />
バンドエイド 「救急ばんそうこう」(ジョンソン&ジョンソン)<br />
ボンド 「接着剤」 (コニシ)<br />
マジックインキ 「油性マーキングペン」(内田洋行)<br />
ユンボ 「油圧ショベル」(仏ユンボ社)</p>
<p> NHKには、山口百恵が歌う「プレイバックPart2」の歌詞の中の「真っ赤なポルシェ」という部分について、内部規定により、「歌詞に含まれる特定企業名・商品名は宣伝にあたる」と判断して、NHKの番組では「真っ赤な車」と置き換えられて歌わせていたというエピソードもあります。もっとも、現在は、本来の歌詞を尊重しているようです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
元首とは
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3149#block95-3149
1
<div>
<p> 「元首」という言葉をご存じでしょうか。</p>
<p> 元首は、国家の首長のことで、君主制の国家では皇帝や国王などの君主、共和制の国家では大統領が元首とされています。社会主義国では中華人民共和国の国家主席、キューバのカストロ国家評議会議長、リビアのカダフィ9月革命指導者など、さまざまあるようです。<br />
<a href="http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asia.html" target="_blank">「外務省のホームページ」 </a>に記載されていますが、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、台湾(中華民国)は、国交がないのでも記載されていません。</p>
<p> さて、かんじんの日本はどうでしょう。日本の外務省のホームページにはのっていませんね。外国はどう見ているのでしょう。<br />
例えば、 <a href="http://www.auswaertiges-amt.de/diplo/de/Laenderinformationen/01-Laender/Japan.html" target="_blank">ドイツ外務省公式ホームページ </a>の日本の欄を見てみますと、「Staatsoberhaupt: Kaiser Akihito, seit 7. Januar 1989 」(「元首:明仁天皇,1989年1月7日より」)と記載されています。</p>
<p> 2007年ハイリゲンダム主要国首脳会議の席順は、以下のとおりです。<br />
アンゲラ・メルケル(議長・ドイツ連邦首相)<br />
ウラジーミル・プーチン(ロシア連邦大統領)<br />
ジョージ・W・ブッシュ(アメリカ合衆国大統領)<br />
ニコラ・サルコジ(フランス共和国大統領)<br />
トニー・ブレア(イギリス首相)<br />
スティーヴン・ハーパー(カナダ首相)<br />
ロマーノ・プローディ(イタリア首相)<br />
安倍晋三(日本国内閣総理大臣)<br />
<br />
<br />
議長は席順のトップに来ます。その他は、元首が先、元首でないものが後、同格の場合、就任期間が長い者が先に来ます。日本国内閣総理大臣は、元首の扱いを当然ながら受けていません。</p>
<p> また、国家首脳が海外を訪問するとき、訪問相手国が鳴らす礼砲は、天皇陛下21発(元首扱い)、首相19発(元首でない扱い)となっています。</p>
<p><br />
天皇が元首かどうか、法的には議論がありますが(明治憲法には、天皇が元首と明記。現憲法には明記されていない)、あまり、元首か否かは、国内で議論しても、あまり意味はありません。<br />
問題は、外国がどう扱うかであり、天皇陛下が「元首」と扱われていることは間違いないようです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
一人事務所-私の場合
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3148#block95-3148
1
<div>
<p>日弁連「弁護士白書」2006年版からすると、法律事務所の数と規模は以下のとおりです。</p>
<p> 合計事務所数 10,272<br />
1人事務所数 8,092<br />
<br />
私は、ずっと「一人事務所」のつもりです。</p>
<p> 最初に述べておきますと「一人事務所」でいる「本当」の理由は、儲かっていないからです。<br />
報酬の価格設定が「人並み」ということが影響しているかもしれません。「時価」や「ぼったくり」はありません。</p>
<p> 以下「公式的」な理由を・・・</p>
<p> 「一人事務所」でいる理由の一つは、一人事務所は、ある意味「ローリスク・ローリターン」だからです。<br />
弁護士を一人でも雇うと、固定費がかかります。<br />
もちろん、弁護士の給与・賞与の負担は当然ですが、事務所のスペースを広くしなくてはなりませんし、事務員数が増えるなど、固定経費の負担が増加します。<br />
かつて私のコラムで書いたことがあるのですが、法律事務所には、原材料費など「変動経費」が実質上なく(電話代、郵便代、コピー代が多少変わる程度)、実質、固定された一般管理費のみです。<br />
固定費を上げすぎると、損益分岐点にまで収入をもっていくのに苦労します。損益分岐点まで持っていけば、あとは収入増加分=所得増加分です。<br />
うまく収入が入ればいいですが、うまくいかなければ悲惨です。<br />
また、どうしても、売上を上げようとすると、費用対効果の悪い(割に合わない)事件を受けざるをえなくなります。<br />
一人事務所なら、損益分岐点まで収入を持っていくのはさほど難しくありませんし、費用対効果の悪い事件を受任する必要がありません。<br />
もちろん、一人でできる仕事量は限られていますから、「ローリスク」ではあっても、「ハイリターン」は全く望めません。</p>
<p> 理由の一つは、気楽にやりたいからです。<br />
弁護士は依頼者への気遣い、裁判所への気遣いなど、結構心労のたまる仕事です。<br />
弁護士は、「一般サラリーマンなんかやっていられない」、いわば「野武士」ですから、雇用するにせよ、共同経営するにせよ、余計な気遣いをしなければならないからです。<br />
一人事務所には、同一事務所の他の弁護士への気遣いの必要がありません。</p>
<p> もう一つの理由は、性格上「人任せ」にするのが嫌だからです。<br />
自分の信用で受任して、若い人に「任せる」ということは性格からして無理です。<br />
他の弁護士が主任の事件にも配慮しようとすると、手数がかかります。<br />
私は、独立する前、高齢だった前のボス弁が新規採用した弁護士に、半年事件を引き継ぎ独立しました。<br />
それまで、6時に帰れていたのが、新人弁護士さん仕事のペースにつきあっていると、帰宅が9時、10時になった「苦い」経験があります。<br />
<br />
理由のもう一つは、それが「売物」になるからです。<br />
ある信頼できると思った弁護士に依頼しようとしたはずが、若い弁護士に事件を丸投げされたのではたまったものではありません。<br />
少なくとも、私の事務所では「丸投げ」などしようがありません。</p>
理由のもう一つは「見栄」をはる必要を感じないからです。<br />
やはり、一般の人が見ると、手広くしている事務所が、「成功して」いるように見えます。経済的に余裕があるかどうかは別問題ですが・・<br />
「見栄」をはるには、事務所を大きくするのが手っ取り早いのです。<br />
もちろん「見栄」をはりたいのが、一般でしょう。<br />
ただ、私は、事務所の規模で「見栄」をはる必要は感じていません。私の職歴、学歴などで判断していただければ十分(このコラムを弁護士仲間が見ると「友達をなくす」かもしれませんが・・)と考えています。<br />
<br />
今から思えば、「一人事務所」は「大正解」だったと思います。<br />
大きく儲かることなどは「夢のまた夢」ですが、逆に、「お金」の心配を始終する必要もあまりありません。<br />
これだけ弁護士が増えてくると、「一人」の「身軽」さのありがたさがよくわかります。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
good lawyer, bad neighbor
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3147#block95-3147
1
<div>
<p> 「良き法律家は悪しき隣人」(good lawyer, bad neighbor)と言うことわざがあります。<br />
「良き法律家は悪しき隣人」というのは、当たらずといえども遠からずというところかもしれません。</p>
<p> 私自身が「良き法律家」かどうか、「悪しき隣人」かどうかはわかりません。</p>
<p> ただ、私が家を建てたとき、建築請負業者は「紛争を恐れたのか」、全く問題なく建てられています。同じ建築業者の他の家は、必ずしも、そうとばかりは聞いていないので、「弁護士」という職業で得をしているかもしれません。</p>
<p> なお、今年の一番印象に残った「事件」について書いてみます。</p>
<p> 私は、ミュンヘンのホテルの部屋で寝ているうちに盗難にあったのですが(私は、オートロックと思いこみ、内側から鍵をかけずに寝こんでしまい現金の盗難にあいました。下手に目覚めていたら怖かったですね)、損害賠償事件の交渉を、当然の話ながら、着手金なしに自分ですることになりました。</p>
<p> 私は、ホテル側に責任がある、すなわち、フロントが盗難犯をやすやすと部屋に忍び込ませた過失がある、あるいは、ホテル従業員が盗難犯の共犯だったと主張し、ホテル側は、鍵をかけていない宿泊客である私に全面的に責任があると主張しました。</p>
<p> ドイツでは、現金の場合でも、800ユーロを限度として、ホテルの加入している賠償責任保険がでます。盗難金額は845ユーロ相当でした。</p>
<p> 結局、帰国後に、電子メールでやりとりしたのですが、ホテルか私、どちらに責任があるかで、保険会社と電子メールでやりとりを繰返すうち、保険会社が満額の800ユーロを支払うことで決着がつきました。</p>
<p> 保険会社担当職員の交渉方法は上手ではありませんでした。<br />
「ドイツ関係諸法令・判例に照らし」「支払えない」と主張したのが大ミスで、「ドイツ語の法令も、判例も読解可能ですから、全部メールしてください」と返答したところ、結局、「諸法令」と称していたのが「ドイツ民法」(BGB§254)の「過失相殺の条項」だけで、結局「判例」も全く出せませんでした。<br />
調べもせずに、「どうせ日本人に、ドイツの法律や判例は読めない」、「ドイツ関係諸法令・判例に照らし」といえば、どうせ反論できず諦めるだろうと高をくくっていたのでしょう。</p>
<p> また「たかが、800ユーロのために手数をかけられない」という事情もあるでしょう。銀行の金銭出納ミスを「雑損」「雑益」で処理するお国柄です(日本の銀行のように、残業してまで計算をあわそうとしません)。</p>
<p> ただ、私にとっても13万円強の金額では「割にあわない」「事件」でした。取得した金=全額私の収入で、また、所得税も消費税もかからないのが、せめてものなぐさめでしょうか。</p>
<p> 法律相談や事件の依頼で、「コスト・パフォーマンス」「割に合うかあわないか」と説明することが多いのですが、当事者になってみると、金額面では割切れない、プラスアルファがあることがわかりました。</p>
<p><br />
一般的に、弁護士は、「嫌われる業種」のように思います。怒らせると「理屈っぽい」、「うるさい」、「何かといえば」「法律を示せ」「証拠をみせろ」という方が多いことも確かです。</p>
<p> 「できれば、かかわりたくない」というのが本音でしょうね。<br />
関西人の法律家なら「つっこみ」大好きですから、なおさらのことかもしれません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士会の略称
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3146#block95-3146
1
<div>弁護士は、言葉を省略するのが好きです。
<p> 例えば、日本弁護士連合会は「日弁連」(にちべんれん)、東京弁護士会は「東弁」(とうべん)、第一東京弁護士会は「一弁」(いちべん)、第二東京弁護士会は「二弁」(にべん)などと省略します。</p>
<p> 略称が何かということは、各単位弁護士会のホームページのアドレスをみれば通常わかります。<br />
http://www.hyogoben.or.jp/<br />
http://www.naben.or.jp/<br />
http://www.shigaben.or.jp/<br />
http://www.wakaben.or.jp/</p>
<p> もっとも、大阪弁護士会のホームページのアドレスは、<br />
http://www.osakaben.or.jp/<br />
となっています。<br />
すると、大阪弁護士会の略称は「大阪弁」(おおさかべん)なのでしょうか。<br />
これは「はずれ」で、大弁(だいべん)と略称されています。<br />
本来なら http://www.daiben.or.jp/ のはずです。</p>
<p> なぜ、http://www.osakaben.or.jp/ となっているのでしょうか。<br />
少し考えてみてください。<br />
「daiben」は、漢字で書けば区別がつきますが、ローマ字表記にすると、別の単語を連想させますから、不採用となりました。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
食品の偽装
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3145#block95-3145
1
<div>
<p> 「雪印」の偽装問題では、多数の食中毒患者でました。<br />
また、「不二家」の偽装問題では、食中毒患者が出ています。<br />
ある意味、責任を問われるのはやむを得ないでしょう。</p>
<p> 「白い恋人」「赤福」は、食中毒患者が出たから発覚したわけではなく、内部告発により発覚しました。<br />
「賞味期限」「消費期限」のごまかしでした。<br />
結局は、さほど「賞味期限」「消費期限」にこだわらない、日持ちのするお菓子だったようです。<br />
それを、さも「生もの」であるかのように宣伝したのが命取りでした。<br />
JAS法の適用はおくとして、消費者が「賞味期限までに食べなければならない」「新鮮な生ものだ」、「賞味期限までに食べなければならない」と「強迫観念」を植付け、あたかも「新鮮なものである」と錯覚させ、その実、古いものを平気で出荷していたことは責められなければなりません。</p>
<p>「いかりスーパー」の「和牛」と表示されたコロッケに、「日本産ホルスタイン」を入れたいということは責められるべきことかもしれませんが、「実害」は、出るはずもありません。<br />
その意味で、攻撃も「一過性」でした。<br />
「和牛」という言葉にだまされ、購入した人は、「自分の舌がいい加減である」ということが「恥ずかしくて」、「被害者」と名乗れなかったのかもしれません。<br />
私の最寄り駅の前に「いかりスーパー」がありますが、1枚の「お詫び」だけでした。</p>
<p><br />
なお、案外、人の舌はあてになりません。<br />
テレビ番組でも、「超高級」「高級」「普及品」を芸能人に目隠しテストをさせますが、案外当たりません。<br />
ワインなどは、冷やさなければ、案外高級かどうかわかるものですが、適度に冷やすと、少なくとも私の舌のレベルではわかりません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士会の選挙
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3144#block95-3144
1
<div>大阪弁護士会会長や副会長は、どのようにして選ばれるのかご存じでしょうか。<br />
大阪弁護士会会長や副会長に限らず、各地方単位会(大阪弁護士会、兵庫県弁護士会など)は、任期は1年です。
<p> 大阪には、会派(派閥)が7会派あります。副会長のポストも7人(以前は5人でした)ですから、各会派の「実力者」各1名が副会長選挙に立候補して、めでたく、全員「無投票当選」となります。<br />
その昔は、副会長も、実際に選挙をやっていた時期もあるそうです。</p>
<p> 会長は、通常、副会長を経験者してしばらくした「実力者」のうち、「我こそは」と考えられる方が、立候補されます。</p>
<p> 誰が見ても「会長適任」という方が立候補予定ということでしたら、他の会派は、会長候補をたてませんから、無投票当選になります。<br />
そうでない場合は、複数の立候補者があり選挙となります。<br />
公職選挙法の適用があるわけではありませんから、「供応」「接待」などはしてもいいのかもしれませんが、私の知っている限りではないようです。<br />
ただ、敗色が濃くなると、相手方候補の「ネガティブ・キャンペーン」をするのは、通常の選挙と同じです。</p>
<p>選挙になるにしても、通常2人が立候補して「一騎打ち」になるのですが、来年度(平成20年度)は、3人が立候補して「三つ巴」の選挙となる予定です。<br />
選挙の時期となると、「しばらく」「音信のなかった」弁護士さんから、投票依頼の電話が「ひっきりなしに」かかることになります。<br />
来年は、私の所属している会派から、会長候補者が立候補する予定ですから、私が「しばらく」「音信のなかった」弁護士さんに、投票依頼の電話をしなければなりません。</p>
<p> 昔は、選挙になれば「選挙公約」などは、あまり問題にならず「経歴」「人柄」などで決まっていて、「票読み」なども難しくなかったようです。<br />
しかし、弁護士大増員時代ですから、弁護士登録をして、さほど年月がたっていない弁護士が多数を占めるようになりました。<br />
「票読み」は、格段に難しくなりました。<br />
また、若い弁護士さんたちは、「こんなに弁護士が増えて、自分はやっていけるのだろうか」という心配があり、「司法試験合格者減員」を「公約」とする候補者が出てくると思います。<br />
また、若い弁護士さんの中には「公約」を基準に投票する方が多くなってくると思います。</p>
<p>なお、選挙というのは、ある程度大規模な地方単位会でのことで、和歌山弁護士会などの場合は、原則として全員が会長になり、副会長などは「押しつけあい」になるようです。</p>
<p> ちなみに、医師会などは、日本医師会にせよ、大阪府医師会にせよ、長期間会長をしていますね。<br />
秀逸な方がおられるのか、それとも、興味のない方が多いのか?<br />
大阪弁護士会会長は1年任期、日本弁護士連合会は2年任期で、再選されたのを見たことがないという方が「希有」かもしれません。<br />
当然、各弁護士会の会長の仕事に「永続的な政策」などはなく、「仕事を覚えたころに任期満了」ということになります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
懲戒請求者の責任
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3143#block95-3143
1
<div>一時、タレント弁護士のテレビでの懲戒請求呼びかけと、懲戒請求された弁護士からの損害賠償請求がマスコミで報道されていましたが、その後、どうなったんでしょうか。
<p> ちなみに、<a href="http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070424155439.pdf" target="_blank">「平成19年4月24日付最高裁判所判決」 </a>によれば、以下のとおり判示されています。<br />
「 弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成する」</p>
<p> 上記要件を満たせば、違法な懲戒請求として不法行為責任追求の損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。<br />
主張がとおるかどうかは別として、訴訟を提起されるだけでも「わずらわしい」ような気がします。</p>
<p> 以上は、民事的なものですが、刑事的にも、刑法172条(虚偽告訴等)「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する」という規定の適用があります。私が、大学で習ったころは「誣告罪」といわれていましたた。<br />
もっとも、あまり、懲戒申立で、起訴されたという話は聞きません。</p>
しかし、相手は弁護士です。費用をかけずに、自分の最寄りの裁判所に、損害賠償請求訴訟を提起できますし、「信念」を持った弁護士を相手にすると、怖いというのが一般です。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
続・弁護士の電話帳広告
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3142#block95-3142
1
<div>
<p> ずいぶん前のコラムで、弁護士の電話帳広告のお話をしました。</p>
<p>「 広告を出さない場合、電話帳の順番はどうなっているのでしょうか。<br />
アート引越センターのように、『アート法律事務所』という名前にすれば、電話帳の一番前付近にきます。<br />
もっと早いのはローマ字です。『R法律事務所』が真っ先にきます。<br />
日本弁護士連合会のホームページを検索しましたが、『アート法律事務所』『R法律事務所』はありませんでした(平成19年7月23日現在)」</p>
<p> 私の自宅の電話帳(阪神間南部版。西宮市・芦屋市)を見てみました。<br />
本来、あまり、法律事務所がある地域ではありませんから(通常、法律事務所は、地方・家庭裁判所、あるいは、その支部があるところにかたまっています)、ほとんどが「電話帳広告」です。</p>
<p><br />
なんと「アート法律事務所」より、電話帳では先に来る名前の同名の法律事務所が複数掲載されていました。<br />
ちなみに、兵庫県弁護士会、大阪弁護士会と別々ですから、同じ法律事務所名でも問題ありません。</p>
<p> いずれも、西宮市や芦屋市に事務所がないようですから「電話帳広告」で、それなりのスペースです。<br />
電話帳で大きなスペースでの広告をするなら、電話帳の一番前にくる名前をつける必要もなさそうですが、何か別の理由があるのかも知れません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
都道府県名の記載の必要性
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3141#block95-3141
1
<div>委任状などに住所を書いてもらおうとすると「どこから書きましょうか」と聞かれることがあります。<br />
具体的には、「大阪府大阪市」から書きはじめるか、「大阪市」から書きはじめるか、どちらがいいでしょうという質問です。
<p> 一般的には、都道府県庁所在地の「市」と政令指定都市は、都道府県名を省略して書いてよいとされています。<br />
「大阪府大阪市」くらいなら書くのも簡単ですが、「鹿児島県鹿児島市」や「和歌山県和歌山市」などとなると、手数も「ばか」になりません。</p>
<p> なお、同一の「市名」は、原則としてつけないようにしているらしいのですが(埼玉県に狭山市があるので「大阪狭山市」、和歌山県に田辺市があるので「京田辺市」など)、例外もあります。<br />
東京都にも広島県にも「府中市」があるのは有名ですし、他にも、北海道にも福島県にも「伊達市」があるようです。<br />
逆にいうと「府中市」「伊達市」以外は、「市名」から書き始めても、特定という観点からすると十分ということになります。</p>
<p> ちなみに「町村」レベルになると、「都道府県名」+「郡名」が前につきます。 池田町など複数の町名はざらにあります。<br />
これらの場合「都道府県名」「郡名」、最低「郡名」は必須でしょう。</p>
<p>もっとも、大阪地方裁判所に提出する委任状に、「大阪府枚方市」や「大阪府豊中市」と書いてもらうのは、少し「ばからしい」気がしますので、「枚方市からで結構ですよ」などと言いますが、東京地方裁判所に提出するなら、「大阪府枚方市」と書いて下さいと言うようにしています。</p>
<p> ちなみに「尼崎市」は、どの都道府県かご存じですか。<br />
正解は、もちろん兵庫県ですが、近畿地方以外の方は、大阪府と勘違いしている方が結構おられるようです。市外局番は、大阪市などと同じ「06」ですし。</p>
<p> 関東の弁護士さんから、「神戸地方裁判所尼崎支部 御中」ではなく「大阪地方裁判所尼崎支部 御中」という訴状が、尼崎支部に届いたという笑い話もあります。</p>
<p> また、「旭川地方裁判所」「函館地方裁判所」「釧路地方裁判所」にも、「札幌地方裁判所旭川支部」「札幌地方裁判所函館支部」「札幌地方裁判所釧路支部」などと、勝手に「支部」をつくって郵送する弁護士さんがいるそうです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士会の就職あっせん
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3140#block95-3140
1
<div>
<h3> </h3>
<p>「日弁連が法曹人口の拡大で司法修習生に就職窓口を設置した。日弁連がこうした就職対策に乗り出すのは初めて」との報道がありました。</p>
<p> 司法試験に合格して司法修習を終えれば、弁護士になる資格はできます。そうすると、何も法律事務所に就職せずに、自ら事務所を開業すればよいという理屈になります。<br />
現に、私の同期(32期)が、鹿児島で、いきなり独立開業しました。<br />
もっとも、司法書士として永年勤務されていた方です。あくまでも例外でしょう。</p>
<p> 「司法試験合格者の増大により大量に弁護士が増加する状況下で、弁護士会が、弁護士希望の司法修習生が誰でも法律事務所に就職しOJTを受けられるよう活動をしています。 しかし、弁護士としての資質向上のためにできることには限界があり、生の仕事を通して直接指導をするなどということは、就職してこそできるといえます」という弁護士会のうたい文句に間違いはないと思います。<br />
そういう理由で、本来独立であるべき弁護士について、「就職問題」=「法曹養成の一環」としてとらえて、弁護士会が、司法修習生の就職の斡旋の努力をしているようです。</p>
<p> 話はかわりますが、鳩山法務大臣は、弁護士の大幅な増加は適切でないと述べています。<br />
わかる人にはわかるのでしょう。</p>
<p> ということですが、私個人としては、長期的に考えれば「落ち着くべき所に落ち着く」と考えています。<br />
弁護士の質が落ちる→被害者が出る→社会問題となる→本来資質のない人まで弁護士になれるという制度がおかしいことが一般にも浸透する→合格者が減少する</p>
<p> ただ、合格者が将来相当な規模まで減少するという予測が当たったとしても、ずいぶん先の話となり、恩恵を受けるのは若い弁護士さんでしょうね。<br />
32期(28年目)の私には関係がなさそうです</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律家と外国語
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3139#block95-3139
1
<div>日本の法律家の外国語能力の程度はどれくらいでしょうか。
<p> まず、裁判所法74条には、以下のとおり定められています。<br />
「裁判所では、日本語を用いる」<br />
また、民事訴訟規則138条には、以下のとおり定められています。<br />
「 外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない。この場合において、前条(書証の申出等)第2項の規定による直送をするときは、同時に、その訳文についても直送をしなければならない。<br />
相手方は、前項の訳文の正確性について意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。」</p>
<p> ということで、裁判官・検察官・弁護士は、いずれも、全く外国語ができなくても訴訟提起や判決をする上には全く差し支えありません。<br />
扱うのは日本の法律ですから、外国語の文献を読む必要も通常ありません。</p>
<p><br />
もちろん、渉外事件を扱う弁護士は、外国語の読み書きなどができなければ仕事になりません。<br />
当然「読め」「聞け」「書け」「話せる」はずです。<br />
なお、このうち、文書を書く以外は、多少稚拙でも問題ないのですが、文法や言葉遣いがおかしい文書を書くと、自分の依頼者から「疑問視され」、相手にも「なめられ」ますから、特に急がない限り、提出前にネイティブの方に添削してもらう弁護士さんが多いようです。</p>
<p> 渉外事件を扱っていなくとも、留学経験のある方は、少なくとも留学当時は、「読め」「聞け」「書け」「話せる」ことができたのでしょうが、使わなければ「錆びつき」ます。<br />
特に、「読む」ことはできても、「聞き取り」と「会話」と「文書作成」は、使わなければ、能力がかなり落ちていることは間違いないでしょう。</p>
<p><br />
それ以外の裁判官・検察官・弁護士は、どうでしょう。<br />
少なくとも、中学で3年、高校で3年、大学で2年英語を習っているはずですし、大学で2年「第2外国語」を習っているはずです。<br />
でも、通常は、英語ですら、「読み」「聞き」「書き」「話す」は、できない方が大半のように思います。弁護士仲間で外国旅行をすることがありますが、まず、英語すらできない方が多いように思います。</p>
<p> 日本は島国ですから、日本で外国語を使用する機会がほとんどなく、必要な文献・図書は、ほとんど誰かが翻訳していていますから、日本で暮らす限り、日本語だけで十分です。<br />
逆に、大学レベルで自国語だけで足りること(大学レベルになると、自国語では複雑な文章構成が不能、あるいは、抽象的概念を示す単語すらない言語もあります。日本でも、明治初期「東京大学」の初期の教官は、お雇い外国人たちであったので、教科書も原書、授業も外国語という状態だったそうです)、また、過去に植民地支配を受けたことがないこと(植民地支配を受けていれば、いやでも旧宗主国の言葉の影響が残っています)を、日本人として誇りに思ってもよいかもしれません。</p>
<p><br />
とはいっても、英語で書かれた、簡単なビジネス文書や発注書なども読めないというのでは、依頼者に「なめられる」可能性がありますし、裁判の証拠として提出するならともかく、文書すべてを翻訳してもらわなければ打合わせができないというのでは、特に急ぐときに困ると思います。<br />
また、「アルファベット」「アレルギー」の弁護士さんの中には、定型的なカルテの英単語も読めない方がおられます。保険会社の顧問弁護士なら、会社が翻訳をしてくれた分をみればいいわけですが、保険金を請求する素人側なら、訴訟ならともかく、示談交渉でも翻訳してもらわなければならないということになれば、面倒でしょうね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の権力からの独立
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3138#block95-3138
1
<div>一般に、いわゆる「士業」(弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)には、すべて監督官庁があると誤解されておられる方がおられないでしょうか。
<p> 弁護士だけが、監督官庁がないのです。<a href="http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku-suishin/12nen/1215kenkai/pdfs/15-4.pdf" target="_blank">「士業の監督官庁など」 </a>をご覧ください。</p>
<p> なぜ、弁護士には、監督官庁がないのでしょうか。<br />
理由は、権力からの完全な独立がないと、弁護士の使命である「基本的人権の擁護」と「正義の実現」が保持できません。それを避けるためです。<br />
仮に、法務大臣や最高裁判所が、弁護士の懲戒権を持てば、弁護士は、懲戒を恐れて、検察官や裁判所と対等な立場で、「基本的人権の擁護」と「正義の実現」ができなくなる可能性があります。<br />
他の「士業」には、権力からの完全な独立の必要はありませんから、監督官庁があります。ただし、公認会計士は別格で、懲戒は内閣総理大臣がおこないます。普通は大臣クラスです。司法書士クラスのレベルにまで下がると、大臣でもなく、各地の法務局長です。</p>
<p><br />
弁護士に監督官庁がないということは、弁護士の懲戒は、弁護士会自身がすることになります。<br />
弁護士の懲戒は、各単位会(たとえば、大阪弁護士会)の綱紀委員会の議決、懲戒委員会の議決によりますが、綱紀委員会と懲戒委員会の委員の構成は、弁護士、裁判官、検察官及び学識経験者と弁護士以外からの委員を加え、より一層公正な審査、判断がなされるように配慮されています。</p>
<p> 「身内に甘いのでは?」と思われるかもしれません。もちろん事案により、一概にはいえませんが、現実に担当している者の実感として(私のプロフィールをご覧ください)、「身内だから厳しい」と思うことがあります。</p>
<br />
これが、思わぬところで副作用を及ぼしています。<br />
タレント弁護士のテレビでの懲戒請求呼びかけと、弁護士からの損害賠償請求です。<br />
これについてのコメントは、依頼者から、いわゆる「世間話」として聞かれることはあるのですが、一切いたしておりません。<br />
ただ、東京や大阪の弁護士会ならば、綱紀・懲戒委員会、それをささえる事務局など、事務処理体制に問題はないのですが、小規模単位会に、事務処理能力をこえた懲戒の申し立てが集中すると、事務のマヒは確実で、他の案件の処理ができなくなる可能性があることだけは間違いありません。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法曹の先輩・後輩
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3137#block95-3137
1
<div>裁判官、検察官、弁護士の、先輩・後輩は何で決まるのでしょうか。
<p> 通常は、司法修習生の「期」で判断します。<br />
司法試験(法科大学院ができる前)は毎年1回、私が32期で、昭和52年度の司法試験合格ですから、1期は昭和21年度スタートということになります。<br />
それまでは「期前」とひとくくりです。<br />
でも、「期前」の方で現役は極く極く少なくなっています。最低でも80歳こえてますし・・</p>
<p> 年齢は通常関係ありません。単純に「期」が上のものが「先輩」となります。<br />
先に司法試験に合格しているわけですから。</p>
<p> ところで、司法修習生の修習期間も私たちのころの2年から1年半になりましたし、これからは、もっともっと減っていきます。<br />
同期というだけで、裁判官、検察官、弁護士は「同じ釜の飯を食った」仲で親しみがわくものですし、定期的に会合など開くのですが、今後、司法修習生となる人の間で、そのような連帯感が維持されるかどうかは疑問です。<br />
ある意味で、裁判官、検察官、弁護士が、連帯感を持つ、いい制度だったんですけれど。</p>
なお、今年からしばくの間、旧司法試験組と法科大学院組が併存しますが、連帯感は期待できないでしょう。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
法律家のバッジ
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3136#block95-3136
1
<div>弁護士や検察官を主人公としたドラマがありますね。
<p> もちろん、ドラマで俳優がつけているバッジは本当のバッジではありません。<br />
軽犯罪法1項15条に「官公職・・を詐称し、または、資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章・・これらに似せて作つた物を用いた者」として処罰される恐れがあります。</p>
<p> なお、本当の弁護士のバッジは、「ひまわり」の花の中に、「天秤」が彫られています。<br />
「ひまわり」は「自由と正義」を、「天秤」は「公正と平等」をあらわしています。<br />
ちなみに、銀製で、表面に金メッキがされていますから、長年弁護士をやっていると、ただの銀のバッジになってきます。<br />
ちなみに、紛失しますと、1万円の再発行手数料がとられ、始末書を書かされます。</p>
<p> 裁判官のバッジは、「八咫鏡(やたのかがみ)」の中に、「裁」という文字が彫られています。<br />
「裁」はもちろん、「裁く」ということ、「八咫鏡(やたのかがみ)」は国家権力の象徴です。<br />
ちなみに、紛失しますと、500円で購入できたのですが、今いくらかかるのか知りません。何回紛失しても始末書はなしでした。</p>
<p> 検察官のバッジは、「旭日」と「菊の花弁と葉」が彫られた、「秋霜烈日章」といい、法曹三者では、唯一カラフルなものです。<br />
「秋霜烈日」は、「秋の冷たい霜や夏の激しい日差しのような気候の厳しさの意味から刑罰・権威などが極めてきびしい」ことを意味し、これを象徴したバッジです。</p>
<p> ついでに、司法修習生は、裁判官のシンボルカラーの「紫」、検察官のシンボルカラーの「赤」、弁護士のシンボルカラーの「白」を(ちなみに、<a href="http://chisai.seesaa.net/article/40678563.html" target="_blank">明治村 </a>に行けば、「紫」「赤」「白」が、どのように利用されていたのかわかります)、3枚の「葉っぱ」(「J」の字の形)です。「三つ葉商事」のバッジと言われます。</p>
<p> なお、バッジを裏返してつけている人がいれば、まず、弁護士です。<br />
目立ちすぎ、悪いこと(?)ができませんので、わざと裏返してつけています。<br />
それなら「はずせばいい」という理屈ですが、紛失すると「1万円の再発行手数料」と「始末書」がまっていますので、はずさず、裏返しにするということになります。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
プロフェッションの宿命
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3135#block95-3135
1
<div>
<p> 医師と法律家と僧侶は「人の不幸」で「飯をくっている」といって間違いありません。</p>
<p> ヨーロッパの大学の起源をみると「医学部」「法学部」「神学部」がスタート、「プロフェッション」といわれるゆえんは、僧侶は「心の悩み」を解決し、医師は「身体の悩み」を解決し、法律家は「社会の悩み」を解決するということで、古来より必要不可欠であったことがわかります。<br />
経済学部、商学部、文学部、理学部、工学部は、社会が進んでから必要になった新しい学部です。</p>
<p> 「貸したお金が問題なく返り」「売ったお金は間違いなく入金され」「土地の境界争いがなくなり」「交通事故もなく」「夫婦円満離婚もなく」「相続は円満に分割」「犯罪者はいない」という夢のような社会では、裁判官、検察官、弁護士の法律家は不要です。</p>
<p> 現実に、社会の紛争がある限り、法律家は必要となります。</p>
<p>弁護士の場合、扱う事件が事件ですから、幸福な顔をした依頼者はいません。<br />
何らかの「不幸」をかかえています。</p>
<p> 紛争がうまく解決し、「不幸な顔」で来所した依頼者が、事件の終了時に「幸福な顔」とまでいかなくても、「普通の顔」になってくれるように努力をしておりますし、よりよい「顔」をみるのが楽しみで、仕事をしているといってしまうと、恰好よすぎでしょうか。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士と年金
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3134#block95-3134
1
<div> 「いったい年金はどうなる」ということがいわれています。
<p> 若年世代のお金をあつめて、老年世代の年金に分けるというシステムですから、少子高齢化によって、「お金の集まりが悪くなり」「分配を受ける人数が増えるから、一人あたりの金額が減る」というのは必然なんでしょうね。</p>
<p> 戦後、厚生年金と国民年金の保険料として徴収された約500兆円のうち、約6兆9000億円が年金給付以外に使われていることが問題のようです。<br />
全体の1.4%とみれば小さいようですが、総額7兆円というと想像もつかない大金です。</p>
<p> 弁護士の場合、年金はどうなっているのでしょうか。</p>
<p> 自営業者ですから、国民年金の対象です。<br />
また、金額はごくわずかですが、司法修習生のときに、給料から長期の共済年金の天引きをされていますから、2年分(現在は修習期間が短かくなっています)の共済年金を受取れます。<br />
ちなみに、私は裁判官を10年していますから、12年分の共済年金が「雀の涙」ということはないと信じたいです。</p>
<p> 弁護士は、日本弁護士連合会の国民年金基金に加入している方も、結構おられます。<br />
小規模企業共済に加入して退職金代わりにしようと考えられておられる方も多いです。<br />
国民年金基金・小規模企業共済の掛金は、全額、所得税控除の対象になりますから、利用しない理由はありません。</p>
<p> ところで、あまり、弁護士仲間で「年金がどうした こうした」という話は聞きません。<br />
弁護士のうちで、老後を、年金で生活するという考えの方は「少数派」のようです。<br />
ある意味、自分が元気であれば、定年のない職業の強みで、一般社会の方が、定年となってからも、現役の弁護士として働いて稼げるからです。<br />
一般の会社と違って、「ポスト」の数に制約はありませんから、ちゃんと働いている限り、引退しなくても誰にも迷惑はかかりません。</p>
<p> ただ、 自分の蓄えと、年金で一生生活できることがわかれば、リタイアすることが理論上は可能ですが、なかなか難しいようです。</p>
<p> 何歳くらいまでが法律家の「賞味期限」なんでしょうか。<br />
裁判官は65歳定年、検察官は63歳定年です。<br />
もっとも「個体差」があるようで、定年間際になってもしっかりしておられ、定年退官するのはもったいないと思う方もおられれば、定年の何年も前から「もう限界」と思う方もおられます。<br />
もちろん、元気な方のうちには、退官後も、弁護士として活躍されておられる方もおられます。</p>
<p> 弁護士も、基本的には裁判官や検察官と同じく65歳程度までが「賞味期限」なのかも知れませんが、引退せずに、「耐用年数オーバー」のため「依頼者に迷惑をかけておられる」方も、おられないわけではないようです。</p>
「いくつで引退すべきか」という点については、若いうちは、50歳まで、55歳までとか言っているんですが、現実に、その年齢が近づいてくると、65歳まで、70歳までと、いつのまにか「延期」になる方が多いようです。<br />
自分が51歳になると、その気持ちが分かるようになってきました。<br />
「自分に限っては」「元気で働ける」と思っているんですね。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の電話帳広告
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3133#block95-3133
1
<div>電話帳広告というのがあります。
<p> 職業別電話帳の「弁護士」の欄に、電話番号が羅列されていて、その間をぬうように広告スペースがあります。<br />
五十音順ですから、「弁当屋」の直前ということになります。</p>
<p> よく、NTTの関連会社から、大きいスペースで広告をしませんかという勧誘が来るのですが、私は断っています。興味半分で料金を聞いたことがありましたが、結構、高かった記憶があります。</p>
<p> なお、広告を出さない場合、電話帳の順番はどうなっているのでしょうか。<br />
アート引越センターのように、「アート法律事務所」という名前にすれば、電話帳の一番前付近にきます。<br />
もっと早いのはローマ字です。「R法律事務所」が真っ先にきます。</p>
<p> 日本弁護士連合会のホームページを検索しましたが、「アート法律事務所」「R法律事務所」はありませんでした(平成19年7月23日現在)。<br />
これらに近い名前にすると、電話帳の先頭に載せることができますが、本末転倒かも知れません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
女性修習生受難の時代-弁護士大増員の余波
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3132#block95-3132
1
<div>弁護士大増員時代で、大阪弁護士会に、平成19年には「イソ弁」になれない、つまり就職ができない人が400人程度ででそうだということは、昔のコラムに書きましたが、いろいろ努力される方があり、数は少なくなるみこみだそうです。
<p> その中でも苦戦をしているのは「女性修習生」のようです。</p>
<p> 依頼者の中には、女性弁護士を担当にされることを嫌がる方がおられます。<br />
病院の医師でも、女医さんではなく、男性の医師の方がいいという方がおられます。意外に思われるかもしれませんが、女性患者が女医さんを嫌う傾向がある(産婦人科除く)ということを、知人の医師から聞いたことがあります。</p>
<p> 医師のことは知りませんが、一般的にいって、女性弁護士は、男性弁護士より有能なことが多いです。</p>
<p> ある問題についての「ひらめき」「思いつき」という点では、男性の方が勝って(まさって)いるかのようです。<br />
もちろん、昔は、女性弁護士の数が圧倒的に少なかったのですが、それを割り引いても、世間の耳目を「あっ」といわせるアイデアは、男性弁護士の方が圧倒的に多いです。今のところですが・・</p>
<p> 「作業を淡々とこなす」という点では女性弁護士が優秀でしょう。<br />
男性弁護士は「あきっぽく」、淡々と仕事をやり遂げようとしない方が多いです。<br />
という意味では、破産管財人や相続財産管理人など、細かい作業をこつこつとこなせるのは、やはり女性弁護士でしょう。<br />
私1人が手がけるような規模の破産管財人は女性弁護士の確率の方が高いです。<br />
他の弁護士と共同でする、ある程度の規模の破産事件や会社の民事再生の管財人・監督委員は、まず男性ですが・・</p>
<p> 一般事件は、事件にもよりますが、「人」によりますね。<br />
男性が手強いとか、女性が手強いとかはありません。</p>
<p> ということで、なぜ、女性修習生が敬遠されているのでしょう。</p>
<p> 私の事務所は、未来永劫、男性・女性をとわず、修習生を採用しないことは間違いないでしょうから、事務所訪問に来てもらえなくなり困るという心配がありませんので、推測を書いてみます。</p>
<p> 結婚・妊娠・育児の要素が大きいと思います。</p>
<p> ある男性修習生が、持病をかかえていて、いつ何時、3ヶ月入院して仕事にならない、退院後も、仕事をする時間が限られてしまい、いくら急ぐ仕事があっても、朝は遅くしか来ないし、夜は一定の時間に必ず帰る、それも、1度ではなく、2度、3度あるかもしれないとします。</p>
<p> そのような男性修習生を、自分の息子ならともかく、好きこのんで選ぶ弁護士は珍しいでしょう。<br />
仕事に差し障りが出るからです。</p>
<p> よほど大きい事務所を除けば、法律事務所は、しょせん零細企業です。「ぎりぎり」の数で、夜遅くまで仕事をしています。1人でも抜けたら、他の弁護士が「過労死」してしまうかもしれません。新人の補充は実質年1度限り(新旧ほぼ同時期)のみです。</p>
<p> 女性修習生は、妊娠、出産、育児の可能性があります。<br />
健康なら「ある程度前から予定は立つかもしれません」が、「3ヶ月入院して仕事にならない、退院後も、仕事をする時間が限られてしまい、いくら急ぐ仕事があっても、朝は遅くしか来ないし、夜は一定の時間に必ず帰る」「1度ではなく、2度、3度あるかもしれない」ということになる可能性があります。実家の母に育児は任せられても、妊娠出産は、ピンチヒッターというわけにはいきません。</p>
<p> 少規模事務所にとっては致命的です。<br />
抜けた穴は自分の事務所がうめなければなりません。仕事を敬遠すれば、よその法律事務所に顧客がいったっきりになるかもしれません。</p>
<p> 中には、妊娠出産後の具合が悪く、そのまま退職する弁護士さんがいます。夫が同業者ということが多いです。<br />
雇用している側の弁護士は、産休あけを、一日千秋の思いで待っていたのに・・</p>
<p><br />
ということで「そろばん勘定」に長けた大阪の弁護士さんなら、多少の能力の差には目をつむって、男性修習生を選ぶことが多くなるのではないでしょうか。</p>
<p> もちろん、大きな事務所なら、さほど気にすることはないので、修習生の男女比に相当するだけの修習生を採用しているようです。しかし、大阪には、それほど大事務所は多くありません。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
手品のネタばらし?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3131#block95-3131
1
<div>本ホームページを見られて、ある弁護士さんから「手品のネタをばらさないよう」に言われたことがあります。
<p> 確かに、30分5400円の相談料が浮くといって喜ぶ人もいるかもしれません。</p>
<p> もっとも、本屋に行けば、私のホームページなどは「かわいい」もので、「手品のネタ」を詳細かつ親切に書いた本がたくさん並んでいます。</p>
<p> なお、法律や判例などは、「手品のネタ」ではありませんし、私の「ノウハウ」など、気の利く弁護士さんなら、とっくにご存じのものです。<br />
なお「差し障りのないノウハウ」は書いていますが、ごくわずかですが「とっておきのノウハウ」は、当分書きません。</p>
<p> ちなみに、「本ホームページの記事を自分ですべて書いているのか」と弁護士さんから聞かれたことがありますが、「パクった」記事はありません。<br />
ただ、弁護士費用は、一部、旧大阪弁護士会のものをコピペしています。</p>
<p> なお、無料なのは、私がどの程度の知識経験があるのかわかっていただくためであり、法律相談や事件委任をするかどうか判断していただくためです。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
裁判所と休暇
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3130#block95-3130
1
<div>裁判所の「休暇」というのをご存じですか
<p> 基本的に、裁判所は役所ですから、平日の午前9時から午後5時まです。<br />
もっとも、逮捕状、捜索差押令状、勾留状などの令状だけは、365日・24時間オープンとコンビニなみです。<br />
私は、裁判官になった翌年、昭和56年1月1日午前の令状当番をさせられました。当時の「慣習」で、刑事部所属の、任官したての裁判官が担当させられることになっていたようです。<br />
里帰りの場所が遠ければ他の裁判官に押しつけて逃げられたのでしょうが、和歌山市ということで、「午前の仕事が終わって帰っても、ゆっくり帰れるよ」で終わりでした。</p>
<p> 大晦日の飲酒運転の緊急逮捕の令状がほとんど経ったように記憶しております。<br />
正月早々、仕事をさせられるのも「たまった」ものではありませんが、大晦日と1月1日を「代用監獄」で過ごすはめになった被疑者も、気の毒といえば気の毒ですね。交通事故をおこした被疑者は現行犯逮捕されていますから、交通事故をおこしていない被疑者のみです。</p>
<p> なお、裁判所の長期休暇としては、他の役所と同じ、年末年始休廷期間の他に、裁判所独特の「夏季休廷期間」があります。</p>
<p> 夏季休廷期間は、原則毎年8月1日から8月20日で、この期間、民事法廷は原則として開かれません。<br />
なお、同じ民事といっても、仮差押えや仮処分など、急を要する事件については、民事事件も動いています。刑事は、身柄がありますから、20日も連続で裁判所が休暇をとるということはありません。</p>
<p> 刑事は「原則やりません」という弁護士も少なくありません。<br />
ということで、刑事をやらない弁護士(私も、断れない紹介先の紹介以外の刑事事件はいたしておりません)は、夏季休廷期間と、年末年始休廷期間は法廷が全くないわけですから、長期間海外旅行などに出かけることができるわけです。</p>
<p> ちなみに、当事務所は、本年、8月10日(金)から8月16日(木)まで、1週間の間、事務所は休みです。<br />
留守番電話にもならず「8月17日以降におかけなおし下さい」というメッセージが流れます。<br />
なお、顧問先の方のみ、緊急連絡先での連絡をお取りいただけます。</p>
なお、裁判官は、夏季休廷期間と、年末年始休廷期間は、たまった判決書きをしておられる方が多いようです。年末明けと夏季休廷期間明けに判決言渡しが結構あります。</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士さんはセレブ?
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3129#block95-3129
1
<div>
<p>大阪の弁護士さん、「セレブ」な方が多いのでしょうか、新会館のような「ゴージャス」な建物を、一等地に建てて平然とされています。</p>
<p> 大阪弁護士会会員は、その人の年齢・登録年・大阪弁護士会入会年などによって、少しずつ異なるのですが、私の場合、毎月4万4000円程度が引き落とされています。大阪弁護士会の分と、日本弁護士連合会の分の合計です。</p>
<p> 強制加入団体で月4万4000円の会費は異例の高さです。<br />
なお、医師会などは、強制加入団体ではありませんから、医師会に入らなくても、医師の仕事はできますが、弁護士は、弁護士会に入らないと仕事はできません。</p>
<p> ということで、大阪でしたら、月額会費から日本弁護士連合会の分を引いた大阪弁護士会固有の会費だけで運営できているのでしょうか。<br />
そうではありません。</p>
<p> たとえば、一般の方が、弁護士会でも地方自治体でもいいですが、法律相談に行って、その弁護士さんに事件処理をお願いしようということになったとします。<br />
事件を依頼するということが確定ということであれば、名刺は渡してもらえますが、同時に、大阪弁護士会宛の連絡票を送付しなければなりません。<br />
依頼するかも知れない、相談を引き続いてするという場合には、「名刺をいただきたい」と言っても「名刺」は、もらえません。机の上には、「弁護士 何某」というネームプレートがあるのにかかわらずです。この場合、弁護士会の法律相談センターを通して、電話番号や事務所所在地を問い合わせなければなりません。大阪弁護士会のホームページの会員検索を利用すれば、ネームプレートの氏名から、電話番号や事務所所在地はわかるのですが・・</p>
<p> 大阪弁護士会の場合、なぜ、大阪弁護士会の法律センターをとおさなければならないのでしょうか。</p>
<p> 弁護士会での法律相談にせよ、地方自治体などの法律相談にせよ、法律相談を受けた事件を受任する場合(直接受任・あるいは略して直受といいます)、法律相談センターに、報酬契約書を提出して承認されなければ事件は受任できません。<br />
法律相談センターをとおすと、一般事件には、旧弁護士規定の標準額、自己破産、任意整理事件には「法律相談センター基準」が適用されます。依頼者から見て、相場より「安く」はあっても、「高い」ということはありません。</p>
<p> また、弁護士会、地方自治体などの法律相談により、法律相談を受けた弁護士が、事件を受任する場合は、着手金・成功報酬の7%の特別会費(上納金)を大阪弁護士会に納付しなければならないという規定があります。</p>
<p> 連絡票の送付もなく、直接、名刺を受渡しされ、直接連絡を取られたのでは、大阪弁護士会が、7%の特別会費をとりはぐれます。</p>
<p> 直接連絡を取っても、通常、ばれるということはありませんから、名刺を法律相談の場で出される弁護士さんもおられるかもしれませんが、「ゴルフは紳士・淑女のスポーツとしてスコアは自己申告というように、「弁護士は紳士・淑女の集まり」であるから、ルール違反はしないという建前になっています。なお、弁護士と依頼者がもめて、弁護士会に紛争が持ち込まれた場合、えらいことになりますし・・</p>
<p> 法律相談で、連絡票も送付させることなく、直接名刺を渡す方がおられたら、7%の特別会費のがれが目的か、あるいは、法律相談センターに承認されない高額の着手金・報酬を取ろうと思っているのかもしれません。いずれにせよ、信頼できる弁護士さんではありません。敬遠されるのが賢明かと存じます。</p>
<p> このほか、破産管財人の報酬にも、7%の特別会費がかかります。</p>
<p> 財務会館問題担当の方に、7%の上納金の話をうかがうと、直接受任の仕事をしていたり、管財人になっているのは、「現役」「ばりばり」の証拠。 「現役」「ばりばり」から、多額の会費を徴収し、「弁護士なりたて」あるいは「下り坂の年齢」の方の弁護士費用を抑えるのが「目的」だそうです。</p>
<p> でも 「弁護士なりたて」あるいは「下り坂の年齢」の方の月額4万4000円は高いですね。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士の懲戒処分
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3128#block95-3128
1
<div>10日ほど前、大阪弁護士会所属の弁護士が懲戒処分を除名の懲戒処分を受けたという報道がなされていました。
<p> 報道などで、弁護が除名の懲戒処分を受けた場合、3年間弁護士としての職務ができないということが報じられていました。中には、これでは軽すぎるという意見もあったようです。</p>
<p> 確かに、除名処分を受けると、3年間弁護士登録ができないという弁護士法の規定があるのは確かです。<br />
しかし、どこかの単位弁護士会(たとえば、大阪弁護士会)に登録しない限り、弁護士ではありません。</p>
<p> 弁護士法には、除名後3年経過していても、単位弁護士会が相当でないと判断したときは、弁護士登録を認めないことができるという規定になっています。<br />
そして、現実の運用としては、3年経過したから登録してほしいと申請をしても、どこの単位弁護士会も、まず、登録は認めません。<br />
再び、自分の単位会で非違行為をされたら、たまったものではありません。<br />
自動的に3年たったら弁護士になれると思ったら大間違いです。</p>
<p> ということで、現実問題として、除名処分を受ければ、法曹界を永久追放されたのと同じことになります。<br />
例の「元弁護士」も、現在の法律、運用が変わらない限り、未来永劫、弁護士としての職務を行いえないでしょう。</p>
<p> それを前提として、考えると、軽すぎるとはいえないことがおわかりかと思います</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士会の市民窓口
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3127#block95-3127
1
<div>自分の依頼した弁護士さんに不満があるとします。
<p> たとえば、請求された報酬が高いとか、仕事が遅い、仕事のほうれん草(「報告」[連絡]「相談」)が不十分などです。<br />
なお、訴訟で「負けた」というだけでは、理由になりません。自分が悪い、裁判官がミスをしたということがありうるからです。</p>
<p> ということですが、大阪弁護士会には、一般企業の「カスタマーサービス」に該当する「市民窓口」があります。<br />
予約制ですが、弁護士2名が事情を良く聞いてくれます。<br />
大阪弁護士会にお問い合わせください。</p>
<p> なお、私にも、市民窓口に行こうかと相談されている依頼者がいます。<br />
別の弁護士さんの職務遅延てす。<br />
ずいぶん昔からの遺産分割が終了していないとのことでした。</p>
<p> ということですが、「そんなことをして、弁護士さんとけんかしたらどうなる。かえって損するだけですよ」といって説得はしています。</p>
</div>
-
text/html
2017-01-10T00:00:00+09:00
弁護士大増員時代
https://www.nishino-law.com/publics/index/58/detail=1/b_id=95/r_id=3126#block95-3126
1
<div>弁護士の数が増えるという話はお聞きになったことはありませんか。
<p> 具体的には、私のころは、1年に、裁判官・検察官・弁護士になる数=司法修習生=の数は500名でした。<br />
あと数年もすれば、3000名になる予定です。</p>
<p> 競争が激しくなるから、価格も下がる=いいこと=と単純に思っている方はおられませんか?<br />
必ずしも、そうではありません。<br />
弁護士の質が下がり、一般の人にとって、「はずれ」の弁護士に依頼してしまう危険が大きくなるのです。</p>
<p> まず、弁護士は「資格を得たからすぐ開業」というわけではなく、他の弁護士に雇ってもらう「イソ弁」(居候弁護士)になるのが普通でした。<br />
給料をもらい、事務所の仕事をしながら、自分の顧客も開拓し、数年後に、独立、あるいは、共同経営者(パートナー)となるというプロセスを経て一人前になっていたのです。</p>
<p> ところが、弁護士がふえすぎたため、平成19年には「イソ弁」になれない、つまり就職ができない人が400人程度でて、いきなり独立せざるをえない、あるいは、給料をもらわず、他の弁護士の軒先(机)を借りるだけの「ノキ弁」が生じるという事態が生じるようです。</p>
<p> 「イソ弁」は、給料をもらいながら、雇い主である弁護士の仕事ぶりを見ながら、また、教えてもらいながら仕事をおぼえて(OJT)、一人前の仕事ができるようになっていました。<br />
他に「報酬の相場」「報酬の上手なもらい方」を勉強するというのも「イソ弁」の大切な仕事です。大学や司法研修所では、誰も教えてくれません。<br />
案外見逃されがちなのですが、「弁護士としてやっていいことと悪いこと」を勉強するのも「イソ弁」の大切な仕事です。弁護士は、職業倫理がきびしく、これに反すると懲戒処分を受けますから「おかしなことはしない」というのが当たり前、依頼者も「おかしなことはされる心配がない」から「安心して」弁護士に依頼できていたのです。「イソ弁」をしていれば、通常「して良いことと悪いこと」の区別は自然と身についていました。</p>
<p> いきなり独立する弁護士はどうでしょう。<br />
OJTを経ていないのですから、仕事ができるかどうかも心配です。<br />
報酬も、常識的なもらい方ではなく、法外な金額を請求するということも心配です。<br />
また、弁護士倫理が身についていなければ、無茶をして、依頼者や相手方に迷惑をかける恐れも大きいです。</p>
<p> 弁護士の増員は、基本的に、圧力団体である大企業の意向に添ったものです。<br />
確かに、弁護士の数は比較的少なかったため、「敷居が高い」「料金が高い」ということがあったのは事実です。<br />
しかし、隣接士業(司法書士・行政書士など)が、先進諸外国に比べ圧倒的に多い(むしろ、司法書士・行政書士などの仕事を弁護士がしている国があります)ということを考えれば、1年に3000人は明らかに過剰です。</p>
<p> 大企業は、有能な弁護士を選べます。<br />
紛争がしょっちゅうあるのですから、事件処理の能力があると判断した弁護士に依頼を続け、能力がないと判断した弁護士には次から事件を依頼しなければいいだけです。1件くらい「はずれ」をひいたからといって、痛くもかゆくもありません。</p>
<p> 逆に、一生に一度、弁護士に依頼するかどうか分からない一般の方は大変です。<br />
弁護士が有能であるかどうか分からず、「はずれ」を引いてしまう可能性が、はるかに大きくなるからです。<br />
「仕事はできない」「報酬は高い」「無茶なことをする」という弁護士に依頼せざるを得ない一般の人がふえるのは気の毒な気がします。</p>
</div>