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2019年バックナンバー

雑記帳

旧型F15を米に売却検討 政府、装備品調達の財源に

 政府は、平成30年12月18日の閣議において、航空自衛隊が保有する戦F15の一部を米国に売却する検討を始めました。
 
 アメリカから新たに最新鋭ステルス戦闘機F35を105機追加取得する際の原資に充てます。
 
 財政再建を進めるなかで防衛費が膨らんでいることへの批判にも対応し、すでに日米高官が協議を始めており、機体の数や売却額など詳細を今後詰めるとしています。
 
 日本の事情はわかります。
 
 F15は国内に約200機あり、航空自衛隊で防空の主力を担ってきました。
 
 約半数は搭載する電子機器を更新するなど近代化改修を順次進めてきました。
 
 今回売却を検討するのは設計上、電子機器をアップグレードできない旧型の約100機、つまり、海上自衛隊が有するF15の半分です。
 
 最新鋭ステルス戦闘機F35を105機追加取得する際の原資に充てます。
 
 アメリカの事情はどうでしょう。
 
 F15は古いもので1980年代前半に配備が始まりました。旧型でも部品を更新し続ければ十分使える状態にあります。これまで戦闘機は退役後に解体するなどしていました。
 
 日本のF15なら、整備は万全でしょうし、丁寧に使っていますから、結構上等な中古です。
 
 アメリカは、日本の日本のF15のメインテナンスなどは、演習などでよく知っているでしょう。
 
 アメリカは、日本から旧型F15を購入し、空軍力が脆弱な東南アジアなどに売却することを検討しています。
 
 アメリカは、東南アジア諸国に、戦闘機を安価で提供して空軍力の強化を支援し、南シナ海で活発な活動を繰り広げる中国などをけん制する狙いがありそうです。
 
 直接、日本から東南アジア諸国に、F15を売却することは好ましくありません。
 
 政府は、平成26年、武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則を閣議決定しています。
 
 紛争当事国などへの禁輸方針は堅持する一方で「日本の安全保障に資する」など一定の条件を満たせば輸出できるようになっています。現実に、中古飛行機の売却事例はなく、海自練習機TC90をフィリピンに譲渡した際は、無償でした。
 
 ただ、日本は装備品の海外への売却実績がほとんどなく、自力で第三国に直接輸出するより、まずは世界中に売却実績があるアメリカを通じて売却した方が良いとの判断をしたようです。
 
 東南アジアの輸入国の軍隊の訓練のために、海上自衛隊員が指導するより、アメリカ軍が指導する方がいいでしょう。
 
 今回のアメリカへの旧型F15の売却もその一環だ。防衛装備移転三原則の決定後、中古の海自練習機TC90」をフィリピンに譲渡したことはあるがこのときは無償でした。
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