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2019年バックナンバー

雑記帳

メルケル連邦首相の訪日

 ドイツ首相の連邦首相の4期目、13年以上も務めているメルケル連邦首相は、平成31年2月4日、5日と来日しています。安倍晋三首相と会談し、天皇陛下との会見を予定しています。

 

 2019年には、G20が大阪で開催されますから、その「ついで」の来訪でもよかったのでしょうが、日本のみの来訪です。

 

 メルケル首相の来日は、5回目です。
 中国へは10回訪問しています。
 もちろん、日本もドイツも主要7カ国(G7)会議のメンバーですから、日本首相との会談は毎年といいほど設けられているのでしょうが、今回は違います。

 

 安倍首相は在任期間が6年を超え、今や主要7カ国(G7)のリーダーでメルケル氏に次ぐ2番目の長期政権となり、「トランプ米大統領が世界の首脳の中で唯一、意見に耳を傾けるのが安倍首相」(外務省幹部)とされています。

 

 トランプ政権が課した鉄鋼製品などへの高関税に反発するメルケル氏が、トランプ氏との仲介役ができる安倍首相との関係を重視しているでしょう。
 トランプ政権は、自動車に多額の関税をかけるとの態度を示していますから、日本とドイツとの協力は不可欠です。

 

 メルケル氏はドイツ財界代表者の大規模グループを伴って来日しています。
 平成31年2月1日に、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)発効しています。
 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)には、両国が経済的に大きな期待をかけていることに間違いはないでしょう。

  日本とドイツは、自動車など世界市場の競合相手であるとともに、大きい貿易パートナーです。

 

 貿易だけではありません。

 

 軍事的には、ロシアがクリミア半島を併合するなど、ウクライナに対する侵略もありますし、それにとどまらず、EU各国への軍事的脅威になっています。

 

 ドイツは中国と親密だったのですが、ドイツでは世界有数の産業ロボット製造会社クーカが中国家電大手に買収されるなど、ハイテク、インフラ企業の中国企業による買収が急増しています。

 安全保障に関わる技術の流出も懸念され、ドイツは欧州連合(EU)加盟国以外からの国内企業への投資に対する規制を強化しています。

 

 日本は、イギリス、フランスと「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を目指していますが、ドイツも東シナ海、南シナ海での中国の「一方的な現状変更の試み」を批判する日本の立場に理解を示し、イギリス、フランスに比べ「半周遅れ」ながら、インド太平洋地域への関与に関心を強めているとのことです。

 

 安倍首相とメルケル氏との会談で、自由貿易推進の重要性を確認し、欧州主要国の中で日独間にだけなかった情報保護協定の締結に大筋合意しました。

 

 日本にとって、ドイツは、ライバルとしてしのぎを削っていることは間違いありませんが、ともに、自由と民主主義の価値観を共有する先進国であり、また、アメリカのトランプ大統領の保護主義貿易に反対する旗頭でもあります。

 

 日本とドイツが、手を握ることは、日本にとっても不可欠でしょう。

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