2019年バックナンバー
雑記帳
店内、持帰り、同一価格
2019年10月に、消費増税と同時に導入される「予定の」軽減税率をめぐり、外食大手の対応が割れる可能性があります。
2019年10月に導入「予定の」軽減税率は、消費税率が10%に引き上げられても、食料品などに限り税率を8%に据置く制度です。
持帰りは、食料品扱いで8%、店内の飲食は軽減対象にはならないため、店内で飲食した場合は10%となります。
日経新聞が実施したアンケートで、同一商品でも税率が異なる店内飲食と持ち帰りの扱いを聞いたところ、回答企業の4割が同一価格で提供を検討していると答えたそうです。
消費税率の違う商品を税込みで同一価格にすることは難しくありません。
ハンバーガーが、消費税込み120円とします。
現在は、本体価格112円、消費税8円という計算で販売しています。
店内で食べても、持帰りにしても、本体価格112円、消費税8円です。
外食が10%の消費税、食品の購入が8%となったとします。
持帰りの場合、本体価格112円で販売すれば、消費税8円で120円です。
店内で食べた場合、本体価格110円で販売すれば、消費税10円で120円です。
客が持帰るといった場合は、ハンバーガーを袋に入れて、本体価格112円、消費税8円とレジを打ち、120円で販売します。
客が食べていくといった場合は、ハンバーガーをトレイに乗せて、本体価格110円、消費税10円とレジを打ち、120円で販売します。
客としては、持帰るといって袋に入れてもらい、そのままテーブルやカウンターで食べても、消費税分をうかせることはできなくなります。
店も、販売後、客の動静をうかがう必要はありません。
おそらく、ハンバーガー店、牛丼店、イートインコーナーのあるコンビニやスーパーでは、本体価格を調整して、消費税込みの金額を同一にすると思われます。
客には何の損も特もありません。
問題は、店と税務署との関係です。
店としては、同じ120円で販売するなら、持帰りで8円の消費税を納付した方が、店で食べるとして10円の消費税を納付する方が得です。
だからといて、すべて「持帰り」としてレジを打つと不自然です。
税務署員から「なんで、こんなに席があるんや」と言われそうです。
フランスやドイツなど、軽減税率を採用している国が多いヨーロッパでは、同一価格を設定する例も多いようです。
ドイツは店内飲食の税率は19%で、持帰りは7%ですが、マクドナルドなどは税込みで同一の価格を設定しているようです。
大規模になると、税務訴訟になるかも知れません。
マクドナルドのハンバーガーは、店内で食べると、レストランなどで食事として「標準税率」、テイクアウト(テイクアウェー)にすると、食料品の購入として「軽減税率」が適用されます。
店内で食べるつもりであっても、テイクアウトにすると言って購入し、店内で食べてもわかりませんね。
といいながら、30年前にドイツで居住していたときのことを考えると、店内で食べても、テイクアウトにしても代金はかわらなかった記憶があります。
当時は、「標準税率」は13%、「軽減税率」は6.5%でした。
ドイツでは、税率は異なっても、マクドナルドは、同じ値段で商品を提供するということになっているようです。
客への売価=「ハンバーガー代」+「消費税率」が等しいということは、店内で食べるとした場合、安いハンバーガー代+高価な税額、テイクアウトにした場合、高いハンバーガー代+安価な税額ということになります。
客の支払うお金は変わりません。
客は、店内で食べるつもりであっても、テイクアウトにすると言って購入し、店内で食べるという必要もなさそうです。
マクドナルドが、税務当局に支払う付加価値税が変わることになります。
テイクアウト扱いにした方が、店内飲食扱いよりも、税金が低い=実入りが多いということになる計算となります。
かといって、すべてを「テイクアウト扱い」にすると、税務当局が黙っていないでしょうね。