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2019年バックナンバー

雑記帳

日本の貯蓄率の低下

 その昔、日本人の貯蓄率は、他の諸国と比べて高いと言われていました。
 
 しかし、平成に入ってから、日本の貯蓄率は大きく低下しました。
 
 その結果、貯蓄率は、ドイツや韓国、アメリカよりも低く、主要国では低水準になっています。
 
 まず、貯蓄率から説明します。
 
 家計の可処分所得は、一方で消費に回され、他方で貯蓄されます。
 
 消費に回される分の比率を「消費性向」と呼び、貯蓄に回される比率を「貯蓄率」と呼びます。消費性向と貯蓄率は足して1となります。
 
 貯蓄に回された部分は、銀行預金を通じて、あるいは直接的な債券・株式の購入によって企業などの投資原資となりますので、産業の発展を国内で支える基盤として重要視されています。
 
 日本は平成にはいってからの四半世紀の間に大きく貯蓄率が低下し、平成26年、はじめてマイナスを記録しています。
 
 かつて国民性の特徴として日本人は貯金好きとされ、経済の高度成長もそのおかげとされてきました。
 
 しかし、日本人の貯蓄率が、他の先進国に比べて低下したことは、日本人の「貯蓄好き」国民性の問題ではないことを裏付けています。
 
 それでは日本人の貯蓄率はなぜ下がったのでしょう。
 
 退職者が増えれば貯金を取り崩し、貯蓄より消費が上回る人々が多くなります。
 ですから通常、高齢化は貯蓄率の低下を招くとされます。
 日本の家計貯蓄率低下は要因としてあげられます。
 
 国民の消費パターンは短期的にはそうそう変わらないですから、高度成長で思わぬ所得増となると貯蓄率が高くなる傾向が生じます。
 まさに、日本がこれに該当していました。
 
 しかし、低成長による所得の伸び悩みは、貯蓄率の低下に結びついます。
 つまり、所得が伸びないので貯金する余裕がなくなってきたというわけです。
 
 バブル崩壊後の日本の長期的な貯蓄率低下の要因となっている可能性が高いといえます。
 
 ただ、平成27年以降に、日本の貯蓄率は再上昇しています。
 所得の伸び悩みに日本人がそろそろ慣れて節約するようになった、あるいは、せっせと貯蓄したほうが老後のためにもよいと考えているのかも知れません。
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