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2019年バックナンバー

雑記帳

世論調査

 いろいろな世論調査があります。
 
 統計調査や世論調査においては、調べようとする対象(母集団)を漏れなく調査すること(全数調査)はコストや時間などの制約から難しいです。
 
 日本の選挙で、有権者全員にアンケートをとることは不可能ですね。
 
 このため、母集団の一部をサンプル(標本)として選び出して調査を行い、その結果から母集団全体の傾向を推察するサンプル調査によって行われることが一般的になっています。
 
 このような標本調査では、母集団の姿をできるだけ正確に反映する標本を抽出すること、つまり標本の「偏り」をできるだけ少なくすることがカギになります。
 
 今日までに、いくつものサンプル抽出の方法が考案され、実際に統計調査や世論調査で使われています。
 
 ではサンプル抽出の方法で明暗が分かれた1936年のアメリカ大統領選挙予測の例をご紹介します。
 
 1936年のアメリカ大統領選挙は、「暗黒の木曜日」に端を発した世界大恐慌の中、再選を目指す民主党のフランクリン・ルーズベルト候補と、共和党のアルフレッド・ランドン候補によって争われました。
 
 世論調査において当時最も信頼に足ると思われていた「リテラリー・ダイジェスト」(The Literary Digest)という総合週刊誌は、200万人以上を対象から回収した調査結果を基に共和党のランドン候補が57%の得票を得て当選することを予想していました。
 
 しかし、実際の結果では、ルーズベルト候補が60%の得票を得て全米48中46州を手にするという地滑り的に圧勝しました。
 
 サンプの「数」が多いということは、正確ということを意味しません。
 
 リテラリー・ダイジェストは、まず自誌の購読者(富裕層)、自動車保有者、自家用電話利用者の名簿を使いって郵便を送り、返送された200万の回答の数を数えただけでした。
 
 リテラリー・ダイジェストの購読者はもちろん、自動車保有者、自家用電話も当時は「裕福」な人たちでした。
 裕福な人だけをサンプルとしてしまったのですね。
 
 リテラリー・ダイジェストは、比較的豊かな人々は共和党が推すランドン候補を、それほど豊かでない人々は民主党が推すルーズベルト候補をそれぞれ支持する傾向が、大恐慌の結果、わかれていたことを見落としていたことになります。
 
  結果が無惨であったことは、前記のとおりです。
 
  日本の総選挙の世論調査では、固定電話からコンピュータで出無作為に抽出された電話番号に電話をかけまくり、回答をしてくれた人をサンプルとしていました。
 
 昔は、固定電話は1家に1台ありました。
 
 若い人は、固定電話なんかもちませんね。
 また、本件の総選挙公示後の世論調査は、平日にしています。
 つまり、会社勤めの人の意見は聞いていません。
 
 固定電話なら、市外局番により選挙区がわかります。
 
 現在は、携帯電話にもかけるようになっています。
 ただ、携帯電話では、どこに住んでいるかわかりません。
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