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2019年バックナンバー

雑記帳

ドイツの州議会議員選挙でAfD躍進

 令和元年9月1日、旧東ドイツのザクセン州(州都ドレスデン)とブランデンブルク州(州都ポツダム)で、地方議会議員選挙がありました。
 
 旧東ドイツは、平成2年(1990年)10月3日、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)に吸収されています。
 両州とも、ポピュリスト政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進しました。
 
 AfDはザクセン州で得票率を27%と前回選挙(2014年)より3倍近く議席を伸ばし、ブランデンブルク州でも23%と倍増させ、両州とも、第2党の地位を得ました。
 
 2013年の結党当初は「反ユーロ」が主たるスローガンでしたが、移民制限、ナショナリズムなどを唱えて支持率を伸ばしてきました。
 
 ただ、AfDの、旧西ドイツ地域の諸州では10%程度ですが、旧東ドイツ地域の諸州では20%~30%にも達します。
 
 今回のザクセン州とブランデンブルク州は旧東ドイツの州です。
 
 なぜ、旧東ドイツ地域でナショナリズムが強いのでしょう。
 
 経済不況が原因の1つです。
 旧東ドイツ地域は、ドイツの中の劣等生のままです。
 
 あと一つ、過疎化があげられています。
 
 敗戦直後に、ソ連軍が進駐してくると共産主義を嫌う人が旧西独地域に逃げました。
 次は「ベルリンの壁」の建設直前の1960年前後に、手に職を持つ熟練工などが高給与と自由を求めて逃亡しました。
 そして平成元年(1989年)の壁崩壊後は、チャンスを求めて若者が去りました。
 有能な人材が少なくなり、残された住民には「負け組」という敗北感が染みついたといわれます。
 その複雑な感情の矛先が外国人に向くということです。
 
 私の留学時代の実感では、学歴や職業や社会的地位や収入などの低い白人ほど、有色人種への差別がある気がします。学歴や職業や社会的地位や収入の高い人は、内心はどう思っているかはわかりませんが、少なくとも、外見上は人種差別主義的ではありません。
 
 世論調査によると、ブランデンブルク州のAfD支持者のうち、「生活状況が悪くなった」との答えは24%にすぎず、逆に「イスラム教の影響力が強すぎる」と受け止める人が9割に達しました。
 
 2015年の難民危機後も住民に占める外国人の比率は5%未満と、旧西独の各州の半分以下にもかかわらず、排他思想がまん延しています。
 
 ドイツの既成政党は、AfDと組みません。
 
 ただ、ザクセン州とブランデンブルク州では4分の1の議席を得るなど力をつけてきています。
 
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