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2019年バックナンバー

雑記帳

独検察がVW会長とCEOら起訴・排ガス不正の公表遅らせ相場を操縦

 ドイツ検察当局は、令和元年9月24日、フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長と、取締役会を監督し人事権を握る監査役会のハンス・ディーター・ペッチュ会長の現役トップ2人と発覚時の社長だったマルティン・ヴィンターコーン氏を起訴しました。
 
 フォルクスワーゲンの法務担当取締役は「裁判になれば全ての嫌疑が事実無根であることが証明されるだろう」と述べて争う姿勢を示しています。
 
 起訴された3人が有罪になれば、株価下落で損失を被った投資家による係争中の民事訴訟にも影響します。
 
 VWは賠償金のリスクを96億ユーロ(約1兆1000億円)と見積もっています。
 
 可能性は低いとして引当金は積んでいませんが、平成30年12月期通期の営業利益の7割に相当する額です。
 
 VWの排ガス不正問題は平成27年9月にアメリカで公になりました。
 
 全世界で約1100万台のディーゼル車が有害物質の排出を不正に操作するソフトウエアを搭載していたとされ、VWは不正ソフトウェアの搭載を認め、これまでに300億ユーロ(約3兆5500億円)を超える罰金や賠償金を支払っています。
 
 発覚するきっかけとなった米ウエストバージニア大工学部の調査でした。
 
 実際に路上を走行させた排ガス検査では、車体を固定して行う試験場での結果と比べて窒素酸化物(NOx)が基準より最大で35倍多いことがわかりました。
 
 VWは、排ガス検査は、車体を固定して車輪だけを動かして行う試験場での検査しかできないと高をくくっていたのですが、日本の計測器メーカーである堀場製作所が、実走している自動車の排ガスをリアルタイムで測定する測定器を開発しました。
 
 堀場製作所は、実走している自動車の排ガスをリアルタイムで測定することにより、排ガスの少ない自動車を開発してもらおうという意図だったのですが、はからずも、VWの不正を暴いてしまいました。
 
 主力の中国・欧州の市場が停滞し、EVや自動運転など次世代技術への投資がかさむなか、VWは新たな難題を抱込んだことになります。
 
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