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2019年バックナンバー

雑記帳

近隣窮乏化政策

 近隣窮乏化政策(beggar‐my‐neighbour policy)という言葉があります。 
「他国の犠牲のもとに自国の景気を回復しようとする政策」のことです。
 
 ある国が、輸入制限・輸出拡大という施策をとると、他国にとっては輸入拡大・輸出の減少ということを意味します。
 他国の生産縮小、所得減少という犠牲を伴うので「失業の輸出」などともいわれます。
 
 輸入制限・輸出拡大の施策はいろいろあります。
 
 輸入制限・輸出拡大の施策の一つには、関税・非関税による輸入制限、輸出補助金などによる輸出促進などの政策があります。
 これは、大恐慌後に、各国が輸出促進、輸入制限策をとったため、貿易が縮小し、結果として、第二次世界大戦の引金をひいたといわれています。
 
 現在、WTO(世界貿易機関)が、輸入障壁の撤廃や、輸出補助金の支出をさせないという役割補果たしています。
 
 もとより「聖域なき関税撤廃」などはあるはずもなく、各国の「生命線」はゆずってはいません。
 
 WTO(World Trade Organization。GATTは発展解消)のを基本原則は以下のとおりです。物品貿易だけでなく金融、情報通信、知的財産権やサービスも含まれます。
 
 1 自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)
 2 無差別(最恵国待遇、内国民待遇)
 3 多角的通商体制
 
 実質的には、ほぼすべての国が、WTOの加盟国、加盟申請中、オブザーバーです。
 
 「WTOに提訴した」という報道がありますね。
 
 「WTO協定違反の措置による利益の侵害を回復するためには、WTO協定に基づく紛争解決手続を利用しなければならない」と定められ、勝手に制裁措置は発動できません。
 
  輸入制限・輸出拡大の施策のもう一つは、自国通貨の為替レートの切下げによる輸入制限、輸出促進です。
 
 各国の政府あるいは中央銀行が、自国通貨売り、外国通貨買いをすれば、自国通貨の為替レートを下げられます。
 アメリカなど各国が、中国の人民元切上げ求めるというのは「聞飽きた」ニュースです。
 韓国は、為替介入をしょっちゅうしていますが、韓国の経済規模、ウォンの世界での通用力を考えて、いちいち非難などはされていません。
 
 スイスが、1.2スイスフラン=1ユーロに固定するため、無制限の介入をしていました。ものの見事に失敗です。
 
 国際金融のトリレンマといわれる法則があります。
 
 国が対外的な通貨政策を取る時に、
 ①為替相場の安定
 ②金融政策の独立性
 ③自由な資本移動
 
 の3つのうち、必ずどれか一つをあきらめなければならないという法則です。
 スイスフランはものの見事に失敗しました。
 
 米ドル、ユーロ、日本円は、自国通貨売り、外国通貨買いの為替介入をさせてもらえませんね。
 
 日本は、東日本大震災のときが最後の為替介入ですです。
 日本円が高騰しました。
 すべての主要国家の協調介入により、円売りドル買いの為替介入がなされました。
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