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2019年バックナンバー

雑記帳

相続登記を義務化へ罰則検討、手続きは簡素化

 法務省の法制審議会(法相の諮問機関)が、令和元年内にまとめる所有者不明土地対策の原案が分かりました。
 
 不動産を相続する人が誰なのかをはっきりさせるため、被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付けます。
 
 手続きを簡素化する代わりに、一定期間のうちに登記しなければ罰則を設けることを検討します。
 
 所有者が分からないまま放置される土地が今後も増え続けるのを防ぐのが狙いです。
 
 所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也東大公共政策大学院客員教授)による推計で、平成28年時点の所有者不明土地は全国に410万ヘクタールあるとされ、九州本島の面積約370万ヘクタールを上回わっています。
 
 
 法務省の法制審議会は年内に案をとりまとめ、意見公募(パブリックコメント)を経て答申を出します。
 法務省は令和2年秋にも想定される臨時国会に、民法や不動産登記法の改正案の提出をめざします。
 
 現在、相続登記する際はすべての相続人を挙げて申請する必要があります。
 被相続人の出生から死亡までの戸籍の提出を求めるなど煩雑な手続きが必要です。
 事件によっては、弁護士や司法書士でないと難しいかも知れません。
 
 新制度では被相続人の死亡を証明する書類があり、自分が相続人の一人だと証明できれば相続人全員がそろわなくても簡易的に登記できるようにします。
 
 その土地などを巡って、売買や賃借など取引をしたい外部の人にとって、問合わせ先の相続人がはっきりします。
 
 現在、所有者不明土地の問題をめぐり、被相続人の死後、相続人が登記簿上の名義を書き換えないまま放置する例が相次いでいます。
 
 特に価値の低い土地は放置されがちで、名義の書き換えの手間や登記費用などを嫌って登記しない人が多いとの指摘がありました。
 
 所有者不明の土地は外部からは権利者が誰か分かりにくく、円滑な不動産取引を妨げる要因となりますし、管理が十分でないまま放置されれば周辺環境の悪化にもつながりかねません。
 
 一般の土地でもそうですが、土地収用の時には大変です。
 特に、都市部に所有者が分からない不動産があれば再開発の遅れにもつながります。
 
 新制度案では、被相続人の死亡時に簡易的な登記を義務付け、所有者の分からない不動産がこれ以上増えないようにします。手続きを簡素化する代わりに、被相続人の死亡後、一定期間のうちに登記しなければ罰則(過料=手続罰)を課します。
 
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