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2019年バックナンバー

雑記帳

危険なマナー「片側空け」

 関西ですと、急がない人は、エスカレーターの右側に立ち、左側を急ぐ人が歩くというのが一般的です。
 
 エスカレーターにおける片側空け(片側歩行)が初めて出現したのは、第2次世界大戦時の英国・ロンドンの地下鉄だと言われています。
 
 当時の英国は戦時体制下で、社会全体で効率向上が求められていた時期でもあり、その施策の一環だといわれています。
 
 日本で片側空けが始まったのは昭和45年の大阪万博のころ、阪急電鉄の大阪梅田駅が最初で、その後、1980年代後半から1980年代に掛けて東京などでも同様の現象が見られるようになりました。
 
 右と左のどちらに立つかは国や地域で異なり、日本の関西地区の他、アメリカ、イギリス、フランス、台湾では右に立って左を空けますが、オーストラリアやシンガポールは東京同様、左に立って右を空けまるそうです。
 
 ただ、本来「片側空け」のメリットより、デメリットの方が大きいそうです。
 
1 安全面から
  接触による事故のリスクが大きいです。
  利用者が大きな荷物を持っていたり、障害があったりする場合などには、追い越す利用者と接触し、思わぬ怪我や転落事故を招く恐れがあります。
 
2 輸送量の低下
  エスカレーターの輸送量が下がってしまいます。
  特にエスカレーターの片側を誰も使わずに空けておいたままにしておくと、渋滞が起きやすくなります。
  通常、前の人になるべく接触しないように1段空けてエスカレーターに乗ることが多い傾向にあります。さらに利用者が大きな荷物を持っていると、物理的にどうしても1段空けないと乗りにくい事情もあります。
  輸送量が半分近くになってしまいます。
 もっとも、「片側空け」も捨てがたい点があります。
 
1 急いでいる人が、ゆっくりとしたエレベーターに歩かずに動かないままいるようにするというのが妥当ではない場合があります。
 駅などでは顕著ですね。
 乗る電車の出発時間が迫っている場合など耐えがたいでしょう。
 もし近くに階段があれば「急いでいる人は階段を使って」と言えるが、施設のスペースや設計の都合で階段が設置されていないケースも少なくありません。
2 慣れ
  片側空けのルールがすでに浸透しており、両側立ちをしても「道を空けろ」などと後ろから催促されたり、強制されたりする可能性があることです。
 利用者同士のトラブルを招きかねません。
 東京のエスカレーターで、間違えて右に悠々立っていたりすると、けんか腰に文句をいう人が居ます。逆に「右側に立ってなんであかんのや」と思わず言い返すこともあります。その時点で、お互いに気づきますが・・
 
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