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2018年バックナンバー

雑記帳

裁判官過疎

 裁判官過疎が深刻になっています。

 

 旭川地裁稚内支部では、旭川地裁の裁判官が出張で来るのは月3日程度で、また、裁判官の留学などの事情で、次の開廷は数カ月先という状況だったそうです。

 

  優秀な若い裁判官は、旭川支部や那覇地裁石垣支部に転勤になることがあります。
  2年とか1年6月で、堂々と、東京地裁や大阪地裁に戻せるからです。

 

 DV防止法に基づいて裁判所が保護命令を出せなかったため、「殺す」と妻に言っていた夫は逮捕、起訴され有罪判決を受けたこともあるそうです。

 

 旭川・稚内はJRで片道3時間半。往復だけで1日がつぶれ、他の仕事ができなくなります。
 旭川地裁の裁判官が出張で来るのは月3日程度ということは、それだけ事件がないのですね。

 

 稚内市内で「稚内ひまわり基金法律事務所」があります。
 それがなければ、「弁護士過疎をなくせ」「法曹増員」という非難が起きたかも知れませんが、弁護士がいても、裁判官がいないと話になりません。

 

 過疎地域の法律事務所に、資金援助を受けることを前提とした「公設事務所」があるということは、過疎地域の法律事務所がペイしないということを意味します。
 裁判官がいないくらいですから、仕事もないのでしょう。

 

 また、離婚調停をおこそうとしても、月3日の裁判官填補、裁判官の留学などの事情で、次の開廷は数カ月先では、離婚調停すら起こせません。

 

 いくら弁護士が増えても、過疎地に法律事務所は増えません。

 

 裁判所としても、そう裁判官を簡単に増やせません。
 裁判官の「質」の問題もあるからです。
 令状事務なら司法試験に合格していない簡易裁判所判事にさせることができますが、調停や、DV防止法に基づいく保護命令は、司法試験合格者でなくてはなりません。

 

 本末転倒かも知れませんが「支部」自体をなくすことが正解かも知れません。


 その昔、裁判官過疎問題は、報じたのが毎日新聞だけで、日経新聞、朝日新聞、読売新聞には掲載されなかったと記憶しています。

 「弁護士過疎」を報じても「裁判官過疎」は「黙殺」でした。

 

 日経新聞、朝日新聞、読売新聞などが報じないのは「弁護士過疎が解消されない限り弁護士増員は続けるべき」主張と矛盾するからでしょうか。

 

  裁判官のいないところに弁護士がいても、仕事になりません。

 裁判官のいないところに弁護士がいても「無駄」ですよ、という批判が怖いのでしょうか。

 

 私の場合、交渉事案と裁判所事案を比べると、圧倒的に裁判所事案が多いです。

 

 交渉事案にしても、裁判所に訴えの提起や調停申立が「できる」から、交渉が進むのであり、裁判所に訴えの提起や調停申立が「できない」なら、無視されてしまいます。

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