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2018年バックナンバー

雑記帳

保育園「あえて落ちる」人が続出

 平成30年2月、認可保育園に落選するために入れそうもない人気園を1園だけ希望する「不承諾通知狙い」の入園申請があることが話題になりました。
 
 待機児童問題が深刻化する一方で、この動きは何年も前からひそかに広がっていたようです。
 
 不思議と言えば不思議です。
 
 育児休業制度は平成3年、子が1歳(になる前日)まで取得できる制度としてスタートしました。
 
 平成17年、保育園に入れないなどのやむをえない事情があれば1歳半(になる前日)まで延長できる制度になりました。
 
 さらに、平成29年からは、同様にやむをえない事情があれば2歳(になる前日)まで再延長できることになりました。
 
 育児休業給付金の支給金額は、概略、育休開始から6カ月間は給料の67%(上限29万9691円、6か月を超え2年までは給料の50%(上限22万3650円)です。
 
 法律が保障する労働者の権利なので、条件を満たした社員から申請があれば、会社は認めなければなりません。
 
 また、延長した期間も雇用保険から育児休業給付金が給付されることになっています。
 
 平成29年までは、1歳、1歳半には書類が不要でした。
 
 しかし、平成29年に、2歳に延長するとき、育休期間が終わる時点(1歳・1歳半)で認可保育園(認可保育運に限ります)などの利用申込みをしたのに、保育園による保育が実施されないなど、やむをえない事情がある人にだけ認められるとされました。
 
 そのため、自治体が発行する認可保育園などの「不承諾通知」「入所保留通知」が必要になります。
 
 「1歳前に入園申請をしなかった」「認可外だけ申し込んだけど、入れなかった」という場合は、育休延長制度を利用する権利を失ないます。
 
 ただ、通常は「不承諾通知狙いの入園申請」は全体の申請数から見れば少数です。
 
 現在、多くの親たちが、1年間で最も保育園に入りやすいとされる4月を目指して保育園を探す活動をしている実態があります。
 
 
 入園事情の厳しい地域では0歳の4月に育休を切り上げて復帰する人も少なくありません。
 
 
 その一方で、もう少し子育てにゆとりをもちたい、比重をかけたいという思いも強くなってきていることを感じます。
 
 
 少し古いですが、平成27年度雇用均等基本調査(当時は最長1年半)の結果をみると、育休取得期間は全体として延びてきています。
 
 
 この育児休業取得期間は、「1年未満」が減り、「1年未満」が減って「1歳半未満」が増えています。
 
 
 育児休業の取得期間が延びている背景には、まず、保育園などに入れずにやむなく延長する人が増えていることがあげられます。
 
 それだけではなく、意図的に「不承諾通知」をもらって育休を延長している人など、自らの希望で長くとる人も含まれていると考えられます。
 
 育休を1年以上とりたい人は、不本意ながら入れそうもない人気園を1園だけ希望して落選するという方法をとります。
 
 なお、一方、自治体では公正を期すべく、点数制の入園選考を実施しています。
 基準を設けて保育の必要性の緊急度を点数化し、同点の場合は家庭や子どもの状況を総合的に検討して優先順位を決めます。
 
 しかし、その中に最初から入園を希望しない申請が混じっていることに戸惑いが広がっているのです。
 
 育休延長するのは育児休業給付金をもらうためだけではないのか、そのまま、辞めてしまうのではないのかという疑問もあるでしょうが、現実には、育休を延長したもほとんどの人が復職しています。
 
 それほど、非難するにはあたらないということになります。
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