2018年バックナンバー
雑記帳
ドイツの連立交渉
ドイツで連立協議が難航し、平成29年9月24日の連邦議会選挙から続く政治空白が4か月を超えました。
選挙前に連立を組んでいたCDU/CSUとSPDは、党始まって以来の票の落込みで、選挙当日、SPDのシュルツ党首は即座に野に下ると宣言していました。
そこで新政権樹立のため、平成29年10月に、CDU/CSUとFDPと緑の党で連立交渉が始まりましたが、平成29年11月19日に決裂しました。
選択肢は、再選挙か少数与党による内閣なのですが、CDU/CSUとしては、再選挙になれば、さらに票が減る可能性が高く、また、過半数割れ政権では安定した政治はできません。
困ったメルケル首相は、SPDに大連立を持ちかけました。
SPDも再選挙は怖いという点ではCDU/CSUと同じです。
しかし、SPD党内では、総選挙前4年の大連立の間にメルケル首相に取込まれて、党のカラーはなくなり、主張することもなくなったという意見があります。
これからまた4年、メルケル政権の延命のために尽くすなら、党は存在する意味がなくなるということです。
結局、SPDの内部は、ドイツ政治の安定のために連立すべきという賛成派と、これ以上メルケルの軍門にくだるべきではないとする反対派に、真っ二つに分かれました。
シュルツ党首が非難を受けました。
最初は頑なに大連立はしないと頑張っていたのでが、まもなくSPDの幹部のあいだで、大連立賛成派が増えました。
前政権でのSPDは、外相、副首相はもちろん、法相、労働相、環境相など主要なポストを占めていたのですから、完全に下野するのは好ましくないと思う幹部がいても不思議ではありません。
また、SPDがゴネているせいで組閣ができず、ドイツの国益が損なわれていると思われても困ります。
そこで、憲法大統領(政治的実権は、ほぼありません)の取りなしもあり(ですから「とりなし」です)、CDU/CSUと会い、大連立交渉を始めるか否かの協議をすることになりました。
そして、平成30年1月26日、SPDは大連立の交渉を始めることになりました。
大義名分は、「ドイツ国民に対する責任」、「EUに対するドイツの責任」です。みえみえの嘘ですね。
ただ、一番恐れているのは、再選挙です。
再選挙をして、議席を伸ばしそうな党は、AfD(ドイツのための選択肢)くらいです。
ただ、CDU/CSUとSPDは、いずれも選挙で議席を大幅に減らした「負け組」で、連立交渉で相手に譲歩するだけの余裕はないようです。
予断は許しません。