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2018年バックナンバー

雑記帳

裁判所が「後見人監督怠る」国に賠償命令

 平成30年1月10日、京都地方裁判所(久保田浩史裁判長)は、8年前に亡くなった70代で死亡した女性が生前、成年後見人だった義母に多額の預金を引出され使途不明にされたのは、家庭裁判所の家事審判官などが後見人の監督義務を怠ったためだとして女性の兄が国を訴えた裁判において、「義理の母親はたびたび不適切な支出が指摘されていて、家事審判官は遅くとも女性が亡くなる3年前から後見人として適切かどうか把握する義務を果たさず、多額の使途不明金が生じた」として訴えを一部認め、国におよそ1300万円の賠償を命じました。

 
 義母は女性が亡くなるまで20年余りにわたって財産を管理していました。
 
 義母はすでに死亡していますが、別の裁判で女性の財産を横領した民事上の責任が認められ、遺族に2000万円の賠償を命じる判決が確定しています。
 
 横領による損害が2000万円、内1300万円に家事審判官(裁判官)のミスを認めたということになります。
裁判官仲間(京都家庭裁判所の家事審判官=裁判官)のミスを認めるわけですから、度胸がいることでしょうが、よほど、ひどかったのでしょうね。
 
 ただ、国の支払う1300万円は税金で、納税者の負担となります。
 
 
 なお、成年後見人を務める弁護士や司法書士による横領が相次いでいることを受け、日本弁護士連合会は、平成29年3月4日までに、被害者側に「見舞金」を支払う制度などを新設することを決めています。
 
 平成29年10月から運用されています。
 
 認知症などで判断能力が十分ではない人の後見人になりながら財産を着服したり、依頼者から預かった金を返さなかったりしても、弁護士に資力がないと弁償されず、これまでは被害者は泣寝入りするしかありませんでした。
 
 新制度は30万円を超える被害が対象で、被害者(被害者の遺族)から申請があれば、事実関係を調べた上で支給を決める。上限は被害者1人当たり500万円です。
 
 被害者が複数の場合、問題を起こした弁護士1人につき、いれば全員で総額2000万円が上限になります。
なお、日本弁護士連合会は、依頼者から預かった金を管理する口座を所属する弁護士会に届出るよう義務付けました。
 
 届出を怠たったり、弁護士会の調査に対する回答を拒否した場合は懲戒処分の対象となります。
 
 最高裁の調査では、成年後見人を務めた弁護士や司法書士ら「専門職」による不正は平成27年に37件(被害総額約1億1000万円)と確認されています。
 
 ただ、日本弁護士連合会の支払う見舞金は、弁護士会会員の会費から拠出されますから、他の弁護士の負担となります。
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