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2018年バックナンバー

雑記帳

膵臓がん

 平成30年1月4日、阪神元監督の星野仙一氏が亡くなられました。

 平成15年には、星野元監督のもと、阪神はリーグ優勝を遂げています。

 

 星野元監督は、平成28年7月に急性膵炎を発症したことをきっかけに膵臓がんであることが判明したそうです。

 

 その後、体調に波があったものの仕事に支障を来すことなく過ごしていましたが、平成29年12月に行われた野球殿堂入りを祝うパーティーでは元気な姿を見せたのを最後に、病状が悪化し、公の場に姿をみせることなく、平成30年1月4日に肝臓がんで亡くなられたとのことです。

 

 心より、ご冥福をお祈りいたします。

 

 膵臓がんは、がん(悪性新生物)の中でも、早期発見が難しく、予後も悪いがんと言われます。
 Apple社の創業者スティーブ・ジョブズ氏も膵臓がんでした。

 

 平成29年12月8日、国立がん研究センターより、がんの部位別5年生存率が発表されています。
 

 5年生存率は、ある がんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標で、ある がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合です。

 100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救い難いがんであることを意味します。

 

 膵臓がんは、5年生存率が男性7.9%、女性7.5%と、部位別で最も低く、他のがんに比べ、圧倒的にといっていいほど、最も予後が悪いがんです。

 診断されてから、1割以下というがんは他にありません。

 

 膵臓がんは、早期ではほとんど症状が見られません。

 

 よく見られる症状は、腹痛、食欲不振、消化不良、全身倦怠感、黄疸、腰や背中の痛み、体重減少といったもので、膵臓がんを疑うことになります。

 こんな、どんな病気でもありという症状で膵臓がんを疑うと言うことは、まず、ありません。

 初期に発見されることが難しいということです。

 

 また、膵臓は、十二指腸、胆のう、胃、肝臓などの臓器に囲まれており、膵臓がんを発症した位置によっては周辺の臓器に浸潤したり、リンパ節などを通じて転移してしまいます。

 その意味でも、症状が出現したころには多くの場合、膵臓がんがかなり進行してしまっている状態です。

 

 まず、がんが膵臓の中だけにあるのか、周辺の臓器にまで浸潤しているのか、またはリンパ節などを通じて他の臓器に転移しているのか診断します。

 

 治療法としては、「手術療法」、抗ガン剤を使う「化学療法」、ガン細胞に放射線を照射する「放射線療法」の3つがあります。治療法を組合わせた治療が行われることが多いです。

 「手術療法」は、膵臓がん治療の中では最も確実で、がん部を含めて膵臓と周辺のリンパ節などを切除しますが、発見されたときは7~8割の患者が、切除が不可能なまでに進行しています。

 「手術療法」はあきらめ、「化学療法」「放射線治療」をとることが多いということになります。


 話は変わりますが、年末年始の旅行の機内で「君の膵臓をたべたい」という映画をみました。
 250万部をこえるヒット小説の実写映画化だそうです。

 私は、全く小説も映画も知りませんでした。「ラ・ラ・ランド」は喜んでみましたが、全くのヒマつぶしです。

 

 行きのフライトでみたときは、余命幾ばくもない患者の少女が健康すぎて、現実感も何もないという感じでしたが(面白くない映画という趣旨ではありません)、星野仙一氏が、平成29年12月に行われた野球殿堂入りを祝うパーティーの映像をみていると、案外、そういうこともあるのかなと思ってしまいました。

 

 ついでですが、「膵臓」は「すいぞう」と読みます。

 

 「脾臓」(ひぞう)と、位置も漢字も似ていますが、脾臓がんはありません。

 

 弁護士になりたてのころ、「膵臓がん」を「ひぞうがん」と読み間違えて、医師から、大笑いされたことがあります。

 

 枕草子の「くらげの骨」みたいなものでしょう。

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