本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

格安ツアー会社のビジネスモデルの破綻

 平成29年11月7日、格安旅行会社てるみくらぶ社長の山田千賀子容疑者らが、虚偽の書類をもとに銀行の融資金をだまし取った疑いで警視庁に逮捕・起訴されました。
 
 ビジネスモデルの破綻が原因とされています。
 
 格安ツアー会社のビジネスモデルは、航空会社が搭乗率を100%に近づけるために、旅行会社に卸す格安料金の座席や、ホテルの客室を大量に仕入れてツアーを設定して販売することにより利益を出します。
 
 また、利用客からなるべく早く代金を収受して、航空会社には後から支払うことにより得られるキャッシュを運転資金としながら、大量に販売することで得られる航空会社からのインセンティブ(報奨金)も利益にとして加えていくということになります。
 
 まず、航空券ですが、航空会社は、ある程度の需要のある路線には、ボーイング747など機体の大きい飛行機を飛ばしていました。
 
 普通は、曜日によって機体を変えるということはありません。
 
 ですから、どうしても、多くの空席の出る日がでます。
 満席であろうが、空席ばかりであろうが、航空会社の負担する経費は、ほぼ同じです。
 
 空気を運ぶよりは、たとえ安くても、席を埋める必要がありました。
 
 旅行代理店は、多くの席を売却してもらえましたから、旅行代理店と航空会社の力関係は、大手の旅行代理店が強かったのです。
 
 しかし、航空会社は、機体の小型化が進めていき、座席が余ることも少なくなりました。
 
 昔は、航空券は、旅行代理店を通じて販売していました。
 
 格安航空券は、ツアーの航空券のばら売りという位置づけでした。
 
 現在は、航空会社が、インターネットのサイトで、ペックス料金で直接販売しています。
 
 中間マージンをとられることがありませんから、航空会社にとっても、客にとっても、ウィンウィンの関係になりました。
 
 旅行代理店は、必要なくなりつつあります。
 
 1回、航空会社のサイトで購入する経験をすると、旅行代理店が、いかに、ぼったくりの手数料をとっているかがわかってしまい、旅行代理店経由ではなく、客は、インターネットのサイトで購入するようになりました。
 
 もちろん「初心者は永遠にいる」わけですから、旅行代理店は存在し続けます。しかし、旅行代理店の優位性は減少しています。
 
 ホテルも、旅行代理店を通じて販売していました。
 
 ホテルが客に部屋を提供するとき、旅行業者しかないという時代でした。
 
 現在は、インターネットによるホテル販売業者(じゃらん、楽天トラベル、expedia、booking.com)が存在していますし、ホテルが、直接インターネットで販売するようになりました。
 
 中間マージンをとられることがありませんから、ホテルにとっても、客にとっても、ウィンウィンの関係になりました。
 
 1回、ホテル販売業者のサイトで購入する経験をすると、旅行代理店が、いかに、ぼったくりの手数料をとっているかがわかってしまい、旅行代理店経由ではなく、客は、インターネットのサイトで購入するようになりました。
 
 先ほど述べたように「初心者は永遠にいる」わけですから、旅行代理店は存在し続けます。しかし、旅行代理店の優位性は減少しています。
 
 もちろん、観光が付いたパッケージツアーの場合は、旅行代理店を通じてでないと購入できません。
 
 旅行代理店は、航空券単体、ホテル単体の客はともかく、観光が付いたパッケージツアーで儲けることができます。
 
 JTBとか、読売旅行とか、阪急トラピックスなどの大手は、ずっと存在価値があり続けるでしょう。
 
 HISも、格安旅行者でしたが、いまでは結構な値段でパックツアーを販売しています。
 
 ただ、すきま(ニッチ)をねらった、てるみくらぶのような旅行社は、不利としかいいようがありません。
 
 堅実な商売をする、すきま(ニッチ)をねらった小さな旅行代理店はあります。
 
 特に、特定の旅行先については詳しいという旅行代理店などは、上手な商売をしています。
 
 てるみくらぶは、インターネットで集客していたころは、まだましだったのでしょうが、大手旅行社でもないのに、新聞広告をうっていては利ざやは稼げません。
 
 中小旅行業が今後生き残るためには、大手にはない独自の旅行コンテンツを開発し、特徴のある専門会社となっていくほかはないと思います。
TOPへ戻る