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2018年バックナンバー

雑記帳

AIIBはサラ金?

 平成29年11月30日、生太郎財務相が、午前の参院予算委員会で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を「サラ金」に例えて答弁しました。
 
 中国主導で開業しアジアのインフラ整備への投融資を行うAIIBについて、麻生氏が答弁で、「急にお金を持った人が急にお金貸しになるって、どれだけノウハウがあるのと。私どもはお手並み拝見と思って見ている」「(資金を)求めているアジアの国々があるが、金を借りた方もちゃんと計画を立てて返済しねえと、サラ金に取り込まれちゃうみたいな話になったら元も子もありませんよ」などと述べたということです。
 
 アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、平成28年1月16日に開業しました。
 
 少し古い統計ですが、平成29年1月16日決定した融資は9件で総額17億3000万ドル(約1940億円)と、日本主導のアジア開発銀行(ADB)の10分の1以下にとどまっています。
 
 また、融資が決まった9件のうち6件が世界銀行や日米主導のアジア開発銀行(ADB)などとの協調融資。他の国際金融機関に頼っているのが実態です。
 
 AIIBは、途上国などに融資する国際金融機関である。途上国が融資を受けた資金によってインフラ整備を行うのですが、融資なので返済が必要になります。
 
 国際金融機関とはいえ、その融資機能は国内の金融機関やノンバンクと同じであり、一般論として融資の返済可能性などについて審査をします。
 
 しかし、AIIBは国際金融機関としての経験が乏しい。それを「金を貸した経験のない人が急に貸す」と言っていることになります。
 
 融資業務に精通した人材確保などに苦労しています。
当初700人を計画した本部職員数は90人にも満たず、審査や融資実務がなかなか進まないお粗末ぶりのようです。
 
 金の貸手は、借手の生活に大きく関わることもある。金融業者の取り立てが社会問題化したことからもわかり、取立ては差押さえすることもあります。
 
 AIIBは国際金融機関であるが、借り手が返済しなければ当然取立てを行ないます。 中国主導となるでしょう。
平成29年7月29日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、米格付け大手、ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の格付け「Aaa(トリプルA)」を取得したと発表しています。
 
 だからといって、貸出資金の融資を受けられるかどうかは別問題です。
 
 肝心なのは中国の資金調達レートです。
 
 AIIBの調達レートは、格付けに関わらず、中国の資金調達レートを上回るでしょう。 つまり、西側の国際金融機関より高金利になる可能性が高いことになります。
 
 ムーディーズは、経済成長鈍化と債務負担増を理由として、平成29年5月、中国の長期国債格付けを上から5番目に引下げています。
 
 AIIBには、中国が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を資金面で支える役割を期待しているのでしょう。
 
 しかし、「急にお金を持った人が急にお金貸しになるって、どれだけノウハウがあるのと。私どもはお手並み拝見と思って見ている」「(資金を)求めているアジアの国々があるが、金を借りた方もちゃんと計画を立てて返済しねえと、サラ金に取り込まれちゃうみたいな話になったら元も子もありませんよ」と麻生大臣のいうとおりで、金貸しにもノウハウが必要で、そう簡単にはいきません。
 
 まだ「サラ金」ならましです。
 
 債務返済がない場合、借手の途上国が中国の取り立てによって政治的に困窮する状況になりえます。
 
 取立ての一環として、借り手が不動産を差し出すのは、融資の世界ではよくあることですが、国際金融の世界でAIIBが同じようなことをした場合、借り手の途上国にとっては、中国への属国化や領土分割を意味することになってしまいます。
 
 中国は、スリランカに金を貸し、返済できないとみるや、平成29年2月、スリランカ政府から、南部ハンバントタ港の運営権を99年間、中国企業に貸出すことで最終合意を強要されています。
 
  「サラ金」レベルではなく、「ヤミ金」レベルです。
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