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2020年バックナンバー

雑記帳

113番目の元素

 国際純正・応用化学連合(IUPAC)は、平成28年11月30日、113番元素の名称について日本側の提案通りに「nihonium(ニホニウム)」(元素記号:Nh)と決定したことを発表しました。

 理化学研究所が人工的に作り出した113番目の元素が国際機関によって新たな元素として認定され、名前を付ける権利が日本に与えられました。

 新たな元素の認定は4年ぶりで、ほかに原子番号115と原子番号117、原子番号118の3つも同時に認められました。

 元素は、原子番号1番の水素から、原子番号94番のプルトニウムまでが自然界に存在していますが、原子番号95番以降は人工的に作り出されたもので、これまでに原子番号118番まで報告されています。
 次は、原子番号119の競争です。

 グループの代表を務める九州大学の森田浩介教授は、歴史的な快挙の実現までに準備期間を含め、およそ30年の歳月がかかったということで、「これまで欧米中心だった元素の発見に割って入ることができ、科学者として非常に名誉なことです」と話しています。

 新しい元素に名前を付ける際には、語尾にアルファベットで「ium」を付けることがルールとなっていて、元素の名前は慣習として神話や研究拠点がある地域名、著名な科学者、それに元素の性質などに由来することがふさわしいとされています。

 元素の命名は、これまでヨーロッパ(ロシアを含む)とアメリカに限られていました。

 新発見の元素には地名がつくことが多いです。

Am(アメリシウム)
Ca(カリフォルニウム)
Fr (フランシウム)
Ga (ガリウム)=フランスのラテン語名「ガリア」より
Ge (ゲルマニウム)= ドイツのラテン語名「ゲルマニア」より
Po (ポロニウム)=ポーランドのラテン語名「ポロニア」より
Ru (ルテニウム)= ロシアのラテン語名「ルテニア」より
Sc (スカンジウム)=スウェーデンのラテン語名「スカンジア」より

 人名もあります。発見者ではありません。

Cm(キュリウム)
Es(アインスタイニウム)

 ちなみに、幻のNi(ニッポニウム)が存在したことがあります。

 東北帝国大学の小川正孝教授が発見し、原子番号43番の金属元素として1908年(明治41年)に発表したものです。
 日本人が発見した初めての元素となるはずでした。

 しかし、原子番号43番の金属元素は天然には存在せず、そのため「ニッポニウム」は周期表から抹消され、そしてサイクロトロンで人工的に作られたTc(テクネチウム)に1937年に取って代わられました。

 勘違い、あるいは捏造でもないことが後の研究で分かってきています。
 つまり、小川正孝教授が発見した元素は、1925年(大正14年)に発見された、テクネチウムと同族で周期の違う、現在のRe(レニウム。原子番号75)ではないかと考えられています。

 話を戻して、113番目の元素は、Ja(ジャポニウム)あるいは、幻のNi(ニッポニウム)が有力視されていましたが、ニホニウム(Nh)に落ち着きました。
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