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雑記帳

寒冷地の小型旅客船「スライダー付き救命いかだ」搭載義務化へ

 国土交通省は、知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ」が沈没した事故を受け、寒冷地など水温が低い海域で運航する小型旅客船を対象に、避難する際に海に入らなくてすむスライダー付きの救命いかだなどの搭載を義務化する方針を固めました。

 令和4年5月27日に開かれた、有識者による事故対策検討委員会の第3回会合で案を提示し、おおむね了承されました

 ただ国交省によると、小型旅客船に対応したサイズでスライダー付きの救命いかだは製造されていないといい、今後国内メーカーとともに開発を進めます。

 現行法制度上、カズワンのような小型旅客船の救命設備については、客を乗せる観光船であろうと、プレジャーボートであろうと、船の定員に応じた数の救命胴衣のほか、水に入った状態でつかまる板状の救命浮器か、救命いかだを備え付けるよう船舶安全法で定めています。
 ただ、コスト面で、救命浮器を搭載する事業者がほとんどです。

 今回の事故でも、「KAZU Ⅰ」には救命胴衣や救命浮器が備え付けられており、乗客らも救命胴衣を着用していたとされています。
 ただ知床半島沖の4月下旬の海水温は2~3度で、水につかった状態で使用する救命胴衣や救命浮器では短時間で危険な状態に陥ったとされています。

 有識者による事故対策検討委員会委でも、体が水につからない救命いかだの義務化を求める意見があり、国交省は一定の水温を下回る海域での救命設備として義務化する方向としています。

 また、国土交通省は令和4年5月27日の会合で、陸上との通信手段についても見直し案を提示しました。
 これまでは船舶安全法に基づき、衛星電話や無線のほか、携帯電話も航路で通話可能な場合に限り認めていました。
 しかし見直し案では、携帯のみを通信手段とすることは認めないとしました。
 申請された携帯は航路の大半が通信圏外の会社のものだったことが明らかになっています。
 こうした経緯から、事業者の通信手段として不十分と判断したそうです。

 さらに、国土交通省は小型旅客船に対し、非常時に救難信号を自動発信する非常用位置指示無線標識「EPIRB(イパーブ)」の搭載も原則として義務化する方針も示しました。


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