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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

楽天0円プラン廃止

 楽天モバイルは、顧客獲得の目玉にしてきた「データ通信の利用量が1ギガバイト(GB)以下なら無料」という「月額0円」の超お得プランを、令和4年6月いっぱいで廃止し、令和4年6月から、0~3GBの1078円で、20GBまで2178円、無制限が3278円を徴収することにしました。
 0~1GBの範囲なら無料だった「0円プラン」の利用者には値上げとなります。

 巨額の赤字が続く中、収益が見込めない「0円プラン」を継続できなくなったということです。

 菅義偉・前首相の官房長官時代からの肝いり政策だった携帯電話料金の引下げは、利用者には歓迎されましたが、通信会社の収益を圧迫しました。

 電気や鉄道の公共料金から食料品や日用品に至るまで値上げラッシュが続く中、通信業界には携帯電話だけが値下げを強いられている状況に耐えられず、「値上げ」を模索する動きがではじめています。

 楽天の三木谷会長は、令和4年5月13日の決算説明会で「0円でずっと使われても困っちゃうのがぶっちゃけな話。すごく正直に言って」と正直に述べました。

 この日発表したモバイル事業の令和4年1~3月期決算は、1350億円の赤字です。
 四半期としては過去最悪を記録しました。
 これに先立つ令和31年12月期の通期決算は、1600億円弱の売上高に対し4200億円の巨額赤字を計上しています。

 自前の回線網を構築するための設備投資が主原因です。
 「0円プラン」が足を引っ張ったことも大きいといえます。

 このまま、「0円プラン」を継続すれば、目標とする令和5年中の単月黒字化はおろか、赤字の垂流しをいつまでも続けることになりかません。

 楽天モバイルが、NTTドコモ、au、ソフトバンクに続き、自前の通信回線をもつ「第4の携帯電話会社」として本格参入したのは、令和2年4月のことです。
 
 そして、菅前首相主導の料金引き下げ要請に応じる形で、令和3年4月に「0円プラン」を導入しました。
 「無料」の効果はてきめんで、本格サービス開始から2年余りで580万人という契約者を確保することができました。

 だが、いかんせん、無理がありました。
 「0円ユーザー」をいったん取り込んでしまえば、電子モール「楽天市場」や「楽天トラベル」など多彩なネットサービスを利用してもらえ、非通信分野のサービスを利用することで帳尻を合わせられると見込んでいました。

 しかし、「無料」ゆえに楽天モバイルを選んだ利用者たちは、最初から可処分所得に限界があり、思い通りの出費をしてくれませんでした。

 「0円プラン」廃止の発表と同時に、SNS上では「裏切りだ」「解約する」「すぐに乗り換える」と批判が殺到、「0円ユーザー」の落胆や失望があふれました。

 そして、現実に格安SIMや、auの「povo」(利用しなければ0円)に流れたようです。
 多くの利用者がいかに価格に敏感かを物語っています。

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