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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

悪い円安?

 国家の盛衰を表すとされるものに「国際収支発展段階説」があります。

 資源高で貿易赤字が続く現在の日本は、海外からの利子や配当で貿易赤字を賄って経常黒字を保つ「成熟した債権国」に変貌しました。
 貿易赤字が膨らみ経常赤字となれば最終段階の「債権取崩国」にいたります。
 現在は、イギリスがこの段階に来ているといわれます。

 さらなる成熟化は、さらなる円安圧力を招くリスクもはらんでいます。
 リーマン・ショック後には円が買われました。
 その信認を裏打ちしたのが、長期の経常黒字で積み上げた世界最大の対外純資産でした。
 ウクライナ危機では円は売られ、「有事の円買い」は過去のものになりつつあります。

 日本の産業は円安に依存して高付加価値化が進まず、平成26年をピークに生産年齢人口も減少しています。
 企業の生産拠点は海外に移り、現地で稼いだ収益の国内への還流も限られます。
 国内産業の競争力は衰え貿易赤字に陥りやすいといえます。

 企業に続いて家計の資金も海外に流れ出すと予想されます。
 個人金融資産は令和3年末時点で初めて2000兆円の大台に乗せました。
 このうち外貨預金を除く現預金は約半分の1000兆円強に上り、潜在的な流出リスクがあります。

 金融緩和に伴いインフレが到来するのではとの思いが、今年の円安の加速でさらに強まりました。
 令和4年3月末の米国株の預かり資産残高は約5700億円と、2年間で3倍にふくれあがったそうです。
 円を外貨にかえる人が増えています。
 私も、20年以上前から、危険分散の意味で、米ドルの定期預金を続けています。といっても、現在高は知れていますが。

 今から約50年前の第1次オイルショックは、産業界の努力で日本のエネルギー効率が急速に高まる転機となりました。
 ウクライナ危機は世界の省エネ需要を高めるとみられ、日本にとって第1次オイルショックと同様克服できるかどうかが問題となります。

 また、日本の人件費が減れば、外国に進出した企業が、日本に戻ってくる動機となるでしょう。
 同じ人件費を払うならば、日本人従業員がいいに決まっています。
 また、カントリーリスクもありません(日本の南海トラフや富士山大噴火という危険があるかもしれませんが・・)。
 日本の製造力の底力を発揮するャンスかも知れません。 
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