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雑記帳

成年後見人による横領

 少し古い統計しか残っていませんが、認知症高齢者や精神障害などで判断力が不十分な人の財産管理を代理する後見制度を悪用して、親族が財産を着服するケースが、平成27年は521件に上ります。被害総額は計約29億7000万円にのぼりました。

 そのうち、弁護士や司法書士などの専門職は37件1億1000万円です。

 家庭裁判所から後見人として選任された親族が財産を私物化し、預金を勝手に引出すなどの手口です。

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/210034.pdf
 最高裁判所は、信託銀行への信託制度を活用した財産保護策である「後見制度支援信託制度」を導入しました。

 被後見人の財産のうち、日常使用しない分を信託銀行などに信託財産として預け、日常生活などに必要な額を預貯金の形で後見人が管理する仕組みです。

 後見人が信託財産から引き出すためには家庭裁判所の了承を必要とし、高額な支出を事前にチェックするというシステムです。

 後見監督人は不要となります。

 全国の家庭裁判所は、財産管理が不安視される場合、弁護士や司法書士といった専門職を後見人に選任する運用を進める傾向にありました。

 もっとも、家庭裁判所から後見人として選任された弁護士や司法書士が、業務上横領容疑など逮捕されたり、懲戒されたりという悪質事例も増えています。

 家庭裁判所または後見監督人から求めがあれば、成年後見人等は、財産目録、本人収支表に通帳コピー等の財産資料を添付して、家庭裁判所又は監督人に財産管理状況を報告しなければなりません。

 弁護士や司法書士は、知識がありますから、横領を隠すため、家庭裁判所に提出する通帳のコピーも改ざんすることが多く、親族(素人)より、発覚が遅れることになります。

 親族(素人)は、何件も後見人をしませんが、弁護士や司法書士は複数件を担当します。
 1件、横領が見つかったら、他の事件もチェックしなければなりません。

 成年後見担当の弁護士や司法書士に、信用情報の定期的な提出の義務を課した方がいいのかも知れません。
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