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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

コロナ給付金詐欺

 持続化給付金の逮捕者の報道が続いています。

 令和2年5月から令和3年2月まで申請期間が設けられた持続化給付金では、約424万件の企業と個人事業主に、合計約5兆5000億円の税金が給付されました。
 令和3年の防衛予算が補正予算を含めて約5兆4000億円ですから、いかに巨額のものであったかがわかります。
 もっとも、国民全員への10万円の給付金は約12兆円ですから、こちらの方が、はるかに大きいですね。


 私自身は、持続化給付金について、本当に要件を満たしていた法人と個人が、半分いたかどうかについても疑問に思っているくらいです。

 私は、持続化給付金100万円と家賃支援金250万円強を受給しています。
 大阪弁護士会から、持続化給付金と家賃支援金の他、大阪府からの支援金、コロナが原因の場合の緊急借入制度の通知がメールとファクシミリで(2重で無駄ですが、メールが取扱えない弁護士さんもいるようです。また、ファクシミリとメールのどちらを送付するかについて、管理する手間がかかりますから、結局、両方送付するのが安上がりということになります)、複数回、送付されてきましたから、利用した弁護士は多かったでしょう。
 私は金額が小さいため大阪府の制度の利用はしませんでしたし、弁護士開業以来、リースも利用しない無借金経営ですから借入制度は利用していません。

 令和2年4月と5月は、緊急事態宣言により、裁判所が一部を除き活動を停止したため、事務所の収入は顧問料+αまで落ち込みました。
 要件は満たしています。

 もっとも、緊急事態宣言明けから、法律相談が多くなり新受事件も増えて、結局、着手金は前年度とかわらず、成功報酬は、ほぼきっちり2か月遅れで入りましたから、結果的には、持続化給付金100万円と家賃支援金250万円強の必要性はありませんでした。
 なお、持続化給付金100万円と家賃支援金250万円強にも、しっかり税金はかかりました。

 私自身は、誰の助けも借りずに、持続化給付金と家賃支援金給付金の申請をして、申請額が振込まれました。
 必要書類の用意は簡単でしたが、問い合わせのできないオンラインでの申請には手こずりました。申請手続きの用語が、こなれていない不十分なものであったことも原因の1つです。

 自分で申請手続きをやってみて、持続化給付金については、だまし取ろうと思えば、簡単にだましとれる制度であり、家賃支援金給付金は、賃貸人とグルになるか、賃貸人名義の書類を偽造すれば、簡単にだまし取れる制度であるとわかりました。

 持続化給付金については、前年度までに確定申告実績がなくても、期限後申請で架空の確定申告をしさえすれば、簡単にだまし取れました。
 ここが問題の本質だと思います。

 令和4年6月までの事業復活支援金においては、「事前確認」の手続きが必要でしたから、せめて、前年度までに確定申告実績がない法人や個人は、「事前確認」の手続きをとらせるべきでした。

 なお、事業復活支援金における「事前確認」は、不正受給や誤って理解したまま申請してしまうことへの対応として、申請希望者が、①事業を実施しているか、②新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか、③事業復活支援金の給付対象等を正しく理解しているか等を、税理士や司法書士が事前に確認する制度です。

 今ごろになって、持続化給付金詐欺事件は、迅速な手続きのため仕方がなかったとか、デジタル化が遅れていたと言い訳を言っていますが、問題はそこではないと思います。

 前年度までに確定申告実績がある法人や個人は、簡易迅速に給付することとするが、前年度までに確定申告実績がない法人や個人は、不正申請の恐れが大きいものとして、手数はかかっても、事前認定等、手続きを厳格化すべきだったでしょう。

 従前から事業をしていたものの、確定申告実績がない法人や個人は、いわば自業自得として厳格な手続きを甘受すべきですし(納税するだけの所得がなくても確定申告はできます)、新たに事業を始めた法人や個人は、いわば開業間もなく実績がないころに、いわば、天からお金が降ってくるようなものですから、厳格な手続きを甘受すべきだったと思います。


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