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雑記帳

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近隣窮乏化政策

 近隣窮乏化政策(beggar‐my‐neighbour policy)という言葉があります。
「他国の犠牲のもとに自国の景気を回復しようとする政策」のことです。

 ある国が、輸入制限・輸出拡大という施策をとると、他国にとっては輸入拡大・輸出の減少ということを意味します。
 他国の生産縮小、所得減少という犠牲を伴うので「失業の輸出」などともいわれます。

 輸入制限・輸出拡大の施策はいろいろあります。

 輸入制限・輸出拡大の施策の一つには、関税・非関税による輸入制限、輸出補助金などによる輸出促進などの政策があります。
 これは、大恐慌後に、各国が輸出促進、輸入制限策をとったため、貿易が縮小し、結果として、第二次世界大戦の引金をひいたといわれています。

 現在、WTO(世界貿易機関)が、輸入障壁の撤廃や、輸出補助金の支出をさせないという役割補果たしています。

 もとより「聖域なき関税撤廃」などはあるはずもなく、各国の「生命線」はゆずってはいません。

 WTO(World Trade Organization。GATTは発展解消)のを基本原則は以下のとおりです。物品貿易だけでなく金融、情報通信、知的財産権やサービスも含まれます。

1 自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)
2 無差別(最恵国待遇、内国民待遇)
3 多角的通商体制

 実質的には、ほぼすべての国が、WTOの加盟国、加盟申請中、オブザーバーです。

 「WTOに提訴した」という報道がありますね。
 「WTO協定違反の措置による利益の侵害を回復するためには、WTO協定に基づく紛争解決手続を利用しなければならない」と定められ、勝手に制裁措置は発動できません。

 輸入制限・輸出拡大の施策のもう一つは、自国通貨の為替レートの切下げによる輸入制限、輸出促進です。

 各国の政府あるいは中央銀行が、自国通貨売り、外国通貨買いをすれば、自国通貨の為替レートを下げられます。

 韓国は、為替介入をしょっちゅうしていますが、韓国の経済規模、ウォンの世界での通用力を考えて、いちいち非難などはされていません。
 もっとも、現在、韓国はウォン安の為替介入をしている余裕はありません。
 逆に、ウォン高の為替介入をしているくらいです。
 資本逃避(capital flight)がおきかねませんから

 スイスが、1.2スイスフラン=1ユーロに固定するため、無制限の介入をしていました。ものの見事に失敗です。
 1.04=1ユーロ程度になっています。ほとんど、1スイスフラン=1ユーロですね。

 国際金融のトリレンマといわれる法則があります。

 国が対外的な通貨政策を取る時に、
 ①為替相場の安定
 ②金融政策の独立性
 ③自由な資本移動
 の3つのうち、必ずどれか一つをあきらめなければならないという法則です。

 スイスフランはものの見事に失敗しました。

 米ドル、ユーロ、日本円は、自国通貨売り、外国通貨買いの為替介入をさせてもらえませんね。
 日本は、東日本大震災のときが最後の為替介入です。

 日本など先進諸国は③は選択せざるをえませんから、①為替相場の安定、あるいは、②金融政策の独立性のいずれかが犠牲になります。

 現在、日本銀行が、長期国債の無制限の買入れをして、長期金利をおさえています。
 為替が円安ドル高になり、物価が上昇してもやむを得ないということになります。

 逆に、円安ドル高になり、物価が上昇するのを防止するためには、長期金利を上げる(長期金利を下げようとしない)ことになりますが、景気が悪くなります。

 どちらが「まし」が選ぶということになります。

 現在の景気回復基調を止めるわけにはいきませんから、為替が円安ドル高になり、物価が上昇してもやむを得ないが長期金利は上げないという選択がよいかと思います。

 なお、私はみていませんが、令和4年4月19日に実施された討論番組では、長期金利を上げるべきだとする政党は、立民党と共産党くらいだったそうです。
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