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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

電気代、世界で上昇止まらず 天然ガス高騰でEU4割高

 令和4年6月7日、政府が閣議決定したエネルギー白書はEU、英国、米国、日本、ドイツ、フランス、イタリアの7カ国・地域の電気代について、平成31年1月を100として令和4年3月までの推移を示しました。

 イタリアが177と伸び率が最も大きく、EU全体は140、英国は125、米国は114でした。日本は110で、上昇率は最も小さいといえます。

 例えば、イギリスは家庭の標準モデルの場合、ガスも含めた上限価格が令和4年に年間で1971ポンド(約32万円)の水準になりました。
 半年前から約11万円増えた計算になります。
 当局は、次回の令和4年10月の改定で、さらに年間830ポンド(約13万円)ほど高まるとみています。

 日本も上昇傾向にあります。
 東京電力の令和4年7月の家庭向け電気料金はも標準モデルで6月比306円増の8871円になります。
 上昇は11カ月連続で、前年同月より1898円(27%)高くなっています。
 中部電力や北海道電力、九州電力も7月の料金を上げます。
 今のところ、日本はヨーロッパより値上げは抑えられています。

 日本が長期契約で調達するLNGの価格は原油価格と連動しています。
 ヨーロッパは天然ガスのスポット価格と連動していることが多く、また、原油より天然ガスの方が値動きが大きく、結果として日本は相対的に影響を抑えられています。

 なお、価格はアジア向けスポット市場の相場の数分の1で割安な、ロシアでの資源開発事業「サハリン2」で取れるLNGは、ロシアが日本への輸出を停止する可能性があります。
 停止され、スポットで代替調達すると追加で1.8兆円が必要になり、電気代の一層の上昇につながりかねません。

 なお、日本の電気代の上昇が、欧米に比べて小さい、もう一つの理由が大手電力会社10社により、家庭向けの一部で導入している「燃料費調整制度」と呼ぶ制度です。

 この制度は燃料の輸入価格が基準価格より5割以上高くなると、超えた分は電気料金に転嫁できず、電力会社が負担するルールもある。令和4年7月までで、東京電力、中部電力、北海道電力の3電力会社を除く7電力会社が転嫁の上限に達し、事実上、料金が抑えられています。
 電力会社は燃料の調達コストを回収できず業績に響きますから、国の認可を得て、上限を超えた電気料金の値上げに踏み切る可能性もあります。

 電気やガス料金の上昇はアメリカやヨーロッパの記録的なインフレにつながっています。
 消費者物価指数は、令和4年4月にアメリカで前年同月比8.3%上がっています。
 イギリスも令和4年4月に前年同月比9.0%上がっています。

 日本でも令和4年4月の消費者物価上昇率が2.5%に達しました。
 7年ぶりの2%超えです。
 品目別だとエネルギー関連が19.1%、中でも電気代は21.0%と上げ幅の大きさが目立ちます。
 なお、ガソリンは、参院議員選前ということもあり、補助金で値上げを押さえています。
 本来は、税率をあるべき税率に下げるべきなのですが・・

 ただ、全体的なインフレ、デフレ基調の度合いを見るときには、生鮮食品の価格は天候等の条件によって大きく変わるため、生鮮食品を除いた指数「コアCPI」が使われ、また、エネルギー価格の変動が「コアCPI」に影響を与えるため、生鮮食品、および、エネルギーを除いた指数「コアコアCPI」が用いられることがあります。

 日本は、現在でもデフレ基調ですから、金利政策に当たっては、生鮮食料品や、エネルギー価格は除外するのが相当かと思います。

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