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雑記帳

世界の文化財、耐えぬ返還請求 政治的思惑も交錯

 世界で文化財の所有権を巡る争いが絶えません。

 イギリスでは、令和元年7月、エジプトから不法に持ち出された可能性のある頭像の競売が行われ、エジプト政府は強く反発しました。

 競売大手クリスティーズが主催した競売で、令和元年7月に落札されたツタンカーメン像には470万ポンド(約6億円)の値がつきました。

 エジプト政府が「違法に持ち出された」と主張して返還を求めました。

 クリスティーズは、1985年にドイツの古美術商が手に入れた石像だと主張しましたが、エジプト政府は「権利証書の提示がない」との立場で、クリスティーズに民事訴訟を起こす方針と報じられました。

 チリ領イースター島のアラルコン知事は2018年11月、ロンドンの大英博物館で訴えました。

 「(モアイ像を)奪い、150年もここにとじ込めている」。

 島民が神聖視する高さ約2.4メートルのモアイ像は、英海軍の船長が1868年に現地から運び、ビクトリア女王に献上されたものとされています。

 ある意味、大英博物館やルーブル美術館は、盗品の展覧会のようにみえます。ドイツのペルガモン博物館も同じです。

 例えば、大英博物館には、象形文字解読につながったロゼッタストーン、ギリシャのパルテノン神殿から切り出された彫刻エルギン・マーブルなどが展示されていて、大英博物館の「目玉」になっています。

 イギリスで造られた展示物があるのだろうか?ということですね。

 持出された側は植民地支配や発掘作業を通じた収奪を主張します。

 イギリスやフランスの博物館は、「正式なルートで手に入れた」と主張するとともに、散逸を防ぐため、返還を求める国では文化財の保護や管理が十分にできないため、返還を求める国では研究できないためと主張します。

 1972年発効のユネスコの国際条約は、文化財の不法輸出を禁じ、もともと所在していた国が要請すれば、現在の所有国は返還するよう定めています。

 ただ、対象は条約発効以降に限られます。

 日本の旅行者などにとって、パリやロンドンに保管されていて、展示されているのは便利ですね。

 エジプトやギリシャへ行くのは難儀です。


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