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雑記帳

トルコの海峡トンネル

 トルコ政府は、平成25年10月29日、イスタンブール市を東(アジア)と西(欧州)に分けるボスポラス海峡の海底トンネルの開通式典を開きました。

 故・安倍元首相は、平成25年10月28日夜(現地時間)、海底トンネル開通を祝うレセプションに出席し、「『飛んでイスタンブール』にやってきた。海峡の横断鉄道が友情のシンボルとなり、協力関係が発展することを期待する」とあいさつしたそうです。

 若い方は「飛んでイスタンブール」を知らないかも知れません。

 庄野真代のかつてのヒット曲です。
 庄野真代は「飛んでイスタンブール」がヒットするまで、トルコに行ったことがなかったそうで、平尾昌晃も畑中葉子も「カナダからの手紙」がヒットするまで、カナダに行ったことがなかったのと同じですね。

 ボスポラス海峡の海底トンネルは、大成建設が手掛け、日本政府が円借款を供与しています。
 総工費30億ユーロ(約4200億円)です。全額日本からの借款というものではありません。

 ボスポラス海峡は海流が早く、トンネル建設は難工事です。
 トンネルは全長13.6キロ(関門トンネルは3.5キロ)、一部は、11の箱形の構造物を海底に沈めてつなぐ沈埋工法を採用しています。
 簡単にいえば、海底に穴を掘り、コンクリートの11本の土管を敷いて、その土管の中を列車が走るという仕組みです。

 海底トンネル建設の過程では、遺跡など4万点あまりが発掘され、イスタンブールが8500年前にさかのぼる歴史を持つことも分かりました。発掘調査のためにプロジェクトの完成は4年ずれ込みました。

 イスタンブール市街地は、海峡の西側(ヨーロッパ部分)で歴史的に発展していましたが、近年は東側(アジア部分)の住宅街の開発も進み、両岸の人の往来が増加しています。
 フェリーの他、海峡に2本の大型のつり橋がりますが、1日40万台強の車両が行き来し、激しい交通渋滞に悩まされていました。

 トンネル開通により、1日あたり、延べ150万人を運べれば、渋滞緩和につながりますね。

 イスタンブールは、2020年開催のオリンピック開催を東京と争った都市です。
 平成25年6月の国際オリンピック委員会(IOC)の評価報告書では、交通渋滞はイスタンブールの課題として指摘されていました。
 東側(ヨーロッパ)側の選手村から、直線距離で20キロ以上離れた西側(アジア)競技場までの移動時間を「35分以内」とする計画が「あまりに楽観的」と指摘されていましたが、トンネルの開通で、可能となりました。
 もっとも、最終的に、イスタンブール・オリンピックの開催はできませんでした。今にして思えばラッキーでした。

 日本は、大成建設が建築し、日本政府が円借款を供与していましたから、「敵に塩を送る」ようなものですが、日本とトルコの友好関係は、半端なものではありません。

 故安倍元首相が、平成20年5月にトルコを訪れた際、エルドアン首相に対し「イスタンブールが5つの輪を射止めたら、私は誰より先に『イスタンブール万歳』と言いたい。東京が射止めたら、誰よりも早く『万歳』と叫んでほしい」と提案していました。

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