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雑記帳

はやぶさ2

 令和4年6月10日、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ちかえった小惑星「りゅうぐう」の砂などの分析結果が公開されました。
 地球に砂や石を持ちかえる技術的目標に加え、科学面でも当初掲げた目標をすべてクリアし、「完全試合」を達成しました。

 宇宙開発では天体の資源への注目が高まっており、世界に先行するはやぶさ2の成果は宇宙ビジネスにもつながる貴重な財産になります。

 分析結果をまとめたのは岡山大学などと北海道大学・東京工業大学などの2つの研究チームです。
 JAXAから提供されたりゅうぐうの砂などのサンプルを使い、岡山大は主要な特徴を総合的にまとめる分析、北海道大学などは化学的性質に絞った詳しい分析を担当した。

 りゅうぐうの化学的性質がこれまで太陽系を研究するうえで基準になっていた「CIコンドライト」という特殊な隕石とよく似ているということだそうです、
 この隕石は元素の構成などが太陽とよく似ていることから、太陽系全体の元素構成を考える標準とされ、太陽系を研究する出発点となっています。
 ただ、CIコンドライト隕石との違いも見つかった。ひとつは水分が隕石より少ないそうです。りゅうぐうの砂に含まれる水分は約7%で、隕石と比べると半分から3分の1程度にとどまるとのことです。

 また、りゅうぐうの砂には46億年前に太陽系が誕生してからわずかに300万年ほど後にできた鉱物が含まれていたそうです。
 その後は物質に大きな変化を与えるセ氏100度を超える高温になった形跡がなく、太陽系誕生直後の物質の様子を極めてよく残している可能性が高いこともわかりました。

 隕石と共通する23種類のアミノ酸を検出しましたが、隕石には含まれる「チロシン」と呼ばれるアミノ酸はりゅうぐうの砂から全く検出されませんでした。
 違いは、隕石が地球に落下してから、新たに水分やアミノ酸が加わったためとみられます。

 こうしたことから、りゅうぐうは、これまで基準になっていた隕石よりもより古い太陽系の様子を、より正確に残していると考えられます。
 今後はりゅうぐうのサンプルが太陽系研究の標準になることは間違いなく、太陽系の歴史が書換えられていくことになります。

 初代はやぶさとはやぶさ2は、小惑星から砂や石などのサンプルを持ちかえる世界最初のプロジェクトでした。

 はやぶさ2が技術・科学の両面ですべての目標を達成したことは技術の成熟度や科学研究の水準の高さを証明、宇宙開発で日本の存在感を示しました。

 小惑星や彗星といった小天体は、科学研究の対象だけでなく、将来、水や貴重な鉱物を採掘する宇宙ビジネスの対象としても関心が高まっています。

 NASAの探査機も、小惑星のサンプルを令和5年9月に地球に持ちかえるそうです。
 アメリカが日本の後追いとなる計画を実行するのは、それだけ小惑星探査が今後の宇宙開発に重要な意味を持つことを示しています。
 中国も、小惑星などの探査計画が進んでいるそうです。


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