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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

国民健康保険はなぜ高い

 日本人は、公的医療保険のいずれかに加入しています。

1 大企業に勤める労働者とその家族が加入する組合健康保険(組合健保)
2 中小企業で働いている人とその家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)
3 公務員、学校職員とその家族が加入する共済組合
4 医師や建設など特定の職業団体が運営する国保組合
5 後期高齢者医療制度
6 国民健康保険・後期高齢者医療制度(市町村が運営)

 なお、「6」のうち75歳以上は後期高齢者医療制度、それ以外の人は国民健康保険となります。
 ちなみに後期高齢者医療制度は、年間医療費が94万5000円とずば抜けて高額ですが、これを運営する資金は、加入者本人の保険料1割、公費約5割、他の公的医療保険から支援金約4割で構成されていますから、ある意味、知れています。

 国民健康保険の加入率は27.1%(令和2年9月末現在)。4人に1人は国民健康保険に入っていますが、その保険料はきわめて高額です。

 民間保険は、サービスを受けたいのであれば保険料を納めるという保険原理です。
 しかし国民健康保険を含む公的医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つは社会保険といわれますが、すべて、個人への保険料だけでなく、事業主にも負担を求め、国が公費を投入し、運営に責任を持つ、国民に加入を義務づけるという面も持ち合わせます。
 国民健康保険は「助け合い」で運営していません。

 そもそも、なぜ国民健康保険料はこれほど高くなってしまうのでしょうか。

 大きな要因として「被保険者層の年齢層が高いこと」があげられます。
 基本的に定年になって無職になると、サラリーマンであった人も国民健康保険に加入します。
 75歳以上は後期高齢者医療制度に加入しますが、65~74歳で国民健康保険に加入する人が多く、この層は病気を抱えやすいといわれています。
 特に、癌は60代が中心です。

 加入者ひとり当たりの年間医療費を保険ごとに比べると、組合健保15万8000円、協会けんぽ17万8000円、共済組合16万円に対し、国民健康保険は36万2000円です。

 次の大きな要因として「高齢者を含む無職、年金加入者、非正規雇用が多く集まる保険であること」があげられます。

 国民健康保険は加入者の平均年齢が高いこと、それに加えて「所得の低い人」が多く加入していることが、結果的に保険料を押し上げています。

 かつては加入者の7割が自営業者と農林水産業者でしたが、仕事の構造的変化により、次第にその割合が減少し、現在は国民健康保険加入者で「所得なし」の割合が約3割、所得100万円未満が半数を占めます。

 弁護士は、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の会員は、医師や建設など特定の職業団体が運営する国保組合に加入していますが、それ以外の弁護士、国民健康保険に加入しています。
 政府が、弁護士が、職業団体が運営する国保組合をつくることを妨害したからです。
 弁護士には政治力がありませんから、ろくな目に遭いません。

 もっとも、国民健康保険には上限が定められています。
 その昔、弁護士の所得はよかったですから、上限に引っかかるのは当たり前で、さほど痛痒感はありませんでした。
 もっとも、弁護士大増員で、弁護士の所得が落ちてきました。
 弁護士の所得が、上限に引っかかるということは「当然」ではなくなりました。
 弁護士も、若い人を中心に、国民健康保険が高いと不安を漏らしています。

 文句を言う人は少数ですから、マスコミに取り上げられないだけです。
 下手をすると、上限をもっと上げろといわれかねません。


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