西野法律事務所（法律問題のことなら大阪 弁護士会・西野法律事務所にご相談下さい)

　平成２３年の福島第一原子力発電所事故以降、大部分の原子力発電所の稼働を中断し、「脱石炭社会」実現のため小型原子炉技術の開発が本格化しています。

　三菱重工業が、超小型原子炉を。早ければ２０３０年代に商用化し、災害が発生した地域や外界から隔絶された地域などで電源として活用する計画と報じられました。

　「マイクロ炉」と名付けられたこの超小型原子炉は、最大発電容量が５００キロワットで、１００万キロワット級が主力の現在の原子力発電所に比べ２０００分の１の水準にすぎません。

　世界各国で既存の原子力発電所の代案として開発が進んでいる小型モジュール原子炉（ＳＭＲ、３０万キロワット以下）と比較しても「ミニサイズ」ですだ。
　原子炉と発電設備を全て合わせても高さ３メートル、長さ４メートル程度の大きさで、重さも４０トンを超えず、トラックコンテナに積込めます。

　従来の大型原子力発電所に比べ、住宅地に近い場所で運用しなければならないことから、安全性の問題も大きく改善させる方針です。
　カプセル型の容器に炉心や冷却材など全ての機器を収め、密閉性を高めます。

　燃料として高濃縮ウランを２５年間使い、燃料が尽きた原子炉をまるごと回収するという方式で、核燃料の交換や整備に伴う費用や危険性を抑えるという構想です。
　炉心がコンパクトで、その分危険性が小さいという評価です。

　三菱重工業は今後、宇宙空間で使用する電源として超小型原子炉を活用する方針です。
　政府は脱炭素および親環境プロジェクトの一環として小型原子炉技術の開発に対し支援を拡大しています。

　今回の超小型原子炉開発も、経済産業省の「原子力イノベーションの実現に向けた研究開発事業（令和元年）」の一部として推進されました。
　令和２年（２０００年）末に「２０５０年脱石炭社会実現」を目標として宣言し、２０３０年までに次世代小型原子炉を実用化するという構想を表明しました。

　今年の初めには国立研究開発法人の原子力研究開発機構と三菱重工業が、米国政府とビル・ゲイツ元マイクロソフト会長が手を組んで進めている次世代高速炉開発事業への参加を決めましち。

　原子力潜水艦や原子力空母に、原子力発電所が採用搭載されていますから、小型化はできるのでしょう。
　大型でなくても、小型の原子力発電の研究実用化は、真剣に検討されるべきでしょう。