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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

韓国の金融危機

 韓国の中央銀行である韓国銀行は、令和4年10月12日、定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を年2.50%から3.00%に引上げました。

 アメリカの中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FRB)は、令和4年9月21日に、政策金利を2.25%~2.5%から0.75ポイント引き上げ、3.0%~3.25%としています。
 なお、アメリカは消費者物価指数の上昇率が大きいため、令和4年11月にも、政策金利を3.75%~4.00%に引き上げるということが予定されています。

 日本の場合は、ゼロ金利政策をとり、アメリカの金利差からドル高円安になっていることは、ご存知のとおりです。
 ドルが強くなり円が弱くなれば、一般論として、輸出業者はもうかり、輸入業者は損をします。 
 輸出業者は大企業が多く、輸入業者は中小企業が多いですから、大企業がもうかり、中小企業は経営が苦しくなります。
 ドルが強くなり円が弱くなれば、物価上昇により消費者は損をしますが、日本のCPI(消費者物価指数)の上昇は、さほど高くはありません。
 日本銀行がゼロ金利政策をやめれば、円はドルに対して強くなります。
 日本の場合、政策金利を上げても上げなくても、日本経済が危うくなるということは考えにくいですね。

 韓国の令和4年9月の消費者物価指数は前年同月比5.6%上昇しました。
 韓国は、政策金利を上げなければ、ウォン安になり、インフレが続きます。
 よって、政策金利を上げるというのは自然かも知れません。

 ただ、それだけではありません。
 韓国の場合は、投機とは無関係に、韓国から資金を引き上げて、アメリカに投資する通常の取引だけではすみません。
 たださえ、1ドル1万4400ウォンというのは韓国にとって危険水準です。
 さらに、ウォンが下がるとみれば、投機筋は遠慮なくウォンを売りますから、ウォンは対ドルで限りなく下がります。
 韓国企業はドル建ての負債が多いですから、ウォンが対ドルで限りなく下がれば、返済できなくなります。
 当然、大手企業も倒産ということになるでしょうし、大手企業に貸している金融機関も危うくなります。

 韓国から外国資金が逃避すれば、IMFに救済してもらったアジア通貨危機、民主党政権時代の日本との多額のスワップにより生き延びたリーマンショックに次いで、3度目の正直で国家が破産する危険があります。

 ウォンはローカルカレンシーですし、韓国の対外資産のうち、換金できるものは限られています。
 また、韓国は、貿易赤字が膨大なだけではなく、対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況投資など第一次収支をあわせた経常利益をあわせても赤字です。
 なお、韓国は、半製品を購入して、製品を組み立てて輸出するという産業形態ですから、原材料や半製品がドル高ウォン安になればコストがかさみ、必ずしもウォン安が輸出に有利とは限りませんし、輸出先が中国に偏っていますから、ゼロコロナ政策により、GNPの減少が現実味を帯びている中国経済の停滞により、将来にわたって中国への輸出も期待できません。

 日本円は対外純資産が世界1、2を競い、円がハードカレンシーで、米ドル、ユーロ、スイスフランなどと無期限無上限のスワップを締結しているのとは異なります。
 韓国が、日本のまねをして低金利策を続けていたら、資本逃避のため韓国経済が立ち行かなくなります。
 ウォン安を緩和するためには、利上げはやむを得ないでしょう。
 もちろん、アメリカや日本は、実質的に韓国の連帯保証人になるような、スワップは結んでくれません。スワップがあれば、投機筋がの足下をみて、韓国ウォンを売浴びせて、韓国ウォンを紙くずにしてしまうことは事実上不可能です。スワップにより得た外貨による介入が可能となりますから。

 かといって、利上げで住むという問題ではありません。
 家計負債が、令和4年6月末基準で家計負債総額は1869兆ウォンで史上最大規模、対GDP比世界一です。
 負債保有の1世帯当たり平均1億3661万ウォン(約1400万円)ずつの借金をかかえています。
 不動産を購入したり、借金をして投資した多くの人が深刻な危機になっています。
 不動産価格は順調に下がってきています。もともと、バブルでしたから。

 金融機関から金を借りた38万世帯は保有する家を売っても借金を返せなかったり、現在の所得の40%以上を元利金返済に投じていることが明らかになっています。38万世帯は、全金融負債保有世帯のうち3.2%に該当します。
 政策金利引き上げと、住宅価格下落が続くとこのような「高リスク」債務者やの不良化リスクはさらに大きくなります。

 政策金利が0.5%上がると全債務者の利子負担は6兆5000億ウォン増え、韓国銀行が令和4年10月に続き11月も0.5%の利上げに出る場合、利子は2カ月間で13兆ウォン急増します。
 すでに都市銀行の住宅担保ローンの金利は年8%台をうかがっています。
 1年前までは2%台後半だったローンの金利が3倍に上昇しています。
 ややもすると月給を受け取ってすべてを銀行に払う状況に追い込まれます。
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