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雑記帳

大手銀も送金無料競争 キャッシュレス「ことら」始動

 大手銀行が主導する形でスマートフォンを通じた個人間の少額送金サービス「ことら」が、令和4年10月11日に始まりました。
 相手の口座番号を知らなくても、携帯電話番号を使って無料もしくは安く送金できるようになります。
 全国銀行協会は、令和5年以降に銀行間の送金システムをフィンテック企業に開放する方針で、キャッシュレスアプリから直接銀行口座に送金可能になります。
 手数料引き下げ競争は必至で、銀行は決済・送金手数料では稼げない時代に突入するとみられます。

 日本の銀行間の送金は全国の金融機関が接続する全国銀行データ通信システムを通じて決済され、送金ごとに銀行がコストを負担してきました。
 キャッシュレス決済の普及により少額送金が増え、全銀システムを毎回通ると利用料がかさむ問題が浮上しました。
 3メガバンクやりそな銀行、埼玉りそな銀行が出資する「ことら」(東京・中央)は全銀システムではなく、日本電子決済推進機構が運営する別の決済システムを使い、少額なら安く送金できるインフラを新設しました。
 対応する銀行は3メガバンクや地方銀行など20行だが、さらに37行の参加が決定済みです。
 ことらに接続できる口座は57行で約2億1000万口座と日本の人口を超えます。

 利用者は個人間で10万円以下であれば、アプリに携帯電話番号やメールアドレスを入力するだけで送金できるようになります。
 手数料は各行が決める前提だが、従来の銀行振り込みと比べて安くなる可能性が高いということですが、令和4年10月11日から参加した20行は全て手数料を無料にします。

 無料が広がるのは、キャッシュレスでの個人間送金は無料が当たり前だからです。
 例えば、PayPayやLINEペイでは1円単位で無料送金できます。

 割勘などでの利用だけでなく、家族同士の仕送りなどでも活用されています。
 若い世代は1回ごとに手数料がかかる銀行振り込みやネットバンキングを敬遠しつつあっりました。

 ATMや現金輸送など現金決済インフラを維持するコストは年約2.8兆円にのぼります。
 キャッシュレスが進めば銀行にとっても利点は大きいといえます。
 競争次第では手数料に下げ余地が生まれ、利用者の利便性も高まります。

 銀行は決済手数料では稼げない時代になります。
 決済関連の業務コストを減らすことに加え、小口決済のデータ収集・蓄積から個人向けローンの審査や融資実行などにつなげる力が問われます。
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