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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

ドル高批判と金融トリレンマ

 政府は、令和4年9月、10月と円買い為替介入をしているようです。
 令和4年9月の為替介入は公表しているから間違いはないでしょうが、令和4年10月の為替介入は非公表ですから、現在のところ真偽不明です。いずれ、為替介入していたかどうかはわかります。

 ドルの独歩高の様相を示していましたが、アメリカの経済も不安になっていて、どちらに転ぶかわかりません。

 近所迷惑な当のアメリカ以外のG7の主要国の中では、日本だけが政策金利を上げておらず、他の5か国は政策金利を上げざるを得ない状況になっています。
 政策金利を上げなければ、現在10%という物価上昇率を押さえ込むことができません。
 日本は、物価が上がったといっても、令和4年9月のコアCPIは3.0%ですから、日本以外のG7の主要6か国の約10%とは比べものになりません。

 国際金融のトリレンマというものがあります。
 「資本移動の自由」「金融政策の自由」「為替の安定」の3つを同時に実現することはできないという法則です。

 まず、「資本移動の自由」を認めない国は先進国とは呼べません。
 G7の主要7か国は、すべて「資本移動の自由」を認めています。それ以外の選択肢はありません。

 ということは、「金融政策の自由」「為替の安定」のうち、「為替の安定」を選べば「金融政策の自由」は得られませんし、「金融政策の自由」を選べば「為替の安定」は得られません。

 ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダは「為替の安定」を選んでいますから、「金融政策の自由」は得られず、政策金利を上げざるを得ません。

 日本は日本銀行が金融緩和を維持して、「金融政策の独立性」を選んでいますから、「為替の安定」は選ぶことはできません。
 政策金利が違うのですから、為替介入したところで円が弱くなるのは防げません。
 円安を防ごうと思っても無理なことで、急激な為替変動を緩和するくらいの効果しかありません。

 日本の景気がよければ、景気回復に水を差すことになる政策金利を上げるという選択肢もあるのでしょうが、政策金利を上げてしまうと、せっかく回復しかかっていた景気が、不景気一直線ということになります。

 「為替の安定」と「金融政策の自由」は両立しませんから、どちらかを選択しなければなりません。

 「どちらが良いか」ではなく、「どちらがましか」の問題であり、私自身は、現在の政府と日銀の政策のほうが「まし」だと考えています。

 物価が上がるのは嫌ですが、節約するしかないかと思います。
 自己破産をしようとする依頼者の家計収支表をみると、ここまで節約できるのかと驚くことが多いです。
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