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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

年金、小手先の改革に限界

 厚生労働省は、令和4年10月25日、令和7年の次期年金制度改正に向けた議論を始めました。
 将来の年金水準の見通しを試算する5年に1度の「財政検証」が、令和6年に予定されています。
 これに向け、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の年金部会で見直しを議論されています。令和6年末までに結論を出し、令和7年の通常国会に改正法案の提出を目指す。

 少子高齢化の進展で年金財政の見通しは厳しさを増しています。
 すべての国民が加入する建前になっている基礎年金(国民年金)の加入期間の延長や、一部の厚生年金から穴埋めして給付目減りに歯止めをかける案などがでています。

 平成16年度の年金改革は「100年安心」が確保されたとしてし、公的年金は寿命の伸びや働き手の減少にあわせて給付額を抑える「マクロ経済スライド」で制度を維持する設計でした。
 しかし、デフレが続いた結果、想定通りに発動できず、高齢者らの給付水準の高止まりが続くとともに、財源は減り、将来の給付は減る見通しです。

 厚労省によると、現状のままでは国民年金の受給水準が、令和28年度には、令和3年度比で約3割減る恐れがあります。
 歯止めをかけるため、2つの案を軸に検討する見通しです。

 1つめは、マクロ経済スライドを早期停止する代わりに、一部の高所得層の厚生年金や国庫負担金で穴埋めする案です。
 新たに数兆円単位の国庫負担が必要になる可能性があり、財源確保が欠かせません。

 2つめは、現在40年(20歳~59歳)となっている基礎年金の加入期間を45年(20歳~64歳)に延長する案です。
 自営業者ら多くの加入者にとって負担増となり、広く理解を求める必要があります。

 少子高齢化の見通しの甘さもあり、年金改革は不可避です。
 日本の公的年金は現役世代が高齢者に「仕送り」する形式をとっています。
 少子化の加速で、現役世代1人が支える高齢者の人数が増え、給付と負担のバランスが崩れています。

 新型コロナウイルス下の令和3年の出生数は約81万人でした。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位シナリオ)より6年早く少子化が進んでいます。

 令和22年(2040年)には「団塊ジュニア」世代が65歳以上となり高齢者数がピークの4000万人に近づく「2040年問題」が控えます。

 現役世代は、平成27年の約7700万人から令和22年に約6000万人まで減る予測です。
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