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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

FTXの破綻と日本の債権者

 暗号資産交換業大手のFTX Trading(以下FTX)が経営破綻しました。

 FTXは、100%子会社として日本で取引所を運営しているFTX Japanを保有しています。
 親会社が経営破綻した形となるFTX Japanも直接的な影響を受けています。

 ただし、FTX Japanは日本で取引所を運営していた既存会社を買収して設立されたもので、この体制を継承、世界でも最も厳しいとされる日本の暗号資産の規制に従って運営されていました。

 FTX Japanは資産超過で、年内にも顧客への返金を開始したい意向を示しているそうです。
 ただし、FTX JapanはFTX本体の破産申請の対象になっているため、決定までに時間がかかるか、返金が難しくなる可能性もあります。
 現在の観測では、最良のシナリオとなった場合は、FTX Japanは別企業に売却された上で、顧客への返金が進められると考えられている。

 日本の金融庁は本件に対し、いち早く動いています。
 FTXが窮地に陥った(破産申請直前の)令和4年11月10日、FTX JapanはFTXに連動して出金を停止していましたが、入金は停止していなかったため、金融庁は業務改善命令を発出しています。

 FTX本体の破産手続きにおいて、FTX Japanの資金が顧客に返金されるかどうかは、暗号資産に対する日本の厳しい規制が、危機に際して有効に機能するかどうかの試金石になる可能性があります。

 本件における金融庁のメッセージは、「日本の投資家の資産を国外に流出させるな」というものです。
 FTX Japanに対し迅速に行動しています。
 しかし一方で、FTX Japanの資産が米国で一体的に債権者への返済に使われる可能性もあり、返金が難しくなるケースも考えられます。
 仮にそうなった場合、日本の厳しい規制基準には意味が無かったことになってしまいます。

 金融庁による暗号資産・仮想通貨の登録制度が開始されてから暗号資産交換業やその親会社が破綻するケースは初めてで、当局の間でも綱引きが展開されているようです。

 アメリカの現在までの規制は世界的にみても緩く、FTXの破綻を機に厳しい批判に晒されています。
 日本の規制基準への評価が見直され、市場での存在が大きくなる可能性もあります。
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