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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

3メガバンク、外債含み損4兆円 米金利上昇で急増

 国内の3メガバンク(三菱UFJ銀行。三井住友銀行。みずほ銀行)が保有する外国債券の含み損が、令和4年9月末時点で計4兆円規模にのぼることが分かりました。
 アメリカ金利の上昇で債券価格が下落したためで、令和4年6月末時点の2.6兆円強から3カ月で約5割増えた計算となります。

 米連邦準備理事会(FRB)の金融引締めが続けば含み損の拡大が見込まれます。

 国内の3メガバンクの令和4年4月から9月期決算の連結純利益は計1兆円程度と前年同期から3割強減りました。

 4兆円規模の外債含み損は開示されたデータについては、さかのぼれる限り、平成27年3月末以降で最も多いといえます。
 新たな資本規制に基づく健全性の指標で3メガ銀行は10~11%程度で安定していますが、有価証券の含み損が膨らめば銀行の自己資本にも影を落としかねなません。

 三菱UFJ銀行については、アメリカ地銀MUFGユニオンバンクの売却に伴い、同行が抱える債券の含み損などを三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が約6300億円計上する影響が大きいといえます。

 なぜ、政策金利が上がれば債券が下がるのでしょう。
 政策金利が上がれば、新規発行の国債の利率はあがります。
 既発国債は、新規国債より低金利ということになり、既発国債をもっているのは利息から考えて損ということになりますから、既発国債の価格が下がります。もとより、額面割れは当たり前です。
 もっとも、既発国債は、満期になれば、額面どおりの金額が受け取れますから、満期まで待てれば損はありません。

 インフレ封じを急ぐFRBが政策金利を大幅に引き上げ、米10年債利回りは、令和4年6月末の3.01%から令和4年9月末に3.83%まで上昇しました。
 各社は相場の急変動に備えるヘッジ取引を活用しており、三菱UFJとみずほ銀行では含み損の実質的な影響額は5割前後にとどまるようです。

 国内の3メガバンク各社は、時価が簿価を大きく下回る外債の損失処理にも踏み切りましたが、令和4年9月末時点までは限定的だったとみられます。

 FRBは金融引き締めの姿勢を崩しておらず、米金利の一段高も否定できません。
 令和5年3月の年度末にかけ、追加の損失処理が必要か判断を迫られる可能性があります。

 なお、3メガ銀行なら問題は大きくありませんが、地銀では問題はもっと深刻です。
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