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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

健保組合「解散ライン」2割 保険料率10%以上相次ぐ

 主に大企業の従業員と家族らが加入する健康保険組合連合会(健保連)の収支悪化が深刻になっています。

 1388組合の令和3年度の決算見込みが合計で825億円の赤字になったと発表しました。
 全体の53%にあたる740組合が赤字決算となる見通しです。
 また、全体の2割強が保険料率で存続の利点が薄れる「解散ライン」に達します。

 新型コロナウイルスの感染拡大で受診控えが広がった令和2年度は医療費が減りましたが、その反動で令和3年度は反動で大きく増えました。
 令和3年度の医療費にあてる保険給付費はおよそ4.2兆円で、令和3年度に比べて8.7%増える見込みです。
 高齢者の医療制度を支えるための健保組合側からの拠出金の負担も重くのしかかっています。

 収益力がある大企業が中心の健保組合の保険料率は、中小企業が主な対象となる全国健康保険協会(協会けんぽ)の平均料率である10%より低い場合が多いとされています。
 ただ、高齢者医療への拠出金負担が重くなり、料率を引き上げる組合は増えています。
 現在は300組合ほどが協会けんぽの料率と同等か超えています。

 健康保険組合の料率が、協会けんぽの料率を上回れば、健康保険組合を維持するよりも、解散して協会けんぽに移行した方が労使の負担は軽くなります。
 健康保険組合は独立採算ですが、協会けんぽには保険給付をまかなうために年1兆円超の国費が投入されているからです。

 健康保険組合の解散が相次いで協会けんぽへの加入が増えれば、国庫負担は増える可能性が高まります。

 解散の動きは今のところ表面化していません。
 現在は料率の引き上げや積立金の取り崩しなどでしのいでいます。
 ただ、加入者の高齢化や医療の高度化で医療費が膨らむなか、料率の引き上げには限界があります。

 令和4年から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、医療費の膨張に歯止めはかかりにくくなっています。
 健康保険組合連合会は令和3年度におよそ3.6兆円だった拠出金が、令和7年度に4兆円程度、令和9年度には4.2兆円程度まで増えると見込んでいます。
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