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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

ドイツ、中国偏重の政策転換 「異質な国」と警戒 多角外交で日本重視

 クランプ=カレンバウアー国防相(現在、CDU党首。辞任予定)は、令和2年12月の時事通信とのインタビューで、中国の南シナ海での覇権主義を批判しました。

 令和2年12月15日の岸信夫防衛相とのウェブ討論では、インド太平洋に軍艦を派遣すると表明し、岸氏も「強く支持する」と応じました。

 ドイツ政府が令和2年9月に策定した「インド太平洋指針」にも、中国の南シナ海での領有権主張を否定した仲裁裁判所判決への言及など、中国けん制の要素が盛込まれました。

 一連の動きは、蜜月とも評された対中関係を築いたメルケル首相の引退を来年に控えるドイツにとって、一つの転機となります。

 メルケル氏は平成17年の就任以来、12回訪中し、同行企業団は競って中国側と大型契約を交わし、中国はドイツにとって輸出入総額で最大の貿易相手国になりました。

 しかし、中国は、世界第2位の経済大国に躍進する一方で、共産党による一党支配体制を強化してきました。
 とりわけ今年に入ってからの香港の統制強化は、ドイツの警戒感を格段に強めました。

 経済面の実利もかすみつつあります。
 中国政府が進める経済圏構想「一帯一路」の主要事業は、中国企業が独占的に受注。ドイツ紙ヴェルトは今月、「貿易による変革は、中国では幻想だった」と断じました。

 多国間主義を掲げるドイツ政府が、アジアの新たな協力相手として期待を寄せるのが、民主的価値観を共有し、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や環太平洋連携協定(TPP)をまとめた日本です。

 インド太平洋指針の策定責任者である外務省のヤスパー・ウィーク氏は、「日独はルールに基づく国際秩序を守ることで一致している」と強調しました。
 別のドイツ高官も「日本との協力の可能性を過小評価していた」と振返り、EUの盟主ドイツの変化は、日本外交の多様化の契機ともなるでしょう。
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