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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

新型コロナウイルスによるリスク

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人の行動制限をかければ、経済が圧迫され、収入が減ることはもちろん、職を失い収入をとざされる人が出てきます。
 かといって、人の行動制限をかけなければ、新型コロナウイルスの感染が拡大してしまいます。

 私も、個人的には、人の命の価値は万人等しく、かつ、地球より重いということは否定しません。

 法律家は、交通事故死などによる損害賠償請求を取り扱います。

 幼児、若年者、働き盛り、高齢者と、損害賠償請求金額は異なります。
 これを、命の値段というかどうかは別として、経済的に賠償額に差があることに間違いはありません。

 死亡慰謝料は、高齢者の場合で最低2000万円くらい、働き盛りで3000万円から3500万円と、案外差がありません。

 損害賠償額を大きく左右するのは、逸失利益です。

 つまり、交通事故に遭わず死ななかった場合、いくら稼げたかを計算します。そして、稼いだ金額のうち、死亡した本人が使う分を控除して計算します。

 未成年者なら、20歳(原則。両親が高卒の場合など)から65歳までの高校卒業の平均賃金、22歳(大学に入学している場合。両親が大学を卒業していて、大学進学が見込める場合など)から65歳までの大学卒業の平均賃金で計算します。

 すでに働いているなら、賃金をもとに、67歳まで働けるものとして計算します。

 働いている高年齢の場合、家事をしている高齢者の場合、平均余命の2分の1働くことができると考えます。

 年金生活者は平均的余命の年金のみです。年金がなければ、0になります。


 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人の行動制限をかければ、収入が減ることはもちろん、職を失い収入を失う人が出て、自殺者が多く出ます。

 若い人が自殺すると、その人が生涯の勤労収入がなくなるわけですから、社会にとって大きな損となります。
 高年齢の年金生活者で働けない人なら、生涯の勤労収入は0、逆に、年金財政の負担はなくなります。

 人の命の価値は万人等しく、かつ、地球より重い思いということは否定しません。
 しかし、社会にとって、若い人の死亡と、年金生活の高齢者の生涯の勤労収入という点から見ると、若い人の自殺の方が社会的損失は大きいです。

 本来、政治が取り組まなければいけないことは、新型コロナのリスクを社会の中でどのレベルに設定するかということなのですが、議論されていません。

 そのことにより、大半の国民は新型コロナによって、生死にかかわるリスクよりも経済的なリスクによる打撃を強く被っているわけです。これは多くの国民にとって、すでに起きていることです。
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