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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

安全保障関連法案と徴兵制

 安全保障関連法案をめぐり、当時の民主党など一部の野党が「徴兵制の復活」の可能性を持出し始めています。
 「集団的自衛権の行使を認めれば自衛隊の任務をやりたがる人が減る」「だから徴兵制が必要になる」という理屈だそうですが、「風が吹けば桶屋がもうかる」に近いように思います。

 日本が、戦前のように、日本国外に軍隊を送って戦うというなら、ある意味、陸軍の士官、下士官、兵は必要かもしれません。
 逆に、日本を守るだけということなら、陸軍の士官、下士官、兵の必要性はなくなります。

 日本は島国で、四方を海に囲まれています。

 ご存じのように、日本の海上自衛隊、日本の航空自衛隊は、有数の戦闘力をもっていますが、日本の陸上自衛隊は、海上自衛隊・航空自衛隊に比べて見劣りします。

 他の国が日本を攻めようとするとき、空爆だけで、日本を降伏させるわけにはいきません。
 陸軍を日本に上陸させる必要があります。
 四方を海に囲まれていますから、強襲揚陸艦により、歩兵や戦車を日本に上陸させなければなりません。
 強襲揚陸艦により、歩兵や戦車を上陸させるためには、制空権と制海権を持つことが当然の前提となります。
 歩兵や戦車が上陸しているうちに、空爆されたり、艦隊から艦対地ミサイルを撃ち込まれたらひとたまりもありませんから。

 ですから、日本の海上自衛隊、日本の航空自衛隊は、有数の戦闘力をもっていますが、日本の陸上自衛隊は、それほどの戦闘能力がありません。

 日本の制空権と制海権を確保して、敵に上陸させないことに全力をそそいでいることには合理性があります。

 また、上陸されてしまえば終わりというわけではありません。
 日本の戦車も、近代的装備の優秀なものです。
 また、ゲリラ戦になれば、強襲揚陸艦による歩兵や銃や戦車は、すぐ底をつきます。
 守る方は、歩兵や銃や戦車の補給は容易です。

 陸軍の兵士が、塹壕を掘って、近接戦闘で小銃を撃つという時代ならいざ知りません。

 海軍や空軍は、高性能の兵器やシステムを使いこなすことが求められ、2、3年で除隊する徴兵が習熟する時間はありません。

 陸軍の兵器は、戦車等を除けば、高性能の兵器やシステムは必要ありません。
 対空ミサイル、対戦車ミサイルも、兵が撃てるようになっていますね。

 海上自衛隊、航空自衛隊の高性能の兵器やシステムは、職業軍人ならいざ知らず、徴兵された弛緩と下士官と兵では操作は無理ということで、海上自衛隊、航空自衛隊に徴兵制は不要というか有害です。

 陸上自衛隊の士官と下士官と兵は、高性能の兵器やシステムを必要としない部分もありますが、日本が他国に攻め込まない限り、まず、陸上戦にはなりません。
 日本に上陸能力を持つのは、ダントツの世界一の軍を持つアメリカくらいでしょう。

 つまり、陸上自衛隊も、徴兵は不要です。

 なお、日本に対し、いきなり地対地ミサイルを撃込むという国はないでしょうし(唯一、北朝鮮はなくはありません)、ミサイル防御を、徴兵による士官と下士官と兵にやらせることなど考えられません。


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