本文へ移動

2021年2022年バックナンバー

雑記帳

無理心中

 その昔、ドイツのLCCであるジャーマンウィングスの旅客機が、フランス南東部で起きた墜落したことがあります。
 フランスとドイツの捜査当局は、アンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)が、飛行機を意図的に墜落させたとみられると発表しました。

 背景は不明な点が多く、当局は親族らの聴取などを通じ副操縦士の言動に不自然な点がなかったかを調べています。

 副操縦士の知人らは独メディアに「テロや自殺の兆候はみられなかった」と証言し、一方で、副操縦士が過去に訓練を一時中断していたことに関して「燃え尽き症候群というか、落ち込んでいたようだ」との元同級生の母親の話も伝えられています。

 メルケル・ドイツ連邦独首相は、副操縦士の意図的な犯行だったとみられることについて「信じられず、理解の限度を超えている」と非難し、その上で「さまざまな観点から徹底的に捜査する」と語り、真相解明に全力を挙げる意思を述べました。

 ある意味、かなり悪質な「無理心中」(自殺+殺人)ですね。

 もちろん殺人罪です。

 ドイツは、日本ほど銃器が厳しく禁止されていませんから(陸続きのスイスでは、スイスの男性の大多数は予備役軍人であるため、各家庭に自動小銃(予備役の将校は自動拳銃も含む)が貸与されています。ドイツは全く事情が異なりますが、ある意味、入手は難しくないようです)、首つりや飛び降りではなく、銃による自殺が多いですね。

 民間旅客機のコックピットには、ハイジャックや関係者以外の進入を防止するためにドアが取付けられています。
 以前は比較的簡易なものが多かったのですが、アメリカ同時多発テロ事件以後、通常の拳銃でも破壊不可能なほど頑丈かつ強固な施錠を備えたものであることが義務づけられるようになっています。

 機長・副操縦士がトイレに立つ際は、コックピットから出たいことをファーストクラス(またはビジネスクラス)の客室乗務員にインターカムで伝え、客室乗務員が他に不審者がいないことを確認して、すばやくドアを開閉して外に出ます。

 戻るときは、コックピット残った機長・副操縦士が、出て行った機長・副操縦士からの連絡によりモニターで確認して開けます。
 開かないときは、コックピット内の機長・副操縦士に事故があるかもしれませんから(これは、1人がコックピットから出て行った場合だけでなく、機長・副操縦士両方に事故があった場合も考えられます)、外から暗証番号を押します。暗証番号を押すことを強要されているかもしれませんから、正しい暗証番号でもすぐには開かず、一定時間が経てば開きます。
 しかし、コックピットにいる機長・副操縦士は、機械を操作して、開かないようにすることができます。

 本件は、機長がトイレに立ち戻ろうとしたとき、副操縦士が、連絡を受けたが開けず、暗証番号を押したが機械を操作して開かないようにしたということですからお手上げです。

 「想定の範囲外」でした。

 ちなみにドイツの自殺率は高くありません。
TOPへ戻る