2021年2022年バックナンバー
雑記帳
携帯電話の「頭金」
少し前まで、携帯電話を購入する際、「頭金」を要求されることがあったようです。
私自身は、「頭金」を要求されたことはありません。
頭金といえば、一般的には「分割払いで購入する商品の価格」のうち、一部をあらかじめ支払うときの金額を指すします。
ですから、購入代金から頭金を控除した金額を分割返済すればよいということになります。
例えば150万円の中古車を購入する際、利息を0と仮定した場合、5年間で分割すると毎月2万5000円の支払いになります。この際、購入時に50万円を支払えば、1万7000円を5年で返済すれば足ります。
いくらかあらかじめ支払うことで、月々の支払いを抑えるのが本来の頭金です。
令和2年11月に総務省と消費者庁が、携帯電話業界における「頭金」について「消費者に誤認を与える」として注意を呼び掛けた他、携帯キャリア各社や販売代理店などにも是正を求めると発表しました。
例えばドコモオンラインショップでのiPhoneを購入すると、販売価格が11万円だとします。
これに対し、街中のショップでは11万円と値付けされ、そしてプライスカードには「頭金1万1000円」との表記があることがありました。
街中のショップで購入すると11万円-1万1000円=9万9000円を分割で支払えばいいという理屈になりそうです。
しかし、分割金は、ドコモオンラインショップで購入しても、街中のショップで購入しても全く同じです。
おかしいですね。
携帯電話における「頭金」とは、携帯電話事業者の販売価格に対し代理店・販売店が「上乗せした分」であり、この上乗せ分は販売店の利益になっています。
総務省の指導により、慣例として行われてきた「新規契約一括0円」といった販売を難しくなり、販売台数により算出される代理店に支払われる販売奨励金(インセンティブ)が減少しました。
それを補うために、「一定の金額を店頭で支払ってもらい利益確保を行う仕組み」として生まれたのが、携帯電話の「頭金」ということです。
さらに携帯電話の本体価格が上昇し、製品寿命が長くなるにつれ、買替えサイクルは長期化しています。
代理店としては利益確保のために「頭金」を取っていかないと経営が成り立たないという現状があるということですね。
政府による一連の要請や口先介入により、国民の負担軽減というお題目により、「頭金」などの廃止だけを先行してしまうと、販売店の経営が苦しくなるということも考えられます。
その結果として街中から販売店が徐々に消えてしまうような市場になる恐れがあります。
ただ、本来の「頭金」ではないものを、「頭金」として徴収することはよくないですね。
かといって「手数料」とすると、売れなくなるかも知れません。
難しいところですね。