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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

高額紙幣、世界に廃止の潮流

 日本では、1万円札が最高額の紙幣です。

 最初に発行された1万円札は、昭和33年の聖徳太子が描かれた1万円札でした。
 昭和59年に福沢諭吉に変更され現在に至っています。

 なお、令和6年に登場する新1万円札は渋沢栄一が描かれます。
1万円札は約40年ぶりの肖像デザインの変更となります。

 ただ、これが最後の1万円札になる可能性が高いです。

 世界の大きな潮流は高額紙幣の廃止です。
 令和元年にヨーロッパも500ユーロ(約6万6000円)札を廃止しています。
 シンガポールも、令和4年1月、高額紙幣である1000シンガポールドル(約8万2000円)札の発行を停止の予定です。
 アメリカも、100ドル(約1万1000円)札の廃止をサマーズ元財務長官らが提唱しています。

 匿名性の高い現金はマネーロンダリングや脱税などに使われやすく、とりわけ高額紙幣がその主役となります。

 イギリス当局はイギリス内の500ユーロ札のうち「90%が犯罪組織によって持ち込まれた」と報告しています。

 アメリカでは、米国では100ドル札を普段の生活で使うことはまずありません。しかし、流通量は164億枚と1世帯あたり120枚も保有している計算になります。
 1世帯あたり132万円のタンス預金があるはずもなく、外に大量に流出したとみられています。

 日本も1万円札の流通量が108兆円分もあり、国内総生産(GDP)の2割を占める「高額紙幣大国」です。
 国民1人当たり90枚程度を保有している計算になりますが、タンス預金だとしても流通量は極めて大きく「脱税などに使われている可能性がある」とされています。
 さすがに、アメリカドルと異なり、他国には、さほど流れていないでしょう。

 中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)構想が、高額紙幣廃止の潮流を速めることになる予定です。

 欧州中央銀行(ECB)は早ければ5年後をメドに「デジタルユーロ」を導入する予定です。
 アメリカ連邦準備理事会(FRB)もCBDCの発行に向けて今夏から本格議論に入り、日銀もアメリカやヨーロッパに追随することになりそうです。
 日米欧の主要国は現金とCBDCを併存させる考えです。

 日本国内の民間銀行は貨幣のデジタル化を切望する立場です。
 野村総合研究所はATMの運営費や銀行窓口の人件費などを合わせ、現金の社会コストを年1兆6000億円と試算しています。

 なお、海外旅行をしていると、邦貨5000円相当の札を平気で受領してくれる国は、スイスと韓国くらいのものです。

 韓国は5万ウォン(5000円)が最高額紙幣です。
 スイスは、100スイスフラン(1万2000円)までは平気で受領してくれます。

 ドイツやフランスなどユーロ圏では500ユーロ(6500円)も、偽札チェックされますし、受け取ってくれない場合が多いです。
 アメリカドルも20ドル札くらいが限度で、50ドル札(5500円)はかなり使いにくいです。

 クレジットカードで十分ではないでしょうか。 
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