本文へ移動

2021年2022年バックナンバー

雑記帳

スイスがF-35A戦闘機の調達を表明

 スイス連邦防衛・国民保護・スポーツ省は、令和3年6月30日、、連邦参事会(連邦政府の内閣)が、スイス空軍の次期戦闘機としてロッキード・マーティンのF-35Aを選定し、連邦議会に対して36機の調達を要請したと発表しました。

 あわせて新しい防空システムとして、レイセオンのペトリオット対空ミサイルを採用し、5セット分の調達も要請しています。

 スイス空軍は現在、F-5E/FタイガーIIとF/A-18C/Dホーネットを運用していますが、どちらも令和12年には耐用年数が寿命を迎え、退役することが予定されています。
 このため、後継となる戦闘機を選定する作業に入っていました。

 スイスは永世中立国であると同時に、重要な国の決定に対しては国民投票を実施する直接民主制の国です。

 このため、新しい戦闘機を導入するにあたり、令和2年9月27日に国民投票が行われ、60億スイスフラン(約7211億円)の予算上限で到達する計画決議が採択されました。
 防空システムについては、同じく20億スイスフランの計画が採択されています。

 調達額の上限が決まり、評価試験の結果やメーカーからの提案をポイント化して評価したところ、戦闘機ではF-35Aが336ポイントを獲得し、2位以下を95ポイント以上引き離すという圧倒的な結果が公表されました。
 技術的なアドバンテージやデータ共有をはじめ、プロダクトサポートなども高評価だったとのことです。

 そして価格面においてもF-35Aは、2021年2月の最終提案時における36機分の調達コストが50億6800万スイスフラン(約6090億円)だったとのことで、支払い時までのインフレ分を考慮しても60億スイスフラン以内に収まると予想され、30年間の運用コストを加味した総コストは約155億スイスフラン(約1兆8600億円)となり、2位の候補機より約20億スイスフラン(約2400億円)ほど低かったとしています。

 同時に、防空システム(対空ミサイル)の選定結果も公表され、こちらはレイセオンのペトリオットが採用されることとなりました。
 迎撃できる最高の高度や射程などの要素を勘案し、さらにスイス全土をカバーするために必要な5セット分の調達コストも19億7000万スイスフラン(約2370億円)と、20億スイスフランの予算内の収まることが明らかにされています。

 永世中立国としてのスイスは、国防面で他国からの侵略を受けないだけでなく「他国の戦争に領土や領空が使用されない」ことを国是としています。

 他国の争いに巻き込まれない、利用されないための戦力として、新しく採用が決まった36機のF-35Aや5セットのパトリオットも、将来にわたって活用されていくことになります。
TOPへ戻る