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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

4000万回分の在庫は一体どこへ

 菅義偉首相が新型コロナウイルス対策の切り札と位置付けるワクチン接種が全国で進む中、政府と自治体の間で約4000万回分の所在をめぐる認識のずれが生じています。

 争点となっているのは、市区町村の個別接種で使用しているファイザー製ワクチンの所在です。モデルナ製ワクチンは大規模接種に利用されていますので問題ありません。

 加藤官房長官は、令和3年7月16日の記者会見で、直近の実績で約4000万回分は接種が行われてない、市区町村自治体側に未接種分のワクチンが残っていると指摘したうえ、計画的に接種を進めるよう求めました。

 令和3年6月までに供給した8800万回分のうち、内閣官房が運用する「ワクチン接種記録システム(VRS)」のデータに基づき、接種実績を約4800万回分ですから、残りは「自治体や医療機関が持っている」(加藤官房長官)というのが政府の立場です。

 これに対し、市区町村の首長らは「在庫はない」と反論しています。

 現在保有するワクチンは「2回目の接種用で在庫というのは大きな間違いだ」(関係者)と反論しています。
 また、VRSへの入力作業に遅れが生じており、実際の接種実績はもっと多いとも主張しています。

 4000万回分の「在庫」のうち、「接種予約済みのワクチン」が、2000万回から2500万回分あると見られています。

 1回接種して2回目の接種の予約済みのワクチン(令和3年7月17日発表分で1500万回分。2回接種者から1回接種者の人数を控除)だけでは説明がつきませんから、500万回から1000万回分は、1回目と2回目の接種の予約済みのワクチンという計算になります。

 さらに、政府関係者によりますと、接種されているもののVRSへの入力未了の分が500万回分あるといわれています。
 現実の接種回数は、政府の接種回数の発表より500万回分多いということになります。
 ちなみに、職域接種の分は、政府の接種回数にカウントされていませんから、現実の接種回数は、VRSへの入力未了分の500万回分と、職域接種の分を加えた数字となります。

 4000万回分の「在庫」のうち、「接種予約済みのワクチン」が、2000万回から2500万回分を控除し、接種されているもののVRSへの入力未了のため未接種となっているワクチン500万回分を控除すると、1000万回から1500万回分が残ります。

 問題はこの1000万回から1500万回分ですが、政府もどこにあるのか正確に把握できていません。
 政府は、一部の自治体が必要以上にため込んでいると見ています。

 ただ、ワクチン接種を希望する高齢者には、令和3年7月中までには2回のワクチン接種が行き渡るはずです。

 基礎疾患を有していて、ワクチン接種を待っている人には気の毒ですが、ほぼ、医療逼迫の原因となっている重症者の増加という目的は達したと思います。

 令和3年9月末までには、ワクチン接種を希望する人全員分の、ファイザーとモデルナのワクチンが輸入される見込みですから、それほど、急ぐような問題ではないと思います。
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