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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

土石流リスクの渓流、全国18万箇所

 熱海市で起きた土石流災害は、大雨時に山から渓流をつたって下る土砂の猛威を見せつけました。

 人家などに被害を及ぼす可能性がある「土石流危険渓流」は全国に18万カ所ありますが、上流からの土砂を受け止める砂防ダムが整備されているのは一部にとどまるそうです。

 周囲に人家が5戸以上ある特に危険な渓流は約8万9500カ所あり、都道府県別では広島県(5607カ所)が最多です。兵庫県(4310カ所)や長野県(4027カ所)も多くあります。
 令和3年に土石流が起きた静岡県は2311カ所で、山地の多い日本は多くの場所にリスクがあります。

 人家5戸以上の渓流のうち、砂防ダムが整備されているのは平成21年度末時点で2割強でした。
 熱海の土石流が起きた2級河川である逢初川の上流部にも砂防ダムが1基ありました。
 今回の土石流の量約5.6万立方メートルに対し、ダムが食い止めたのは約0.75万立方メートルで、焼け石に水でした。

 砂防ダムは1基あたり数億円以上の費用がかかります。
 行政予算の制約もある上、山間部の集落は少子高齢化で減少が見込まれます。
 限界集落に砂防ダムを造っていては、お金がいくらあっても足りません。

 また、上流部に人為的な大量の盛り土があれば土石流発生の被害は大きくなります。
 こうしたリスク要因を地域で洗い出す作業が必要となります。

 盛り土は、国土交通省が把握する大規模造成地だけでも全国に約5万1100か所あります。

 宅地開発のための盛り土には宅地造成等規制法が適用され、事業者は自治体への許可申請や土砂崩れを防ぐ措置も必要となります。
 しかし、熱海市の現場にあったような一定規模以下の盛り土は規制の網から漏れており、土砂崩れ対策が行き届いていない可能性もあります。

 国土交通省は、今後、デジタルマップを活用し、過去の標高差との分析から全国の盛り土を改めて洗い出すこととします。
 小規模な盛り土も含めて情報は自治体などに提供することとし、防災対策に役立ててもらうことにします。

 なお、政治や行政だけではなく、住民自らが地域の地形リスクを把握することも必要です。
 熱海市では土石流発生の恐れが住民全体に浸透していたとは言いがたい状態でした。

 国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」では自宅住所を入力すれば、洪水、土砂災害、高潮、津波などの危険がわかります。

 私の西宮市の自宅は、すべて問題ありませんでした。ただ、違法な盛り土などは入力されていませんから、わからないといえばわかりません。
 私の大阪市北区事務所は、洪水、高潮が危険です。津波は、かろうじてセーフでした。

 地域の危険度を理解した上で、どこにいつ避難するかを日ごろから決めておく計画づくりに役立つかと思います。


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