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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

近畿日本ツーリスト「債務超過回避」

 旅行会社大手の近畿日本ツーリストやクラブツーリズムを擁する「KNT-CTホールディングス(KNT)」の令和3年3月期の売上高は前期比77%減の878億円で、当期純利益は284億円の大幅な赤字(前期は74億円の赤字)決算となりました。

 海外旅行の催行がほぼ不可能となり、取扱額はわずか22億円と98%減少し、国内旅行も取扱額は70%減の790億円にとどまりました。
 令和2年夏以降はGo Toトラベルが貢献したものの、団体旅行、修学旅行なども自粛の影響で多くが延期や中止となりました。
 また、グループ人員の2割に当たる1376人の希望退職関連費用なども計上しています。

 2期連続の債務超過による上場廃止となります。

 上場廃止を免れるため、令和3年3月期決算発表と同時に400億円の資金調達を発表しています。
 主要取引銀行である三菱UFJ銀行と三井住友銀行が資金を貸し付ける合同会社2社、そして、親会社である近鉄グループホールディングスに対し、議決権のない社債型優先株を割当てる形にしました。

 KNTは令和2年12月末時点で債務超過に転落していますが、令和3年6月末で解消される見通しとなりました。

 ただ、将来の見込みは立つのでしょうか。

 令和4年3月期(令和2年4月から令和3年3月)は売上高1800億円、営業損益は140億円の赤字を見込んでいます。
 ちなみに、コロナ前の平成31年3月期(平成30年4月から平成31年3月)は、売上高4118億円、営業利益25億円でした。

 ワクチン接種が本格的に進み、Go Toトラベルの再開も回復を期待しても、国内旅行は平成31年3月期の50%程度にとどまるとみています。
 一方で海外旅行は、平成31年3月期の5%程度と計画しています。
 ワクチン接種が令和3年末に完了する前提で、令和3年の終わりころに渡航制限が緩和され、令和4年3月期への貢献はわずかにとどまるとのみています。

 つまり、旅行関連の本格復活は、令和5年3月期(令和4年4月から令和5年3月)以降となります。

 なお、航空会社やJRなど交通機関やホテルが自社でのインターネットによる直接予約を増やしていますから、いままでのビジネスモデルで大丈夫とは限りません。
 近畿日本ツーリストでは店舗販売からネット販売へのシフトを進め、交通機関と宿泊を自由に組み合わせる「ダイナミックパッケージ」商品の大幅拡充を行にいます。

 債務超過の危機は脱しましたが、難解な構造改革をどう進めるのか正念場が続きます。

 もっとも、バックに近鉄がいなければ、倒産しているかも知れません。
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