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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

テレワークの影響が出やすい路線・出にくい路線

 コロナ禍になり「テレワーク」や「ステイホーム」が日常語として定着し、様々な影響を与えています。

 特に鉄道会社はテレワークの普及により、定期券客の減少に頭を悩ませていますが、定期客の減少率を見ると鉄道会社の間で差があることもわかります。

 関西で例を挙げます。

 阪急電鉄も阪神電気鉄道もコロナ禍により、定期客は大幅に減少しています。
 令和2年度の阪急の定期客は27万7068人となり、前年比-19.6%です。一方、阪神の定期客は10万7336人となり、前年比-15.9%です。

 他方、定期券外客を比べると話しは変わります。
 阪急は前年比-33.0%、阪神は前年比-35.7%となります。
 定期客ほど差はありません。

 テレワークはどのような業種で進んでいるのでしょうか。
 総務省が令和3年6月18日に発表した「令和2年通信動向利用調査」によりますと、産業別のテレワーク導入状況(令和2年8月末時点)は情報通信業92.7%、不動産業68.1%、金融・保険業67.6%、製造業56.1%、運輸・郵便業30.4%となっています。

 やはり現場の仕事が多い製造業や運輸・郵便業は情報通信業や不動産業と比べるとテレワークかが進みません。
 また資本金規模別に見ると50億円以上が83.7%に対し、1000万円未満は19.1%にとどまっています。

 ちなみに、弁護士業はどうでしょう。

 昨年の最初の緊急事態宣言の時は、裁判所がストップしました。
 法律事務所を閉めるわけにはいきません。
 当事務所は、11時から午後4時までの時短で、弁護士と事務員が交代で自宅勤務をしていました。

 その後も、緊急事態宣言が出ていますが、裁判所が平常どおり稼働していますから(裁判所も、最初の緊急事態宣言時には新型コロナの危険性がわかっていなかったのでしょうね。職員の定年は60歳ですから、重症化率は低いですね)、弁護士も事務員も、普段道理の出勤です。

 弁護士業はサービス業ですから、弁護士事務員とも、テレワーク、自宅勤務には向きません。
 ただ、遠方の裁判所の事件は、WEB会議で代替できます。


 電車に話を戻しましょう。

 定期客減少率ランキングでは1位阪神(-15.9%)、6位阪急(-19.6%)、同じ関西でありながら、ここまで差がつくのはなぜでしょうか。
 並行路線である阪急神戸本線と阪神本線を例に取上げます。

 阪急神戸本線と阪神本線の沿線環境を比較する上で参考になるのが尼崎市が発表した「尼崎市都市計画マスタープラン2014」です。
 尼崎市では市を「阪急沿線地域」「JR沿線地域」「阪神沿線地域」「臨海地域」の4地域に分けています。

 平成26年発表の地域別土地利用現況割合によると阪急沿線地域の住居系の割合は51.8%とずば抜けて高く、工業系は7.9%です。一方、阪神沿線地域の住居系は43.5%、工業系は18.4%です。

 このようなデータから勘案すると、現場作業が多い製造業などの工業地区がある鉄道路線は定期客の減少率が低いという結論が導けるように見えます。

 それだけかどうかはわかりません。
 阪急神戸線と阪神神戸線では、客層に違いがあります。
 どちらかといえば、阪急の方が、金銭的余裕がありそうです。
 阪急の通勤者が、テレワークしても大丈夫な大企業に勤務している人が多いという要素もあるでしょう。
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