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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

先日付

 お菓子や肉などの食品の「製造日」を「先日付」にして、あたかも、「新鮮」であり、賞味期限・消費期限は「まだ先ですよ」というようにごまかす業者が指弾をあびることは当然です。

 ところで、法律の世界では、先日付は珍しくありません。

 手形や小切手に先日付ということがありましたが、手形や小切手が使われるということは、ほとんど無くなりました。

 法律関係でいえば、昔は、「準備書面」などは、「口頭弁論期日」の「準備のための書面」であり、陳述されるのは「口頭弁論期日」であって、陳述以前に法的効果はなく、 前もって「準備書面」を出しておいても「日付」は、陳述される「口頭弁論期日」とするべきであるという解釈が一般でした。

 ということで、私の修習生のころ、準備書面は、「先日付」が結構多かった記憶があります。
 昔は、書記官が、手書き・ゴム印で口頭弁論調書をつくるっていたのですが(今は、パソコンで印刷します)、「本日付準備書面陳述」というゴム印の使用が多く、「昭和○年○月○日付準備書面陳述」の使用は例外でした。

 現在は、伝統的に、次回の「口頭弁論期日」を記載する弁護士もいれば、「作成日」を記載する弁護士もいます。昔は拮抗していましたが、現在は、圧倒的に「作成日」です。

 前者のメリットは、誤って作成日を空欄で提出するという「失態」を防ぐことができるということであり、デメリットは、同一期日に複数の準備書面を提出すると、区別がつかなくなる(なお、現在「第○準備書面」と付記することが多いですから、そのデメリットは減ってきてます)、後者のメリットは、提出期日が明白であることであり、デメリットは、誤って作成日を空欄で提出するという「失態」をする可能性があるということです。

 提出した弁護士も、裁判所も、相手の弁護士も気づかないまま、空白のまま訴訟が進むということがあります。

 私は、準備書面の日付を、口頭弁論期日とするようにしています。
 ごくごく例外になりました。
 ただ、間違いではありませんから、弁護士業をやめるまで続けるつもりです。
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